概要
夢の対決とは実現したらいいなぁという願望の一つである。
解説
古くはプロレスファンが「新日の猪木」と「全日の馬場」との対決を妄想し(デビュー当時は同門生で対決している)どちらが勝つかの議論を新日派と全日派が千日戦争がごとく繰り広げ、現在においても、現実、フィクション問わず「○○対○○」の対決を願望、妄想することは多い。
多くの人間が妄想しても、実現できない理由は諸説あるが、一方は引退(または死亡)済などの場合や歴史上の人物によるものを除けば、大半ギャラや著作権などの大人の事情にある。
・・・逆にいえば、フィクション関係であれば周囲に文句を言わせないほどの権力と財力さえあれば、どんな無茶なカードでも実現できるということでもある。
しかし、フィクション関係の夢の対決で人気作品の主人公の共演で実際に対決となっても、どちらかを勝たせ、もう一方を負けさせるのはそれぞれのキャラ人気的に難しくなりがちで、だいたい引き分けか決着つかず、あるいはタイトルに「○○VS○○」と書いてあっても実際は対決しない、というパターンも多い。
同じ作者、権利者の作品同士だと対決させるだけならやや実現しやすいが、作品世界を共有している場合には時系列上などの無理が生じて正史に含めるか議論が生じかねない場合もある(クロスオーバーも参照)。
また作者からするとどちらの作品のファンも自身の作品のファンであるために、片方を勝たせるなど優遇するともう片方を冷遇してしまうことにもなる為、実現しても作者の心理上さらに勝敗を付け難くなるという問題もある。
対決といっても、「結果として競争になる」といった形の実現はありうるかもしれない。
例えばテレビ朝日系列では「相棒」「科捜研の女」などいろいろな刑事ものを出しているが、こうした主人公たちがそれぞれ別々の事件を追っているうち、実はそれらは巨大な事件の別々の末端であり、当初の予想以上に大きな背後関係があって各主人公は結局同じ黒幕を追っていて、視聴者からすると「誰が最初に黒幕のもとに到達するのか?」となる…といった形はできるかもしれない。
現実世界において実現した夢の対決
入門時から人気が高かった力士の兄弟対決。スーパーファミコンのタイトルにもなった。
通常の大相撲では同じ部屋同士、親類の対決は組み込めないが、1995年九州場所、優勝決定戦で実現した。
…が、これの裏でその後の若貴兄弟の確執の遠因とされる事があったとされている。
かつて読売ジャイアンツのV9の立役者となった両雄が、それぞれ監督として日本シリーズで相見えた対決。20世紀最後の年である2000年に実現し、長嶋巨人が王ダイエー(現・ソフトバンク)を下した。現役時代はON砲と呼ばれたことからON対決と呼ばれた。
2000年代以降において、ボクシング界を牽引していた二大巨頭の対決。2009年頃から対戦交渉を行うも、条件面で中々まとまらず、2015年に実現し、メイウェザーが判定で勝利した。試合内容の評価は高いが、メイウェザーが38歳、パッキャオが36歳と共にキャリア晩年の対決であったため、もっと早く実現してほしかったという声も多い。
- 新日本プロレス、全日本プロレス、プロレスリング・ノアによる対抗戦
以前から全面抗争に近い形での対決を望む声はあったが、東日本大震災関係のチャリティー興行を行うことになったことから「ALL TOGETHER」という特殊な興行という形式をとることで実現。興行趣旨から団体ごちゃまぜでのチームが多数結成されたほか、第3回興行ではDDTプロレスリング、大日本プロレス、ドラゴンゲート、さらには女子団体のスターダムも参戦した。
そもそも広報に時間を取れなかった第3回はともかく、1・2回目の興行は各団体からも成功だったと評価されているらしく、以降はエル・デスペラードの個人興行で団体の垣根を超えて招聘するのが叶った(本人が男色ディーノのオマージュレスラーとして登場するなど。一応はフェロモンズ正規メンバー扱いの模様?)、武藤敬司がノア側でのラストマッチに武藤の影響が強いのを公言していた内藤哲也を指名する(だが、内藤と決着がついたあと、最後の最後に…)、などそもそも通常のシリーズ興行に他団体から選手が参戦する、果てはアイアンマンヘビーメタル級王座とはいえ、他団体のベルトそのものがタイトルを戴冠してしまう(高橋ヒロムがその場で譲渡してしまった)など、目に見えて団体を超えて参戦するケースが増えている。
フィクション作品において実現した夢の対決
日米を代表する怪獣の競演で、ゴジラシリーズ初のカラー作品ともなった。未だにシリーズ最大の動員客数を誇る。日本版では結果は引き分けに終わっているが、北米版ではキングコングの方が優勢だったかのような表現にされていた。
そして本作公開から約60年後の2021年には二度目のゴジラとコングの対決を描いたハリウッド製作の映画作品『GODZILLAvsKONG』が公開。以降ハリウッドシリーズではこの2名の競演が恒例化した、という意味でも重要な顔合わせとなった。
- マウント斗羽vsアントニオ猪狩(グラップラー刃牙)
最大トーナメント終了直後に実現、モデルは言うまでもなくプロレス界の巨頭の2人。「プロレス界最大のタブー」(コミック版表記)に挑んだこの試合の結果は斗羽が試合中亡くなるという結末だった。実際斗羽のモデルとなった人物の死後に書かれている。が、EDでは実は斗羽は存命で、パリで夢であった絵描きをしているところを猪狩がたずねるというシ-ンで終わっている。なおこれ以降、斗羽のバキシリーズでの登場は無い。
ちなみに実名でのマッチアップも創作物では実現しており、夢枕獏が小説『仰天・平成元年の空手チョップ』において馬場vs猪木を「力道山vs前田日明の前座としてこれ以上ふさわしいカードはない」と紙数を大きく割いて描写している。現代で言えば興行セミファイナル・スペシャルシングルマッチといったところなので十分メインイベントに近いが。
- vs宮本武蔵(同上)
- CAPCOMvsSNKシリーズ
従来はメーカーの版権の都合でほぼ不可能であった(当時の対戦格闘ゲーム2大メーカーの)夢の競演となった。アーケードゲームとして3作、他、携帯機でのカードゲームも作られている。一部キャラではメーカーの垣根を越えた設定も組み込まれるほど。
- スマブラシリーズ
『X』で初めて任天堂以外のメーカーのキャラが加わり、『for』ではさらに名だたる作品からの参戦が活発となり、ついに『SPECIAL』で一つの頂点に至った。まさにゲーム業界の祭典。
日テレの開局55周年、YTVの開局50周年を記念して製作されたアニメ作品。タイトルに"VS"と書いてあるものの、両者が直接対決したわけではない。両放送局の看板アニメのコラボとだけあって話題性は大きく、テレビ放送時の視聴率は19.5%を記録した。
作者も作風もぜんぜん違うホラー作品の悪霊同士の(強引な)対決を描いている衝撃の問題作。元はエイプリルフールの嘘情報だったのが巡り巡って実現したという。
どちらもゲーム本編において戦闘中のポケモンを一時的に強化するシステムだが、メガシンカは第6世代(XY)、キョダイマックスは第8世代(剣盾)で登場作品が異なる為、この両方の強化システムによる対決は実現不可能。
・・・なのだが、他媒体とはいえアニメ新無印86話でこの対決が実現してしまった。
どちらも剣を使うボスキャラで、前者は桜井作品、後者は非桜井作品出身。初登場当時のカービィシリーズの世界観が「桜井」、「非桜井」で真っ二つに分かれていた為にこの剣キャラ同士の対決はほぼ実現不可能だった。冥王神話に近い状態といえばピンとくるかも。
桜井氏退社から十数年経過した2016年発売のロボボプラネットではデデデ大王から採取したダークマターの細胞で作られたクローン剣士ダークマターが登場し、間接的ではあるが実現。今回はクローンだったが、本物との対決が実現する日もそう遠くはないかもしれない。
共に本シリーズの議長キャラだが、前者は本物で映画第2作「5つの物語」に登場、後者は偽者で初代のラスボス。
どちらも月兎組のビッグボスとして登場するが、友達に出来ない為に議長同士の対決が不可能だったが、「3」のver2.0でぬらりひょんを友達に出来るようになり、イカカモネ議長第2形態がバスターズTモードで再登場したことで映画第2作から数えて約1年遅れで実現。
版権の移動に伴って実現した有名なホラー映画シリーズで大暴れしていた怪人達による傍迷惑な争い。この場合はどちらかというと悪夢の共演か。
こっちはSFホラージャンルにおける代表的な異星生命体同士の戦い。両作品のリンクの伏線は割と早い段階で張られており、コミックやゲームなどでも幾度かそんなスピンオフ作品が出たが、後に正式に映画化された。
DCコミックスを代表する2大ヒーローの対決。同じ会社の違う作品のヒーローキャラのクロスオーバーという点ではマーベルの『アベンジャーズ』と似ているが、本作においてはそれぞれの考え方の違いから発展した互いの命をかけた戦いが繰り広げられている(ちなみにマーベルで言うなら変則的ではあるがこちらが該当する)。
- エイリアンVSアバター
実際のところはタイトル出オチのいわゆるZ級映画だが、レビュー動画などでZ級マニア以外にもそれなりに有名な作品。勝手に戦え!
あえてここで取り上げる理由としては、タイトルだけ借りた本家非公認作品なので、前述のような双方に気を使う必要が無いため、この手のVSモノとしては珍しくガチンコでバトって決着を付けている事(そもそもこの対決を望んでいた層がどれだけあるのか不明だが…)。
戦国時代の架空戦記には、信長対家康と言ったカードや、「関ヶ原が長期化した」「織田信忠が本能寺の変を生き延びた」などの史実と異なる状況が発生するなどして生じる、著名な武将同士の「実際には対決することが無かった相手との合戦」がいくつかある。
フィクション作品において実現した夢の対決(番外)
第二次世界大戦の日米海軍の新鋭戦艦同士の夢の対決。史実では日本海軍が大戦終盤まで戦艦を温存したことなどから実現しなかったが、架空戦記では頻繁に実現している。双方の参加隻数や戦況などによって勝敗は様々。他にも大和とモンタナ級戦艦が対決する作品なども存在する。
史実では軍事費の際限ない増大への懸念などから、結局はワシントン軍縮条約で葬られた日米の戦艦量産計画がもし実現していたら…?という夢の対決。こちらもいくつか存在し、どうやって実現にこぎつけたか(対決までの史実をどのように改変したか)などにより勝敗は様々。
フェラーリの330P4とフォードのマークIVは1967年ル・マン24時間レースでライバル同士で戦ったが、本来ジャガーのXJ13も当初は1967年ル・マン24時間レースに参戦する予定で、また実際にその2台と張り合えるスペックを持っていた。しかしジャガー本社からレース活動を禁止され開発が中断された挙句、レギュレーションが改訂されたために参戦が不可能になり実現しなかった。
(当のXJ13はのちにプロモーションビデオ撮影用の走行で事故でクラッシュ、大破するがあきらめきれなかった開発スタッフの手で修復され、2009年のグッドウッドフェスティバルオブスピードでサーキットでの走行が実現した)
グランツーリスモシリーズには5からその3台が収録されているため、この夢の対決が実現できる(グランツーリスモ5に至ってはそれにちなんだトロフィーもある)。
大谷のプロ入り当時に野村が「こりゃすごい。そりゃ(栗山も)二刀流が大前提でやらせるだろうと納得してしまった」「でも、大谷が将来本当に投手としても打者としても大成したか確かめられるときに、俺はおそらくもういないだろう」「だからこそ大谷がやりたいようにやればいいのではないかと思うようになった。もうすぐいなくなる、終わった男の意見など大谷は聞かなくてもいいだろう。チャレンジは若さの特権なのだから(※)」と言及した、そもそも令和の大打者と昭和の大捕手であることなどから野球における夢の対決としてたまに挙がっていた。
『パワプロ2024』のOP映像において、最後に紹介される選手として2人が登場する形で実現。南海ホークスのユニフォームとキャッチャー装束に身を包んだ青年ノムさんが守備につき(ちゃんと大谷になにか話しかけている)、バッターボックスで大谷が構えたのをパワプロくんがマウンドから見つめるところで映像が終わる(つまり、おそらく勝敗はあえてつけない構成になっている)ことから話題になった。
また2024自体がOB選手要素に力を入れていることからもうひとつここで夢の対決があり、映像中盤では横浜ベイスターズ投手佐々木主浩vsダイエーホークス打者城島健司が実現している。こちらも勝敗は描写されていない。
※本人の予測通り、野村は2020年初頭に死没。大谷のメジャー挑戦こそ見られたものの、WBC2023での活躍や世界一有名な球団への挑戦とそこでの活躍は見ることはできなかった。
- 「夢の第11レース」、「夢のVS.」
「伝説となった馬番にサイレンススズカが再び入ります 2番メジロマックイーン ウオッカはダービーと同じ馬番です…」
「どっちだ!どっちだ!!?」
双方JRAの本気(CM)にカウントされる場合もある公式企画。
前者は日本中央競馬における、初出の2015年当時最高クラスの夢の対決。
1枠1番から順にサイレンススズカ、メジロマックイーン、ウオッカ、トウカイテイオー、スペシャルウィーク、テイエムオペラオー、アグネスタキオン、オグリキャップ、エルコンドルパサー、シンボリルドルフ、ナリタブライアン、キングカメハメハ、ミスターシービー、ディープインパクト、エアグルーヴ、ブエナビスタ、ダイワスカーレット、そして当時の現役最強馬オルフェーヴルの18頭立て・東京芝2400mのレース。三冠馬が5名と年間無敗馬がいるオープン格付けのレースがあってたまるか。
各馬の人気を考慮してか、CM本編では最終直線でおおむね横並びになったところまで・最後に流れる実況は18頭すべてに勝利したパターンを作って同時に再生する形式が取られた。
またウマ娘でも当時参戦していないメンバーを差し替える形でオマージュが行われ、こちらでは史実ではあと一歩で実現しなかったビワハヤヒデvsナリタブライアンが実現した(これに限らずドリームマッチの要素が強い作品ではある)。
後者は2019年に「日本ダービー:シンボリルドルフvsディープインパクト」「有馬記念:グラスワンダーvsオルフェーヴル」の2本が制作。こちらも勝敗は明らかにされない形式で、どちらも上の実況のところで映像が暗転、競馬場を鳥瞰したものに切り替わって終わる。
競馬ファンからは人気が高く、「キタサンブラックやコントレイル、イクイノックス世代を含めてリメイクしてほしい」「バクシンオーvsカナロアの最強決定戦やタイキシャトルvsニホンピロウイナーのマイルCS連覇経験者対決のような、より短い距離のレースでもやってほしい」、「スマートファルコン、カネヒキリ、レモンポップ、公営からアブクマポーロやメイセイオペラなどでダートverをやってほしい」という意見は現在でも散見される。
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関連項目
夢の共演 夢の競演 悪夢の対決 勝った方が我々の敵になるだけです あーあ、出会っちまったか クロスオーバー コラボレーション