概要
アニメ『艦隊これくしょん -艦これ-』では、深海棲艦側の中心人物として活躍したユニークな空母ヲ級flagshipを指す。
別名敵艦隊の主人公。後述の経緯から、一部では「ヲークタウン」とも呼ばれている。
言葉は一切話さないものの、身振り手振りで仲間の深海棲艦を指揮しており、フラグシップ(旗艦)の名の通りリーダー格を務めた。
その名の通り、左目に抉れたような火傷が残っているのが特徴で、台詞はないながらも印象的な活躍を果たした事から、元々の空母ヲ級の人気もあって評価が高いキャラクターである。
片目から青い焔が噴き出している点はゲーム版の改flagshipと共通するが、隻眼ヲ級は頭部の帽子の眼孔(?)も罅割れており、ゲーム版では黄色いオーラを纏っているのに対して隻眼ヲ級は青いオーラを纏っているなど明確な差異もある。
見逃されがちだが、両肩に肩パッド状のプロテクターが追加されている点も隻眼ヲ級の特徴である。
(作画ミスなのか、7話の終盤でも肩パッドを装備しているように見えるカットがある)
隻眼ヲ級と呼ばれてはいるが、左目の眼光自体は失われていないことから厳密には隻眼ではない可能性もある(顔半分が抉れて焼け爛れるほどの傷を負いながら視力が残っているとも考えにくいが)。
主な活躍
第七話にて初登場。当初は通常のflagshipであり黄色い眼をしていた。
何らかの手段で傍受した暗号通信から作戦内容を解読し、更に同型の仲間をデコイに利用した作戦で翔鶴と瑞鶴の撃破を狙ったが、スコールを味方に付けた瑞鶴による捨て身の作戦と、駆け付けた吹雪達に目論みを挫かれてしまう。
仲間の深海棲艦を失ったばかりか、更に吹雪の砲撃でヲ級自身も左目に被弾。形勢不利を悟り単身で戦線を離脱している。
第九話では空母ヲ級改flagshipとして再登場。
修理が間に合わなかったか、あるいは修復不能なほどの重傷だったのか、損傷した顔の左半分は黒く焼け焦げたままになっている。
各地へ戦力を割いた為に鎮守府の防衛が手薄になったところに空襲を仕掛け、鎮守府を全壊させるという戦功を挙げた。(といっても艦娘達の手により1~2話で再建されたわけだが…)
この際、攻撃に巻き込まれた提督が行方不明となっている。
第十話では直接登場しないものの、飛龍達から長門への報告の中で、第九話の鎮守府空襲に参加した機動部隊の一個体として言及されている。
そしてミッドウェー海戦がモデルとなる終盤でも三度登場。棲地へ殴り込んできた赤城達を、飛行場姫や仲間の深海棲艦の大群と共に迎え撃った。
最終話のラストでは、因縁の相手となる吹雪と再戦を果たす。※TV画面にも描けないほど熾烈な死闘の末に撃破され、戦局を変える転機になるという、ラスボスに相応しい結末を迎える事となる。そこ、ア艦これとか言わない。
その活躍からゲームへの逆輸入が期待されているが、アニメ第一期終了後の2015年の春季イベントの時点では未だ登場を果たしていない。
隻眼ヲ級のモチーフについて
第七話と最終話での活躍は、第二次世界大戦時にアメリカ海軍が保有していた空母ヨークタウン(オールド・ヨーキィ)、鎮守府を空襲した第九話での活躍は同じく実在した米軍空母ホーネットがモデルと推察される。
第七話の戦いは珊瑚海海戦がモチーフとなっているが、艦隊の編成をはじめとして史実とは異なる部分もあり、厳密に史実をなぞっているとは言えない内容となっている。
同海戦に参加したヨークタウンは雷撃と爆撃を数発喰らい、至近弾で燃料漏れを起こすなどのダメージを負いながらも近場の基地で応急処置を受け、真珠湾へと帰還した。この時の雪辱は後のミッドウェー海戦にて果たされる事となる。
また、敗退を続けていた敵が空母で本拠地を急襲し戦意を挫こうとするという第九話のシチュエーションはドーリットル空襲を髣髴とさせるが、ドーリットル空襲ではヨークタウンは参加していない。
史実ではヨークタウンの同級であるホーネットやエンタープライズが参加しており、この戦いで実際に艦載機を飛ばして空襲を行なったのはホーネットである。
ホーネットはミッドウェー海戦にも参戦しており、更にその後の南太平洋海戦で撃沈されている。
上述したとおり、ヨークタウンはミッドウェー海戦にも参戦しているが、当初は修理に90日かかると言われたほどのダメージを負っていたものの、3日間で直せとの無茶ブリを受け、ヨークタウンは不完全な修復状態のまま参戦する羽目になる。
実際の戦いでは空母蒼龍を撃沈する戦果を上げたものの、飛龍の反撃で大破し、更に伊168の八九式空気魚雷による攻撃で致命傷を負う。
それでも夜間は持ち堪えていたヨークタウンだったが、母港へ帰る事は出来ず、夜明けと同時に仲間の駆逐艦達に見守られながら海中に没するという壮絶な最期を遂げた。一部の資料によっては、米軍の駆逐艦によって介錯されたとの記載もあるという。
海に沈んだヨークタウンの船体はその後1998年5月に発見されており、現在は画像検索などから海底で眠るヨークタウンの姿を見る事が出来る。
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ネタバレ
以下、アニメ『艦隊これくしょん -艦これ-』及び劇場版『艦隊これくしょん -艦これ-』のネタバレを含みますので、閲覧は自己責任でお願いします。
まあこんなところまで読み進めてくれた賢明で暇人な諸兄は察しているだろうが、敵艦隊の主人公などと呼ばれている通り、艦娘側の主人公である吹雪に対する深海棲艦側のライバルキャラとしての活躍を期待されていたにもかかわらず、その決着は最終話の画面外で撃沈というまさかの出オチであり、多くの視聴者を唖然とさせた。「撃沈したっぽーい!」とは最終話中での夕立の台詞であるが、本当に撃沈したっぽいとしか言い様がないから困る。
因みに、DVD版ではしっかりと撃沈シーンが追加されている(何故アニメ本編でやらなかった…)
正体については劇中で特に言及されなかったが、第三話で轟沈した如月と入れ替わるかのように登場した事や、迫り来る吹雪を眼前にしながら全く反撃しなかった事、隻眼ヲ級の撃沈直後に如月の髪留が現れるなどの演出もあり、隻眼ヲ級の正体は、撃沈された如月だったのではないかと推測するファンが多い。
とはいえ、深海棲艦化はあくまでファンによる創作設定であり、アニメやゲーム本編でその設定が取り入れられているとは限らない事を留意せねばならないだろう。(深海棲艦化の論拠としてしばしば軽巡棲鬼や駆逐棲姫、空母棲姫などが引き合いに出されるが、あくまでも期間限定イベントの元ネタとなった戦史に因んだ登場でしかない。むしろ戦場をモチーフにした飛行場姫や港湾棲姫などの陸上基地型と同じ文脈での登場と解釈した方が自然であり、沈んだ艦娘が深海棲艦として再生されたとは必ずしも言い切れないのである)
仮に深海棲艦化設定が取り入れられているのだとしても、如月と隻眼ヲ級とでは艦種が異なっており、温厚な如月と狡猾で抜け目がない隻眼ヲ級とでは性質の共通点もなく、必ずしも同一人物とは言い難い。
また、あまりにも報われない如月の死に対して視聴者側からの「こうだったらいいなあ」という願望が強く反映されている点も付け加えておく。
実際の所、如月当人とは全く何の関係もなかった事が劇場版で判明し、上記の説は完全に否定されている(ただし、帰ってきた如月は髪留を失くしていた)。
……のだが、艦娘が深海棲艦化したヲ級は別に存在していた事は判明した。