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そうだ難民しよう

そうだなんみんしよう

ヨーロッパに到来した難民を題材としたプロパガンダ、およびそれを題材とした書籍、および一連の流れに対する日本国内での議論。
目次 [非表示]

概要

問題画像の出現

2010年代イスラム過激派の台頭とそれによる難民の急増によって、ヨーロッパではそれらに関する関心が高まっていた。

一方で、難民の飽和から次第に反発も強まってきており、「難民を送り出す事が常態化する」中でその中に紛れ込む偽装難民の存在が問題視されるようにもなってきていた。


こうした状況に目を付けた「ホワイトプロパガンダ漫画家」を自称するはすみとしこ氏は、両者を融合させたイラストを描き公開する。

具体的には、Jonathan Hyams氏が撮影・公開していた本物の難民の写真をトレスし、「内心では悪意を持っている」という内容に描き替えて発表したのである。そこに書き添えられた台詞「そうだ難民しよう」であった。


当該イラストは良くも悪くも大きな反響を生み、著作権的にどうなのかという指摘も含めて、公開したFacebookの運営に当該イラストの削除を求める署名が1万票以上集まる騒ぎとなった。


その後、Hyams氏と和解した事、同氏に多大な迷惑、心労、悲しみを与えてしまった事を理由に、当該イラストははすみ氏本人の手で削除された。

これで終わっていたなら、ネットで散発する愉快犯売名行為構ってちゃんの一種などとして間もなく風化するはずだった


騒動の拡大

はすみ氏は「ホワイトプロパガンダ漫画家」である。「ホワイト」の定義はともかくとして、政治的主張を含む作品を他にも多数公開していた。その大半が当該画像同様に偽善者外国人(特に朝鮮系)を糾弾する内容であり、ネット住民の嗜好から大きく外れているわけでもなかった。

削除を求めた事自体、言論弾圧表現規制に反対してきたネットでは嫌われがちな行為であり、単純な祭りとしての需要の上でも、批判者に対する批判が少なからず沸き起こっていた。


一方で、批判の中心的存在となったのもまた、左翼系政治団体「SEALDs」のメンバーであった。この事実が知られるにつれある種の需給の一致が生じる形となり、はすみ氏の存在そのものが左右対立の題材となっていった。

騒動以前は右翼界隈でもほとんど知名度が無かったというはすみ氏であったが、これによってその名が広く知れ渡り、プロパガンダは着々と効果を上げるようになったのである。


こうした状況下で、更にレイシストをしばき隊の一人・久保田直己氏がはすみ氏より遥かに危険性の高い異常行動を取っていた事実が発覚。右派・擁護派は彼自身の発言を取ってぱよぱよちーん問題」として糾弾を強めた。

他方、左派・批判派は久保田氏の扱いを巡って内紛状態に陥り、一部のアナキストらが明確に右派・擁護派に付いて言論弾圧を批判し始めるなど、足並みの乱れが顕著になっていった。

詳細はリンク先記事を参照のこと。


プロパガンダの書籍化

炎上」の中心が久保田氏に移った事で、一旦は弱まっていたはすみ氏に対する批判であったが、一連の流れに更に目を付け、再加熱を目論む勢力が現れた。長年日本のエログロナンセンス界を牽引し、近年では右派系言論誌の発行にシフトしていた出版社青林堂である。


はすみ氏はかつて自分からこの出版社に作品の持ち込みを行った経験があり、その当時は「画力の低さ」を理由に断られていた。しかし、状況の変化を見た青林堂側が「再利用」の決断を下し、はすみ氏もそれを受け入れた事で強力なパトロンとして機能する事となったのである。

はすみ氏の作品群は、彼らの下で『そうだ難民しよう!~はすみとしこの世界~』として書籍化される事が決まった。その中には先の難民の画像をパロディの範疇にまでリメイクした作品も含まれる事にもなり、彼らの見立て通り、再び批判が強まる事となった。


この時点でネット上の論調はほぼ擁護一色となっており、再集結した批判派ははすみ氏の書籍を取り扱わないよう書店図書館に働きかけるといった方法で出版の阻止を図る。

しかし、それもはすみ氏・青林堂にとっては予想の範囲内で、顧客をネット上の支持者に絞り、批判派の言動までもをCMのネタにしながらAmazon等のネット通販サイトを通じて販路を広げていった。


最終的なキャッチコピーは以下の通りであった。

ニセ日本人・エセ難民・在日外国人・国会前若者デモシーシェパード・自称「従軍慰安婦」・朝鮮進駐軍・ちゃっかり帰化人・ぱよぱよちーん・etc…

自称「被害者」「弱者」たちの実態を暴く!!

内容は別として、ネット受けする話題をこれでもかと詰め込んだ様は、プロパガンダ活動として見事の一言に尽きるだろう。そして実際に、発売前から予約が殺到したのである。



『そうだ難民しよう!~はすみとしこの世界~』は発売後も順調に売り上げを伸ばし、Amazonベストセラーランキングの政治部門・は行の作者」で長らく1位をキープ。最終的にはAmazonランキング大賞2016上半期にて、文学評論部門」で第3位、「総合」でもトップ20という大記録を打ち立てた。

販路を絞らせた事がかえって購入者の集中と購買意欲の増進を招き、Amazonという世界的通販サイトのランキングを飾らせる結果を生んだと言えるだろう。


また、この間の2月11日には、はすみ氏・青林堂が計画した東京都千代田区の書店・書泉グランデにおける「トーク&サイン会」が、先述した批判派の抗議運動によって中止になるという出来事も起こっている。

これも両者にとっては予定調和だったようで、青林堂は「都合により中止となりました。理由はみなさまご想像のとおりです」との煽りネタ的なメッセージを発信している。 結局のところ批判派は終始遅れを取っており、全ての言動は逆効果でしかなかったのだ。


その後

一連の騒動によって、はすみ氏は右派のお抱え漫画家としての地位を確立。

離反した一部の左派も招き入れて、ますます精力的にプロパガンダ活動を展開している。

一介の愉快犯がここまでの成長を遂げた事は、炎上商法の成功例として非常に興味深い事例であり、考察すべき事柄は多いと言えるだろう。


なお、右派・擁護派も忘れがちな事であるが、はすみ氏は

既に削除された当該イラストの使用引用は認めません。

著作権を侵害している改変/二次創作イラストの使用も認めません。

画面撮りも許可致しません。

というスタンスである。

実際に削除を求めた例は今のところ無いようだが、くれぐれもそれを踏まえた上で活動してほしい。



ところで、はすみ氏と青林堂の間を取り持ったのがテキサス親父日本事務局を務める藤木俊一氏と言われており、はすみ氏自身にもニコニコ動画での活動経験があったりと、全くの「ぽっと出の素人」とは言い切れないという点には留意が必要である。

はすみ氏の現在の作風である「一枚絵+台詞」の形態を提案したのも持ち込み当時の青林堂担当者であるとされ、今回の騒動が無くともどこかのタイミングで右派論壇にデビューしていた可能性も無くはない。


また、「リアル」での活動を中心とする従来型の右翼は必ずしも擁護に回ったわけではない。彼らは難民に反対であったとしても、それ以上に日本人としての礼節に欠ける行為には反対する傾向があるので、誰にでもネットのノリが通用するとは思わないこと。

欧米メディアもこの手のプロパガンダをかなり嫌う傾向があり、かのドナルド・トランプ氏らと並べられて名指しで批判されたりもしている。もっとも、トランプ氏にも多数の支持者が付いているように、民間レベルでは擁護意見もあったりするようだが。


関連タグ

イラスト 漫画 風刺 プロパガンダ ヘイトスピーチ

時事 難民 偽装難民 ぱよぱよちーん

そうだ京都、行こう。:おそらく元ネタJR東海による国民的キャッチコピー。


外部リンク

青林堂 特設サイト

Amazon 販売ページ

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