概要
蒼き鋼のアルペジオに登場する、人類に敵対する未知の勢力。ただし当の霧は人類を敵とは認識していない。
自意識を有し、機械的な構造から無機物生命体と呼べる存在。
その姿は第二次世界大戦で活躍した艦艇のものを再現しているものの、カラーリングの変更や個体識別紋章(イデア・クレスト)が浮かび上がっているのが特徴。
ただしその中身はオーバーテクノロジーの塊であり、主人公曰く「宇宙船」と形容されるレベルである。イメージとしては宇宙戦艦ヤマトあたりと考えてくれれば大体あっている。
また、2年前の総旗艦ヤマトの帰還以降、重巡洋艦以上の艦艇はメンタルモデルと呼ばれる人間体を有している。
基本構造は手のひらサイズの「ユニオンコア」と呼ばれる球状の中核演算ユニットを中心に、ナノマテリアルと呼ばれるナノマシンユニットの集合体によって形成されている。
そのために構造は流動的で可変性に富み、ナノマテリアルさえあれば瞬時の修復、変形、弾薬の製造などを可能にする。また、総旗艦の資格を有する大戦艦級以上はデルタコアという上級のユニオンコアを持っており、通常のコアより桁違いに優れた演算能力を有している。そのため複数のメンタルモデルを保有し、並列思考することも可能となっている。
動力は「縮退炉」またはそれに類するものだということが原作で示唆されている。
ちなみに「霧の艦隊」という名前の由来は艦が霧をまとって出現していたため、人類側が誰ともなしに呼ぶようになったものである。
英語表記は「FOG FLEET」。
イデア・クレスト
霧の艦隊各艦が固有する個体識別パターン。
エンブレム(紋章)のようなデザインをしており、ユニオンコアが高レベル稼動状態の時に艦体やメンタルモデルの各部に浮き出て見える。
共通して鋭角的なデザインをしており、モデルとなった艦の姉妹艦で似たようなデザイン特徴を有する傾向にある。
大きく分けて、
・霧の艦隊のイデア・クレスト
・所属艦隊のイデア・クレスト(大部分は艦隊旗艦のイデア・クレストと共通)
・各艦固有のイデア・クレスト
の三種類があり、イデア・クレストが表在化するシーンではその三種が同時に現れる場合が多い。
装備
主に光学兵器が主流であり、主砲は砲身が変形してビーム砲になる。アニメ版ではビームと実弾砲撃とを使い分けられる描写がなされていた。原作ではレーザーと質量を持たすことが可能なプラズマ弾を使い分けることが可能。
その他にも落雷を発生させる投擲兵器や、海中に破壊的な衝撃波を打ち込む兵器など、どれも人類の科学力を軽く凌駕した超兵器の数々を保有している。かつては航空機も装備していたようだが、費用対効果が低いとして撤去されている。
ちなみに霧の艦隊もこれらの装備が「誰」によって準備されたものなのかは把握していない。
以下は特に名称があり、かつ強力で代表的なもの。
侵食魚雷
霧の艦隊のメイン兵装ともいえるのが侵食魚雷(またはミサイル)であり、これは着弾点を基準に強力な力場を発生させ、その空間を侵食し、周囲の物質の活動を停止・崩壊させる強力な兵器である。実際の原作での描写では周囲の物質を強制的に押し広げ、変形させるような描写であり、実際に物質の活動を停止・崩壊させる描写は見当たらない。
強力な兵器であるが、霧の艦隊はクラインフィールドとある程度の演算能力(重巡以上?ただしナガラが展開した際は間に合わなかったので不明)さえあれば、これを無効化することが可能である。
超重力砲
重巡クラス以上が有する、霧の艦隊の主砲とも呼べる大口径兵装。原理は上記の侵食魚雷と同じ重力子を照射する兵装であり、侵食魚雷よりも大規模かつ広範囲に重力波展開する。発射に際しては船体そのものが砲身に変形されるほか、エネルギー供給が無限ならば、無限の射程と威力を発揮できる。イメージとしては波動砲や機動戦艦ナデシコのグラビティブラストが近い。また使用に際してはロックオン対象を重力場で射線上に固定することもできる。
使用には大戦艦級でも集中しなければならないほどの膨大な演算ソースを必要とし、発射方向のクラインフィールドが干渉を防ぐために解除されるなど、全体的に防御がおろそかになる。
また大戦艦級以上の超重力砲は地球の磁場や重力場に深刻なダメージを与えかねない環境破壊兵器でもあり、全力で発射すれば次元が歪む。
現状、これを完全に防ぐ手段は発射演算中に攻撃を仕掛ける以外は一つしかないという。(本当にどこぞの波○砲だ)
強制波動装甲
霧の艦隊の一般的な装甲。この装甲は外部からのエネルギーを熱量(?)に変換して一定量まで蓄えることができるが、一定量を超えると通常の鉄装甲と変わらない強度となり、崩壊する。蓄えたエネルギーは時間を掛けて放出または吸収することができ、放出しきればまた元の強度を取り戻す。現状、人類の火器ではこの装甲を破ることは出来ない。
クラインフィールド
上記の強制波動装甲から発生する霧の艦隊鉄壁のバリヤーとも言える存在。原理はクラインの壺理論を応用しているらしい。実際の効果は外部からの運動・熱エネルギーの指向性(ベクトル)を任意に変換し、攻撃を無力化する事ができる。ただし膨大なエネルギーを伴うものは逸しきれず、下記の装甲で受け止める二段構えになっている。
原作で核弾頭が使用されていないことからも、このフィールドには核攻撃を防ぐほどの効果があると思われる。
クラインフィールド自体の防御力はコアの演算能力に比例するようで、また調整すればある程度の物理攻撃にも使用可能。
原作描写では平面六角形の力場の集合体で表現されている。
ちなみに「霧の艦隊」という名前の由来となった艦の周辺に発生していた霧は展開していたこのクラインフィールドによってはじかれた水分子が霧状になったものである。現在はフィールドを調整することで霧の発生を抑えるようになっため霧をまとった霧の艦ほほぼいない。
ミラーリングシステム
対超重砲防御兵装であり、超重力砲を唯一防げる装備でもある。
原理はワームホールを作り、超重砲のエネルギーを別次元に転移させるというもの。ワームホール消滅時に周囲に破壊的な衝撃波をまき散らすため、カウンターとしても機能する。
最上位個体である超戦艦級以上の艦艇が有するとされており、霧の艦隊のなかでもその存在は極秘とされている。
旗艦装備
巡航艦隊の旗艦クラスだけが使用を許可されている装備。かつての人類との大海戦にすら持ち出されなかった代物で持ち出すというのは前例の無いことである。複数の種類が存在しているが、旗艦クラス以外は存在を知るのみで全容までは知らない。
換装にはそれ相応の時間を要するとともに、その間は無防備となり、同時に代償として一部装備の撤去などを必要とする。
- 時空展開デバイス
コンゴウが持ち出した旗艦装備の一種。外観が無数の鳥居状のデバイスとメンタルモデルの上に展開される大型の鳥居状デバイスで構成される。これは自分の麾下の艦隊を召喚するシステムであり、コアの転送と艦体のその場で急造の二工程で行われる。いわば、ナノマテリアルの3Dプリンターとも言える。早い話が艦を工場に変える「工廠艦」化装備である。
ナノマテアリルを補給艦から補給し続ければ急造を続行可能。クラスが低い艦艇なら急造する時間は短く、大戦艦クラスの場合でも急造に専念すれば15分程度で可能。
これによって局面に合わせた麾下の艦隊の自由な艦種変更による流動的な艦隊運用が可能になり、敵戦術に合わせた最適装備の早期換装や艦隊構成を把握しづらくさせるなどの効果がある。これは艦隊運用という点において絶大なアドバンテージを得ることを意味する。
ただし無闇に乱用すると転送元の艦隊が手薄となり、全体として艦隊陣営が大きく乱れることにも繋がるので、主に短期決戦用装備とも言える。
- 対潜用デバイス
ムツがが持ち出した旗艦装備の一種。外観がビームで形成された複数の弓のように見えるデバイスを、艦の両側に展開し、その半分は海水に浸かっている。
これは自身を中心とした広範囲の海水の水温・塩分濃度・海水密度を操作し、音や光の伝わり方を自在に屈折させることで、敵ソナーを欺瞞し自身の位置情報を偽ることが出来るように成る代物。こと、ソナーが目と耳である潜水艦には強力に作用する装備だと言える。
ただし海水の操作には多くの演算リソースを消費するため、節約のために艦隊はできるだけ動かないように務める必要があり、また複数の音源によって海水の屈折を解析されてしまうと全ての設定を最初からやり直さなくてはいけないと、一度看破されると有効性が著しく低下する初見殺し装備とも言える。
活動目的
アドミラリティ・コードと呼ばれる謎のコードからの命令によって起動。
以後は命令にあった「再起動した後は海洋を占有し、人類を海洋から駆逐、分断せよ」(ここにある再起動という言葉の示す意味は霧にさえ不明)という命令を忠実に実行している。
だがメンタルモデルの実装にともなってこの命令を独自解釈し、中には他の艦に命令違反と取られる行動をおこす個体も増えてきた。それによって霧の内部でも内紛が起こっている。
またアニメ版ではこれに加えて「通信網の封鎖」、「陸地に対する一切の殲滅活動を禁止」するといった幾つかの事項が追加されている。
なおあくまで人類を海洋から駆逐、および海洋に出ないように監視という命令であり、その遂行には人類の存在が必要不可欠である。そのため霧は人類をたとえ自分たちを打ち滅ぼすことができるようになったとしても滅ぼすことはできない。
組織構成
「アドミラリティ・コード」を最上位存在とし、総旗艦が各艦隊を統括する。現在、東洋方面艦隊、東洋艦隊、欧州方面艦隊、北米方面艦隊、総旗艦直属艦隊が作中に登場している。これとは別に「アドミラリティ・コード」直衛艦隊、「緋色の艦隊」の存在が示唆されている。また、アニメ版においてはアメリカ太平洋方面艦隊が登場している。超戦艦級、超海域強襲制圧艦級、海域強襲制圧艦級、大戦艦級、巡洋戦艦級、重巡洋艦級、巡航潜水艦級、軽巡洋艦級、工作艦級、補給艦級、駆逐艦級、潜水艦級とクラス付けがされている。
主な霧の艦艇
この中には既に霧の艦隊から離脱したものも含める。
超戦艦級 | ヤマト ムサシ |
---|---|
超海域強襲制圧艦級 | シナノ |
大戦艦級 | コンゴウ ヒエイ ハルナ キリシマ (フソウ) (ヤマシロ) イセ ヒュウガ ナガト ムツ (ニュージャージー) (ワシントン) サウスダコタ ビスマルク プリンス・オブ・ウェールズ (フッド) シャルンホルスト (グナイゼナウ) (ローマ) (リシュリュー) |
巡洋戦艦級 | レパルス |
海域強襲制圧艦級 | ショウカク ズイカク アカギ カガ レキシントン |
重巡洋艦級 | タカオ アタゴ チョウカイ マヤ ミョウコウ ナチ アシガラ ハグロ (モガミ) (フルタカ) (カコ) (ペンサコーラ) (ノーザンプトン) アドミラル・ヒッパー (アドミラル・グラーフ・シュペー) プリンツ・オイゲン |
軽巡洋艦級 | ナガラ イスズ ナトリ ユラ |
駆逐艦級 | ユキカゼ シラヌイ カスミ (アカツキ) (ヒビキ) (イカヅチ) (イナズマ) (ハマナミ) (アキシモ) (シマカゼ) (フレッチャー) (ラドフォード) メルヴィン ヴァンパイア |
巡航潜水艦級 | イ400 イ401 イ402 U-2501 |
潜水艦級 | ロ501 (イ008) (イ13) (イ14) イ15 イ18 イ22 イ201 |
工作・補給艦級 | アカシ シレトコ |
※1 ナトリとユラ、メルヴィンは劇場版DCに登場、
※2 ()がついている艦艇は名前のみ。
※3 U-2501のコアは駆逐艦「レーベリヒト・マース」のものである。