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ケータイ小説の編集履歴

2020-04-10 14:56:25 バージョン

ケータイ小説

けーたいしょうせつ

携帯電話向けサイトで公開されるWeb小説。2000年代に流行った。

概要

2000年代に流行したWeb小説の一ジャンル。単に『携帯端末上で閲覧可能』であるだけではケータイ小説とは呼ばれず携帯電話の中でも特にフィーチャーホン(ガラケー)での閲覧を前提としたもののみを指す。十代女子を対象とした作品が多かった。

ブーム到来を前後してスターツ出版らが専用レーベルを立ち上げ、雨後の筍のように書籍化が相次いだ。


特徴

携帯電話の狭い横書きの画面での閲覧を前提としているため一文一文が短い、読者のレスポンスを受けながら執筆されるため次々と衝撃的な事件が起こり展開が早い(=超展開などの特徴がある。


web投稿小説の側面をもつがゆえに作者の多くは無名の人物(つまり実力はバラバラ)であり編集の目の無い創作物が大本という性質上、基本的な文法に難が見られる、漢字変換の少なさ、文芸作品であるにも関わらず絵文字が多様されている、ストーリーや登場人物の言動との因果関係の描写が希薄orスルーされているといった指摘がブーム最盛期からされていた。

※これらの部分は櫻井翔主演の『ザ・クイズショウ』や久米田康治の漫画『さよなら絶望先生』等でもネタにされた。


内容は、主に性描写の多い恋愛小説ティーンズラブ(TL)との共通点が多いが、ギャル系の作者の実体験をもとにしているとの触れ込みの作品が多く、現今のTLとはややズレがあった。2000年から公開されたYoshiの『Deep Love』がこのジャンルの元祖と言われる。SNSの普及に押されたこととギャル文化自体の衰退により、ジャンルの集大成ともいうべき恋空メディアミックスされ出した2008年前後にブームは沈静化。スマートフォンの普及後はWeb小説一般に吸収され、スマホ小説TL小説に移行している。


評価

読む人を選ぶの一言に尽きる。

  • 当時の女子高生ら若年層の女性からは恋愛描写等を自身の体験や思慕に照らし合わせて共感できると話題を呼び、絶大な人気を博した。ライターの杉浦由美子は著書『ケータイ小説のリアル』にて「読んで元気を出すための自己啓発書のような消費をされた」と指摘した。
  • 反面、前述のように従来の小説作品においては最低限は是正されているべき問題点がお座なりになっている&倫理常識的に矛盾が生じている作品でも実体験という触れ込みで出版されたために辛口な批評家からは「偽史的想像力」等の揶揄をされた。
  • 正直なところ、真剣に創作を手掛けている界隈からも流行に関する考察・研究の対象にはされたものの骨太な構成・ストーリーを形作る素材には向かないと判断されていた節が結構ある。大場つぐみは自身の作品『バクマン。』第3話の中で(ケータイ小説と明言こそしていないが)そのテンプレの内容を恋愛や友情の他にセックスレイプ妊娠中絶不治の病とした上でその評価を「少女漫画」「(自主規制)恋愛小説」とした。
  • 恋愛小説な作品だけに目が行きがちなケータイ小説だが、『王様ゲーム(小説)』などパニック・ホラー系の作品もブームを引っ張った。一部には、これら当時の中高生をターゲットにした作品群の源流の一つにリアル鬼ごっこが上げられることがある。そして、これらの作品に付きまとった批評も同作と同じで・・・

何でブームになったのか

多くの当事者や批評家からは文章が砕けていて展開も早く、頭を使わず読めたから」と言われる。内田静枝が指摘しているように、若者の流行とは教科書的なお堅いものから外れて自由奔放な方向へと向かいやすい部分があるが、紙媒体の書籍という完成されたものではなくガラケーという当時の中高生を象徴するツールを介して展開される限られた世界観への新鮮さがブームの根底にあったのでは?とは今でも言われること。

ただし、感性が合致さえできればの話しだが。

このジャンル、戦前のポエムや戦後のマンガJ-POP、近年のライトノベル以上に構成や文章、世界観がかなり独特であるためにその文化面での意義が大きく問われることになった。

付け加えるならば、ガラケー専用の投稿サイトという限定された範囲を介してのブームという性質上「若者層全員が支持したわけではない」。そのため、その当時の中高生間でもケータイ小説に関する(ある種異様な)盛り上がりを奇異な目で見る向きも当然ながらあった。ブームのバックボーンがギャル系文化という‘規模の大きいマイノリティ’に依存していたことから、これらが時代の変遷と共に衰退していくのに合わせてケータイ小説も大きく後退を余儀なくされたのは必然ではあった。


影響

ケータイ小説が文化的な恒久性を得られなかったもう一つの原因は、商業文芸のレベルとしては著しくクオリティが低かったことも大きい。結果、大衆レベルで支持を得ることができなかった。


出版業界の功罪も大きく問われている。出版社および編集者には作品を構築するクリエイターはもちろんジャンル・レーベルそのものの成長と発展を支援していくという義務も生じるはずなのだが、同ジャンルの商業展開はどの出版社も明らかに利権狙いのイナゴ商法な側面が大きく、展開の速さこそ称賛できようが結局はその発展に寄与するどころかむしろ衰退を加速させた部分が少なからず見られる。

こうした傾向は、某指定暴力団より新文芸と命名された後代のなろう作品その他の商業化されたweb投稿小説群にも同様なものが見られ、一部出版社の節操の無さが非難されると同時に文芸界隈のアタリショックが危惧されはじめているのが現状である。




ケータイ小説の一覧


pixivでのケータイ小説

pixivでもこのタグが用いられた小説作品は存在するが、オリジナル小説であり、二次創作はほとんど事例がない。キーワード検索の場合は二次創作も出てくる。


ケータイ小説投稿サイト一覧


関連タグ

小説 WEB小説 携帯電話

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浜崎あゆみ…楽曲の歌詞が多くモチーフにされたと言われる。



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