アヴィケブロン(Fate)
あゔぃけぶろん
ゴーレムとは、生命の創造……即ち、原初の人間(アダム)の模倣である。
プロフィール
真名 | アヴィケブロン(ソロモン・イブン・ガビーロール) |
---|---|
クラス | キャスター |
性別 | 男性 |
身長 | 161cm |
体重 | 52kg |
出典 | 伝承 |
地域 | 欧州 |
属性 | 秩序・中庸・人 |
イメージカラー | 菫色 |
特技 | 詩 |
好きなもの | 孤独(Apo)、詩を紡ぐこと(FGO) |
苦手なもの | 衆目(Apo) |
嫌いなもの | 迫害(FGO) |
天敵 | ジーク |
設定担当 | 東出祐一郎、三輪清宗 |
ILLUST | 近衛乙嗣 |
CV | 宮本充 |
カバラの基盤を作ったと伝えられている。
概要
『Fate/Apocrypha』に登場するキャスタークラスのサーヴァント。
青いマントとボディスーツ、無貌の仮面で身を隠した男。聖杯大戦において、ロシェ・フレイン・ユグドミレニアによって聖杯大戦開始二ヶ月前、ランサーとほぼ同時期に召喚された。
マスターであるロシェから、ゴーレムマスターとして尊敬の念を込めて「先生」と呼ばれている。その後彼と共に城内の工房で、兵士として使うゴーレムの生産と宝具の設計・開発に明け暮れる。
真名
中世ヨーロッパのルネッサンスの起点となった哲学者の一人、『アヴィケブロン』。
一般的にはもう一つの名である『ソロモン・イブン・ガビーロール』の方が有名だが、『Fateシリーズ』では「魔術王ソロモン」と区別するため、基本的に「アヴィケブロン」呼び。
彼はヘブライ語の『受け取る』という単語から「カバラ」という魔術基盤を生み出し、魔術師の世界にも大きな影響を与えた人物。また詩を愛する詩人であり、哲学者でもある。
彼の聖杯への願いは少し複雑で、「己の宝具である『王冠・叡智の光』の完成」。ただ宝具として完成させたのでは「未完成」であり、これにはカバラの考えが大きく影響している。
そもそもゴーレムとはカバラの術の1つであり、名は“胎児”や“形作られざるもの”などを意味する。即ち、神が原初の人間の創造した際の秘術を再現するための魔術であり、単に強力な兵器として力を振るうだけの物は決して彼が求める「完成された存在」ではない。
『苦難に満ちた我々を、再びエデンの園へと導く偉大なる王』――それこそがアヴィケブロンが究極のゴーレムに求める役割である。その深遠な目的から、常に「より良い宝具(モノ)を作りたい」と願う探究者で、宝具の炉心に使える生贄がゴルドしか居ないことを残念に思っていた。
だがその在り方は魂や信念、誇りや技を注ぎ込む「職人」とは決定的に異なり、彼の内にあるのは人が信じ仰ぎ見る物、最上の存在を造りだそうという「信仰心」のみである。
また、アニメ版に於ける生前の回想シーンでは、伝承と同じ姿で登場している。
人物
一人称は「僕」。
生前に患った酷い皮膚病から独特の衣装で全身を覆い隠している異貌の魔術師。その非人間的な雰囲気から一見老練な魔術師や気位の高い知識人を思わせるが、予想に反して喋り方は若々しい。
生前は病弱で常に病に苦しめられていたことから、極度の厭世家にして悲観主義者で人間嫌い。そのために他人とは必要以上の言葉は一切喋らない。ただ伝承ほど病的な人間嫌いではなく、マスターであるロシェやスポンサーのダーニックなど、必要とあらば普通に会話する。
生前に子供とはまるで縁がなく、人間嫌いの自身が懐かれることなど想像もできなかったので、実はマスターであるロシェにどう接していいか分からず、苦手だったらしい。ただ、彼の人格と才能は好ましいと考えており、生前に出会っていたならば弟子にしていただろうとしている。
普段の態度は物腰柔らかく、物静かで紳士的。愛想は無い方だが、傍目からは人間嫌いとはとても想像できない。ただ、どこか子供のような純朴さも持ち合わせている。生前からゴーレムを愛すべき隣人として生きてきたため、ゴーレムに対する探究心には並々ならぬものがあり、その様はまさにゴーレムマニア。だが現在の技術に満足はせず、さらなる探求も行っている。
彼はカバラを提唱した魔術師であるが、その本質は魔術師でも職人でもなく、信仰の人である。彼はユダヤ教を心から信仰し、根源への到達よりもユダヤ人の救済、さらにはその手段としての「アダムの再創造」こそを聖杯に願う。生前は悪事をなしたことなどなかったが、英霊となってからは悲願のために手段を選ばなくなり、より魔術師らしくなった。
能力
魔術師としての能力は、ゴーレム関係のみの一点特化型。多種多様なゴーレムの作成に加え、目視出来る範囲であれば手動操作により、多数のゴーレムを自由自在に操る。ただし、宝具を含めたゴーレム作成にかかる材料は全て自前で調達する必要があるので、良質・多数のゴーレム軍団を作るには、適した土地を確保するか、然るべきコネクションと財力を用いて搬入する必要がある。
『Apocrypha』ではパトロンであるダーニックが金に糸目を付けぬサポートを行っており、宝具の素材だけでダーニックの私財3割以上に及ぶ巨額が投資されていた。
『FGO』では、屈強な体格のゴーレムを召喚して戦う。等身大のゴーレムを4体召喚して袋叩きにさせたり、巨大なゴーレムを1〜2体召喚して拳や足で叩き潰させる他、エクストラアタックでは、相手にゴーレムを組み付かせた後、魔力炉を暴走させて敵諸共自爆させている。
保有スキル
陣地作成(B) | キャスターのクラススキル。魔術師として、自身に有利な陣地を作り上げる。彼の場合は、ゴーレムの鋳造に一点特化した『工場』の形成が可能。 |
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道具作成(B+) | キャスターのクラススキル。魔力を帯びた器具を作成できる。アヴィケブロンのスキルはゴーレムに特化しており、それ以外は何も作る事が出来ない。 |
数秘術(B) | 魔術系統の一つ、カバラ。ノタリコンによる短縮詠唱と組み合わせる事により、複数のゴーレムに複数のコマンドを一瞬で打ち込む事を可能とする。 |
高速詠唱(B+) | 『FGO』で追加。魔術の詠唱を高速化するスキル。彼の場合は勿論ゴーレムの製造で、条件が揃っていれば合図一つで速やかに創り出す事が可能。 |
平穏の無花果(EX) | 『FGO』で追加。伝説によると詩才を嫉んだある男によって殺され、イチジクの樹の根元に埋められたとされる。イチジクがあまりに甘美な実をつけるのを不思議に思った人間達が掘り返し、男の罪が露見したと伝えられる。 |
王冠:叡智の光(ゴーレム・ケテルマルクト)
- ランク:A+→EX
- 種別:対軍宝具
- レンジ:1~10
- 最大捕捉:100人
「では、始めよう……」
「五大元素接続。土塊に生命と武器を。生み出す楽園にて、受難の民を導き給え。『王冠:叡智の光(ゴーレム・ケテルマルクト)』!!」
生前完成を願い、叶わなかった至高のゴーレム。宝具は通常、既に完成したものであり、発動する際に必要とされる条件を除けば、宝具そのものに必要な素材など存在しないが、例外として『単体の英霊が所有するには、余りに巨大な物』、『未完成であるが故に、伝説に刻まれた代物』が存在し、この宝具も起動にはキャスターが現界した後に現在の物質を使って製造する必要がある。
詳細は該当記事を参照。
我が目は無限なる視野を持つ(コクマー・ベル・インフィニト)
- ランク:不明
- 種別:不明
- レンジ:不明
- 最大捕捉:不明
宝具かどうか不明だが、一応記載する。
複数箇所に仕掛けたゴーレムを一斉に起動させる術式。
『FGO』第2部1章でヤガの街中にて使用した。
我が手は蒼氷の錫(ケセド・サフィロ)
- ランク:不明
- 種別:不明
- レンジ:不明
- 最大捕捉:不明
宝具かどうか不明だが、一応記載する。
雪や氷を用いて構築されたゴーレムを起動させる術式。
『FGO』第2部1章で雪原にて使用した。
我が体は赤き盾(ゲブラー・アルマドゥラ)
- ランク:不明
- 種別:不明
- レンジ:不明
- 最大捕捉:不明
宝具かどうか不明だが、一応記載する。
ゴーレムを盾形に構築して前方の敵を防ぐ障壁とする。
『FGO』での『Apocrypha』コラボで発動し、空中庭園からの攻撃を防いだ。
他作品での活躍
Fate/Grand Order
第2部1章『永久凍土帝国 アナスタシア』と共に実装。レアリティは☆3。
シナリオでは、ロシア異聞帯にて主人公がカルデアで契約したサーヴァントたちの「霊基グラフデータ」を用いてサーヴァントの召喚を試みた際に、人類史の断末魔の影響でカルデアで縁を結んだ英霊ではなく全くの初対面である彼が召喚された。多くを失ったカルデアに真っ先にやってきた助っ人が「ソロモン」なのはどことなく縁を感じさせる。
魔術が秘匿されるものではなくなり、神代回帰に伴う神秘の復活によって工房を作らずともゴーレムの素材に足る天然資源が潤沢となっているロシアの異聞帯では、極寒の吹雪さえものともせず戦闘・移動手段・陣地の設営及び警護等をこなし、あらゆる組織力をゴーレムで補える彼のカバラがカルデアにとって最適の援軍となり、世界に選出されるに相応しい仕事ぶりを見せている。
当人もこの環境に興奮冷めやらぬようで、シナリオ中盤でトンネルを掘ることになるのだが、ついでに素材の鉱床として採掘し放題とあってかつてなくテンションの高い先生が拝める。
石とフレポと素材と種火とQPとフォウくんの山を前にしたマスター達の心境と言えばお分かりだろうか?主人公が提案した氷雪でのゴーレム作りに興味を示したり、シャドウボーダーの装甲修繕に協力する際に、なぜか魔改造をやらかそうとしたりと、随所でモデラー魂がはっちゃけている。
人嫌いを標榜しながらも、拙いながら積極的にマスターたちとコミュニケーションを取ろうとしている。その一方で明確に「『先生』と呼ばれる資格は僕にはない」とも語っている。
その内心は終盤、彼本人の口から明かされる。
この先ネタバレ注意
それは霊基に刻み込まれるほどの、深い慚愧の念。
生前がどうであれ聖杯戦争に召喚された以上、殺傷行為は避けられない。
アヴィケブロンも、ほかの英霊とて条件は同じである。
だが――彼の犯した『それ』は、ただの殺生ではなかった。
その聖杯大戦で、彼は悲願の為に自らの矜持も、道徳すらも踏みにじった。
自らを「先生」と呼び慕う、自分のマスターだった子供を殺したのだ。
汎人類史も漂白されて記憶は曖昧、その子の顔も声も、アヴィケブロンは最早思い出せない。
しかし記録は事実として、召喚するたびに突き付けてくる。
『おまえもまた、欲望に突き動かされた魔術師と同類だ』と…………
言うまでもなくこれは『Apocrypha』本編での所業のことであり、『FGO』で人付き合いを改めようとしたり、再び道徳を尊び魔術師らしさを潜めるような姿からも、彼の後悔のほどがわかる(アニメではカットされてしまっているが、内心ではロシェを裏切り命をアダムに捧げさせた事への後悔と罪悪感は原作でも描写があり、ケイローン怒りのヘッドショットも望みであったアダムの起動を終えたこともあり報いとして甘んじて受け入れた)。自分のマスターを裏切ってしまった後味の悪さと罪悪感だけは彼の心に未来永劫残り続けることとなっていたのである。
この話をする直前、あるゴーレムの炉心を求めていたこともあり、『Apocrypha』の再現かと身構えたプレイヤーも多いだろう。いつかはわからぬ自分の過ち。
その清算をすべく、彼が自らに課した選択を、ぜひとも『FGO』本編で見届けよう。
バレンタインイベントでは現代のロボットに興味を持っており、ライブラリに映像資料があると知った時にはテンションが上がっていた。魔術師ではあるが、科学の発展は恐ろしくも好ましいと考えている様子。曰く、ゴーレムとロボットの違いは基盤がカバラか科学であるかどうからしい。見た目がまんまロボであるバベッジやメカエリチャンを見て彼は何を思うのだろうか……
その答えは2020年9月から実装された自身の幕間の物語で明らかになる。
カルデアにロボ系の見た目、またはそれに連なる宝具を持ってきたサーヴァント達が増えたのをいい事に、自分の宝具の向上および技術発展に託けて『ギッチギチ第一回史上最強ロボコンテストinカルデア杯』開催を提案する。先生、何やってるんですか……
さらにはギリシャ系ロボ宝具のエースパイロットと互いに対抗心を燃やした上で最後には決闘で友情を分かちあった好敵手の如く意気投合。一緒に宝具改造し合う仲となった。
貴方まで何やってるんですか……
また、バレンタインイベントでの彼からのお返しは、やはりというかチョコレートで出来た手のひらサイズのプチゴーレム。鬼の咬合力ですら食べられないという重大な欠点がある。それ以前に自分から包みを剥がして机の上をちょこちょこと動き回るため、色んな意味で食べづらい。
ちなみに出自も普通の人間で、人外の血が入っているわけでもないのだが、霊基再臨三段階目に入ると四本腕になり、仮面からは角が生える。
イベントによっては、彼の作ったゴーレムがエネミーとして登場する。最近では邪馬台国で収穫した米や、麻婆豆腐などの食材でゴーレムを作っており、キャンドルにまで手を出そうとしている。
ゲーム上での性能
☆3キャスター中HPが2位、ATKがワースト2位のHP寄り。成長は凸型でレベル60まででほぼステータスが完成される。後述する第3スキルとの兼ね合いも考えるならそこまでで止めてしまうのもあり。《Quick:1/Arts:3/Buster:1》と典型的なカード構成をしている。
ゴーレムを作り出して敵を攻撃するが、カードによってゴーレムの攻撃方法が異なる。
Busterは二体のゴーレムによる両腕での強力なアームハンマー、Quickでは五体の小型ゴーレムが次々と攻撃、Artsは一体のゴーレムによる攻撃だが、同じArtsを繋げる事で、アームハンマー→パンチ二回→踏みつけ、の順に継続して攻撃する。ただし、自分のArtsカードの後に、自分以外のArtsカード及び他のカードがある場合、そのゴーレムでの攻撃は途切れてしまう。
そして、エクストラアタックはゴーレムが敵を押さえ込み、敵を巻き込んで自爆する。
スキルは、自身のArts&Buster性能を3ターン強化する「数秘術(B)」、自身のNPを増やす「高速詠唱(B+)」、そしてユニークスキルの「平穏の無花果(EX)」となっている。「高速詠唱(B+)」は最大まで強化しても79.5%までしか上昇しないが、本作には「NPは99%になると小数点以下は切り上げで100%になる」という仕様があるので、「魔術協会制服」等でNPを+20%したり、アペンドスキル「魔力充填」をLv10にすれば、概念礼装問わずの即宝具発動が可能になる。
第3スキル「平穏の無花果(EX)」は効果時間(5T)中に倒れると以下の効果が発動する。
「味方全体に無敵状態を付与(3ターン、Lv1-9の場合2回、Lv10の場合3回)」
「味方全体のHPを回復:1000-2000」
退場時に効果を発揮するものは礼装にはあったがサーヴァントのスキルとしての実装は初。この効果は退場時に場に残っている味方2〜1名にしか効果を及ぼさないので使い所に注意が必要。
宝具はやはり『王冠:叡智の光(ゴーレム・ケテルマルクト)』。種別はBusterで、効果は【敵全体に強力な攻撃+味方全体のNP獲得量をアップ(3T・オーバーチャージで効果アップ)】。先述の幕間の物語クリアで基礎威力の上昇と攻撃前に【自身の宝具威力をアップ(1T・オーバーチャージで効果アップ)】が追加される。幕間の物語解禁の条件が「第2部3章到達」とかなり遅く、それまでは☆3キャスターかつ未強化ゆえに攻撃力が思うように伸びないので、何かしら工夫が必要になる。また、追加効果のNP獲得量アップもオマケ程度なので、単体ではさして期待できない。
おすすめの礼装は、スキル2・3をすぐに使用し宝具発動後さっさとバフを撒いて退場、という使い方が視野に入るため、タゲ集中状態付与+攻撃力アップの「ぐだぐだ看板娘」、宝具威力アップ+HPが減る「黒の聖杯」の二つはその運用の際に非常に相性がいい。その他退場時に効果を発揮する「500年の妄執」「慈悲なき者」「カムランの戦い」なども良いだろう。
関連人物
生前
ユダ・ハレヴィ
同じくユダヤ教にて「神秘家」とされる哲学者。
どちらかと言えば、こちらは詩人の要素が強めである。
Fate/Apocrypha
契約したマスター。
聖杯戦争の傍らでゴーレム作りのレクチャーをしている。
自分に尊敬の目を向ける彼を悪くは思っていなかったのだが……
一応聖杯大戦の敵対者で、あちらもキャスターの適正を持つ。
本人同士は特に関わりがないが、彼女の宝具も現世の資材で組み立てるというプロセスが要る。
Fate/Grand Order
この世界で契約したマスター。
『Apocrypha』での経験から、彼/彼女と本当の友になろうとしている。
本編及び幕間では彼のロボ、もといゴーレムに歓喜していた。
同じく悲願成就への誘惑に抗えず、自らを慕うマスターを生贄にしてしまったキャスター。
その事を霊基へ刻み込む程の後悔とした贖罪者という点も共通。違う点として、アヴィケブロンは己の内側から生じた誘惑に、パラケルススは外部からもたらされた誘惑に負けたという所か。
巨大人形ロボの宝具を持つもの繋がり。
自身の幕間ではライバル心を露わにして決闘した。
現時点で本人同士は特に関わりがないが、『Apocrypha』では彼の父親を炉心に使う可能性を示唆していた。実現しなくてよかったというべきか……
関連タグ
Fate/Apocrypha Fate/GrandOrder
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新世紀エヴァンゲリオン:アダムやエデン、セフィロトと言ったモチーフが取り入れられている巨大ロボ作品。