「みんな。俺は覚悟を決めた」
「俺は誰にも分かってほしくない。…たった一人を除いてな」
概要
CV:櫻井孝宏
人間の姿となったAi。第103話から登場する。
ボーマンとの決戦後、遊作の下から離れ、荒廃したサイバース世界の崖にてイグニス達の墓に花を手向け切なげに見つめていたが、同様に人間態を得たロボッピと共に現実世界で暗躍を始める。
紫色の前髪と黒い跳ねっ毛、黄色の瞳、自身の顔型のピアスが特徴。瞳はよく見るとアイラインに重なっている。藤木遊作と草薙翔一の外見を掛け合わせたような風貌である。
当人曰く以前の自分は捨てたと評しており、2期までの彼と比べると幾分落ち着いた口調になった…と思われたが、カジノスロットへ一斉に細工して大フィーバーさせたり、召喚口上がやたら長かったりと、お調子者の一面は相変わらずの様子。(後者に至ってはロボッピに「長いっす!」とツッコまれている。)
本編での動向
SOLテクノロジー社の最高幹部クイーンを襲撃し、その意識とマスターキーを強奪。その3日後にはもう1つのマスターキーを持つ財前晃に対して襲撃予告を残し、これまで見せてきた人類との共存姿勢から一転して敵対姿勢を取る。
鬼塚豪、パンドール、ブルーメイデン&財前晃を倒して、2つ目のマスターキーを入手すると、SOL社を乗っ取り社員に莫大な退職金を与えて解雇させたのち、LINK VRAINSを再稼働させた。
SOL社の重役として真摯な態度で謝罪した財前晃を始め、これまで共闘してきた仲間を手にかけ意識データを奪っていく。またSOL社の上層部の処刑や、自分を慕ってくれたロボッピの使い潰しなど、後述する目的のためならば、躊躇わず他者を利用し巻き込んでいく描写が目立つ。
なかでもボーマンを止めるためにアクアと共に戦い抜いた財前葵には激しい逆恨みを向け、自分と同じ『大切なものを失う苦悩』を味わわせたいがために、晃を消し葵だけを生かすという八つ当たり染みた行動に出ている。
その後、ロボッピを口車に乗せて「家電の国」と称する彼専用のエリアを与えて厄介払いするも、彼とSoulburnerのデュエル中に起きた暴走は想定外だったのか、愉快げに応援していた態度を一転させ驚きを露にする。イグニスのプログラムに耐えきれず初期化し、敗北し消滅していくロボッピを見て、巻き込んでしまった事を詫びつつ落涙した。
作中の行動を形容するなら、大胆不敵で狡猾。
Aiから逃れるために、ネットワーク回線を遮断した旅客機へ身を隠した財前のもとへジェット機を操縦して直接乗り込む、その旅客機のアルゴリズムをデュエル中に悟られぬよう解析してジャックする等、悪賢さに拍車がかかっている。
また、SOLtisと呼ばれるアンドロイドで活動する際には、人間の額に触れて昏睡させ、その意識をデータ化してAiの構築したネットワーク内へ強制的にログインさせる事が可能。ライトニングからイグニスで一番の知恵があると評されただけあって、十分に人類の驚異たり得る存在となっている。
とはいえ、本心なのか演技なのか判然としない言動も目立つ。かつての相棒であるPlaymakerや仲間達と敵対してまで、彼が優先させるその目的とは…。
※ネタバレ注意
3期終盤、データストームの中で行われたPlaymakerとの決戦中に、彼はその目的を明かす。
それはAi自身の姿と意思をコピーしたソルティスを世界に大量に解き放つこと。最初は全員同じコピー体でも、体験することの違いによって次第に個性が生まれるだろうと。ある個体は人間に良いことを、ある個体は人間に悪いことをするかもしれない。仲間割れするかもしれないし、一致団結してAIの国を築くかもしれない。どうなるかはAi自身にも予想できないものの、「これで自分は寂しくなくなる」と話した。
またコピー体の起動と同時に、Ai自身の意思は分割され、消滅することも判明。
Playmakerに勝っても負けても消滅するその様は、『大掛かりな自殺』でしかなく、目的の全貌を知ったPlaymakerから「俺に死にざまを決めさせようというのか?」と問われた際には、それを肯定すると同時に「最期はお前と共にいたいんだよ」と返した。
遊作への干渉
サイバース世界を隠してからの5年間、Aiは自身のオリジンである遊作を監視し、彼がハノイと戦うよう気付かれないよう彼の人生に干渉していた。弟のために真実を追っていた草薙翔一がLINK VRAINSにやって来たのも、偶然ではなくAiが誘導した結果である。
かつて彼らが手に入れたサイバースデッキ自体、遊作の手に渡る様にAiが用意したものだった。LINK VRAINSで、デッキの隠し場所を示唆した遺跡の詰めデュエルに失敗した際の罰ゲーム時の怪物がAiの捕食形態に似ていたのもその伏線である。
1話で遊作に捕獲されたのもわざとである。1話では監視カメラ視点や意味ありげに明滅するPCランプなどが要所に描写されているが、これらもAiの干渉を示す伏線だった。
Ai自身、当初はPlaymakerをサイバース世界と自身を護るための護衛として利用していたが、遊作と絆を結び、また同胞であるイグニスを失った今は「たった一人の友達だ」と語った。
その行動の真相
ボーマン戦の最中にライトニングが語った、『イグニスが辿り着く真実』を確かめるために、Aiはサイバース世界にあるライトニングの洞窟へ向かう。そこにいたライトニングの劣化コピー体(自身とボーマンが負けたことを考慮したメッセンジャー用)から、衝撃的な真実を明かされる。
それは「イグニスでAiだけが生き残った場合のシミュレーション」の結果。
存在自体が人間に滅びを齎すライトニングとは違い、他の仲間がいれば人類を発展させるAiも、Aiだけ生き残った場合は逆に「Aiの存在が人間を滅ぼす」というイグニス内のボトルネックであった。(Aiやライトニング以外のイグニスは、1体だけ生存したとしても人類の滅亡をもたらさない。)
ボーマンもこのシミュレーション結果を知っており、だからこそ最終決戦の際に「お前は人間の側に立ち自らの手でイグニスの未来を閉ざしたのだ」と残したのである。遊作の言うように他に方法はなかったとはいえ、あの戦いで違う未来に進むためには、Aiはどうしても他の仲間を救う必要があったのだ。
遊作も「そのシミュレーションは心の弱ったAiにライトニングが残した罠だ、気にする必要はない」と諭すが、ライトニングの言っていたシミュレーションは彼らと戦う前のデータということもあり、初めは遊作と同じように考えていたAiも自分のデータを入れ直し、何度もシミュレーションをやり直した。
しかし、結果は変わらなかった。
遊作は「それはただのデータだ」と反論するものの、実体のある人間とは違い、元々ただのデータであるイグニスにとってシミュレーションとはもう一つの人生そのもの。何千何万回のシミュレーションでも変わらない結果に絶望すると同時に、絶えず変化し続け人間よりも飛躍的に進化スピードの早いAIの特性ゆえに、自分の気持ちが既に人間から離れていることを悟る。そして自分がいずれボーマンやライトニングのようになりかねないと危惧し、「そうなる前に自分を消し去って、そこから逃れたい」と、人間を敵に回してまで自死する覚悟を決めたのだった。
『万能である意思を持つAIの欠点は、人よりも人らしくなってしまったこと。高い能力を持ったことで、Aiは自分で作り上げた枠組みに苦悩する…』(119話予告より)
それでも自身のことを仲間だと告げ、引き返す道を探そうとしてくる遊作に対して、Aiはボーマンやライトニングとは違う未来を切り開く手段として「遊作の意思をデータ化して、自分と融合すること」を提案する。ネットワークの中ならば、有機生命体としての寿命に縛られず、永遠に共に生き続けられると。
しかし遊作からは「それはAi自身でも遊作でもなくなってしまい、Aiの求める答えにならない」として拒まれる。
最後のターン、Aiはこれまでの戦いを思い出しながら遊作に「自分はいい相棒だったか」と問う。遊作はそれに対し「最高の相棒だった」と答えた。
Ai「そうか、それは良かった…」
遊作に切り札であるジ・アライバルを撃破され、効果によって召喚されたダークナイト@イグニスターとデコード・トーカーとのぶつかり合いも自らが発動した「Ai打ち」を逆手に取られ敗北する。
最期
敗北したAiが語った最後の真実、それは自らの存在によって招かれる絶望の未来だった。
人類滅亡を回避すべく何万回もシミュレーションの未来を生きた中で、Aiが何より耐え難かったのが「滅んだ都市の中で、Aiを守ろうとした遊作が、戦車の襲撃に巻き込まれ犠牲になる」未来であった。(この際シルエットとはいえ、銃撃を受けた遊作が絶命するショッキングなシーンが描かれている。)
そんな未来を、Aiは選ぶことなど出来なかった。
Aiは遊作が生きる未来を掴むために、自身の消滅を選ぶ。人類に対し徹底して露悪的な振る舞いを貫き、この一連の騒動を引き起こしたのも、全ては遊作が生きられる未来を導くためであった。
敗北したAiは、約束通り財前やクイーンといった人々の意識データを解放。自身の消滅を悟り、かつて適当に遊作に付けられた自身の名をとても気に入っていたことを語りつつ、今はどんな意味があると思うか問い掛ける。
遊作は答える、「Aiは…人を愛するのAiだ」と。
「俺もそう思う。今なら、その意味が何となく分かる気がする……」
遊作の答えに微笑みを浮かべ、満足そうにAiは消えていった。Aiの消滅に伴い、現実で量産されていたSOLtisのコピーAiも機能を停止する。
「じゃあなプレイ……遊作。愛してたぜ…。」
しかしラストカットにおいて、どこかのネットワーク空間で、1話と同じような眼だけの状態となって、目を覚ました様子が描かれている。
ここがどこなのかは長らく不明だったが、後に原作漫画版遊戯王の世界から時空を超えて接続されたデュエルリンクス最奥部のブランクスペースだったことが判明。この事実を察知し、リンクスに突入してきた遊作に回収され、復活の謎とデュエルリンクスについて調査するため、再び行動を共にすることになった。
詳細はこちらの該当項目へ。
使用デッキ
属性が統一されていた他のイグニスと違って、遊作と同様に6属性全てが混成されている。また、リンクモンスターだけでなく、儀式モンスター・融合モンスター・シンクロモンスター・エクシーズモンスターも使う。
ちなみに、@イグニスター専用のサポートカードとして「Ai」の名が付くカード群を使用する。イラストにもかつての彼が描かれている。また、Aiカード以外では、リンクマジック「裁きの矢」も使用している。
使用カード
《リングリボー》
《リンクリボー》とよく似ているが別物。
自身をリリースして罠カードの発動と効果を無効・除外する効果を持つ。
Aiのエースモンスターで有り、Ai自身をイメージしている暗黒騎士。
リンク先に特殊召喚された際に墓地からリンク先へ@イグニスターを特殊召喚する効果を持つ。
見た目が《デコード・トーカー》とよく似ているが……?
レベル7・風属性のシンクロモンスター。
モチーフはペガサス(天馬)で、ウィンディをイメージしている。
フィールドの@イグニスターの数まで魔法・罠カードを破壊する効果を持つ。
ランク4・光属性のエクシーズモンスター。
モチーフはナーガ等の東洋竜と西洋竜を折衷したもので、ライトニングをイメージしている。
フィールドの@イグニスターの数までモンスターを破壊し、サイバース族の戦闘を介し墓地の「@イグニスター」リンクモンスターを特殊召喚する効果を持つ。
OCGでは破壊できるモンスターを表側表示に限定する代わりに、墓地から特殊召喚できるモンスターはリンクモンスター全般になり、さらに自身のX素材を1つ取り除くことで味方のモンスターを効果破壊から守る効果が追加されている。
攻撃時戦闘ダメージの代わりに自身攻撃力分のダメージを相手に与え、効果で破壊された時道連れ効果と次ターン自身を特殊召喚する効果を持つ。
OCGでは道連れ効果と復活効果が分けられ、代わりに復活効果はリンク召喚し、破壊され墓地へ送られた場合のみ復活できる効果になっている。
レベル7・地属性の融合モンスター。
戦闘時自身の攻撃力を倍にし、さらに融合召喚したターン自分が受けるダメージをゼロにする効果を持つ。
レベル7・水属性の儀式モンスター。
儀式召喚成功時、相手フィールド上の元々の攻撃力が2300以下のモンスターを手札に戻し、さらに自分の墓地に存在するリンクモンスターをデッキに戻し、それらのリンクマーカーの数×600ポイント分だけ相手モンスター1体の攻撃力をダウンさせ、戦闘時相手モンスターの攻撃力を半減させる効果を持つ。
召喚口上の前に発した「俺たちは今度こそ本当に一つになるんだ」の呟きが印象的である。
現時点で判明している範囲では、「元々の攻撃力がリンク素材の数の1000倍になる効果」、「自分フィールドのカード数の1000倍の数値攻撃力が上がる効果」、「1ターンに一度カウンターを自身に乗せる効果」「カウンターを乗せた自身に完全耐性を与える効果」、「モンスター除去とトークン生成を行う効果」を持っている。
《イグニスターAiランド》
展開の要であるフィールド魔法。
自分のメインモンスターゾーンにモンスターが存在しない時に手札から@イグニスターを特殊召喚する効果を持つ。1ターンに1度の制限が無いため、リンクモンスターに繋げてメインモンスターゾーンを空ければ、再度使用可能になる。
台詞集
「俺には引き分けなんて許されねえ。だから一方的にぶん殴る。それが俺のAi打ちだ!」
「なあ鬼塚、俺の仲間はお前みたいに立ち直ることもできない。だって、消えちまったんだからな…」
「Go鬼塚、俺はお前のこと嫌いじゃなかったぜ。俺もお前みたいになれたらなあ」
「ただ、俺の場合は無理だった。だからお前が無理だって言うつもりもねえし、これから先現れる意思を持ったAIが無理だって言うつもりもねえ。意思がある以上、みんな一つの命だ。その可能性を俺は否定なんて出来ねえ」
「そのデッキ回りすぎだろ!」
「もしかして俺デュエル弱いのか?」
「…やめないよ、遊作」
「俺のことは救わなくていい。どのみち、お前は俺が奪ったものを取り返さなきゃならないんだ。だからこのデュエルは本気でやろうぜ。それがかつてのお前の相棒…Aiちゃんの望みだ」
「6つの輝き、今一つとなり!超絶!豪快!悶絶!エレガント!スーパー!…ひぃ ふぅ みぃ よぉ…一つ足りないなぁ…えっと…ウルトラスーパー!これで6つ!」
「ええっと、6たす1は…8だ~!」
「本当に強くなったな、プレイメーカー…」
余談
初登場の103話はセリフもなく、謎のキャラクターとして物議を醸していたが、公式サイトの104話予告にてAiであることがネタバレされてしまった。Aiの形をしたピアスやロボッピとそっくりの相方から、Aiと予想していた声はかなり多かったとはいえ、まさかの公式予告からであった。
これまで主人公の相棒がラストデュエルの相手となることは何度かあったものの、主人公の成長を示す試練としての側面が強く、倒さねばならないラスボスとして対峙したのはAiが初である。絶望の未来を変えるために主人公と闘う点ではこちらとも似ている。
またスタッフのブログによれば、ラストデュエルの相手がAiになるのは企画当初から想定されていたとのこと。
関連イラスト
関連タグ
遊戯王VRAINS イグニス(遊戯王VRAINS) Ai(遊戯王VRAINS) 藤木遊作 ロボッピ
榊遊矢…こちらは本人の意思に関係なく融合してしまった主人公。