概要
渡辺道明原作の漫画『ハーメルンのバイオリン弾き』は、「月刊少年ガンガン」で1991年4月号から2001年2月号まで連載された。全37巻。
また、続編『ハーメルンのバイオリン弾き~シェルクンチク~』が「ヤングガンガン」で2008年3号から2011年21号まで連載された。全7巻。
ドラマCDは全三巻。劇場版が1996年4月20日に「GWアニメフェスティバル'96」として公開されている(同時上映は「魔法陣グルグル」と「ロトの紋章」)。
現在、第1作の後日談にして『シェルクンチク』の前日談でもある、シリーズ最新作『続ハーメルンのバイオリン弾き~愛のボレロ~』がネット上で無料不定期連載中である。
原作漫画
月刊少年ガンガンの黎明期から連載開始。実に10年もの間(ただし10周年直前で完結したが)連載し続けてきた月刊少年誌でも稀に見る一大巨編(もっと長く続く月刊連載漫画は幾らでもあるが、それでも本作は長い方であり、しかもストーリーの破綻も見られない)。
元々は読み切り作品だったにもかかわらず、その人気ぶりから連載化して同誌の屋台骨を支え続け、少年ガンガンの伝説として語り継がれることになった。
「魔王を倒して世界を救う」という、冒険ファンタジーの王道を行きながらも、キャラ崩壊がデフォという強烈なギャグパートをシリアスなシーンの途中であっても躊躇いなく随所に盛り込み、更にそのアクの強さを吹き飛ばすほどに複雑な人間ドラマが展開される。
連載当初からこれはギャグ漫画なのかシリアス漫画なのか良くわからないと言われ続けたが、正解はその両方である。分かりやすく言うと、塩と砂糖を大量にぶっこんで味付けしたような作風。
たった一作で「ファンタジー・ギャグ・シリアス・熱血・友情・恋愛」を見事に演出しており、辛い試練を乗り越えた先のハッピーエンドやテーマである人間賛歌と相まって少年漫画の総決算ともいうべき作品に仕上がった。
また、実在のクラシック音楽を登場させ、登場人物・地名・アイテムの名前は楽器や楽譜記号などに由来し、さらに攻撃そのものも音楽(魔曲)。
さらに楽曲ごとに作者や作曲にまつわるエピソードを紹介するなど、近年のクラシックブームの先駆けというべき漫画でもある。
アニメ版
テレビアニメ版は1996年10月2日から1997年3月26日までテレビ東京系で放送された。全25話。
どういうわけか原作の特徴であるギャグパートが抹消され、陰鬱なダークファンタジーに変貌したことで話題となった作品。
ストーリーは原作とは丸っきり異なるオリジナル展開を見せ、徹頭徹尾シリアスなものとなっている。キャラクターたちの性格もかなり改変されており、全体的に暗く病んでいる感じが強調されている。
アニメ版のテーマは「人間賛歌に対する痛烈なアンチテーゼ」であり、笑いの要素など皆無な視聴者の心を抉る展開が連発する。結末もメリーバッドエンドどころじゃないほぼバッドエンド(むしろあの有名なセールスマン漫画に近い)。
当然ながら、原作ファンからは意見の分かれる作品となっている。
ただ、原作から離れた一つの作品として見てみると、高品質な鬱アニメとして蛇足なくちゃんと完結している作品でもあり、現在でも一定の評価は得ている。
ストーリー
パンドラという人間の女性がこの世のありとあらゆる厄災が封じられた「パンドラの箱」を開けてしまい、世界は箱から解放された魔族によって危機に晒され、いくつもの悲劇が起きていた。しかし、最後に箱の中に残されていたのは希望だった―――
辺境の勇者ハーメルはお供の喋るカラスオーボウと共に、大魔王ケストラーを倒すべく、最北の地である北の都を目指して旅をしていた。
途中、村娘のフルート、幼馴染兼親友で「愛の勇者」を自称するライエル、魔王軍に祖国を滅ぼされた少年王子トロン・ボーン、ハーメルの双子の妹で魔王軍の妖鳳王サイザーらが仲間に加わり、「五つの希望」と呼ばれ壮大な組曲を奏でていく。
登場人物
(※CVはドラマCD、劇場版・アニメ版の順に記載。)
ハーメル一行
スフォルツェンド公国
ダル・セーニョ王国
シュリンクス・ボーン(CV:松尾銀三)
グローリアー大帝国
スラー共和国
魔族
その他
劇場版主題歌
オープニングテーマ
「前を向いて歩こう」
作詞 - 森由里子 / 作曲 - 田中公平 / 編曲 - 山本健司 / 歌 - KUKO
エンディングテーマ
「雨のちハレルヤ~太陽に投げkiss~」
作詞 - 森由里子 / 作曲 - 田中公平 / 編曲 - 山本健司 / 歌 - 横山ホットシスターズ
アニメ版主題歌
オープニングテーマ
「MAGICAL:LABYRINTH//」 (第2話 - 第12話)
作詞・作曲 - 高見沢俊彦 / 編曲 - 上野圭一 / 歌 - Skirt
「未完成協奏曲」(第13話 - 第24話)
作詞 - 冬杜花代子 / 作曲・編曲 - 田中公平 / 歌 - 錦織健
エンディングテーマ
「傷だらけのツバサ」(第2話 - 第12話)
作詞 - 池谷ひろ氏 / 作曲・編曲 - 藤尾領 / 歌 - IKEBUKURO
「太陽と月に背いて」(第13話 - 第24話)
作詞・作曲 - 山口由子 / 編曲 - 中村修司 / 歌 - 山口由子