概要
ソニー・コンピュータエンタテインメントより2000年に発売された家庭用ゲーム機。「プレイステーション」の後継機であり、上位互換機。略称PS2、プレステ2。
20世紀最後の家庭用ゲーム機でもある。
本体の縦置きと横置きの両方に対応した初のゲーム機。
当時はまだ珍しかったDVD-Video再生機能を標準で搭載している。
当時の専用DVDプレイヤーより安かったこともあり、DVDを一般に浸透させるのに多大な貢献をした。
売上面に関しては先行していたセガのドリームキャストを瞬く間に抜き去り、国内販売台数約2200万台、全世界累計販売台数は約1億5700万台を記録し第六世代据え置きゲーム機のトップシェアハードとなった。
後継のプレイステーション3が発売されてからも長い間、ヨーロッパや新興国ではPS2が売れ続けていた。
また現行のPS3がPS2との互換を持たないことから、日本でもPS2の発売は続いていたが、2012年12月に新品出荷を終了。海外でも完全に製造が終了している。
本体について
CPU | Emotion Engine 128bit | 通称「EE」。MIPS R5900ベース |
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GPU | Graphics Synthesizer | 通称「GS」。VRAM4MB内蔵 |
メインメモリ | Direct RDRAM 32MB | 転送速度3.2GB/s |
ビデオメモリ | eDRAM 4MB | GSに内蔵。転送速度48GB/s |
メディア | DVD-ROM/CD-ROM | 基本はDVDを採用 |
i/oプロセッサ | MIPS R3000カスタム | 初代PSのCPUを流用しており、互換機能にも使用される。 |
128bitのCPUや48GB/sの転送スピードをもつVRAMと当時としては破格の性能を誇るパーツが揃っている。
128bitと言えばドリームキャストのCPUも「32bitCPU×4つの演算レーン」で128bitとしていたものの、PS2のCPUは内部のデータバスが全て128bit一本で接続されている正真正銘の128bitプロセッサである。
このプロセッサのお陰で当時としては高度な物理演算が可能になり、爆発などで飛び散るオブジェクトの破片一つ一つの動きも細やかに再現することが出来るようになっている。
VRAMについては4MBと少な目だが、高速な転送速度を活かしてメモリ帯域を食らいがちな半透明エフェクトを大量に生成するという技法が開発メーカーの間で盛んに行われた。
ポリゴンの描画能力自体は当時の他の競合機種に比べて控えめだが、この技法を活用することで一部のマルチソフトではゲームキューブを上回るグラフィックを実現したソフトも存在する。(例:『Need for Speed』シリーズの車の反射など。プロセッサ等の基本性能はゲームキューブの方が高いがVRAMの転送速度はPS2の方が速く、半透明処理ではゲームキューブと互角かそれ以上のパフォーマンスを発揮していた。)
プレイステーションの上位互換のため、プレイステーションのゲームもプレイできる。
プレイステーション用メモリーカードのアクセスも可能である。
ただしPS用ゲームはPS2用メモリーカードへのアクセスはできない為、セーブにはPS用メモリカードが必要。
PS2用メモリーカード(容量8MB)にPSソフトのデータを移し、データバンクとしての使用も出来る。セーブデータの容量表示もブロック単位からキロバイト単位に変更された。
メディアの裏面はDVD-ROMは通常のDVDと同じ色だが、CD-ROMは青色になっている。
ネットワーク接続機能として「BB Unit」という周辺機器が存在する。
これはネットワークカードとHDD(40GB)のセットとなったものであり、「BB Navigator」という専用ナビゲーションソフトをインストールして使用するものであった。
もっとも、専用オンラインサービスであるPlayStation BBは試験的サービスの色が強く、BB Unitを使用するソフトはあまり多くない。
現在はPlayStation BBはサービスが終了しているため、対応ソフトを使用することはできない(エースコンバット04のようにHDDユニットのみを使用してアクセスを高速化・セーブ領域として使用しているソフトではHDDユニットのみ利用可能。PlayOnlineを使用するFF11など、別サービスを使用するソフトに限り使用可能だったがPS2版のサービスは既に終了している)。
後期版本体(SCPH-70000以降)はネットワークインタフェースは標準搭載となったが、代わりにHDDユニットを接続するコネクタが省略されており、前出のBB Navigatorも使用できない。
旧世代機であるプレイステーションと同様に頻繁に改良が行われており、初期のSCPH-10000系と最終型のSCPH-90000系とでは内部構成など様々な部分が異なっている。
そのため、本体の種類により互換性の問題が発生しており、一部のゲームソフトでは音飛びやロード時間が非常に長くなる、ゲーム進行が停止するなどのトラブルが発生している。
代表的なソフト
備考・余談
- 後期版本体は構造の都合上、ピックアップレンズ部分のフレキケーブル(オレンジのリボンのような部品)が何らかの不具合で回転中のディスクに触れる可能性があり、それが原因でディスクに円周状の傷が付いてしまう事例があった。
- かつての3DOやAtari Jaguarの事例から当時は「本体が黒のハードは売れない」というジンクスが付きまとっていたが、PS2はそうしたジンクスを打ち破るが如く全世界でおよそ1億5700万台を売り上げ、売れないどころか「世界一売れたゲーム機」となった。
- 規格外のディスクを入れるとエラー画面が表示されるのだがそのエラー画面というのが不気味なSEと共に赤黒い画面が表示されて『PlayStationまたはPlayStation 2規格のディスクではありません』とメッセージが表示されるというもので、人によっては恐怖を感じるものになっている。
- ちなみにゲームキューブのディスクやブルーレイディスクなど物理的に読み込めないディスクはブラウザ画面に「ディスクの読み込みに失敗しました」との文字が出るだけである。
- 発売当時はその性能の高さと、比較的手頃な価格や本体サイズ故に「兵器転用の恐れがある」とされ、外国為替および外国貿易法上の『通常兵器関連汎用品』に指定されて輸出規制がかけられた事がある。
関連タグ
プレイステーション プレイステーション3 プレイステーション4