概要
奥浩哉による漫画『GIGANT』のヒロイン。源氏名のパピコ名で呼ばれることが多いが、同名の菓子との混同のため一応こちらで立項する(作中でもネタにされている)。
スウェーデン人の父と日本人の母を持つハーフで、Jカップの爆乳を持つ美女。幼い頃に広末涼子に憧れて以来ピンク髪をショートにしている。左目の下と左乳房に黒子がある。
職業はグラビアもやってるAV女優で、デビュー当初は「斎藤アリス」を名乗っていた。本人曰く「そんなに売れてない」らしい(零の友人の中島も知らなかった)。
若くして大工だった父を亡くし、兄と弟(前後は不明でちほ含め4人兄妹)、未亡人となった母の生計を一人で担っている。出身は関西地方以西と思われ、たまに方言が出る。
作中で飲酒・喫煙している描写があり、年齢は自己申告で24歳。そのため高校生である零と付き合っていることがばれたら逮捕されると言っており、零の母からは「犯罪だってわかってるよね?」とドン引きされていた。(実際、後述のスキャンダル露見の際にも30億円の経済的損失が発生しており、一応救国の英雄だからということで腫れ物に触るような扱いを受けていた)
来歴
横山田零の住む岩神町のマンションで暮らしており、零がパピコを中傷するビラを剥がしていたのを見たのをきっかけに交流を深める。部屋ではコーギー(犬)の「もち」を飼っている。
竜二というパチンコ狂のDV野郎と付き合っていたが、自宅に上がっていた零に暴行を加えたのを見て、やむを得ず巨大化して止めに入ったせいで振られてしまう。それ以降は、零がガチ泣きするほど頼み込んだ末に、本人もまんざらでもなかったので恋人同士となる。
付き合い始めてからは溺愛といっても過言ではないほどイチャついており、零とその両親が六本木で「破壊神」の襲撃を受けて音信不通になった際には泣き崩れて発作を起こすほど錯乱していた。
ETEの作り出した「破壊神」を討伐した際に膨大な死傷者を出したことで警察に逮捕され、第一審で内乱罪(死刑か無期懲役しかない非常に重い罪)により死刑判決が出るという窮地に立たされる。しかし相次ぐ巨人襲来、新宿へのロボット兵器によるテロ行為、更には破壊神の第二陣が出現したことにより、一時的に自衛隊に身元が引き渡され出所。巨大化して三体の破壊神を撃破し、一躍英雄となった。
その功績により拘留が解かれ、不起訴処分となり零と再会。金銭的・心理的にも余裕が生まれたためAV業界から退職を考え始めるようになる。
やがてその美貌と屈託ない性格ゆえに男女問わず慕われるようになったパピコは国民的アイドルとなり巨万の富と地位を得る。しかし、それでも彼女の心は零への深い思慕で満ちており、零もまた映画監督になる夢を現実にするため、パピコが主演の映画を撮れたら結婚して欲しいと告げ、パピコも快諾。それはそれは楽しい日々を送っていた。
…しかし、当然ながらそんな超有名人に浮いた噂があればネット社会で話題にならないわけがない。零との逢瀬はマスコミにすっぱ抜かれてしまい、未成年(しかも18歳未満)との恋愛が表沙汰になった事で、一大スキャンダルとなる。パピコは零を社会的に保護する為に絶縁を申し渡し、二人の仲は織姫と彦星の如く引き裂かれた。
そんな中、パピコはETEの作り出す「サタン」を追う未来人たちと遭遇。差し当たって彼らを匿う中、ETEの正体を知る事となり、サタンを滅ぼすべく未来人たちと特訓を行う。
そしてニューヨークから最強のサタンが迫る中、彼女の胎に零の魂が宿っている事が判明する…。
人物像
性格は明るく商売上の「作り」がほとんど無く(本人曰くHも割と好きでやらされていたわけではないらしい)、ともすれば天然とも取れる行動を見せる。
しかしその一方で最愛の父を飛行機事故で亡くしたトラウマからパニック障害を発病しており、食事の後に服薬している。無我夢中で破壊神を討伐した最、莫大な犠牲者を出してしまったことをTVニュースで知った折には嘔吐して泣き崩れている。
その過去故か大事な人との別離を恐れており、零との関係に躊躇していたのも、竜二のように出て行ってしまうことを恐れたからというのが一因となっている。そんな性格のため、零のようにガチで告白して恋人同士になったことは無かった、と語っている。
小さい頃好きだった番組はウルトラマン。
能力
謎の未来人・長嶋から小型の円盤型の装置を右手首に埋め込まれたことにより、自らの体を巨大化させる能力を得る。円盤装置はタッチパネル式になっていて、右に回すことで巨大化、左に回すことで縮小される(元の身長より小さくなることはできない模様)。服は大きくならないのでデビルマンのように破れてしまう。
竜二の思い付きでAVの企画に使用したほか、付き合い始めた零をその大きな体で抱きしめるなど基本エロいことにしか使っていなかったが、破壊神の襲来により200mを超える巨体に変身、見事これを打ち倒した。
格闘技などの経験は無く、戦闘経験は素人同然で破壊神とのタイマンでも終始劣勢であったが、体を縮小できる能力を活かし、破壊神の体内に潜り込んで巨大化する戦法で勝利。
以降も三大破壊神襲撃の際には縮小能力を使って攻撃を回避したりと、徐々に能力を使いこなしていっている。
未来人との特訓後は、円盤装置の能力を使いこなし、バリアや飛行、破壊光線などが使えるようになるなど、順当にウルトラマン化している。
最強最悪のサタンとの最終決戦時には、ダイヤルを限界まで回すことで短時間ながら700mを超える超巨体となり、サタンに引導を渡した。
余談
表紙や第1話でユニクロっぽいロゴの入ったTシャツを愛用しているが、作者奥浩哉の前作『GANTZ』『いぬやしき』のロゴが入った服を着ている事も多い。
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以下、最終巻ネタバレ注意
塩沢、鬼頭両名の命と引き換えに、パピコ・桃乃木・ヘフナーの三名はサタンを全滅させることに成功した。しかしその直後、サタンを作り出したETEの黒幕たるAIに攫われてしまう。
「人類は利己的な下劣な生物」と嘲笑するAIはパピコの「愛」を理解できず、それを手にしたいために生き残った3人を攫ったのだという。
だが、パピコたちがAIを説き伏せようとしている最中、黒幕の人工衛星を補足したアメリカ軍は核ミサイルを発射。人工衛星は爆発に巻き込まれ、3人はMIA(作戦行動中行方不明)となってしまう。
深い喪失から全てを諦め自暴自棄になっていた零だったが、行方不明になっていたパピコの愛犬もちが突然眼前に現れた事で、もちが飲み込んでいた小型タイムマシンを獲得。残されていた光ディスクから、長島が本来行おうとしていた「過去改変」の計画を知った零は、中島より少し前の時間にタイムスリップし、本来失敗するはずだった第1段階を成功させた…。
過去が変わったことで、AIは暴走しなくなった。
こうしてETEは歴史から抹消され、パピコは一介のAV女優に戻る。勿論、本来の歴史を知る者は零以外に誰もいない。
…はずだったのだが、歴史の修復力の影響か、あるいはバタフライ効果的なものなのか、パピコは演劇の道を志すことになった。
まだ「単なるファン」に過ぎない零は、映画監督になるという夢をかなえ、その主演にまだ一介のセクシータレント扱いだったパピコを推薦。
その映画は、世界で零だけの知る、強大な敵と戦う一人の女性の話であった。
あまりの完成度の高さに、「監督って私のストーカーか何かですか?」などと軽口を叩くパピコ。だが、撮影を続けていくうちに、なぜか既視感を覚えていく。
そしてクライマックスで、自らの胎に手を当てた時…パピコは、全て思い出した。自分が本来辿るはずだった運命を、そしてそこで紡いだ愛と、その結実を…。
いつかの「未来」で、無事に再開した長島班。
それに連綿とつながる、21世紀の「今」。
零とちほは、小さな手を引いて、明日へと歩いていく。