概要
大山のぶ代版『ドラえもん』初のオリジナル中編エピソードで1980年5月5日の特番『オリンパソン'80』のコーナーの1つとして、放送された。
ストーリー
ボクシング選手ラッキーの雄姿に感激したジャイアンとスネ夫はその帰り道、のび太としずかに会うがしずかにあやとりを教えているのび太を男らしくないとバカにする。悔しさのあまり、のび太は明日、ジャイアンとボクシングをすることになり、スネ夫はレフリーを務めることにした。
帰宅したのび太から「何とかして欲しい」と頼まれるドラえもんだったがドラえもんは「最近の君は僕を頼りすぎている」とのび太を突き放す。やむを得ず、1人でトレーニングを始めたのび太をドラえもんもひみつ道具なしで手伝うも1日で上達するはずもなく、ジャイアンとスネ夫からはバカにされ、ドラえもんはピエール・ド・クーベルタンの「勝負にこだわるな」をのび太に告げるものの気休めにしかならなかった。
試合当日、のび太はリングに向かう途中、リヤカーで荷物を運んでいるおばあさんを助ける。そのおばあさんは両親を早くに亡くした幼い孫のダイスケと2人暮らしであり、ダイスケはこいのぼりを欲しがっていることを知る。
遅刻しながらものび太はリングに到着するもジャイアンには敵わず、ボロ負けしてしまった上、罰ゲームとして、裸で空き地を走り回ることになってしまう。
その夜、ドラえもんはのび太を慰めるものの何の効果もない為、未来に向かうと「のび太くんに一度で良いから、自分の力で勝利の喜びを味あわせたい」とドラミとセワシに相談。セワシの案により、重力が少ない別の地球に連れて行くことにし、3人はのび太が眠っている間に目的地に出発。同じように向こうの地球から旅立った自分達と入れ替わりに目的地に到着。ドラミはしばらくの間、野比家に滞在することにした。
翌朝、のび太は重力が小さい影響で運動を軽々こなせるようになっており、昨日のボクシング敗北から立ち直る。ジャイアンとスネ夫は、そんなのび太を気にいらず、一触即発の状態になるが、出木杉の案により、今度行われるペア競技大会で雌雄を決することにした。その大会の優勝賞品にはこいのぼりがあり、のび太はダイスケの為にも優勝することを誓う。
そして大会当日になり、ドラえもんは四次元ポケット及び、全てのひみつ道具を封印し、自分たちだけの力で立ち向かう。それに対し、ジャイアンとスネ夫は影の軍団と呼ばれる工作員たちを差し向ける。しずかや出木杉と共にスパイセットでレースを観戦していたドラミが影の軍団を追い払った後、2組は正真正銘の一騎打ちとなり、ドラえもんとのび太は逆転勝利を収めた。
のび太はこいのぼりを手に入れた上、ボクシングでの仕返しとしてジャイアンとスネ夫に逆立ち歩きをさせる。しかしこのままではのび太が増長してしまうと危惧したドラえもんとドラミは、のび太が寝ている間に元の地球に連れ帰る。
ちなみに、こちらの地球で一時的に活動していたドラえもんやのび太も同様の大会に出ていたのだが、彼らにとってはこちらの地球が重力が強く身体を動かすだけでも一苦労であった為、大会では負けてしまい、優勝賞品のこいのぼりも参加証の小さなこいのぼりだった。これらの出来事をドラえもんはタイムテレビでのび太に見せ、のび太は別の地球から来た自分自身のように自分の力だけで頑張ることを誓う。
ドラえもんとのび太はダイスケの所に行き、小さなこいのぼりをビッグライトで巨大化させ、それで空を飛び、おばあさんも喜ぶのだった。
余談
重力が小さい星でドラえもんやのび太が(純粋な身体能力のみで)活躍するエピソードはTC21巻収録「行け! ノビタマン」や、大長編及び映画『宇宙開拓史』でも描かれている。
また、こいのぼりを題材にしたエピソードは原作版にも存在している。TC6巻収録「こいのぼり」では、ドラえもんがこいのぼりそうじゅうきを使用し、母子家庭の男の子に動くこいのぼりをプレゼントしている。
クーベルタン男爵(フランスの教育者で近代オリンピックの基礎を築いた人物)の格言を引用したドラえもんだったが、誰の発言までは覚えておらず、のび太が「クーベルタン男爵だろ」と指摘。のび太がクーベルタンの事を知っていた事実に驚いたファンも多かった。
関連タグ
ロッキー:ラッキーの元ネタ。
モスクワオリンピック:放送された年に行われたオリンピック。しかし日本は出場をボイコットした。