『勇者たちの物語と神話(マイソロジー)はすでに終わり、星を越えた御伽話(ジュブナイル)が始まろうとしていた──』
概要
遡ること10年弱、OVA『勇者王ガオガイガーFINAL』の制作途中。本来あるべきクライマックスを、規定話数内に納めきれないことを悟った米たにヨシトモ監督は、更なる続編展開の構想をスタートした。
それこそが、『勇者王ガオガイガー』と『ベターマン』、同一世界の2つの物語を締めくくる、この『覇界王~ガオガイガー対ベターマン~』である。
当初は勇者シリーズ最後の作品として、『勇者エクスカイザー』からなる歴代勇者総出演の舞台とするべく構想されていたのだが、さすがにこれだけの企画を勇気で押し切ることは困難を極めた。一度いいところまで行ったが、制作委託を予定していたアニメ会社が倒産して吹っ飛んだりもした(単行本あとがきより)。ちなみに大分構想拡大したためそのままというわけではないが、1クール『覇界王』全編、残り1クールで全勇者集合という2クールアニメの予定だったそうである。
そうして長い時が経ち、監督に思い浮かんだのは、「映像化が無理なら、小説化っていう手もあるんじゃね?」というワルダクミ。『ガオガイガー』『ベターマン』の二作に焦点を絞り、(偶然、大人の事情で無職状態だった)脚本担当の一人である竹田裕一郎による小説連載という形で、遂に日の目を見ることになった。
『勇者王ガオガイガーFINAL GRAND GLORIOUS GATHERING』の映像特典・プロジェクトZとしての先出しから、実に10年後の出来事である。
本作は『ガオガイガー』及び『ベターマン』で起きた、全ての出来事を網羅し、両作の人物が入り乱れて展開される完結編である。
舞台は『FINAL』から更に3年経過し、中学二年生となった護が、凱達と再会するために奔走。途中、木星の異変により救出計画が頓挫し更に6年経過、二十歳に突入したストーリーとなっている。GGGも組織再建され名称変更された。
メカニック設定には、『ガオガイガー』時点で採用が見送られた翔竜・ゴルディオンダブルハンマーの登場や、ガガガガウンの機構の再利用など、マニアックなネタが色々と盛り込まれている。
なお、本作ではゴルディーマーグがシルバリオンハンマーを経験したと発言。本来、シルバリオンハンマーが登場したPSソフト「BLOCKADED NUMBERS」Number.43.2「金の牙・銀の爪」はレインボープレッシャールートがトゥルーエンディングであり『FINAL』での正史が確定したのだが、本作がシルバリオンハンマールートの世界観なのか、レインボープレッシャールートを進みつつもシルバリオンハンマーを経験した世界観なのかは今のところ不明瞭である。
17年2月1日で第一部が完結。同時に単行本化が決定。戒道が主役挿話の加筆も加えている。
第二部以降は3月から不定期で更新され、2021年3月17日に勇者たちと夢人たちの御伽噺は堂々の完結となった。
最終巻となる3巻は2021年9月29日発売。書き下ろしパートではついにあの場面が描かれた。
登場人物
※CVについてはベターマンBlu-rayBOXと覇界王コミック単行本特典の覇界王ドラマCDの出演者及びスパロボ30に出演した声優のみ記述する。
GGGブルー(ガッツィ・グローバル・ガード)
※FINALからのライブラリー音声。
- 楊龍里(ヤン・ロンリー)
- 鷲ノ宮・ポーヴル・カムイ
- タマラ・ゴーゴリ
- アーチン・プリックル
- 菊帆エイル
- 犬吠埼実
- 野崎通
- 平田昭子
- アンジェリカ・アネモネ・阿嘉松
(通称ドクトル・アー、阿嘉松滋の別居中の妻、紗孔羅の母親。)
GGGブルー機動部隊
- 覚醒人V2
(元々国連直属の研究組織<NEO>が所持していた物をベターマン・デウスの指示でケイ、チャンディー、牛山三男が強奪。その後蛍汰に譲渡された。)
GGGブルー諜報部
- ポルコート
- ガンシェパー
- ガンホーク
木星圏監視衛星
GGGグリーン(ガッツィ・ギャラクシィ・ガード)
- 獅子王雷牙
- 八木沼範行
GGGグリーン機動部隊
GGGグリーン諜報部
GGG統括長官
GGG協力者
- ソルダートJ CV:真殿光昭
- ルネ・カーディフ・獅子王 CV:かかずゆみ
国連
- ハート・クローバー
- 磯貝桜
宇宙開発公団
御殿山科学センター
- 高之橋良輔
- ドクター・タナトス
- タコ獣人 CV:※-mai-
デウス一派
一般人
・護の家族
- 天海愛
・元少年GGG隊メンバー
- 数納鷹泰
- 狐森レイコ
・ヴァルナー関係者
- (旧姓)風祭スミレ
・外伝小説「赤き翼の天使」に登場したオーストラリアでの戒道幾巳の関係者
- 覇界王
- ゼロロボ
- 覇界王ジェネシック
- 覇界王キングジェイダー
・勝利の鍵
新たなる脅威"覇界王"
木星より出現した謎の存在。ザ・パワーが超巨大なジェネシックガオガイガーの姿をとっているような外見をしている。
その正体はトリプルゼロとも呼ばれる超エネルギー体に取り込まれたジェネシックガオガイガーのなれの果て。通称『覇界王ジェネシック』。
出現当初に確認されている姿はソムニウム達から『暁の霊気』といわれるトリプルゼロによる幻影のようなもので、本体はトリプルゼロを纏っている以外ジェネシックガオガイガーと同一機。
宇宙の卵とも宇宙の墓場とも呼ばれる「オレンジサイト」の中にいたガッツィ・ギャラクシー・ガードの隊員達はオレンジサイトからの脱出中に凱以外の隊員がトリプルゼロに取り込まれ、覇界の眷属になってしまう。
そしてキングジェイダーもトリプルゼロに取り込まれ、新たなる覇界王となってしまい、覇界将となった幻竜神・強龍神と共に次元の変革を実行する。
メディアミックス
2018年 9月25日より藤沢真行氏の手でwebコミックが連載開始されることが矢立文庫にて発表された。月刊ホビージャパンでもミニコーナーコラムが連載中。
外部作品への出演としては、2021年10月28日発売の「スーパーロボット大戦30」への参戦が決定(既にPV登場で参戦が決まっていたガオガイガーFINALは覇界王がメインとなるため機体だけ参戦が確定)。大人になった戒道幾巳のボイスも、今作にて初収録されることとなった。
本作リリース時点では、漫画版未完結・未アニメ化という状態での参戦となるため、米たに監督らアニメスタッフの面々が、漫画に登場していないロボットのコンテを切るなど、戦闘アニメーション制作に協力している。また漫画版作者の藤沢氏も「キャラ絵やほか、アレやこれやでスパロボ30参戦しております」とのこと。
関連タグ
勇者王ガオガイガー外伝-獅子の女王-
勇者王ガオガイガーFINALGGG(本作の足がかりとなった、『ガオガイガーFINAL』の再編集作品)
黙示録の獣:公式には明言こそされていないもののジェネシックガオガイガーのモチーフであると考察するファンも以前より存在している。
覇界王となったジェネシックガオガイガーの描写は、
- 木星にワームホールを開くため作り出した自身を模した巨大な力場=(「天に現れた。見よ、火のように赤い大きな竜」)
- 覇界の王=(「その頭に七つの冠をかぶっていた」)
- トリプルゼロの力を受け覇界の眷属となった勇者ロボ達を従える様=「竜はこの獣に、自分の力と王座と大きな権威とを与えた」
など、『ヨハネの黙示録』十二章および十三章に記される
「また、もう一つのしるしが天に現れた。見よ、火のように赤い大きな竜である。これには七つの頭と十本の角があって、その頭に七つの冠をかぶっていた(新共同訳12:3)」
「わたしはまた、一匹の獣が海の中から上って来るのを見た。これには十本の角と七つの頭があった。それらの角には十本の王冠があり、頭には神を冒涜するさまざまな名が記されていた。わたしが見たこの獣は、豹に似ており、足は熊の足のようで、口は獅子の口のようであった。竜はこの獣に、自分の力と王座と大きな権威とを与えた(新共同訳13:1-2)」
「わたしはまた、もう一匹の獣が地中から上って来るのを見た。この獣は、子羊の角に似た二本の角があって、竜のようにものを言っていた。この獣は、先の獣が持っていたすべての権力をその獣の前で振るい、地とそこに住む人々に、致命的な傷が治ったあの先の獣を拝ませた。(新共同訳13:11-12)」
という「赤い竜」の描写に通ずるものがある。
外部リンク
矢立文庫(掲載サイト)
覇界王~ガオガイガー対ベターマン~ the COMIC(コミック版掲載サイト)
実は………(ネタバレ注意)
劇中GGG隊員を含む数名がベターマンの根幹に関わる奇病、アルジャーノンを発症しており、その殆どが死亡、その顔面にはソムニウム変身態の起爆剤となるアニムスの花を咲かせていた。
アルジャーノン発症者(括弧内はアニムスの実の種類)
- ドクター・タナトス(ソキウスの実):ジェネシックガオガイガーに酷似した擬似ゾンダーロボとなり襲撃をかけガオガイゴーとの戦闘により撃破されるが、アルジャーノンを発症していたことにより浄解されても狂人化状態で護に襲い掛かるが、ラミアにより拉致。
GGGブルー(ガッツィ・グローバル・ガード)
- 菊帆エイル(フォルテの実):食堂の<食材合成くん26皿>に細工を施し隊員達の味覚に対して大きなダメージを与えオービットベースを混乱に陥れるが『ソキウスの路』を使ってオービットベースに侵入したベターマン・ライによって捕縛され拉致。このとき菊帆から生えたアニムスの花から採取されたフォルテの実はラミアが羅漢との闘いで使用する。
- 鷲ノ宮・ポーヴル・カムイ(フォルテの実):アルジャーノン発症により原種との木星決戦で兄の命をGGGによって奪われた恨みを増大させ、皮肉にも覇界の眷属となったGGGグリーンに内通することとなり、GGGの設備やポルコートやガンマシンのAIなどに細工を施し妨害を行うが、護によるGストーンのアジャスト(TVシリーズで行ったGストーンの活性化ではなく出力低下)により操られた者は弱体化し、最後の止めとして超能力でハッキングに使った入力デバイスを破壊、事態を沈静(ちなみに発症によって狂人化したカムイは「天海護は異星人だ、人間ではない」と発言、それに対し「僕は……地球人の天海護だ」と宣言)その後、治療カプセルで治療していたが、発症発覚時点で既に遅く、オービットベースに侵入したラミア達によりフォルテの実を持ち去られた。
- アーチン・プリックル:GGGブルーの作戦参謀でベターマンの登場人物であるカクタス・プリックルの兄、火麻激の親友にして筋肉の良さを互いに競い会うライバル。アルジャーノンを発症したことでタマラと共にオービットベースを地球上に墜落させようとしたが、火麻と火乃紀がそれを阻止し医療モジュールで治療。無事に完治した。
- タマラ・ゴーゴリ:GGGブルー研究部オペレーターで同じ研究部の同僚である火乃紀と親友同士。アルジャーノンを発症したことでアーチンと共にオービットベースを地球上に墜落させようとしたが、火麻と火乃紀がそれを阻止し医療モジュールにて火乃紀が確立した治療法で完治、一週間で職場復帰した。ノベライズでは発症前から『26』発言をよくしていた。