概要
バンダイビジュアルとNHKサービスセンターが共同製作した作品。バンダイビジュアルが制作した「のりものバンザイ!!」の後継的な側面もある。
ややこしいことに本編でのタイトルロゴは「のりもの探険隊」になっている。
衛星放送「キッズステーション」でテレビ放送もされていたところがOV作品であることの多い他ののりものビデオと異なる。
「のりもの探検隊」がいろんな乗り物の探検に出掛けるというストーリーがある。
1995年から2005年までリリースされていた。このシリーズは単発ものやシリーズが続いても数巻程度出て終わりというケースも多いが、当作品は全部で75巻+番外編3巻と多数刊行された。
このシリーズでは主に自動車と鉄道といった陸上交通を中心に取り上げている。
飛行機に関しては第9巻で空港を特集したがジャケットは空港直通列車のラピートであったものの、第30巻で飛行機を特集し、ジャケットもボーイング747となった。のちに39巻でも特集された。
船舶に関してはほぼ紹介されておらず、ジャケットを飾ったことはない。(新交通システム・モノレール特集回の17巻において冒頭で水上バスが特集された程度)
なお、陸上交通のみに絞ると鉄道を特集した巻が多く、2000年前後に幼少期を過ごした鉄オタからは聖典のような扱いを受けている。
ただし子供向けののりものビデオということもあって東急電鉄の車両を8500系も8090系も8590系も軒並み「8000系」と紹介する、千里線内を走る堺筋線の電車を「阪急千里線」と紹介するなどの省略表現も見られたほか、381系を「ワイドビューしなの」と紹介するなどの解説ミスなども見られた。
姉妹作品として動物の生態を学ぶ『いきもの探検隊』という作品もあった。
主題歌
「はてな・ハテナ」
作詞:加藤恵美子
作曲:長谷川智樹
歌:中尾隆聖&佐久間レイ
当シリーズの主題歌であり、ファン制作によるMAD動画も存在する。
初期の回ではオープニングでフルコーラスが流れたが、わずか5回でショートサイズになった。
第70巻「はたらくくるま大百科」からはそれまでの地球を背景にCGのテレビモニターが表示されるオープニングからデフォルメされた乗り物が走り回る街のアニメーションのオープニング(同時にタイトルロゴも変更され、こちらのデザインはAC部が担当した)に差し替えられたが、こちらもわずか6回で終了となったためなじみは薄い。
作詞の加藤恵美子は第1巻「GO!GO!スーパーとっきゅう」で志ん輔隊長の幼馴染らしい謎の女性としてゲスト出演している。
出演者
- 志ん輔隊長(古今亭志ん輔)
のりもの探検隊の隊長。進行役として探検対象の関係者に取材をする。私生活でも二児の父だが取材相手が美人だと露骨に鼻の下を長くする場面も。
やや知ったかぶりで見栄っ張りな性格で、隊員たちの質問の答えに窮する場面も。京阪6000系と7000系の違いとか。
上述の京阪電車のようによほどマニアックなものでない限りは取材対象の関係者が代わりに答えてくれる。
鉄道の運転士の試験に挑戦して落ちた過去があるらしい。
時折コスプレをしてドッキリを仕掛けて隊員たちを驚かせる。
解説役が直接顔出しして関係者に取材するスタイルののりものビデオは珍しい。
- 男の子(中尾隆聖(声の出演))
探検隊の隊員。顔がカンガルーに似ているらしい。
メンバーではツッコミ担当であり、話が脱線しそうになるとツッコミを入れて軌道修正を図る。
列車の運転手になるのが夢で、大人顔負けの乗り物知識を披露する事もある。
「はひふへほ~…て僕はばいきんじゃありません」と口ずさむなどメンバーの中で最も中の人ネタが多い。同級生に「ふじかわ」という人がいる。
- 女の子(佐久間レイ(声の出演))
探検隊の隊員。顔がプードルに似ているらしい。
ワガママで怒りっぽく、食べ物に目がない。鉄道関係の回だと行先の特産品を食べようと息巻く場面も。阪急電車を見て連想するなど特にチョコレートが好きであるらしい節がある。将来の夢は婦警。
このほか3人の上司にあたる「大隊長」なる人物が登場した回もある。志ん輔が一人二役で演じた。
探検隊の3人は探検対象が広範囲に渡ることがあるため、長距離の移動が必要な場合は乗り物に乗って移動するだけではなくテレポートを使うこともある(走行中のドクターイエローの車内にテレポートしたこともある)。ただし探検隊の活動以外でテレポートは使えないため帰路は乗り物を使う。
3人はシリーズ開始当時のおかあさんといっしょに出演しており、NHKサービスセンター制作ということで起用が決まったと考察される。事実隊員ふたりが「似ている」と言われている動物は「ドレミファ・どーなっつ!!」でふたりが演じたキャラクターのモデルになった動物である。
総集編「みんなでうたおう!のりものソング」では当時のおかあさんといっしょエンディングテーマ「ドレミファれっしゃ」がエンディングとして使用されている。
中の人の知名度故に、pixivでは中の人ネタでの投稿が目立つ。
なぜ終了したか
のりものビデオとしては異例の10年弱にわたって制作されたシリーズではあったが、2005年をもって終了してしまった。
終了理由については明確にされてはいないが、以下の説が挙げられる。
ネタ切れ
そもそもこのシリーズは前述したとおり、陸上交通がメインのシリーズであった。しかし、2000年頃になると急に鉄道を特集した内容のものばかりのラインナップになってしまった。
自動車の特集をした内容のものも存在するが、いわゆる働く車をジャンルごとに紹介していたため、種類には限りがあった(鉄道車両の場合は列車名・形式名・路線名などで細分化できるが、働く車の場合路線バスでもない限り「パトロールカー」「消防車」など種類ごとにしか紹介できない)。そのため、あらかた紹介しつくしたというタイミングで終了が決定したと考えられる。
自動車を題材にした最後の回は2004年11月「きんきゅう自動車大百科」でありすでに何度か紹介していた消防車・パトロールカーを中心にした回だった。ちなみに消防艇と警備艇が登場しているため船舶が登場した最後の回でもある。
飛行機に関しては別件が絡むため、後述する。
キャストの世代交代
1995年当時の「おかあさんといっしょ」のキャストを起用したのりもの探検隊。しかし、1999年に古今亭志ん輔は「おかあさんといっしょ」から降板、2000年に着ぐるみコーナーが「ドレミファ・どーなっつ!」から「ぐ~チョコランタン」に変更され、佐久間と中尾も降板することになった。
もちろん、2000年以降に視聴を開始するメンバーにとっては「どこかで聞いたことのある声やどこかで見たことのある人」というわけではなくなってしまう。
このような点からいつかは終了せざるを得なくなっていたと考えられる。
事件・事故による自粛
2000年以降の「のりもの探検隊」では、航空機に関する特集回が一切存在しなかったが、特に2001年に米国で発生した同時多発テロ事件を受けて自粛したものと考えられる。
航空機が登場した最後の回は前述の「きんきゅう自動車大百科」のヘリコプターを除けば1999年11月の「とべ!アクロバットひこうき」である。
また、最終巻発売は2005年1月。当時の「のりもの探検隊」は3~4ヶ月ペースでの発売が通例であったが、2005年3月に宿毛駅でのオーバーラン事故、同年4月に福知山線脱線事故が発生し、鉄道関連の特集の多い同シリーズでは当時の情勢として自粛を余儀なくされ、そのまま打ち切らざるを得なかったと考えられる。
関連タグ
スーパー特急:本シリーズ内では国鉄民営化後に製造あるいはリニューアルされた特急電車の総称として用いられていた。
パノラマカー:本シリーズ当時は名鉄の登録商標ではなかったこともあって、JR・私鉄各社の展望車の総称として用いられていた。