概要
モンスターハンターシリーズのモンスターの分類の一つ。
長らく該当モンスターがネルスキュラ一種(MH4Gで登場した亜種も含めれば2種ということになる)しか存在していなかったが、ライズではようやく新顔のヤツカダキとその幼体にあたる小型モンスターのツケヒバキが登場。更に続くワイルズではラバラ・バリナが登場している。
種としての特徴は、「鋏角という独立した関節を有した顎を持つ節足動物型のモンスター」だと思われる。該当種はいずれもクモのような姿をしている。
なお、MHXでは、「(大)毒クモリ」という虫素材が登場する。名前は毒グモとサソリを合成したものと思われ、鋏角種との関連性を匂わせるものとなっているが、詳細は不明(ちなみに、MHXではネルスキュラは未登場。「鋏角種」という言葉自体はある精算アイテムの中に出てくるのだが…)。
該当モンスター
モンスター名 | 別名/通称 | 特徴/初登場 |
---|---|---|
ネルスキュラ | 影蜘蛛 /[亜]骸蜘蛛 | 獲物の皮を纏う蜘蛛 |
ツケヒバキ | 臣蜘蛛 | ヤツカダキの幼体 |
ハゼヒバキ | 衛蜘蛛 | ヤツカダキ亜種の幼体 |
ヤツカダキ | 妃蜘蛛 /[亜]織妃蜘蛛 | 糸を纏い炎を吐く蜘蛛 |
ラバラ・バリナ | 刺花蜘蛛 | 薔薇のような赤い綿毛を保有した蜘蛛 |
鋏角種以外のモンスターとの関係
ゴゴモア
モンスターハンターシリーズで完全オンラインのシリーズであるMHFのオリジナルモンスター。初期デザインを見ると元々クモ型のモンスターであったことが分かる。「パッケージモンスターがクモなのはプレイヤーの嫌悪感につながる可能性がある」として猿型モンスターに変更となったようだ。オンラインゲームである以上ユーザーには遊び続けてもらう必要があり、特に女性プレイヤー離れを引き起こす可能性は未然に防がなければならない…という事情もあったのかもしれない。こういった事情・経緯がなければ、MHFで一足先に鋏角種が誕生していた可能性もある。
アクラ・ヴァシム/アクラ・ジェビア
ゴゴモアと同じく、MHFのオリジナルモンスター。
鋏角類のサソリのような姿をしているが、両者は鋏角種でも甲虫種でもなく甲殻種に分類されている。これは、「大型の腕一対+歩脚二対」という体制が甲殻種特有のものと合致したためと思われる。
ネルスキュラとアクラ系の種を隔てるものは、第一歩脚と考えられる部位が鋏状であるか歩脚状であるかの違いである(ちなみに現実のサソリの大きなハサミは胸から生えた「歩脚」ではなく、「触肢」と呼ばれるもので頭から生えている)。
またアクラ系の顎は二重構造になっており、これが左右二本ずつで一つのハサミを形作っているのならばまさしく鋏角であり、鋏角種の特徴を十分に有していると考えることもできる。
生命の多様性が判明するにつれて新たな種が定義され、既存の種に分類されていた生物がそれらに編入されるのは現実のみならずモンハン世界でも良くあることで、実際飛竜種から蛇竜種へと変更されたガブラスの例もあるので、今後アクラ系が鋏角種に分類される可能性もなくはない。
バエリダエ(鬼狩蛛)
海外版のオンライン作品であるモンスターハンターオンラインのオリジナルモンスター。
こちらもクモのような姿をしているが、やはり甲殻種のモンスターとして扱われている…というより、単純に甲虫種に収めることができなかったため甲殻種となっただけの可能性が高い。
こちらも将来的に鋏角種に変更されるかもしれない……かと思われたが、モンスターハンターオンラインは現在サービスを終了してしまっており、結局分類は甲殻種のままであった。
モチーフなど
全体の見た目や多眼、糸を繰り出す能力などから見て、鋏角種は総じてクモをモチーフとしているが、現実世界の節足動物には「鋏角類」(鋏角亜門)というグループがある。これはクモのみならずサソリやカブトガニなども属し、名前の通り「鋏角」という顎として働く器官を特有する(クモの場合は「上顎」とも言うが、由来は他の節足動物の触角に相当で、すなわち昆虫などの顎とは別器官である)。
ただし現実世界の鋏角は、鋏角種のように左右にかみ合わせるような顎ではなく、左右の肢それぞれがハサミの形状をしているのが一般的である(触角と同じ由来に加えてこの特徴が「鋏角」という名の由来)。カブトガニやサソリの口元のように、多くの鋏角類の鋏角は小さく目立たないが、ヒヨケムシの場合は分かりやすく、口元が1対の大きなカニ爪のようになっている。
また、鋏角種が種類により鋏角と目を持つ部分が頭部として独立に動いたり、鋏角が数多くの節で射出したりするのも、現実世界の鋏角類とは異なる(目・鋏角・脚が全て不動の頭部にまとめられ、鋏角は普通2-3節しかない)。
一方、鋏角種のモチーフとなったクモの鋏角はハサミ型をしておらず、途中から折り畳んだ毒牙となっている(モンハン世界で例えれば、ショウグンギザミの鎌足のような形状をしている)。そして一般的なクモ(タランチュラやトタテグモ系以外のクモ)では、この鋏角がまるで顎のように左右かみ合わせるようになっている。
考察
今のところ、鋏角種・甲虫種・甲殻種の系統的な関係については明かされていない。ただ、鋏角種の登場するMH4とMHRiseのゲーム中では、甲虫種と鋏角種から得られる落とし物が共通している(「モンスターの体液(濃汁)」、清算アイテムである「兵隊のフェロモン」or「女王のフェロモン」)であることから、少なくとも甲虫種とは系統的に近縁である可能性はある。
ちなみにそれぞれのモチーフとなった現実の節足動物では、昆虫と甲殻類は近縁で、鋏角類はそれらの祖先より起源が古い別系統であることをここで補足しておきたい。