怪人(BLACKSUN)
かいじん
概要
『仮面ライダーBLACK_SUN』に登場する種族。
動植物をモチーフとした人型生物で、多種多様に存在し人間と同じ感性を持っている。
個体によるが人間を超える怪力と機敏力を併せ持っており、危険な存在でもある。
元ネタのゴルゴム怪人と同様に改造人間だが、こちらは殆どの個体が怪人の姿と人間態を併せ持つ。怪人(英名:KAIJIN)は総称であり、「護流五無」に属している個体は護流五無怪人と呼ばれている。
怪人態になる際には蒸気を噴き出して主に頭部と両腕が変貌するが、どこかしらに人間態時の皮膚が残っている。
人間の姿になれば普通の人間と一見区別が付かないが、作中では一目で怪人とバレている描写が目立つ。「臭い」と言われている事が多いので特有の臭気を発しているとも考えられるが、単なるヘイトスピーチとも考えられるなど、劇中描写では判断しづらい部分である。
そのほか下級怪人は付近にいる上位の怪人を察知する能力を持っている。
なお、人間の顔面が露出していたり、明らかに服の上から変身している怪人も存在していること、さらにとある怪人(ネタバレ注意!)の最期の様子から、怪人への変身は肉体そのものが変化しているというより、怪人としての外殻を生成して人間の肉体の上に纏っているというものと思われる描写がある。しかし一方で、人間態の皮膚が剥がれ垂れている怪人がいたり、怪人への改造に伴う変貌時に明確に肉体そのものが変化していたりするなど、曖昧となっている。
食事は通常の人間と同じ食事をとることが可能。「ヒートヘブン」と呼ばれる怪人用の食品もあり、重傷からの回復、老化の抑制、異様な高揚感などの恩恵を得られる。
誕生方法
上述の通り怪人は改造人間である。
後述の「エキス」に、元となる動植物をエキスに入れて固形化させたストーンと呼ばれる小さい鉱石を人間の内臓に埋め込む外科処置を行う必要がある。
この改造手術は麻酔無しで行われるため、かなりの苦痛を伴う。
また、人間と交わる事で子を為す事も可能。2022年時点では2世、3世の怪人も多くなっており、自分たちの出自を知らない者も多い。そのせいか「怪人は人類より遥か昔、500万年前から存在した」などと荒唐無稽な説を唱える者もおり、人間側も怪人=別の人種、生物と認識しているようだ。
社会的地位
かつては人権すら付与されていなかったようだが、1972年に日本国が怪人との共存を掲げ、生存権を与えている。しかし、それから半世紀が過ぎ去った2022年時点でも怪人排斥の気運が依然強い情勢にあることが見て取れる。人間と共存している怪人も存在しているが、社会全体で見れば怪人は圧倒的に少数派の社会的弱者であり、対して(反怪人団体を含めた)多数派である人間の中に一度根付いた差別的風潮を払拭するのは容易ではなかった。
また、歴代のライダー怪人にありがちな「単独で多数の人間を容易く抹殺できる戦闘力」や「銃火器でも歯が立たない頑丈さ」等を持ち合わせていない個体が多く、それが差別を助長する一因にもなっている。ただし、怪人の中には自発的に人間を襲う加害者も存在しているようである。
エキス
先述のストーンやヒートヘブンの原材料となる、青い液体。
エキスを生成できるのは創世王だけである。
2022年の時点で創生王は死にかけており、生成されるエキスの量も年々少なくなっている。
やがて創世王が死亡すれば、ストーンやヒートヘブンが作れなくなるため、怪人の将来そのものが無くなるとも言われている(人間と交配した怪人に関してはどうなるのか不明)。
関連タグ
仮面ライダー作品
- 改造兵士レベル2:元人間の怪人で、普段は人工皮膚を被って改造前の姿を再現して人間にカモフラージュしているが、いざ戦いに突入すると、人工皮膚を破ってその下に隠された不気味な正体を露わにする。
- グロンギ:古代に誕生した改造人間。こちらは人間をゲーム感覚で殺戮する戦闘種族でほぼ共存は不可能。
- オルフェノク:こちらも元人間の怪人であるが、TV本編では少数派であるのに対し、パラレルワールドの劇場版では逆に多数派となって人間を弾圧していた。社会的影響力の強い組織を隠れ蓑にしており、種の存続に関わる「王」と呼ばれる個体が存在する点でも共通する。
- フェムシンム:「人間全体が怪人となったIF」とも呼べる種族。
- アマゾン(仮面ライダーアマゾンズ):同じく人間と怪人両方の姿を併せ持つ怪人であるが、こちらは人間そっくりの人工生命体で食人衝動を持つため、(一部を除けば)人間側からは駆除対象もしくは利権のための資源と見なされている。
- ヒューマギア:怪人とは逆に人型のロボットで表面上は人間と上手く共存できているものの、軋轢も少なからず存在しており、終盤では一斉蜂起して人間に牙を剥きかける事態となった。
- Chiharu怪人態:同じく昭和ライダーのリブート作品に登場する怪人の1体であるが、『BLACK SUN』における怪人とは別の意味で不幸な役回りであった。
他作品
- 陰我ホラー/魔導ホラー:元人間の怪人であるが、前者は「心に闇を抱えた人間」や「悪人」が素体になる事が多い。
- 鬼(鬼滅の刃):色々な意味で真逆な元人間の怪物(一部を除く)。
- コーディネイター:生物学的には普通の人間であるが、色々な意味で似た者同士と言える種族。
- 素体テッカマン:こちらも元人間の怪人であるが、侵略者のテクノロジーで誕生した種族である故にアパルトヘイトによる人権弾圧で苦しめられている。
- X-MEN / ミュータント:社会的に存在を認知され、しかし社会的に迫害を受けており、現実世界の非迫害層のメタファーとなっている。通常の人間と同じ姿の者もいるが、動物や植物の要素を取り入れた姿の者もいる。ミュータント同士、あるいは通常人とミュータントの間に生まれる2世、3世のミュータントもいる。
この先ネタバレ注意!
怪人達の誕生の由来は、1936年に堂波真一の祖父道之助が戦争に勝つ為に異能力を持った改造人間を研究し、それを生物兵器として生み出そうとしたことに端を発する。
そして、その「改造人間」を略して「改人」と呼称し、いつしか「怪人」と呼ばれる様になったのである。
様々な人間を拉致してはストーンを体内に入れて怪人にしてきたが、その成功率は極めて低く研究員達も日々の人体実験に心身共に疲弊しきっていた。
ある時、日食と蝗害が偶然重なった日に、ある白い怪人が誕生し研究員と兵士を殺戮した。
それこそが怪人第1号「飛蝗怪人」であり、後に創世王と呼ばれるようになった。
研究のメンバーには光太郎や信彦の父達も含まれており、つまり人間達によるマッチポンプだったのである。
その後、経緯は不明だが、怪人たちは一般社会で生きるようになった。
恐らく、終戦に伴う混乱から、実験施設を逃亡したと思われる。
創世王もまた、日本軍の管理下から離れた(描写を見ると、光太郎と信彦の父親たちが監理していたと思われる)。
怪人は人間でなく怪人(=非人間)として、社会にその存在を認知されるようになる。
1972年、総理大臣となった道之助と護流五無の交渉により、護流五無は「ゴルゴム党」となり、怪人に人権を認められるようになった一方、創世王は政府の管理下に置かれ、政府はそれを用いて囚人などを怪人に改造し、兵器として売り渡す闇のビジネスを始めるのだった。