※警告※
この記事は『崩壊3rd』ストーリーに関連する重大なネタバレを含みます!!
「――今こそ、『崩壊』の時だ」
概説
miHoYoのスマートフォンアプリ『崩壊3rd』の主人公キアナ・カスラナの真の姿。
正確には空の律者「シーリン」の魂が目覚め、律者として覚醒した形態である。
第二律者「シーリン」
第二次崩壊の元凶であり、シベリアにおける「天命組織」と崩壊の戦いにおける崩壊側の首魁。
元はシベリア周域の小さな村に生まれた気弱な少女だったが、「疫病(実態は崩壊因子による環境汚染)の治療と研究」を建前に、天命組織が建造した実験施設「バベルタワー」に強制収容され、そこで同郷の子供たちと共に非人道的な実験の被検体にされていた。
そして実験の末に、崩壊因子を多量に吸収して律者として覚醒、【崩壊の意思(GOD)】からの精神干渉を後ろ盾に人類との戦争を開始する。
第二次崩壊を発生させて天命組織・ネゲントロピーの連合軍と激突するが、一度はネゲントロピー盟主ヴェルト・ヨウに追い詰められるも、直後に【崩壊の意思】の助け船によって月の前文明遺跡へ逃亡。そこで5万年前に封じられた【崩壊の意思】の力の片鱗から、「雷」「風」「炎」「死」の4つの律者コアを手に入れ、その力を基に同郷の少女たちを模した疑似律者4体を生み出して軍団を結成し、さらに地球への隕石攻撃を敢行。複数の都市を壊滅させ、多大な犠牲者を生んだ。
そしてヴェルトの持つ「理の律者」を奪うため、隕石攻撃による脅迫でヴェルトの招聘を要求、応じて来たヴェルトを返り討ちにして理の律者コアを手に入れる。
しかし戦乙女部隊の最精鋭たちを前に、軍団は善戦空しく全滅。シーリンもフカの放った最大奥義「太虚剣神」で【崩壊の意思】との関連を絶たれてしまう。だがその代償にフカの神の鍵「渡世の羽」の羽の一枚を手に入れ、ジークフリート・カスラナとセシリア・シャニアテの両名を幻境に誘い、最大戦力2名を封殺する。
だがそれも、倒したはずのヴェルト・ヨウが理の律者コアに意識を潜伏させる埋伏計を成功させて打開。
最後は激戦の末、セシリアが抑え込んだ隙に天命が強硬策として放った「崩壊核分裂ミサイル」で諸共に爆撃されて敗死した。
シーリンの肉体は天命組織が混乱に乗じて極秘裏に回収し、体内の律者コアは摘出して封印された。
K-423
ところがここに至るすべてがある種の大芝居でしかなかった。
3つの律者コアは別々の用途に使用され、シーリンの本体である「空の律者」のコアは、高い崩壊耐性を持つ「カスラナ」と「シャニアテ」の血を授かったキアナ・カスラナの遺伝情報から作られた実験体への移植実験へ使用された。
多くの実験体が律者の力に耐えきれず死亡する中、検体数も僅かとなって、出来損ないに近い適性の低い被検体「K-423」への移植を決行。
これがまさかの成功となり、K-423は律者シーリンの復活の器として選出される。
しかしここに来て不測の事態が起きる。
天命組織のやり方に疑念を拭いきれなかったテレサ・アポカリプスとジークフリート・カスラナにより、実験施設からキアナ・カスラナ(原体)とK-423が奪取され、原体は再拘束されるもK-423はジークフリートと共に行方知れずとなってしまう。
既に半覚醒していたシーリンの人格は、ジークフリートによって抑え込まれ、この反動でK-423は生まれてからの一切の記憶を失ってしまう。
ジークフリートは当初、シーリンが覚醒する危険性を鑑みて軟禁していたが、あることをきっかけに、K-423がカスラナ家の「誰かを守るために戦う」血統を発露、そこに希望を見出す。
そしてジークフリートは実験体K-423に名前を与え、自分の娘として育てる決意を固めた。
それが『崩壊3rd』において主人公を務めるキアナである。
つまり『崩壊3rd』のキアナは、『崩壊学園』のキアナの直接的な他次元存在ではなく、そこからクローンとして派生した別個体といえる。
ここまでを主導したのは、他ならぬ天命組織大主教オットー・アポカリプスであり、律者の持つ特殊能力を利用して自身の野望を成就させるため「空の律者」を掌握・制御するべく、律者化したまま戦える人間を生み出す「シーリン計画」のため、この大掛かりな猿芝居を催したのだった。
オリジナルのキアナは、セシリアが殉職した時点で1歳だったことを考えると、オットーの研究に担ぎ出された事実を鑑みて、真っ当な状況で生きているかは怪しいところがあったが、28章にて消息が判明する。
その後、天命組織の真意を探るべく失踪したジークフリートを追い、キアナは各地を遍歴。
極東の長空市で第三次崩壊に遭遇し、その引鉄である「雷電芽衣」と運命の出会いを果たすと、状況の収拾に派遣された聖フレイヤ学園の部隊に拾われ、図らずも再び天命組織の支配下に飛び込んでしまうのだった。
ストーリーでの活躍
2章「夢の中の声」にて、試験期間中のキアナの夢の中でシーリンが幾度か接触を図る。
キアナは実技試験で大型崩壊獣「ガネーシャ」を相手に普段以上の実力を発揮し、高評価を得た。
のちに5章「雪原での再会」・6章「バビロンの囚人」で、テレサの「マトリックス」での「再現空間」に飛び込んだキアナだったが、ここで自身の過去の機密に接触、
さらにマトリックスによる再現とはいえ母・セシリアの痛ましい死の真相に触れ、律者としての力の片鱗を発露。
直後オットーの刺客であった事を明かしたフカに倒され、天命組織本部へと拉致されてしまう。
そしてオットー主導の実験の末、8章「女王降臨」にて遂に第二律者として覚醒。
聖フレイヤ学園とネゲントロピーの連合部隊を次々と塵滅・蹂躙する凄まじい力を見せつける。
キアナの救出に駆けつけた学園の面々も一蹴し、芽衣が「雷の律者」コアと一時的に同期してキアナの意識を呼び覚まそうとするも、奮戦むなしく「雷の律者」コアを奪われ、更なる覚醒を許してしまう。
そこに芽衣たちとはぐれていた姫子が合流。
神殺し装甲「紅蓮の騎士・月蝕」を纏った姫子は律者の力を封じるため、テスラ謹製の「崩壊因子中和剤」を注射すべく限界を超えた戦いに挑んだ。
命を賭けた「最後の授業」の末、圧倒的な力に一切怯まず向かっていく姿にシーリンが抱いた一瞬の恐怖心が姫子をキアナの懐へ導き、その隙を狙って中和剤の注射に成功。再びシーリンはキアナの深層意識へと封じられた。
同時に姫子も肉体の限界を大きく突破し、その身体は「虚数空間」の裂け目へと落ち、命を落とした。
その後11章外伝で、シーリンは再びキアナから肉体を奪うべく精神攻撃を続けるが、神の鍵の一つ「渡世の羽」の力で肉体を失いながらもキアナの意識に宿った符華の助力を得て、シーリンの意識を再封印。
自身の力と運命に向き合うべく、キアナは放浪の旅へと出た。
天穹市のヨルムンガンドによる謀略を阻止して以降、短時間ではあるがキアナ自身の意思で律者の力を操ることができるようになってきている。
能力
虚数空間を掌握し、空間の狭間を生み出す能力を持つ。
崩壊世界において、この現象を操ることは現実と虚構の境目を取り去り、全てを混沌と破滅へ引きずり込むことを意味する。
空間を自在に切り取り、時間に干渉し、虚数空間から現実へ「この世非ざる者」を呼び出す。
戦乙女の戦闘システム「時空断裂」も、この第二律者の力を模倣したものである。
この力により、「空の律者」は自在に崩壊現象を発生させ、いかなる生命体からの抵抗も塵芥の如く無力にする。
また虚数空間から崩壊獣を呼び寄せ、自身の支配下に置くことも可能。
特に審判型崩壊獣「ベナレス」は、第二律者の守護者としての側面を持つ。
第二次崩壊では、「理の律者」の律者コアを奪取しその力も間借りすることで自身の配下となる疑似律者を創造し、天命とネゲントロピーを大いに苦しめた。
その別格と言える強大さから「崩壊の女王」の異称を持つ。
ゲーム上での性能
プレイアブルキャラクターとして
ver.2.5から登場。
生物属性のS級戦乙女として実装された。
「白騎士・月光」の【霊魂覚醒キャラクター】であり、一部のスキルレベルが同期している。
期間限定のみの補給対象だったが、ver.3.5で「基地補給」のラインナップに加わり、恒常開放が可能になった。
「亜空の矛」による遠隔攻撃と時空を操る力で、常に自分のペースを握りながら戦場を蹂躙する。
範囲攻撃に優れる上に「律者形態」に移行することで攻撃性がさらにパワーアップ。
必殺技「虚界降臨」で広範囲を爆撃するうえに、使用後は律者エネルギーを再充填して「律者形態」への移行を早めることが出来る。
ぶっちゃけ、実装直後は3rdのバランスブレイカーであり、ver.4.0時点までの「元素」キャラが幅を利かせる以前は、ぶっちぎりの最強だった。
しかしその後の調整とアップデートによる環境変化で若干の弱体化に見舞われ、
現在は以前ほど猛威を振るうことは無くなった。
それでも生物属性・物理攻撃キャラでは、4.0時点でも最強の一角に君臨する。
ただしその性能を完全に扱うには、補給限定の専用武器とモチーフ聖痕が必須になるため、相対的な強さはプレイヤーのガチャ運次第というピーキーさも隠している。
またよりその強さを感じるには、欠片を収集してSSランク以上へ昇格させる必要もある。
そのため、調整後は「俺TUEEEプレイ用」という廃人向けな強さに落ち着いており、
決してお手軽ではないが、運や課金と努力に見合うハイエンド型キャラクターとなっている。
ボスキャラとして
当然だが、ストーリーではボスキャラとして登場。
頻繁に移相転移を繰り返し、亜空の矛で遠距離からじわじわと攻めるほか、転移と同時に時空ロックと矛による全方位カウンター、間隔を置いて炸裂する範囲攻撃、突き刺した「亜空の矛」から崩壊獣を召喚、ベナレスを召喚してブレス攻撃、「虚界降臨」で広範囲を焼き払うなど、屈指の難敵として立ちはだかる。
オマケに物理攻撃に高い耐性を持つ上、「雷の律者」コアである《コンケストジェム》も吸収して雷元素に耐性を獲得しており、無策に突っ込んで勝てる相手ではなくなっている。
一方炎・氷に対して耐性は無いので、読みづらい攻撃テンポとパターンさえ掴めれば、十二分に勝ち目はある。
「記憶戦場」でもボスとしてよく登場するが、元素キャラで隙を突ける現環境においては、手持ちの戦乙女さえしっかり育てて使いこなせれば、Cランク・Bランクはまず秒殺可能な範囲になる。
性格
キアナの人格は封じられ、律者シーリンとしての人格が表在化。
傲慢不遜で冷酷非情。自らを「神」と宣唱し、他の人間を羽虫のように蔑視する。
人類に対して並々ならぬ憎悪を抱いており、強く軽蔑している。
もっとも、律者として覚醒した時点で「崩壊」の影響から人類への憎悪は刷り込まれており、
加えて生前に受けた理不尽の数々から、人間の「闇の部分」を知りすぎた部分も強い。
艦長を完全に従僕として尻に敷いており、上から目線で命令してくる。
ただ信頼度を上げていくと、態度こそ横柄だが所々で同胞間で傷付け合う人類の愚かさを憂いたり、肉体の主であるキアナの存在に感謝を感じている旨を述べたりと、決して「非道な侵略者」だけが彼女の本質ではないことが判る。
一方、イベントでは人類の愚かさを嘲笑しておきながら、現代文明にハマってニート生活を満喫する姿をたびたび見せており、すっかりぽんこつキャラと化している。
挙げ句、公式4コマ漫画「よんこまさーど」でも回を跨いで連続でいじられ、完全に崩壊の女王(笑)状態に……。
Twitterでも先の4コマで「#空の律者可愛い」のハッシュタグが爆誕し、今ではいじられキャラとしての地位を確立してしまっている。
関連人物
キアナ・カスラナ(K-423)
肉体のベース。
普段は自我を保とうと抗う彼女をサディスティックに嘲笑うが、本心ではそれなりの情は抱いている。
また同じ実験体という境遇でこそあれ、シーリンはひたすら「道具」として使いつぶされる恐怖の日々を送ったのに対し、キアナ(K-423)は曲がりなりにも親の愛や傍らに寄り添ってくれる人々に恵まれていたため、キアナに対する激しい嫉妬も隠している。
自身が吸収した「雷の律者」コアの元保持者。
天命組織本部の戦いで立ちはだかるも、律者コアを奪って一蹴する。
芽衣に次いで立ちはだかった、「炎の律者」コアを装甲のエネルギーとした戦乙女。
元から肉体の限界が近かったため苦戦する相手ではなかったが、姫子の呼びかけに応じたキアナの意識に干渉され、最終的には不覚をとってしまう。
キアナの精神に宿った招かれざる客。キアナを暴走に導こうとするたびに干渉し、自身を意識の深層に封じようとする厄介者。
自身を利用し、野望を達成しようとする元凶。
シーリンとしては眼中にない相手だが、本来牙を剥くべき仇である。
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さらなるネタバレ
ver.4.9のストーリーにて、K-423も空の律者もどちらもシーリンであることが判明。
より正確には、セシリアやジークフリートとの邂逅で人の温もりを欲する心を取り戻して人の善意を信じる人格が現在のキアナ(K-423)となり、「崩壊の意思」の扇動で人類への憎悪を燃やし続ける在り方を受け入れたのが律者である、とキアナが悟った。
支配の律者による結界「支配劇場」で精神を揺さぶられたことでまた邂逅した両者は、互いの因縁を生産するために宿命の対決に臨むことになった。
その過程で空の律者はキアナに再度、人類による自分たちへの仕打ちを詳らかに見せつけるが、キアナはそこから律者が無意識に目をそらしている事実に勘付き、その矛盾点から「自分たちはどちらもシーリンである」という結論に達した。
実は前項で「セシリアに抑え込まれて弾道ミサイルで討たれた」と語ったが、これは天命組織による表向きの方便でしかない。
真実は、シーリンは渡世の羽でジークフリートとセシリアを封じた際、両者の精神を破壊しようとしたが、渡世の羽の操作方法が分からず両者に「幸せな家族生活」を見せてしまう。
その様子にシーリンは嫉妬に狂い当初の目的も忘れて二人の幸福を壊そうとするが、自分の深層心理に眠っていた渇愛を刺激され、気まぐれに自身も幻境に踏み込んだ末に自分もカスラナ家の一員として加わり、一家団欒のひと時を得ていたのだった。
そうするうちにシーリンは人間だったころの暖かい記憶を呼び覚まし、律者と二人の偽りの義娘としての立場の狭間で揺らいでいく。
だがこのタイミングで最愛の従者であったベラが討伐されたことを感知し、幸福な幻境がジークフリートとセシリアの仕組んだ芝居だったと誤解すると、逆上して両者を追い詰める。
ヴェルトがシーリンの幻境に割り込んだのはこのタイミングで、ヴェルトは対律者用崩壊エネルギー分解兵器「ムーンライトスローン」を疑似構築してシーリンを追い詰め、二人を現実へ帰還させる。
その後、この戦争中にカスラナ家の血統の真の力を覚醒させ融合戦士化を体得したジークフリートと、神の鍵「黒渕白花」を解禁したセシリアによって討伐された。律者コアが暴走してシベリア一帯が壊滅の危機に陥りかけたが、これもジークフリートとセシリアの全力によって回避される。
だがジークフリートの覚醒した能力が今後の自分の計画の障害になると踏んだオットーが、ジークフリート抹殺を目的に崩壊核分裂弾道ミサイルが発射する。
セシリアは最後の抵抗として、自身の命を犠牲に黒淵白花を起動させて核ミサイルを迎撃し、殉職した。
敵対関係にこそあったが、間違いなくセシリアは幻境であってもシーリンを我が子として受け入れ、またのちにジークフリートもシーリンの転生体であるK-423を最終的に「2人目のキアナ」として受け入れた。
シーリンは間違いなく、渇望していた「家族」と「愛」を得ていたのだった。
この結論に納得のいかない律者は、力比べですべての決着をつけることを望み、キアナもそれに応じる。
当初こそ律者が力の根源である立場を利用して優勢に立っていたが、しつこく食い下がるキアナに徐々に押され始め、さらに増援として呼び出した審判型崩壊獣「ベナレス」の影もキアナに呼応して律者に抵抗する姿勢を見せる。
そして「過去を見て糾弾する」のではなく、「それらを受け入れて真実を見つめる」ことを選んだキアナの下に恩師の剣が現れ、前に進む力をキアナに貸した。
――激戦を制し、勝ったのはキアナだった。
最後まで歩み寄ることが出来ず、それでも互いの在り方を示し続けた「二人のシーリン」は、最後にほんの僅かであるが互いを理解し合うことができた。
そしてその先の支配の律者との戦いで、キアナは自分の得た確信をさらなる力へと変えた。