ヒスイヌメルゴン
ひすいぬめるごん
基礎データ
概要
『ポケモンLEGENDSアルセウス』に登場するポケモンで、ヒスイ地方の環境に適応したヌメルゴンのヒスイのすがた。
並み居る先輩方を飛び越え、600族初のリージョンフォームとなった。進化前およびヒスイクレベースと並んで、第6世代初のリージョンフォームでもある。
進化前のヒスイヌメイルに引き続き、尻尾が発達した巨大な金属質の殻と一体化しており、体から垂れる粘液も、殻を作る金属成分が混じった銀色に変化した。
モチーフのカタツムリよろしく、殻の中に全身を引っ込める事が可能で、収納時は明らかに横か後ろに転がってしまいそうだが、重心が安定しているのか常にまっすぐ自立する。
殻に対して本体はあまり変化していないように見えるが、よく見ると角は長めで、体型もややスリムになっている。地味な所では進化前のヒスイヌメイルから変色していったように、頬と尾の丸模様や目が完全に灰色になっている。また丸模様がそれぞれ一つ減っている。
外敵に対しては殻と身体の剛軟を自在に操り対応するが、やはり軟体の足腰では重いらしく、素早さは原種のヌメルゴンより遅い。
性格も原種の人懐っこさを更に激化させたヤンデレ気質となっており、孤独を嫌い執念深く、好いた者が自分から離れると怒り荒ぶるという、ドラゴンらしい危険性や執着心が強くなった。
それを表すかの如く、目つきもヒスイゾロア同様の病んだ困り目に変化している。
色違いは原種とは異なり体色に変化は無く(一応、目と垂れている粘液と模様の色が違っている)、一方で殻の色が茶色になっている。
ゲームにおける特徴
HP | 攻撃 | 防御 | 特攻 | 特防 | 素早さ | 合計 | |
---|---|---|---|---|---|---|---|
ヒスイ | 80 | 100 | 100 | 110 | 150 | 60 | 600 |
原種 | 90 | 100 | 70 | 110 | 150 | 80 | 600 |
変化分 | −10 | ±0 | +30 | ±0 | ±0 | −20 | ±0 |
設定どおり、原種よりもHPと素早さが下がって防御が大きく上昇した。素早さは遅くなったが原種の欠点だった防御の脆さが補われ、相対的に配分バランスは良くなっている。
特防が極端に低いやや尖った性能のジュラルドンと違い、耐性を全面に生かしていける重量級のはがね・ドラゴンとしては大分理想に近いステータスになった。
元々あまり速さで勝負するポケモンではないのと、鋼による耐性の大幅な増加でスペック上は原種のほぼ上位互換と言っても差し支えない。
特筆すべきは、やはりはがねタイプが追加された点。はがね・ドラゴンなのでかつてのメタグロスと同じく弱点が2タイプで半減以下が10タイプもある優秀な複合であり、この耐性が600族譲りの高ステータスに加わる。そのため、数値以上の耐久力を発揮する機会も大きい。
HPが原種より低いものの、相変わらずクレセリアに匹敵する圧倒的な特殊耐久があり、僅かな弱点さえ突かれなければ大抵の攻撃は耐えられる。
習得技も原種由来の非常に豊富なラインナップに「アイアンヘッド」「てっていこうせん」などの鋼技が追加され、新技「たてこもる」をはじめ耐久面を更に強化する積み技も揃っている。ただ、攻撃面は原種同様並程度なため、力業等で補う必要がある。
素早さの関係で被弾回数は増えがちだが、相手によっては何発食らおうが耐えながら反撃して強引に突破できてしまうことも。通常シリーズに比べると比較的ポケモンが瀕死になりやすいレジェンズのゲーム仕様の都合もあり、「耐性やたてこもるで耐えながらその間に裏のポケモンを回復して立て直す」という噛み合いの良さもあり壁役として使いやすい。
また、今作のトレーナー戦では死に出しによる高確率の先制攻撃が強く、それに耐えられる耐久型のポケモンの価値が高くなっており、総じて本作における強力なポケモンの一角である。
第9世代
ポケモンホームの連携と共に解禁。
LEGENDSアルセウスからの移送で入手出来るが、SVではヒスイヌメイルから進化する形でも入手可能(ただしヌメラからそのヒスイヌメイルへの進化はSVでは不可)
専用技のたてこもるの効果が防御2段階上昇となり、PPの差からとけるやてっぺきの下位互換になってしまっている。(アンコールされたときに少ない方がPP切れで解除されやすいが、微々たるメリット)
ヒスイヌメイル時代に覚えたとけるを覚えなくなってしまったので、覚えさせる場合にはしっかりと進化前に覚えさせておこう。
性能は前述の通り、優秀な複合とより効率的になった耐久寄りのステータスにより、なかなかの堅さを誇る。「とつげきチョッキ」を持たせればなおさらである。特に鋼タイプのお陰で環境に多くいるフェアリータイプに抗える手段を持てたのも良い点だろう。
攻撃面においても鋼技を一致で使えるようになったため、原種では腐りがちだったA100を有効活用しやすくなっている。ヘビーボンバーとボディプレスを新規に習得したのもかなり大きい。
回復技としていのちのしずくも習得。回復量25%とじこさいせいなどに劣るが、それらの技がPP5になったので回数のアドバンテージを獲得。ダブルだと相方も回復できるのでより有効。
今回追加されたテラスタルについては元々の優秀過ぎる耐性を単タイプに変更してしまうので若干アンチシナジーに感じるが、実際は弱点の地面格闘を透かせられる飛行テラスでの不利対面の逆襲など有効活用できる場面は非常に多い。
ただしヌメルゴン一族に総じて言える事だがやはりパワー不足が目立ち、補助技のレパートリーも少ないので他の600族に見劣りしてしまうのは確かである。
もっとも、耐久性能から考えると火力方面はむしろ不足を感じさせず、原種と違い物理技を無理なく採用しやすいので耐久力を活かした重火力アタッカーや受け流しなどで差別化できる。
特性はうるおいボディからシェルアーマーに変更。前述の優秀な耐久に併せて急所によるワンチャンスもケアできる。テラスタルと合わせて現環境に多いウーラオスを止めるのに一躍買う。また、そうしょくもキノコのほうしややどりぎのタネを無効化出来るため、モロバレルやチオンジェンに対して強く出ることが出来る(特にモロバレルはヒスイヌメルゴンのタイプもあって全く打点が無い)。
シーズン8時点では「とつげきチョッキ」を持たせた対特殊受けアタッカーと「たべのこし」を持たせた場持ち優先の型が主流。性格はとくこうを伸ばすものが主流だが両刀型や物理型の数も少なくなく、技に至っては1位のラスターカノンで5割前後、10位の技でも15%であり物理技特殊技共に偏りがない。ヘビーボンバーもハバタクカミに対する打点となり、ちいさくなるを使ってくるハリーマンへの抑止力にもなる。
その他にも、たてこもる(とける)で積んでからボディプレスで攻めるなども出来る為、ヒスイヌメルゴンの多彩さがうかがえる。
テラスタルは地面格闘を透かせる飛行、ドラゴン格闘を返り討ちにするフェアリー、原種同様そうしょくと相性の良い水、格闘対策のゴーストが主に採用されている。
バランスの良い高種族値・優秀なタイプ複合・噛み合う特性・幅広い技範囲が噛み合い、使用率が10位前後と、現SV環境で使用できる600族ではNo.2とも言える高い使用率を出している。
シーズン8最終上位構築には特に、カイリューとれいじゅうランドロスへの打点となる「れいとうビーム」、ヒードランの4倍弱点を突ける「じしん」を取り入れた型が目立った。
「碧の仮面」で「はたきおとす」を獲得。相手の火力アイテムを手放させることもできるため、耐久戦法に磨きがかかったといえる。
とはいえシリーズ5で新たに解禁された同じはがね枠のエンペルトは厄介で、そちらに需要を吸われたのかシーズン11では使用率31位とベスト30から陥落。
また同時期に解禁されたアカツキのガチグマに地面技で弱点を突かれるのが非常に厳しい。
そして続く「藍の円盤」においては同複合のブリジュラスが登場してしまう。
こちらは特殊受けが主体の反面、ブリジュラスは特殊受け以外なら起点作りやアタッカーなんでもこなせるためにますます需要が減ってしまった。
余談
原種がフランス伝承のル・カルコルを元ネタとしていたのに対し、こちらは巻貝ということから東洋伝承の出世螺や、金属の鱗を持つ巻き貝スケーリーフットを参考にしたのではと推測されている。
また、ヒスイ地方のモデルとなった北海道にあるイトムカ鉱山は、かつて豊富な自然水銀が産出されていた希少な鉱山として有名。この点から、銀色の粘液の元ネタは水銀ではないかとの説も。
さらに、北海道はアンモナイトの化石が多産する。殻の形状が平巻きであるため要素として参考にされている可能性がある。
その独特なキャラ設定から、マスカーニャといったトレーナーへの執着が同様に強いポケモンと対立するイラストも投稿されている。正妻戦争とはまさにこのことか。