概要
神戸電鉄とは、阪急電鉄をはじめとする阪急阪神ホールディングスの傘下にある民営鉄道会社である。
路線の全区間が兵庫県に属する。
かつては準大手私鉄に分類されていたが、2005年以降は中小私鉄となる。
路線の大部分が神戸市内を通っており、一部三田市,小野市,三木市も通る。そのため、神戸市北部の通勤路線としての性格も持つ。
略称は「神鉄(しんてつ)」。「神鉄六甲」駅などがあることから、「神鉄」の読み方は公式と分かる。ホームページのアドレスもshintetsuになっている。
またかつては神戸有馬電気鉄道という社名であったことから、「神有(しんゆう)」や「神有電車」と呼ばれていた。
路線・施設
路線
運転系統に関しては、主に
- 新開地-湊川-鈴蘭台-有馬口-横山-三田
- 新開地-湊川-鈴蘭台-粟生
- ウッディタウン中央-横山-三田
- 有馬口-有馬温泉
の4系統で運転される。(ただし区間列車もある。)
また、朝夕のラッシュ時の一部列車は
- 新開地-湊川-鈴蘭台-有馬口-有馬温泉
と、有馬温泉直通列車が運転される。
また、有馬温泉への行楽客が増える秋ごろは臨時直通列車が運転されることがある。
施設
車庫
- 鈴蘭台車両基地(鈴蘭台車庫・車両工場)(鈴蘭台駅に隣接)
- 見津車庫(木津-木幡間、見津信号所に隣接)
- 第3車庫(道場南口駅に隣接)
他社管理駅
谷上駅は北神急行電鉄の、新開地駅は阪神電気鉄道の、粟生駅はJR西日本の管理駅。
沿線の特徴
急勾配、急カーブ、通勤路線。
神戸電鉄は六甲山地を通るため、50‰(パーミル)もの急勾配が存在する。
普通の路線では25‰の坂でも急な勾配とされ、法律で35‰以上の勾配は特例を除き建設してはいけないこととされている、といえばどれほどの勾配かおわかりだろう。
また、山あいをぬって走るため、急カーブが多数あり、4両編成にもかかわらず前の車両から後の車両が見えるほどである。
また、神戸電鉄は有馬温泉と神戸市中心部を結ぶために建設されたが、神戸市の中心部へつながっている利便性から住宅地が造成され、通勤需要が高くなった。そのためラッシュ時間帯は多くの上り列車が運転される。
鈴蘭台駅では2016年5月21日現在で7時台に19本もの列車が発車し、50‰もの急勾配を越えて新開地へと向かうのだ。
変化に富んだ景色
湊川~鈴蘭台間は、六甲山系の西側をぐるりと回りこむようにして通る。また、鈴蘭台-有馬温泉間や有馬口-五社間は六甲山の北側を通り、鈴蘭台-木津間も山地を通過するため、それらの区間は特に勾配が激しく、長い距離の急なアップダウンが連続する。にも関わらず、途中に駅が複数ある。三田や粟生に近づくにつれ比較的勾配が穏やかな区間が多くなり、のどかな田園風景が見られるようになる。
途中、休止中の菊水山駅のあたりは携帯電話の電波が通じなかったり、鈴蘭台から先は単線区間があったりと本当にここは政令指定都市の神戸市内なのかと疑うような光景が見られる場所もある。
車両
50‰の勾配が連続する関係で、全車両が強力なブレーキシステムを搭載している。また、電動車の比率が高い。起動加速度も3.0km/hと阪神電車の赤胴車と同等。歯車比は阪神ジェットカー5700系が5.77である所、神戸電鉄は驚きの7.07!
ちなみに新しい車両を製造することを阪急電鉄と同様「建造」と表現する。
また、慣例が存在し、車体と台車は川崎重工業製で、制御装置は三菱電機製。1000系列を除けば、神鉄の所有するほとんどの車両は非貫通型で、前面に二枚の窓を付けているという共通点もある。
昼間は全車両全列車がワンマン運転の3両編成か4両編成である。ただし、神鉄の場合は都市型ワンマンと呼ばれる形態で、駅員がいるのに車掌がいなかったりする。
車両一覧
現役車両
- 1000系列:現在はデ1070形、1100系、1300系、1500系が在籍。
- 3000系:カラーリングから、通称「ウルトラマン電車」。
- 2000系:公園都市線開業時に導入された電車。
- 5000系:2000系と車体はほぼ同じで、制御方式をVVVFインバータ制御に変更。
- 6000系・6500系:最新鋭。車内に液晶ディスプレイを設置している。
その他保線用にモーターカーと入替用モーターカーを保有する。
退役車両
旅客車
- 上記以外の1000系列(デ1000形、デ1050形、デ1300形)
- 800系・810系
- 300系
- ク151形
- ク141形(展望客車テン1より改造)
- ク131形
- デ211形
- デ201形
- デ101形
- デニ11形
- デ1形(開業当時の旅客車両)
事業用車・貨車
- デヤ710形(電動貨車)
- クホ・サホ710形(貨車。クホは制御貨車)
- 700形(電気機関車。1990年にED2001から改称)
- デト1001(開業当時の電動貨車)
- トム521形
- トム621形
- ト501形
- ワフ601形
- ワフ611形
- ワム621形
- チ701
- チ711
種別
特快速
朝ラッシュ時に三田発新開地行きの2本(土休日は1本)のみ運転される。この列車が神鉄最速。
なぜ「特別快速」でも無く「特快」でも無く特快速という名称なのか。神鉄の謎である。ちなみに、特快速を英語にすると「SPECIAL RAPID EXP.」つまり特別快速急行という意味になる。また、快速を英語にすると「Rapid Exp.」となり、快速急行の意味となる。
「特別快速急行」はヤッターマン(昭和版)47話「家あり子」の劇中で架空の有料種別として登場しており、(英語表示だけで見れば)約18年の歳月を経て時代が追いついた(現実のものとなった)といえよう。
快速
朝ラッシュ時の粟生・小野発新開地行と、夕ラッシュ時の新開地発粟生行列車のみ存在する。
特快速とは異なり、下り列車も存在するが、土休日ダイヤでは運転されない。
粟生線では昔の急行停車駅を継承した種別で、現在の急行停車駅である木幡と栄には停車しない。
また、昔は三田線でも設定があり、急行停車駅の大池・唐櫃台を通過していた。
神戸電鉄では快速と急行を比べると快速のほうが上位種別である。
急行
三田・粟生-新開地間で運転される。
準急を除けば最も運転本数の多い優等種別で、上記の2種別とは違い、粟生線では日中にも志染行と粟生行が1時間に1本ずつ運転されていたが、減便で準急又は普通に格下げされる形で廃止された。
また、急行は木幡以西は各駅停車となり、日中は普通や準急は志染で折り返すため、それより先は普通電車のかわりとしての役目を担っている。
準急
普通列車のうち、丸山と鵯越に止まらない種別。
公園都市線を除いた各線で運転されている。(ただし志染以西と有馬口-有馬温泉間は一部時間帯のみ)
本来は普通列車で運転されるようなものだが、鈴蘭台より南側は有馬線の列車と三田線の列車が合流して本数が多くなるため、需要の少ない2駅を通過させるようにした列車である。
有馬線の列車が準急などの時は粟生線が普通列車に、粟生線が準急の時は有馬線が普通列車になり、通過される2駅でも1時間に4本の列車本数が確保される。
普通
日中の志染-粟生間を除いて終日各線で運転される。
言うまでもなく各駅に停車する列車。と言いたいところだが、2005年3月まではそうではなかった。
なぜなら菊水山駅には停車しない列車があったからだ。
前述のとおり菊水山駅近辺では携帯電話がつながらないくらいの秘境であり、あるのは山と谷と川とダムと下水処理施設ぐらいのもので、ハイキング客ぐらいにしか需要がなかった。
そのため、菊水山駅停車列車は鈴蘭台駅・西鈴蘭台駅を始発または終着駅とする列車を中心にごく僅かしか停車しなかった。後に有馬温泉駅・押部谷駅発着の一部にも菊水山駅停車列車が設定された。
そもそも鈴蘭台や西鈴蘭台を始発/終着とする列車は少なく、新開地行きは日中5時間以上列車が来ない時間帯もあった。
その菊水山駅を通過する普通列車は「菊水山にはとまりません。」と車内放送や駅の電光掲示板に掲載されていた。
その菊水山駅も2005年3月25日のダイヤ改正と共に休止駅(2018年正式に廃止)となり、全列車が通過するようになった。
また、1975年に休止となり、後に廃止された新有馬駅も末期は1日1往復しか列車が停車しなかった。
神鉄まめちしき
「のぼり」なのに「くだり」
列車は新開地を出るとグイグイ坂を登っていく。そして新開地へ行くときはどんどん坂を下っていく。しかし、起点の駅が新開地(湊川)であるため、坂を登る列車が下り列車、坂を下る列車が上り列車とちぐはぐになってしまっている。
ただし日本ではJRなどは平地の東京から各地方に向かうのを下りとする都合、それほど珍しい例ではなく、たとえば北陸新幹線は東京方面から碓氷峠を登って軽井沢に行く方が下りである(他には奥羽本線の板谷峠なども。下りる方が下りの例としては山陽本線の瀬野八など)。
止まる時の音
神鉄は勾配がきついので、いざというときに確実に止まれるように高い減速性を持つ素材をブレーキシュー(ブレーキパッド)に用いている。その素材が鋳鉄であるので、神鉄の電車が止まるときは旧型車も最新型もみんな「キキーッ」という金属音を鳴らして止まるのだ。
珍(?)駅名
全国の松岡修造ファン必見の駅である。修造チックな名前の駅が、粟生線にある。
その駅名は、「志染(しじみ)駅」
また、志染で折り返す列車も多く、志染行列車も日常的に見ることができる。
たぶんそこだけ気温は年中-10℃(?)
「俺だってこの-10℃の街の中、住民がトゥルルって頑張ってんだよ!!」
って言うのはウソ。