「我が家臣達よ。天下をこの牙鬼幻月の恐怖で統一すべく、我が復活を成し遂げよ!」(忍びの1)
「意志持たぬ作られし物よ。我、牙鬼幻月のために意志を持て!」(同上)
データ
身長 | 53.0m(復活時身長/212cm) |
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体重 | 685.0t(復活時体重/274kg) |
好きなもの | 民の恐れ |
好きな場所 | 牙鬼城 |
攻撃力 | ☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆ |
不思議な技 | ☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆ |
最強 | ☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆ |
CV | 麦人 |
概要
牙鬼軍団の君主。鬼面を依り代として、金と黒の豪奢な鎧兜で武装した魔人のような姿をしている。武器は、禍々しい気を放つ巨大な薙刀「含牙戴角(がんがたいかく)」。
元は戦国時代に恐怖で天下を制しようとした、戦国最凶最悪の武将であったが、伊賀崎一族率いる忍者衆との戦いに敗れ、命を落とした。
しかし死ぬ間際、幻月は予言を言い残した。
「444年後、もう一度、天下を恐怖で統一せん」
その後、予言通りに幻月は妖怪として現代の世に転生し、妖怪の軍団“牙鬼軍団”を結成。再び天下を狙おうとしたが、それを予期したニンニンジャーの祖父、伊賀崎好天と激突。しかし、好天によって48枚の封印の手裏剣で封印された。
しかし、予測した年数が会わなかったためか、封印は不完全な様である。また、好天は完全に封印するために必要な終わりの手裏剣を使わず意図的に封印を完遂させなかったようである(忍びの46にて、好天が終わりの手裏剣で生命を維持していたことが明らかとなった)。
本編での活躍
忍びの1にて、十六夜九衛門が道場から盗んだ小槌の力で、不完全ながら復活してしまう。そして、自分の邪気が染み込んだ48枚の封印の手裏剣を撒き散らし、そこから配下の妖怪を生み出し、九衛門を初めとする配下の牙鬼軍団を通じて、自身を完全復活させるために人間の“恐れの力”を集めようとする。
忍びの5では、本人ではなく、妖怪ウンガイキョウが生み出した巨大な立体映像として無数に登場する形でニンニンジャーの前に姿を現した。
「愚かな民共よ。この牙鬼幻月の前にひれ伏すのだ!」
「恐れろ人間共よ!我、牙鬼幻月にひれ伏せえ!」
忍びの13では、晦正影の術で牙鬼軍団のアジトの床に姿が映し出される。晦曰く「御霊がすぐそこまで来ている」とのことで、幹部達と会話し、この世が地獄が変わる様を見て喜んでいた。
「フハハハハハ...!見えるぞ...!この御霊と変わりゆくさまが!家臣どもよ。存分に働け!」
忍びの19にて、幻影ではあるが本人が初めて現代のニンニンジャーと初対峙。晦の依頼を受け、彼が集めたニンニンジャーの戦闘データを元に上級妖怪ヌエを生み出し、直接攻撃を仕掛ける。
「我がしもべなる上級妖怪の力、見せてみよ!」
忍びの34にて、晦の依頼で多数の上級妖怪を生み出せるようにと、多数の封印の手裏剣に自身の妖力を宿らせた。その際には有明の方を「奥」と呼んでいた。
「良いかね?奥。晦もあまり困らせるなよ?」
忍びの41で、晦の口から、実は予言には続きがあって、「その全ては自分の息子によって果たされるであろう」ということがわかった。
そして
そして忍びの43ラストで、九衛門により牙鬼萬月の死を知った、有明の方の膨大な量の恐れで、遂に完全復活を果たしてしまう。
復活に驚く晦や有明の前で、彼らも知らなかったもう1人の息子・九衛門改め、本名牙鬼久右衛門新月の存在を明かす。萬月が当初長男として扱われていたことからもわかるように、戦国時代に幻月には子がないと思われていたが、実際には側室に久右衛門を産ませており、出生直後に妖力により彼を現代に飛ばしたのだ(晦が言っていた「自分の息子」とは、萬月ではなく久右衛門のことだと明らかになった)。
さらに、封印の手裏剣で蛾眉雷蔵を再び復活させ、地中深くに封印されていた、牙鬼軍団のアジトにして自分の城である「牙鬼城」を地上に召喚。軍団の全権を久右衛門に預け、牙鬼家の、恐れによる天下統一の開始を宣言した。
忍びの45では、宿敵であるラストニンジャの伊賀崎好天と対峙。独力で凄まじい上級シュリケン忍法を乱発する好天と互角に戦い、地形が変わるほどの勝負を繰り広げるが、好天をも寄せつけないほどに高まっているという恐れの力を解放。勝負は徐々に幻月優勢となる。
遂に好天を地面に這わせるが、そこに旋風を仲間に加えたニンニンジャーが合流。彼等に対し、彼等全員を倒し、伊賀崎一族を根絶やしにすることを宣言した。
忍びの46では、好天と旋風が変身したアカニンジャーも加わり8人による猛攻に対し「牙凌道・百鬼幻」で反撃するが、「シュリケン忍法 親子合わせ斬りの術」、「シュリケン忍法奥義"三代忍烈斬"」、「シュリケン忍法究極奥義"オール伊賀崎流アッパレ忍烈斬″」を受ける。
しかし、ほぼ無傷の状態で耐え凌ぎ「牙凌道・阿修羅」で8人を殲滅、尚立ち向かう好天の「上級シュリケン忍法究極奥義"終極斬"」を受けた直後、久右衛門が背後から好天を小槌の刀剣で突き刺し、「妖術"遊離吸収の術"」で好天の生命を維持していた終わりの手裏剣を奪い取ると、久右衛門に残りの封印の手裏剣で究極体の力を与える。
その後、牙城へと戻り、差し向けた有明の方が敗れると「用済み」と言い放ち吸収した。
「愚かな息子よ。お前とて我が野望のための道具にすぎぬ...!それがお前の、宿命だ!」
十六夜九衛門「父上...お待ちください!!!」
忍びの最終章にて、ニンニンジャーに敗れた久右衛門を「牙鬼家の宿命から逃れられない」と取り込み、真の姿である巨大体へと変化する。ゲキアツダイオーを「牙凌道・阿修羅」や妖力で一方的に痛めつけ、ニンニンジャーに対し、伊賀崎の忍びとして牙鬼家に刃向かった宿命を後悔しろと言い放つ。しかし、彼らの忍者であることへの誇りや熱い思いを聞いた久右衛門が最後の最後に反抗し、体内から脱出されてしまう。それにより力が弱体化してしまい、「ゲキアツ大フィーバー」で遂に倒される。
謎の予言再び
ニンニンジャーによって倒されてしまった幻月だが、その死ぬ間際、再び奇妙な予言を言い残す。
「たとえ倒されても、古き世界を滅ぼすため蘇る!楽しみにしておれ……!」
またしても、復活を仄めかす予言である。もしかしたら、後々誰かの手によって復活する……かもしれない。
性格(ネタバレ注意!!!)
2人の息子(新月と萬月)を持つ幻月だが、同じように数人の子を持つ好天とは違いかなり冷酷非道で、肉親にも容赦しない性格であることが終盤でわかった。「実の子を失った有明の方の嘆きに関心を寄せない」、「そもそも萬月のことについて一言も触れない」など、復活直後からその兆候は表れていたが、有明の方が敗れた直後に彼女を「用済み」と罵倒し自らの体内に吸収するという残酷な所業をもって改めて、本性を露わにした。
その後も戦いに敗れた久右衛門をやはり「用済み」として吸収するなどしている。つまり、久右衛門の冷酷さ、萬月の肉親を肉親とも思わない非道ぶりは親譲りだったようだ。
彼にとって家族や仲間とは、最終的には野望を達成するための道具でしかなく、この点は伊賀崎家の忍び達とはっきり対照をなしていると言える。
ただし、こうした幻月の性格は、元々は弱肉強食の乱世である戦国時代に生きていたということを考えれば、そこまで異常な価値観とは言い切れない。幻月が基本的には人情の薄い人物であるのは間違いないが、当時は「家」のために命さえ捧げる、捧げさせるケースも珍しくなく、彼が戦国時代に天下を求めて覇を競った戦国武将である以上は、ハッキリ言ってこの人情の薄さもそれ程おかしな価値観ではない。
実際に、蛾眉や晦を初めとした牙鬼家の家臣達は、こういった幻月の本性もある程度分かった上で彼に高い忠誠心を抱いているらしく、幻月のために自身を犠牲にすることも厭わず、幻月もそんな強く有能な部下である彼等を幻月なりに信頼して重用する等、決して仲間を道具として扱うだけの暴君ではない。また、この事からも分かる通り、一大名や当主としてのカリスマ性や統率力はかなりのものであり、最期の言葉などから考えるに、自身の敗北を他人のせいにするような卑怯・軟弱な性格でもない。
妻の有明の方に対しても、「奥で休んでおれ」と彼女に気を使って声をかける描写もあるなど、決してぞんざいに扱うだけではなかった(実際に有明の方の方も、幻月には心酔しており、その後の作品で復活した際も、用済みとして取り込まれた件を気にしている様子は無かった)。
2人の息子に対する扱いも、萬月に関してはあくまで次男であり、牙鬼家を継ぐ跡取りではないことを考えれば、やはり戦国時代の感性でなら彼が無関心なのもむしろ当然と言える(跡取り以外の子供がいないも同然のように扱われたり、家から追い払われるなど、戦国時代でなら別に珍しい話でもない)。
新月こと久右衛門に関しては、復活早々に彼を跡継ぎとして指名し、牙鬼軍の全軍の総指揮権を預けている。これは彼を自身の跡継ぎとして扱いつつ、その能力を実戦で試すのも配慮した采配であり、彼の事は本気で跡継ぎとするつもりだったことが窺える。最終的に吸収するまでは久右衛門の事を跡継ぎとして気にかけている描写もあり、久右衛門を吸収したのも、彼がニンニンジャーの説得で、自身や牙鬼家から離れようとしていることを感じたからである。
このように幻月は、戦国武将としての彼の価値観における彼なりの父親としての役目は、ちゃんと作中でも久右衛門に対して全うしようとしていた。ただ、それは現代で生まれ育った久右衛門の求める家族観とは全く違うものだったというだけなのである。これに関しては、あくまで戦国武将に過ぎない幻月に、現代の価値観で父性を求めること自体が間違っていたとしか言いようがない。
しかし一方で、人間であった時に抱いた天下統一の野望を諦められない幻月は、全ての価値基準が変わった遥かな未来で復活し、既に過去の物となった戦国時代の考えと価値観のままに、現代で天下を支配しようとしたのである。幻月の野望はこの時点で、根本的に全てが間違っていたと言えるだろう。
※上述した最後の言葉からも、自分の考えや価値観が古いと思っていないのが窺える。
そうした、『古き世界』の思考に基づき冷酷な振舞いを見せた幻月は、結局最後の最後で現代を生きる伊賀崎一族を通して、家族の絆を知った九衛門の反逆によって、その野望は挫かれる事となったのである。
封印の手裏剣
幻月とは切っても切り離せない重要なアイテム。全部で48枚存在し、好天により幻月封印のために用いられていた。幻月復活後は幻月の力を宿したアイテムになってしまい、物に取り憑いて妖怪を生み出している。この封印の手裏剣を回収することも、ニンニンジャーの重要な仕事の1つである。
48枚もあるということで、当初から「全て回収できるのか?」と心配する視聴者が多かった(元々は108枚という案があったが、多過ぎることと何より仮面ライダードライブとかぶる事から48枚になったという)。
特番で早速1話潰れてしまったが、上級妖怪(2枚消費)の出現で一旦は持ち直す。しかし、封印の手裏剣と関係のない西洋三大妖怪や十六夜流忍者軍団の出現で、だんだんと話数と手裏剣の枚数が一致しなくなってきた。
結局は、上級妖怪・超上級妖怪(4枚消費)といった存在によって回収枚数を稼ぎ、幻月復活の時点で39枚を回収。その後は妖怪ワニュウドウの誕生と蛾眉の復活で1枚ずつ、上級妖怪オボログルママークⅡの生成で2枚、そして久右衛門の覚醒で5枚用いられ、現在では無事に48枚が揃う運びとなっている。
ちなみに今回のメインプロデューサーを務める武部直美は『仮面ライダー鎧武』初期案の段階でAKB48などアイドルグループの流行などをネタに挙げていた。48という数字はそこからきているのかもしれない。
復活
ギルマーダによって二度目の復活を遂げた。
生前と同等の強さで、アカニンジャーを苦しめ、集結した天晴、旋風、快晴の3大アカニンジャーと戦う。
そして映画『超スーパーヒーロー大戦』にてまたも地獄の底から蘇った。とは言っても本人ではなく、電脳世界のデータから復活したダミー扱い。ショッカーの幹部として復活し、かつて日本を恐怖と絶望に包んだ黒十字王や闇の皇帝ゼット、そしてCM公開当時はご存命だったシン・ジニスら悪の軍団と共に再び現世に災厄を齎した。
最期はスーパーヒーローカードにより呼び出された強化形態の仮面ライダー達の一斉攻撃を受け、他の幹部らと共に爆散した。
余談
演じる麦人氏はアクマイザー3のドラキューダ役(当時は本名の寺田誠名義)以来実に39年ぶりの特撮出演となった。当時71歳であり、敵首領を演じた声優としては最年長記録である(首領ではないラスボスも含めれば当時75歳の邪悪なる意志役加藤精三氏が該当)。
『幻月』とは、薄い雲等によって月光が屈折し、月と同じ高度に位置する両端に光が映し出される大気現象の一種の事である。
関連タグ
牙鬼軍団 妖怪 有明の方 晦正影 蛾眉雷蔵 十六夜九衛門 幻月 戦国武将
血祭ドウコク:終盤で復活した組織の首領。鎧武者がモチーフであることや巨大戦で単体の戦隊ロボに至近距離まで詰め寄られて倒されている点で共通する。
マザーメルザード、大魔女グランディーヌ、ヨゴシマクリタイン、蛮野天十郎、檀正宗:仲間や家族を道具としか思っていない首領達。
大教授ビアス:取り込んだ仲間が反抗した事で弱体化した首領繋がり。
シグマ:麦人氏が過去に声を演じたラスボス。さらに、「古き世界」も発言している。
風鳴訃堂:中の人繋がり。こちらも野望の為なら身内を道具扱いにする外道。感性が昔の時代のそれのままでほぼ止まっている点も共通。
クラックス・ドゥガチ:中の人繋がり(ゲーム)で、こちらも野望の為なら身内を道具扱いにする外道な点も共通。
ドン・バグデス:次年度のアニメに登場した中の人が幻月と同じである敵組織の首領。