あなたはきっと、奇跡より大きい
概要
ギリシャ神話に登場する邪悪な巨人の事であるが、ここでは同名の奥浩哉による漫画作品について記述する。
2018年から2021年まで小学館『ビッグコミックスペリオール』にて連載された。全10巻。『GANTZ』『いぬやしき』同様、とっぴな設定のSF作品であるが、物語開始当初は作中の設定や背景に理解不可能な部分が極めて多く、それら一つ一つが重要な伏線として配置されている多層構想的な脚本となっている。心情描写を表すために意図的に変化の極めて少ないコマを多用しているのも特徴であり、より叙情性を重んじている。
また、過去の奥作品に関するネタもセルフ宣伝としてよく登場している。
軸となるのはハーフのAV女優「パピコ」ことちほ・ヨハンソンと、彼女のファンだった映画監督を目指す少年横山田零のちょっと不思議な交流であり、世界を揺るがす怪奇現象の数々と、それらの意思決定を行う闇サイト「ETE」をめぐる謎が根幹を担っている。あと、ヒロインの職業からわかる通り全体的にエロいです。
作者の奥浩哉曰く、「実写化・アニメ化は不可能」らしい。(今後どうなるかは不明なので、あくまで作者個人の見解である。)
あらすじ
映画監督を夢見る男子高校生・横山田零は、ファンであるAV女優・パピコを中傷する張り紙を見つける。気になって夜に張り紙を除去しようとする零だったが、そこに本物のパピコことちほ・ヨハンソンが現れる。彼女がこの町に住んでいることは事実だったのだ。
零とちほの暮らす岩神町では、ランドセルを背負った不審な中年男性がよく目撃されていた。ある日、交通事故に遭ったランドセルの男を偶然目にしたちほは救急車を呼ぼうとするが、その男から小さな装置を右手首に埋め込まれ、一枚の光ディスクを渡される。
ちほの体に埋め込まれた装置は保有者の肉体を自在に巨大化させる機械だった。やがてちほと零は世界の命運を揺るがす怪奇現象に巻き込まれていく。
登場人物
横山田零
主人公その1。中性的な容姿の少年。大手配給会社東王社員を父に持つ、映画好きの男子高校生。
映画監督になるのが夢で脚本制作や映像編集などのノウハウもあるが、学校の成績が低迷し始めたため父親からうるさく勉強するように言われている。
ちほとの偶然の出会いから連絡をとる仲になり、泣いて頼み込む形で告白し交際し始める。イチャつきまくる一方、ETEの謎について独自に調べようとする。
パピコ
ヒロインにして主人公その2。本名はちほ・ヨハンソン。スウェーデン人の父と日本人の母を持つハーフのAV女優。
Jカップの爆乳を持つ絶世の美女。飲酒喫煙もしており本人曰く24歳。零とセックスしていることがバレると未成年者との淫行で逮捕されると自虐しており、案の定バレた時には大騒ぎになった。
若くして父を飛行機事故で失ったショックでパニック症候群を患っており、愛着心が強い。
ランドセルの男から託された装置により、自らの体の大きさを一定時間変化させることができる。
ランドセルの男
岩神町で度々目撃されている、ブリーフにピチピチTシャツ、ヘルメットにランドセルという異常な風体でうろつく謎の男。
ちほの眼前で車にはねられ、保有していた装置を彼女の手首に埋め込んで人形になってしまう。
実は未来人であり、1枚の光ディスクに168時間もの記録映像を残していた。本名は長嶋で階級は大佐。
竜二
ちほと付き合っていた男。パチンコ好きのダメ男で気が短い。
ちほの家に居た零に暴力を振るったため巨大化したちほに制止され、逃げ出してしまう。
中島
零の所属する映画部にいる親友。零と同じくらい映画好き。ETEに関して零と議論している。俗っぽいが、根は正直で友情を重んじる男。
未来人
3巻から登場する、未来からやってきた軍人たち。ランドセルの男=長嶋大佐を追ってタイムスリップしてきたが、手違いにより長嶋が事故に遭った後の時空に来てしまった。いずれも長嶋同様の格好をしており、現代の常識に疎い。
サタン
ETEの予言に沿って現れる謎の存在の総称。
- 破壊神:身長240mを超える人間型の怪物。体に継ぎ目があり、内部は空洞になっている。
- 巨人:身長10mほどの巨人。外見は人間そっくりで衣服も着ており、言語も解する。しかし性格は残虐で、人間を追い回し甚振り殺す。防御力は大したことが無く対人兵器でも食らい続ければ死亡するが、数が非常に多い。
- 巨大ロボット:40mほどのサイズ。全身に無数のキャノン砲を装備。
- アメリカのサタン:所謂悪魔のような姿をしている。破壊神の上位種のようで、姿を見ただけで常人は絶望してしまうほど恐ろしい。核兵器も通用しない。
ETE(Enjoy The End)
作中最大の謎とされているWEBサイト。小中学生に人気があるという噂がある。
「世紀末予告」を実行すると言われており、出鱈目な内容の投票を行うことで、1位になった嘘を現実にしてしまう。作り出される「投票結果」はイミテーションであり、例えば「新宿をイケメン俳優が全裸で走る」という内容が1位になったケースでは、該当する俳優にはアリバイがあり、走っていた全裸男は全くの偽物だった。
ネット上では死者すら出すという危険極まりない特質上、ヘイトの対象になっているが、政府やマスコミでも出所を掴めずにいる。そもそも、投票しているのが本当に日本の子供たちなのかどうかすら定かではなく、その正体は謎に包まれている。
そして遂に「破壊神が降臨、東京の人口が100万に」という嘘が1位になってしまう。
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