ゴジラVSガメラ
ごじらばーさすがめら
概要
1954年に始まった“ゴジラシリーズ”の主役怪獣「ゴジラ」と1965年に開始された“ガメラシリーズ”の主役怪獣「ガメラ」という日本を代表する二大怪獣の共演および激突を描く……といった感じの、特定の怪獣ファンにとっては有名な妄想ネタ。
両シリーズの制作進行が軌道に乗り、子供の間でそれぞれの知名度が上がってきた頃になると、子供向けの怪獣関係の雑誌や本などでは「ゴジラとガメラ、戦ったらどっちが強いですか?どっちが勝ちますか?」みたいな質問がちょくちょく載ったりすることもあった。
おそらく当時の子供の中には両者の人形を揃えてのぶつけ合いでそれを再現した者も多かったと思われる。
このネタが再び注目されるようになったのは平成になってゴジラシリーズおよびガメラシリーズが復活した時期で、作品が進むに連れてお互いヴィジュアル・能力共に昭和とは比較にならないほどの迫力と威厳を与えられ、さらにそれぞれのシリーズの中で強調されていったゴジラの“全てを滅ぼす破壊神”としての属性とガメラの“地球を守る守護神”としての属性の対比性も合わせてその二頭の邂逅、そして激突を真剣に空想する怪獣ファンもといオタクもじわじわと増え始めるようになり、彼らの中には未だにかつての『キングコング対ゴジラ』の時のようにどうにかキャラの権利を遣り繰りして公式の作品としての実現を切望する者もいれば、独自にSSや疑似再現映像作品という形でこれを自主制作する者も少なからずいる。
しかし、2010年代後半においてゴジラシリーズは国外にてレジェンダリー社の『GODZILLA』をきっかけに『G:KOTM』から『GvsK』を含む“モンスターバース”が始まり、それから間もなく日本でも『シン・ゴジラ』やアニメ映画『GODZILLA三部作』、TVアニメ『ゴジラS.P』といった新たな作品制作が進められていったのに対して、ガメラシリーズは2006年の『小さき勇者たち』以降これといった展開はない状態(2015年に50周年記念として作られた短編作品「GAMERA」が公開されたのみ、後は過去作が時折TVや映画でリバイバル上映される程度)のため、世代毎の知名度という点では圧倒的な差があるのが現状である。
なんで戦うの?
ゴジラとガメラを戦わせる理由付けに関してであるが、ゴジラの方は単純に極めて凶暴かつ好戦的な性格とされることが多いことから、たとえ明確な理由がなかったとしてもただガメラが目についたというだけで勝手に喧嘩をふっかけようとするだろうとか言われている。
一方のガメラはいくらガメラが地球の守護神だとしても、ゴジラが生態系に与える破壊的な影響力については明確に語られたことは少なく、ギャオスやレギオンみたいに大量増殖して生態系全体を圧迫したりはしない(中にはゴジラ2016のようにそういう生態の種類も確かにいるが)ため、ガメラにして見ればわざわざゴジラと無理に敵対する意味はないのではないかと言われていたりする。
ただし、ゴジラを本来の進化の過程から外れた異物と定義し、かつその活動や生態が放射能汚染も含めて地球にとって致命的な害になると看做される可能性も決して否定はできず、そうでなくともガメラの方も売られた喧嘩を買わないとは言い切れない。
あるいは昭和の時のようにゴジラによって子供が危機に晒された際に颯爽とガメラが現れてゴジラの前に立ちはだかるという展開もベタではあるが考えられなくもない。
で、どっちが勝つの?
制作会社の相違により、両者とも時代や作品毎に身体スペック(たとえばガメラの場合、昭和では物ともしないどころか逆に力を増すことになった戦車などの攻撃が平成の第1作では転倒していたなど)および戦闘能力、使える技といった各種設定が大きく変化しているため、その時のスケールやウェイトなどの設定を実際に鑑みないと一概には格闘戦における有利不利を判断するのは難しい。
互いの主武器である熱線や火炎などに関してもダメージにならないことはないにせよ、両方とも火や熱などに強い耐性を持っているため決定打には欠くと思われ、たとえ両者の能力値を平成基準で考えたとしてもゴジラの決め手になることが多かった赤色熱線がガメラにどこまで効くかは未知数で、その一方でガメラの切り札とされた技もゴジラは耐える可能性がある。
また、ガメラは炎、電気、放射能などあらゆる熱エネルギーを自身の栄養源とするとされるため、基本的にゴジラの熱線攻撃はガメラに食事を与えているだけという解釈もなされており、そうなると結局は体力勝負の持久戦になるかもしれない。
とは言え、メタな視点から見るとガメラの方はなんだかんだでシリーズを通して“善”に寄り気味な分、相対的にゴジラが“悪”の位置に立たされやすく、加えて人類から向けられるヘイトもゴジラの方が強いと思われるため最終的な展開としてはゴジラがいささか不利になりそうではある(この面でわかりやすいのがゴジラとモスラの対決である。同じ東宝怪獣同士の対決であることから実現しているが、“善”の属性を持つモスラの方が勝率が高かったりする)。
無論、あくまでこれらの比較は過去作の設定からファンが推測しているものに過ぎず、本当に両者の対決作品を描く上でのそれぞれのスペックはその時にそれを作る作者(あるいは監督)の裁量次第であり、それ以前の情報はあまり参考にならない可能性が高いということを付け加えておく。
その他
- このネタでよく議論になるのが両者の身長差よりも体重差の設定だと言われている。ゴジラは約50m級でだいたい2万t、100m超級では6万tから9万tまであるとされる。一方のガメラは昭和時代ではたったの80t、平成以降でも120tから900tくらいしかなく、仮に両者をぶつけたとしてもこれほどのウェイト差でははっきり言って子供が巨象に挑むようなものでまともな勝負にはならないというのがマニアや識者の間での通説になっており、もし両者が対決する作品が実際に作られた場合は双方の体重設定もそれに合わせて是正される可能性がある。
- 俗に生物としてはゴジラは重すぎ(初代~2代目に関しては適正、それ以降のものに関しては逆に軽めという説もあり)、ガメラは軽すぎと言われているが、本編での怪獣の体重設定なんてほとんどあってないようなものなので、いざ戦わせた際の二頭の体重差が如何なものであろうとそれが反映されるとは限らない。
- 実はガメラの版権が角川に移った頃に角川側が東宝に「ゴジラvsガメラ」の企画を持ち込んだものの、東宝側がそれを断ったために実現しなかったという逸話がある。また、その前身である徳間大映の故徳間康快氏も存命中に何度か両者の対決を東宝に打診してきたが、やはりその度に蹴られてきたという噂もある。
- 一方、ガメラとゴジラの対決が実現しないのは両者の玩具の商品化権を持つメーカーがバンダイであり、人気のバランスを崩すと商品展開に支障が出る大人の事情からだという意見もある(深海獣レイゴーの際にコメントされたらしい)。怪獣映画と玩具の成功が密接に関係しているのは明白であり、実際、1998年のハリウッド版ゴジラが興行では成功したが玩具の売上が悪いために続編の企画が流れてしまったという例もある。
- また、アタリ製作の海外の家庭用ゲームソフト『ゴジラ アンリーシュド』では当初ガメラも参戦させるという計画があったとされる。
- 長年ゴジラのスーツアクターを担当した中島春雄は1970年の大阪万博で行われた怪獣ショーで自分が入ったゴジラがガメラと戦うという展開があったとコメントしている(実際に写真が残されている)。特に決められた立ち回りがあるわけではなかったため、勝ったこともあれば負けたこともあったらしい。
- ファンの間には仮に製作したとしてもシナリオが“守護神vs破壊神”という構図だと結局『ゴジラVSモスラ』や平成ガメラシリーズの焼き直しになってしまうという懸念もある模様。
- ドリームキャストの外部記憶装置として使用されていたビジュアルメモリを本体とした携帯ゲーム機の『モスラ ドリームバトル』とおよび『ガメラ ドリームバトル』が発売されたことがあり、両機を接続することで(ゲーム上ではあるものの)、東宝怪獣とガメラ怪獣の対戦が実現させることができるようになっている。当然、ゴジラVSガメラも…と思いきや、モスラ側にはなぜかゴジラやアンギラスといった一部怪獣が不参戦であったため、結局夢のカードは実現しなかった。
擬似的な共演の例
プロのクリエイターにとってもやはり両者の共演は興味深いコンセプトなようで、これまでいろいろな作品でこれを想起させるようなシチュエーションの演出が試みられていたりする。他にも過去には『ザ・シンプソンズ』や『ドクタースランプ』などのコメディ作品では実際にガメラ怪獣やゴジラ怪獣(後者にはウルトラ怪獣も)のオマージュ、ないしパロディキャラクターが共演するネタがちらほら見受けられた。
- 『Godzilla the Series』
- 『GODZILLA 怪獣黙示録』
- 『GODZILLA: King of The Monsters』
- 本作のコンセプトアートの一つにゴジラら東宝怪獣に混じってガメラらしき怪獣が描かれている。これに関して角川側に許可を取ったという様な情報はないため、あくまでイラストレーターの趣味と思われる。
- 『ガメラ 小さき勇者たち』
- 『ウルトラマンマックス』
- 『大怪獣東京に現わる』
- 1998年公開の別に特撮でもなんでもない映画。劇中で東京湾から現れた“火を吐く恐竜型怪獣”と福岡県から飛んできた“飛行能力を持つ亀型怪獣”が交戦するという展開が報道や会話などの情報だけで伝えられる。
- 『巨影都市』
- 2017年発売の絶命都市シリーズの流れを汲むSLG。その災害の化身としてゴジラとガメラがそれぞれ登場するが、実際に両者が同時に現れて争うことはない。
- 『MM9』
- 本作に登場するゴズおよびカガミという怪獣の内、ゴズは明確に“ゴジラ”がモデル”と明言されている。一方のカガミはモチーフの説明はないが、亀に酷似した形態をしているということから“ガメラ”がモデルの可能性がある(もっとも、首が伸びるという能力からこっちはむしろカメーバの方が近いかもしれないが)。
- 『チャージマン研』
- この作品でおそらく最も有名な回の「頭の中にダイナマイト」の冒頭で、鳴き声がゴジラの大型肉食恐竜と、鳴き声がガメラの大型剣竜が対決する映画を鑑賞するシーンが存在する(対決の様子が途中でカットされたため結果は不明、最後の映画シーンで大型肉食恐竜が映った際には鳴き声がなぜかガメラになっている)。音だけならゴジラ対ガメラなのだが、いかんせん映像が残念な上にその後の展開が衝撃的過ぎて、あまり話題にならない。
関連イラスト
pixivでもこの手のクロスオーバー系イラストが多いが、世代的にゴジラはVS時代の形態、ガメラは見栄えの良さからかG3の形態を意識したものがほとんどで、イラストの検索に際してはこの本記事のタイトルよりも普通に「ゴジラ」と「ガメラ」の2つのワードを合わせるだけの方が多くヒットする。
ゴジラvsガメラ以外の組み合わせ