「――今こそ、『崩壊』の時だ」
プロフィール
名前 | シーリン、キアナ・カスラナ(K-423) |
---|---|
英語表記 | Herrscher of the Void |
原語表記 | 空之律者 |
一人称 | 私 |
二人称 | お前、虫けら、人類 |
好きなもの | 崩壊、神様(崩壊の意思) |
嫌いなもの | 人類 |
CV | 釘宮理恵 |
概説
miHoYoのスマートフォンアプリ『崩壊3rd』に登場する第二律者。
の主人公キアナ・カスラナの真の姿。
正確には空の律者「シーリン」の魂が目覚め、律者として覚醒した形態である。
権能
虚数空間を掌握し、空間の狭間を生み出す能力を持つ。
簡単に言えば空間操作。
崩壊世界において、この現象を操ることは現実と虚構の境目を取り去り、全てを混沌と破滅へ引きずり込むことを意味する。
戦乙女の第三世代戦乙女装甲に搭載された「時空断裂」も、この第二律者の力を模倣したものである。
分かりやすく言えば実数空間が現実世界、虚数空間が世界の裏。
空の律者はこの虚数空間を通して攻撃することで実数空間世界の防御を無視し、「敵を貫いた」という結果だけを飛ばすことが出来る。
ただし強力な分扱いが難しい。
この力により、「空の律者」は自在に崩壊現象を発生させ、いかなる生命体からの抵抗も塵芥の如く無力にする。
また虚数空間から崩壊獣を呼び寄せ、自身の支配下に置くことも可能。
特に審判型崩壊獣「ベナレス」は、第二律者の守護者としての側面を持つ。
第二次崩壊では、死の律者コアと理の律者コアの権能を組み合わせ、自身の配下となる疑似律者を創造し、天命とネゲントロピーを大いに苦しめた。
その別格と言える強大さから「崩壊の女王」の異称を持つ。
性格
傲慢不遜で冷酷非情。自らを「神」と宣唱し、他の人間を羽虫のように蔑視する。
人類に対して並々ならぬ憎悪を抱いており、強く軽蔑している。
もっとも、律者として覚醒した時点で「崩壊」の影響から人類への憎悪は刷り込まれており、
加えて生前に受けた理不尽の数々から、人間の「闇の部分」を知りすぎた部分も強い。
子供らしく結構調子に乗っていたシーリンと比べてかなり冷淡だが、これは新たな身体を完全には掌握出来ていないことが原因だという。
一方、イベントでは人類の愚かさを嘲笑しておきながら、現代文明にハマってニート生活を満喫する姿をたびたび見せており、すっかりぽんこつキャラと化している。
挙げ句、公式4コマ漫画「よんこまさーど」でも回を跨いで連続でいじられ、完全に崩壊の女王(笑)状態に……。
Twitterでも先の4コマで「#空の律者可愛い」のハッシュタグが爆誕し、今ではいじられキャラとしての地位を確立してしまっている。
第二律者「シーリン」
第二次崩壊の元凶であり、シベリアにおける天命組織とネゲントロピーの連合軍による崩壊との戦いにおける崩壊側の首魁。
元はシベリア周域の小さな村に生まれた気弱な少女だったが、「疫病(実態は崩壊因子による環境汚染)の治療と研究」を建前に、天命組織が建造した実験施設「バビロン実験室」に強制収容され、そこで同郷の子供たちと共に非人道的な実験の被検体にされていた。
そして実験の末に、崩壊因子を多量に吸収して律者として覚醒、崩壊の意思からの精神干渉を後ろ盾に人類との戦争を開始する。
第二次崩壊を発生させて天命組織・ネゲントロピーの連合軍と激突し、一度はネゲントロピー盟主ヴェルト・ヨウに追い詰められるも、律者を利用したいオットーの横槍で生き延びる。
ベナレスの助けで月の前文明遺跡へ逃亡し、そこで崩壊の意思から、「雷」「風」「炎」「死」の4つの律者コアを手に入れ、その力を基に同郷の少女たちを模した疑似律者4体を生み出して軍団を結成しする。
さらに地球への隕石攻撃を敢行して複数の都市を壊滅させ、多大な犠牲者を生んだ。
そしてヴェルトの持つ「理」の力を奪うため、隕石攻撃による脅迫でヴェルトの招聘を要求、応じて来たヴェルトを返り討ちにして理の律者コアを手に入れる。
しかし戦乙女部隊の最精鋭たちを前に、軍団は善戦空しく全滅。シーリンもフカの放った最大奥義「太虚剣神」で崩壊の意思との関連を絶たれてしまう。だがその代償にフカの神の鍵「渡世の羽」の羽の一枚を手に入れ、ジークフリート・カスラナとセシリア・シャニアテの両名を幻境に誘い、最大戦力2名を封殺する。
だがそれも、倒したはずのヴェルト・ヨウが理の律者コアに意識を潜伏させる埋伏計を成功させて打開。
最後は激戦の末、カスラナの血に眠る融合戦士の力を解放したジークフリートによって討伐された。
しかしジークフリートの力を恐れたオットーが崩壊核分裂ミサイルを発射し、シーリンの遺体は吹き飛ばされてしまう。
オットーによってこの顛末は隠蔽され、シーリンの肉体は天命組織が混乱に乗じて極秘裏に回収した。
結果、ネゲントロピーに渡った「雷」以外のコアは天命が保管することとなる、
K-423
回収された3つの律者コアは別々の用途に使用され、シーリンの身体は高い崩壊耐性を持つ「カスラナ」と「シャニアテ」の血を授かったキアナ・カスラナの遺伝情報とシーリンの遺伝情報から作られた実験体の製作へ使用された。
しかしどの個体も生命反応こそあるが意識を持つことはなく、失敗続けだった。
そこでオットーは試しに空の律者コアを「K-423」への移植。
これが功を奏し、K-423は明確な意識を持ち、律者復活の器として選出される。
後にK-423はマーキ博士の一件で死の律者コアを取り込んでいる。
しかしここに来て不測の事態が起きる。
K-423の存在を知ったジークフリート・カスラナがキアナと共に天命を襲撃。
K-423が奪取され、キアナは追撃により超高度から落下、K-423はジークフリートと共に行方知れずとなってしまう。
ジークフリートは当初、シーリンが覚醒する危険性を鑑みて軟禁していたが、あることをきっかけに、K-423がカスラナ家の「誰かを守るために戦う」血統を発露、そこに希望を見出す。
そしてジークフリートは実験体K-423に名前を与え、自分の娘として育てる決意を固めた。
それが『崩壊3rd』において主人公を務めるキアナである。
つまり『崩壊3rd』のキアナは、『崩壊学園』のキアナの直接的な他次元存在ではなく、そこからクローンとして派生した別個体といえる。
これが結果的にオットーの律者の力を持った人類を誕生させる「シーリン計画」に自信を持たせることとなる。
その後、天命組織の真意を探るべく失踪したジークフリートを追い、キアナは各地を遍歴。
極東の長空市で第三次崩壊に遭遇し、その引鉄である「雷電芽衣」と運命の出会いを果たすと、状況の収拾に派遣された聖フレイヤ学園の部隊に拾われ、図らずも再び天命組織の支配下に飛び込んでしまうのだった。
ストーリーでの活躍
試験期間中のキアナの夢の中で律者人格が幾度か接触を図る。
キアナは実技試験で大型崩壊獣「ガネーシャ」を相手に普段以上の実力を発揮し、高評価を得た。
風の律者の一件で重傷を負ったブローニャの治療法を探すため、キアナは聖フレイヤ学園の地下礼拝堂にあるスーパーコンピューターのもとへ忍び込む。
そこで何故か再現された(カバーストーリーの)第二次崩壊でキアナは両親の勇姿を目撃する。
そこで物心ついたときにはすでにいなかったセシリアを救うため、彼女とともに第二律者と戦う。
2人は律者に勝利し、キアナは初めて感じる母の温もりに涙を流した。
しかしこれは所詮「再現」。幸せな幻が消え去ったことで精神が不安定になったキアナは、オットーの刺客であった事を明かしたフカに鎮圧され、天命組織本部へと拉致されてしまう。
そしてオットーにより崩壊エネルギーを注入され第二律者として覚醒。
聖フレイヤ学園とネゲントロピーの連合部隊を次々と塵滅・蹂躙する凄まじい力を見せつける。
キアナの救出に駆けつけた学園の面々も一蹴し、芽衣が「雷の律者」コアと一時的に同期してキアナの意識を呼び覚まそうとするも、奮戦むなしく雷の律者コアを奪われ、更なる覚醒を許してしまう。
そこに芽衣たちとはぐれていた姫子が合流。
神殺し装甲「紅蓮の騎士・月蝕」を纏った姫子は律者の力を封じるため、テスラ謹製の「崩壊因子中和剤」を注射すべく限界を超えた戦いに挑んだ。
命を賭けた「最後の授業」の末、圧倒的な力に一切怯まず向かっていく姿に律者が抱いた一瞬の恐怖心が姫子をキアナの懐へ導き、その隙を狙って中和剤の注射に成功。再びシーリンはキアナの深層意識へと封じられた。
同時に姫子も肉体の限界を大きく突破し、その身体は「虚数空間」の裂け目へと落ち、命を落とした。
その後11章外伝で、律者人格は再びキアナから肉体を奪うべく精神攻撃を続けるが、肉体を失いながらも第八の神の鍵「渡世の羽」に意識を移していたフカの助力を得て、律者人格を再封印。
自身の力と運命に向き合うべく、キアナは放浪の旅へと出た。
天穹市のヨルムンガンドによる謀略を阻止して以降、短時間ではあるがキアナ自身の意思で律者の力を操ることができるようになってきている。
ゲーム上での性能
プレイアブルキャラクターとして
モチーフ武器:空無の鍵→空無の境:永劫
モチーフ聖痕:シーリン・昇華
ver.2.5から登場。
生物属性のS級戦乙女として実装された。
「白騎士・月光」の【霊魂覚醒キャラクター】であり、一部のスキルレベルが同期している。
期間限定のみの補給対象だったが、ver.3.5で「基地補給」のラインナップに加わり、恒常開放が可能になった。
「亜空の矛」による遠隔攻撃と時空を操る力で、常に自分のペースを握りながら戦場を蹂躙する。
範囲攻撃に優れる上に「律者形態」に移行することで攻撃性がさらにパワーアップ。
必殺技「虚界降臨」で広範囲を爆撃するうえに、使用後は律者エネルギーを再充填して「律者形態」への移行を早めることが出来る。
ぶっちゃけ、実装直後は3rdのバランスブレイカーであり、ver.4.0時点までの「元素」キャラが幅を利かせる以前は、ぶっちぎりの最強だった。
しかしその後の調整とアップデートによる環境変化で若干の弱体化に見舞われ、
現在は以前ほど猛威を振るうことは無くなった。
それでも生物属性・物理攻撃キャラでは、4.0時点でも最強の一角に君臨する。
ただしその性能を完全に扱うには、補給限定の専用武器とモチーフ聖痕が必須になるため、相対的な強さはプレイヤーのガチャ運次第というピーキーさも隠している。
またよりその強さを感じるには、欠片を収集してSSランク以上へ昇格させる必要もある。
そのため、調整後は「俺TUEEEプレイ用」という廃人向けな強さに落ち着いており、
決してお手軽ではないが、運や課金と努力に見合うハイエンド型キャラクターとなっている。
ボスキャラとして
当然だが、ストーリーではボスキャラとして登場。
頻繁に移相転移を繰り返し、亜空の矛で遠距離からじわじわと攻めるほか、転移と同時に時空ロックと矛による全方位カウンター、間隔を置いて炸裂する範囲攻撃、突き刺した「亜空の矛」から崩壊獣を召喚、ベナレスを召喚してブレス攻撃、「虚界降臨」で広範囲を焼き払うなど、屈指の難敵として立ちはだかる。
オマケに物理攻撃に高い耐性を持つ上、「雷の律者」コアである《コンケストジェム》も吸収して雷元素に耐性を獲得しており、無策に突っ込んで勝てる相手ではなくなっている。
一方炎・氷に対して耐性は無いので、読みづらい攻撃テンポとパターンさえ掴めれば、十二分に勝ち目はある。
「記憶戦場」でもボスとしてよく登場するが、元素キャラで隙を突ける現環境においては、手持ちの戦乙女さえしっかり育てて使いこなせれば、Cランク・Bランクはまず秒殺可能な範囲になる。
関連人物
キアナ・カスラナ(K-423)
肉体のベース。
普段は自我を保とうと抗う彼女をサディスティックに嘲笑うが、本心ではそれなりの情は抱いている。
また同じ実験体という境遇でこそあれ、シーリンはひたすら「道具」として使いつぶされる恐怖の日々を送ったのに対し、キアナ(K-423)は曲がりなりにも親の愛や傍らに寄り添ってくれる人々に恵まれていたため、キアナに対する激しい嫉妬も隠している。
自身が吸収した「雷の律者」コアの元保持者。
天命組織本部の戦いで立ちはだかるも、律者コアを奪って一蹴する。
芽衣に次いで立ちはだかった、「炎の律者」コアを装甲のエネルギーとした戦乙女。
実力には差があったが、覚悟で上回れて敗北した。
第二次崩壊で辛酸を舐めさせられた相手。
キアナの精神に宿った招かれざる客。キアナを暴走に導こうとするたびに干渉し、自身を意識の深層に封じようとする厄介者。
底のしれない執念を持つ悲しい人類。
自身を利用し、野望を達成しようとする元凶。
シーリンとしては眼中にない相手だが、本来牙を剥くべき仇である。
完全に従僕として尻に敷いており、上から目線で命令してくる。
ただ信頼度を上げていくと、態度こそ横柄だが所々で同胞間で傷付け合う人類の愚かさを憂いたり、肉体の主であるキアナの存在に感謝を感じている旨を述べたりと、決して「非道な侵略者」だけが彼女の本質ではないことが判る。
余談
関連イラスト
関連タグ
さらなるネタバレ
ver.4.9のストーリーにて、K-423も空の律者もどちらもシーリンであることが判明。
より正確には、セシリアやジークフリートとの邂逅で人の温もりを欲する心を取り戻して人の善意を信じる人格が現在のキアナ(K-423)となり、「崩壊の意思」の扇動で人類への憎悪を燃やし続ける在り方を受け入れたのが律者である、とキアナが悟った。
支配の律者の「支配劇場」で精神を揺さぶられたことでまた邂逅した両者は、互いの因縁を生産するために宿命の対決に臨むことになった。
その過程で空の律者はキアナに再度、人類による自分たちへの仕打ちを詳らかに見せつけるが、キアナはそこから律者が無意識に目をそらしている事実に勘付き、その矛盾点から「自分たちはどちらもシーリンである」という結論に達した。
第二次崩壊でシーリンは渡世の羽でジークフリートとセシリアを封じた際、両者の精神を破壊しようとしたが、渡世の羽の操作方法が分からず両者に「幸せな家族生活」を見せてしまう。
その様子にシーリンは嫉妬に狂い当初の目的も忘れて二人の幸福を壊そうとするが、自分の深層心理に眠っていた渇愛を刺激され、気まぐれに自身も幻境に踏み込んだ末に自分もカスラナ家の一員として加わり、一家団欒のひと時を得ていたのだった。
そうするうちにシーリンは人間だったころの暖かい記憶を呼び覚まし、律者と二人の偽りの義娘としての立場の狭間で揺らいでいく。
だがこのタイミングで最愛の従者であったベラが討伐されたことを感知し、幸福な幻境がジークフリートとセシリアの仕組んだ芝居だったと誤解すると、逆上して両者を追い詰める。
ヴェルトがシーリンの幻境に割り込んだのはこのタイミングで、ヴェルトは対律者用崩壊エネルギー分解兵器「ムーンライトスローン」を疑似構築してシーリンを追い詰め、二人を現実へ帰還させる。
その後、この戦争中にカスラナ家の血統の真の力を覚醒させ融合戦士化を体得したジークフリートと、神の鍵「黒渕白花」を解禁したセシリアによって討伐された。律者コアが暴走してシベリア一帯が壊滅の危機に陥りかけたが、これもジークフリートとセシリアの全力によって回避される。
だがジークフリートの覚醒した能力が今後の自分の計画の障害になると踏んだオットーが、ジークフリート抹殺を目的に崩壊核分裂弾道ミサイルを発射する。
セシリアはシベリア一帯に広がった崩壊エネルギーを中和するため、黒淵白花で「聖血開放・白花の鬱血」を発動し、致死量の失血で死亡した。
敵対関係にこそあったが、間違いなくセシリアは幻境であってもシーリンを我が子として受け入れ、またのちにジークフリートもシーリンの転生体であるK-423を最終的に「2人目のキアナ」として受け入れた。
シーリンは間違いなく、渇望していた「家族」と「愛」を得ていたのだった。
この結論に納得のいかない律者は、力比べですべての決着をつけることを望み、キアナもそれに応じる。
当初こそ律者が力の根源である立場を利用して優勢に立っていたが、しつこく食い下がるキアナに徐々に押され始め、さらに増援として呼び出した審判型崩壊獣「ベナレス」の影もキアナに呼応して律者に抵抗する姿勢を見せる。
そして「過去を見て糾弾する」のではなく、「それらを受け入れて真実を見つめる」ことを選んだキアナの下に恩師の剣が現れ、前に進む力をキアナに貸した。
――激戦を制し、勝ったのはキアナだった。
最後まで歩み寄ることが出来ず、それでも互いの在り方を示し続けた「二人のシーリン」は、最後にほんの僅かであるが互いを理解し合うことができた。
そしてその先の支配の律者との戦いで、キアナは自分の得た確信をさらなる力へと変えた。