概要
よく「日本は学歴社会の国だ」と言われることがあるが、実際には海外(特に先進国)は日本以上に学歴を重視している国が少なくない。
この項目では、日本国以外の国々の学歴社会の事情について解説する。
韓国(大韓民国)
韓国では大企業の力が非常に強く、日本の様な中小企業が殆ど育っていないため高卒の就職先が極めて少ない。また、ブルーカラー(ガテン系)の人々に対する職業差別の意識が日本より著しい。
その為、必然的に大卒資格の価値が日本より高くなっている。
また韓国は日本以上に学閥を重視する社会である為、ソウル大学校等の有名大学の人気が非常に高い。
アメリカ合衆国
よく「アメリカは能力がものを言う国」と言われることが多いが、実は「学歴も実力のうち」というのが常識・認識を持っており、韓国ほど極端ではないが日本以上の超学歴社会である。
「アメリカは能力主義だから学歴なんか関係ない」というのは大きな誤解である。
確かにアメリカは日本や韓国ほど学閥が強い国ではないため卒業した大学のブランド名はあまり重要ではないが、大卒資格の価値はとても大きく、最終学歴が大卒の人と高卒の人の平均年収の差がとても大きいのである(日本は大卒と高卒の収入の差が比較的小さい)。
これには理由があって、アメリカは人権に対する意識が日本より高く人種(白人か黒人か黄色人種か)や性別(男性か女性か)、生まれた家による差別は決して許されないが、学歴による人間の区別は問題ないと判断されているからである。人種や性別、実家は生まれつきの要素でもあり自力で変えられるものではないが、学歴は個人次第で低学歴にも高学歴にも成れるという一側面があるのである。
特にアメリカは日本と違って多民族国家である為、それぞれの民族の価値観が異なるという問題点がある。だが学歴や資格は人間を評価する物差しとして分かり易いため重要視されている。移民がアメリカで働く為に必要な就労ビザも、基本的には大卒以上であることが取得の為の条件と成っている。
※しかし実際には、高学歴者は白人が多く、逆に黒人は少ないという現実もある。
またアメリカは日本の様な天皇家(他の国で言う王家)が存在しない代わりに学歴によってほぼ身分が決まる階級社会である。だが江戸時代の日本の様な士農工商では無く、その人次第で上にも下にも成るという階級社会ではあるが。
学歴によってほぼ身分が決まるということはアメリカが未だ能力主義の幻想を持っている証拠でもあるとも言える(発展途上国や失敗国家、先進国でも生まれた家で身分が決まる事例も有ったりはするが)。
アメリカでは無名の大学(俗にいうFランク大学)であっても卒業出来れば「高卒よりは良い」という評価になる。これはアメリカの大学は入学難易度はそれほど高くはないものの、日本と異なり卒業するのはとても難しく、能力が無いと卒業出来ないという理由があるからなのだ。なおペーパーテストの成績だけでなく人間性も優れていないと卒業出来ないのである。
そして繰り返すがアメリカの場合、大学のブランド名はある程度重要では無く、「大学で何を学んだか」の方が重要視される。無名大学出身であってもその人次第では高評価を得られるのである(日本ではその人が何を学んだかよりも、どの大学を卒業したかの方が重要視される)。
尤もアメリカの場合は資本と学歴が強い相関関係にある為、超学歴社会だろうと文句を言いづらいという一面もある(日本の大学は医学科や薬学部等、一部の学科を除いて一応卒業は出来るので、必ずしも学歴と実力が比例しないという問題点がある)。
そしてアメリカでは高度な知識を要する職業に就く場合は学部卒ですら相手にされず、大学院まで行くのが常識となっている。
特に医者は日本のな医学部は存在せず、一度大学を卒業してから大学院で医学教育を受けるという流れになっている。
またアメリカでは上にのし上がる為にも基本的には高い学歴が必要になる。
例えば日本の自衛隊の幹部は高卒の人が少なくないが、米軍の幹部は大部分が大卒以上の学歴を持っているのである。
極一部のビル・ゲイツやスティーブ・ジョブズ、イチロー等の様に大卒資格が無くても社会的地位が高い人もいるが、それは「学歴以外の特別な才能や良い環境」が有ったからで有り、大体の人は大学に行くことが良いと言われている。
アメリカは日本とは比較に成らない程奨学金制度が充実しており、貧しい家庭の子供でもやる気が有れば簡単に給付型(返済不要タイプ)の奨学金を貰う事が出来る。「家が貧しいから」という理由で大学進学をやめる人は少ないと言われている(日本では返済が必要な奨学金のタイプが多い)。実際、アメリカの多くの若者が軍隊を志願する理由として「奨学金を貰って大学に行く為」というのがあげられる。
また日本では新卒かつ若くなければ大卒資格はそれほど強いものではないが、アメリカでは大卒資格がとても強い為、社会人に成ってから大学で学び直す人も多い(日本では少数派)。
またアメリカでは学歴が低い程、平均寿命も短いという統計もある模様(因みにアメリカ人の平均寿命は先進国では最下位)。
関連項目
ヨーロッパ
フランス共和国
フランスはイギリスと並び、ヨーロッパでトップクラスの超学歴社会・エリート主義の国であると言われている。
基本的には大学の専攻と就職先の業界が一致するのが原則であり、(日本のような)文系大学の出身者が理工系の仕事をする、という事例はきわめて稀である。
また、フランスには大学より格上のグランゼコールという高等教育機関が存在する。官僚を目指す人や優良企業に就職したい人は「グランゼコールに行かないと話にならない」と言われるほど。
ドイツ連邦共和国
先進国の例に漏れず、ドイツもアメリカ合衆国やフランスほどでは無いにせよ、学歴社会の度合いが日本以上に強い。
他の国々と大きく異なるのは、小学生の時点でほぼ進路が決まってしまうということである。日本の場合は教育困難校と呼ばれる底辺高校や工業高校からでも大学進学を目指すことは不可能ではないが、ドイツでは進学先の中学校によっては大学進学が絶望的になってしまう(職業系の中学校に進学した場合)。
日本でいう普通科の進学校に相当する学校がギムナジウムで、多くの親は子供に「ギムナジウムに入学してもらいたい」と考えているそうだ。
関連項目
超学歴社会アメリカ 韓国社会 能力主義 階級社会 階級 身分
選民思想:行き過ぎた場合、こう呼ばれる。