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まばマミ

まばまみ

『魔法少女まどか☆マギカscene0』における、愛生まばゆと巴マミのカップリング
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概要編集

魔法少女まどか☆マギカ scene0』の登場人物である愛生まばゆ×巴マミの組み合わせ。当該作品オープニング内にて両者が仲睦まじく見滝原中学へ登校する様子が描かれたり、普段は原則として他者を苗字呼びしがちな巴マミが、珍しく『愛生さん』ではなく『まばゆさん』と名前で呼んでいたり、何やらただならぬ関係が垣間見えそうだが……?


二人の関係編集

以下scene0 Film.12の重大なネタバレ注意

















































Re-Collection

Film.12MTにて、自身の記憶を欠落させる前までのまばゆとマミの両者は、お互いに『大切な友達』なる関係であった事が、まばゆが覗いた『巴マミの記憶のフィルム』を通して発覚した。

まばゆが未来視を用いてマミに戦闘指示を送り(ながらマミ宅に引きこもり)、未来視通りに滞りなく戦闘をこなし、その後に帰宅したマミをレコンパンスのケーキと共に温かく出迎える…そんなコンビとして過ごす毎日が、マミのフィルムに焼き付けられていた。


従来の作品、もとい常日頃のマミは後輩…それも年下に対して『頼れる先輩』であろうと、後輩を育てる師であろうと気張る傾向にあった。

しかしながらマミにとってのまばゆとは、同い年でしかもクラスメイトである魔法少女であり、彼女の中で如何に特別な存在であったかが、劇中での彼女に対する接し方から窺える。

その一端を記すとなれば…


・マミにしては珍しくまばゆさんと名前呼びをする。

洋酒ケーキで酔っぱらって、さながら泣いた幼子の如き態度を見せながらまばゆに甘える

・口調が幼児退行する。

・まばゆの為ならばキュゥべえをも欺こうとする。


等が挙げられる。すなわち、長年『正義の魔法少女』と言う名のペルソナで覆い隠してきた筈の、頑張りやさん寂しがりやさん年相応の少女としての側面を見せている。

一方で、そんなマミに対してまばゆは寧ろ拒む事なく、思い悩んでいつつも「何でもない」と言うマミに対し「全然なんでもあります!私たち…友達じゃなかったんですか…?」と、気兼ねなく打ち明けてくれるよう催促する描写も見られる。


その他にも、魔法少女としては当たり前な利己的な魔法少女に関する言及がなされた際にも「マミさんを敵視する人なんて居ないと思います」と評したり、毎度の如く魔法少女の世界へと勧誘した少女が行方不明になってしまった際に「仲違いして戦ってしまって、その時の記憶をまばゆさんが消していたら…」と疑われてしまった際にも「友情に誓います。私はマミさんの記憶を奪ったりなんかしていない」と、極めて友好的な振る舞いを見せていた。


そしてある日の夜には「契約を後押しした子が、みんな居なくなっちゃった…」「他人の為に願う事の出来る心の清らかな魔法少女は、自分の為に願いを叶えた私とは一緒にいられないの…?」と寂しさに打ち震えるマミは、まばゆから「私も自分の為に願いましたよ!」と慰められ「私のそばに居てくれるのはまばゆさんだけだわ…!ありがとう…!」と涙を流すも、この時マミは、まばゆから差し入れられたケーキが(咲笑さんの手により分量をマシマシにされた)洋酒ケーキである事に気付かぬままぱくぱくもぐもぐ頂いてしまい、まばゆの言う通り頬を紅潮させて酔っぱらってる状態となってしまっていた。

流石にこれはマズいと判断したまばゆによりケーキを取り上げられようとするが「どうして…?おいしいのに…っ。ぐすっ…私はケーキも食べられないのぉ…?」と、さながら駄々を捏ねる幼子が如き態度で泣きながら拒むと言う始末であった。(そして当該のマミボイスかなり可愛い絶品モノである)代わりにストレス解消方法として『爆弾作成マニュアル』なる(物騒過ぎる)本を貸し与えられ、翌朝には困惑するマミさんであった。


こうして、仲睦まじい日々が続けば良かったのだが……。


翌朝マミが目にしたものとは、マミとの日々の記憶を欠落してしまい、剰え「巴さん」と呼んでくる、他人の様になってしまった愛生まばゆの姿だった。

その様子に彼女は「何で私を無視したの…?」ひどく落ち込み、何かの冗談か否かを確かめんが如く、再びレコンパンスへと彼女の元へと訪れるが、面識がない普通の客として扱われ、やはり他人行儀な態度は変わらなかった。

そしてキュゥべえからも愛生まばゆに関する記憶が欠落している事も発覚した。そんな彼に対しマミは、あろうことか「私もクラスメイトである以上の事は知らない」とキュゥべえを欺くと言う…普段は彼を盲信していたマミにしては極めて異例な行動に出てみせた。まばゆが自身の記憶を消すにあたって何か理由があるのなら、キュゥべえに情報を与える訳にはいかないとの事だった。

だがそこへ暁美ほむらにより「私はまばゆの新しいパートナーよ。貴方はもうまばゆに関わらないで。見滝原での活動をやめて他の街へ出ていく様に」との協定…もとい脅迫を押し付けられ、他の街での活動を余儀なくされてしまう。


すなわちマミからすれば、ある日突如として大切な友達の記憶を奪われ、挙句の果てにはほむらにパートナーとしての座を奪われる…と、言うなれば記憶更新NTRとも言える極めて理不尽な仕打ちを受けているに等しかった。


その後、まばゆ自身の事を想うのなら、記憶消去の理由を探ってはならないのだと必死に我慢を試みるマミだったが、やはり我慢しきれずにレコンパンスで働くまばゆの姿を遠くから眺め、彼女との思い出の日々を浮かべては微笑んで、もう彼女の淹れるカフェ・マキアートは飲めないのだろうか、と思い悩んでいた。

そのうえ彼女が言うには、かつてのまばゆのラテアートは「毛虫みたい」となんとも可愛らしい出来具合だったそうだが、ループを重ねた今のまばゆの腕前は、美樹さやか曰く達人級にまで成長しているとの事だったので、なおの事自分の知らない彼女へと育て上げられてしまったNTRに近いモノが窺える。

更には同所にてウェイトレス姿で働く佐倉杏子の姿までをも目撃し、一体何が起こっているのかを問いただしたところ、まばゆはほむらと共にワルプルギスの夜を討つべく時間跳躍しており、更には魔女の正体が魔法少女である事を告げられてしまう。


そうしてマミは「多くの少女に魔女となる運命を背負わせてしまった。一番大切な友達に、魔女になる運命を背負わせてしまった」と泣いて悔やむものの、その自責の念を必死に紛らわさんとばかりに「暁美ほむらが、私とまばゆさんとの仲を引き裂こうとしてる!」と、彼女にしては極めて非合理的な説を自身の心へ言い聞かせ、必死になって愛生まばゆを探し、ついには彼女と再会してしまう。


ただならぬ様子のマミに対し「巴さん…!?」と驚くまばゆへと、マミは「お願い…っ!そんな呼び方はやめてよ…!『マミさん』って呼んで…!前もそうしていたみたいに…!」と涙声で縋り付いてしまう。そこへ「接触しないとの約束の筈よ」とほむらから襲撃され、時間停止を用いて再びまばゆから引き離されようとするものの、叛逆の偽街で見せたのと同様、時間停止の対象外であるまばゆへと自身のリボンを仕込み、停止した時間の世界に自らもダイブすると言うウルトラCの離れ業をやってのけた。

そしてまばゆを取り返そうと、ほむらを一方的に痛めつけるものの、事態を危惧したまばゆの手によりリボンが裁断され、マミは同じ時間から切り離される事となった。

その際のマミが思った事は「まばゆさんを暁美さんに奪われてしまった…!」と、やはりNTRに近い文脈を感じさせるものであった。後を追おうにも、見滝原じゅうの魔女はほむらに狩り尽くされているが為に、手持ちのグリーフシードは枯渇しており、そのうえ自身のソウルジェムの濁りが激しく、今まともにほむらと戦っても勝ち目はない…と考えた所で「まばゆさんが会いたいと思えば、未来視を使って会いに来てくれる筈」と、あたかもまばゆと以心伝心である事を信じているかの様に、敢えてまばゆを待つ事とした。


そして彼女の狙い通り、夜の駅にて未来視を使ったまばゆとの再会を果たす事となった。

だがまばゆはマミを「魔女化の真実が、彼女を恐怖に捕えている」と見ており、その記憶を切除しに掛かろうとしていた。

そんなまばゆへと「やだっ…!お願いっ…こないで…!」と涙声で拒むマミにとって、魔女化の真実の記憶さえも、最早まばゆと共に過ごした日々と強く結びついてしまっていた。

つまりマミから魔女化の真実を取り除かれんとする事は、マミが心の中で常日頃から反芻していた思い出を全て見られてしまう事と同義だった。

それはまばゆが自身から取り除いた罪の記憶…すなわち「何人もの少女を魔女へと貶めた記憶」を思い出させる事をも意味していた。


あなたは、視てはいけないものを視てしまう…!


マミの制止も虚しく、まばゆに自身の記憶を覗かれてしまう。

思い出の日々を見てしまい衝撃を受け、マミの元から逃げる様に走り去られてしまう。

「待って!まばゆさんっ!」と引き留める声も虚しく、もう彼女の姿は無かった。

そしてまばゆもまた「大切な友達を見捨てて、自分だけ過去から逃げ出したんだっ…!」と、恐らくは魔女化の真実を前にマミを置いて逃げてしまっただろう事から、激しい自責の念に駆られてしまう。


ほむらがまばゆとマミの仲を引き裂かざるを得なかった理由とは、まばゆの魔女化を防ぐ為であった。

ループの対象外である自分たち以外の魔法少女は、時間を巻き戻せば記憶もリセットされるが、ループの対象者であるまばゆが絶望を経てしまえば、次の周回にも絶望を持ち越してしまう事となる。

現にまばゆはその後、罪悪感から二人とも魔女化した結果ほむらに倒され、また次の周回でもまばゆは魔女化してしまい倒される…と言う、無間地獄としか言い表し様がない凄惨な結末を、未来視により決定付けてしまっていた。


に蝕まれるマミとまばゆは、未来視が示すには程なくして魔女へと堕ちてしまう運命にあった。

絶望した数多の魔法少女の呪いを受けて罰せられようとするまばゆだが、そこへ全てを知った鹿目まどかによりまばゆの絶望からの解放を願いとして契約されてしまう。

その運命や如何に…?


余談(ネタバレ)編集

主に二次創作界隈では予てより重い女と評されがちであった巴マミであったが、今回のscene0 Film.12MTにおいて、文字通りまばゆに対してあまりに重過ぎる愛情を抱く姿を公式媒体で描かれる事となった。

劇中からも見られる通り、レコンパンスで働くまばゆを遠くから眺めて懐かしんだり、必死にまばゆを探し求めたり…と、一歩間違えればストーカーとも取られかねないその姿は、さながらヤンデレと評される事も。


しかしながら、マミからすれば同い年の魔法少女でしかもクラスメイトと言う唯一にして特別な存在を、ポッと出の転校生に突如として奪われた様なものであり、挙句の果てには見滝原市から追いやられており、そして自分との思い出を全て忘れ去られているのである。

お互いに最後まで思い合っていたにも拘わらず、理不尽にも引き裂かれてしまったのなら、大いに取り乱してしまうのも無理はないだろう事と考えられる。

そして重い愛情を受けたまばゆ当人にしてみても、Film.1-DAY.1での描写より「妙な夢を見てしまってたような…。なんか忘れてるような…。すごく泣いちゃったような…」とひとりごちていた。

この事より、かつての記憶を失う前のまばゆは、マミとの思い出を止む無く捨てなければならない事に慟哭をあげていた…と取れなくもない節が見られる。


また二人の仲を引き裂かざるを得なかったほむらも、「何人もの魔法少女を魔女にしてしまった罰を受けなきゃいけないんです」と自嘲するまばゆに対して「そんな必要はない!まばゆも巴マミもキュゥべえに騙された被害者よ!」と、泣きそうな表情を見せながら悲痛に叫んだ事からも、ほむらに悪意は無く、寧ろ心を痛めていただろう事が窺える。


関連イラスト編集

センシティブな作品

无题


関連タグ編集

魔法少女まどか☆マギカ scene0 愛生まばゆ 巴マミ 百合




















以下scene0 Film.0,Film.12後半,そしてFilm.13の重大なネタバレ注意
















「このフィルムの先に、あなたの希望が焼き付けられているの」


まばゆは、逃げた訳ではなかった。

自分の運命を相手に、必死に戦っていた。

鹿目まどかの『まばゆの希望をもたらす願い』が、あろうことか未来のまどか、すなわち願いを叶えた果てに女神となったまどかを引き寄せる事となった。

そんなまどかが見せたフィルムには、まばゆが失っていた空白の1周目の光景が焼き付けられていた。


そこではマミがまどかを新人として温かく迎え入れつつ、まばゆと魔法少女コンビを組んで過ごしつつ、マミがレコンパンスのお手伝いをする光景さえもあった。(ちなみにこの時のウェイトレス姿のマミさんはとてつもなく可愛い。髪型はティロ毛を左肩に乗っかる様にまとめている感じ。もちろん胸囲はすごい)


危うくまどかがお菓子の魔女に喰われかけた事により、萎縮して契約を渋るほむらについて「私がもっと朱美さんを安心させる未来が視られれば…」と自責している所へ「あなたの視た未来は、いつでもベストを尽くした未来なの。もっとポジティブに考えていきましょ? 少数精鋭の方がかえって上手くいくかもよ?」と、かなり軟化した口調でまばゆを励まし、少数精鋭…!?と驚くまばゆへ、改めて「だってまばゆさんは私の軍師様…でしょ?」と、満面の微笑み励ますなどをした。

そうして励まされたまばゆも「3人で力を合わせれば、この平和な日常がきっとずっと…」と微笑んで…。


そして、ワルプルギスの夜の日。

決戦の道筋を辿るべく、そして勝敗の結果を知るべく、まばゆはマミの瞳を覗き、未来を視た。


だがそこでは、まばゆが魔女と化し、連鎖してマミも魔女化すると言う凄惨な未来だった。


無論、マミは絶望に至ってしまう。

罪もない女の子たちを、他の魔法少女を、魔女になる様に勧めてきてしまった……と。

まどかの「違う! それは知らなかっただけで…!」との呼びかけも虚しく、マミも同じくして魔女へと堕ちてしまう。

最期のその瞬間までまばゆに懺悔をしながら、そして魔女に堕ちようとも彼女に寄り添う事を願いながら……。


「まばゆさん…ひとりで苦しませて…ごめんね…。私も、あなたといっしょに…」


…そんな凄惨な未来、マミとまどかに告げられるはずもなかった。

まばゆは空元気のまま、マミ宅で虚しき勝鬨をあげる。


そしてフィルムで見た未来へとそのまま進む。

予知で視た通り、まばゆの魔女化へと事が運ばれてしまう……その時。


まばゆの瞳に、


それこそが、まばゆが希望を捨てないで戦った先に待ってくれている、まどかの未来だった。

未来のまどかは、ずっとずっと苦しんできたまばゆに対し、慈悲に満ちた労いの言葉を掛けてくれた。

絶望する必要なんてない。

まばゆが希望を諦めなかったからこの境地に辿り着けたのだと。


そして、ワルプルギスの夜を前に絶望してしまいそうになっていた筈のまばゆは全てを知り、自分が視た未来予知を切除してみせた。

これでワルプルギスの夜との戦いの結果は闇の中。

悪しき未来を断ち切る事で、運命を変える覚悟を決めていた。


ワルプルギスの夜に大勝利する未来など嘘だったと謝るまばゆに、マミは涙を流しながら「あなたの嘘なんて、とっくの昔から分かってたわよ。まったく…嘘が下手なんだからっ…」と微笑んだ。

そこへ未契約のほむらが、まどかが心配で駆け付けてくる。

まばゆはまどかへ「暁美さんを守って」と進言し、マミは「まばゆさんの予言よ、先輩に華を持たせてちょうだい」と、二人してワルプルギスの夜へと立ち向かっていく。

いつもとは違う、運命の定まっていない闘いへと。


マミと心を通わせていたまばゆは、彼女の動きが手に取る様に分かっていた。

そしてマミにとっても、まばゆの動きがはっきりとわかる。

彼女達ふたりが、確かに重ねてきた時間がなせるコンビネーションをもって、懸命に立ち向かう。

最後の輝きを放ちながら。


そしてマミは、まばゆが必死になって切り拓いた血路を進み、最後の一撃を放つ。


けれど、この厄災に勝てる訳が無かった。

二人ともソウルジェムが砕け、その命を散らせた。

最期のその瞬間まで、彼女たちは固い絆で結ばれていた。


そして砂時計は逆しまに返される。


ほむらの契約を確認し、まばゆは記憶を裂く決意をする。

全ては、未来のまどかが見せてくれた結末へと辿り着くために。


深呼吸をしながら、覚悟を決める。

まばゆがマミと共に過ごした、かけがえのない日々を、もう二度と彼女には戻らない過去の記憶を断ち切る。

己が未来が、未来のあなたへと繋げるように、自分達が犯した罪が、希望によって漱がれるために。


そしてまばゆは、自身の記憶へと泣きながら別れを告げた。


「マミさん…バイバイ…」


絶望に染まりそうだったまばゆはかつて、「巴さんを見捨てて、自分だけが過去から逃げたんだ!」としていた。

しかし、それは違った。

皆を助けるために、そして少しでも優しい未来へと繋ぐための決断だった。

そうしてまどかから『希望を失わなくてもいい理由』を告げられたまばゆは、今度こそ決意する。運命を変えてやる……!と。


「巴さんが魔女に堕ちてしまう未来なんて、暁美さんが魔女となった私を何度も倒さなければならない未来なんて、そんなのゴメンです!」


深夜の見滝原中学に立てこもったマミを、まばゆ、ほむら、まどか、そして彼女を探し出した杏子とで、総出で救いに赴いた。

けれど、告げられた魔女化の真実を否定したいが為に、自ら魔力を使い果たしかねなかった。

現にマミは、教室じゅう全域に縦横無尽にリボンを張り巡らせる形で、時間停止が無効化されるフィールドを敷いていた。


「私とまばゆさんの邪魔をしないで! こんなはずじゃなかった! 私はただ、みんなを守りたかった! 魔法を誰かのために使いたかった!」


泣き叫ぶマミへと、まばゆが歩み寄る。

今の私でなら、巴さんの動きが手に取る様に分かる。

彼女とずっと同じ時を過ごしてきたから分かるのだと歩み寄る。


「巴さんって、呼ばないでぇっ! 私の知ってるまばゆさんはそんな事しないっ!」


逃げる彼女へと、それでも歩み寄る。

初めて出会った時のこと。

一緒に魔法の練習をした時のこと。

未来予知の魔法を初めて知った時の事。

かつての自分が過ごした光景、思い出を思い返しながら歩み寄る。


「やめて…やめてっ! 私に思い出させないで!」


そしてまばゆが決めた、非情で、哀しくて、優しい、必死の思いからの覚悟を語る。


最初からこうしていれば良かった、と。

彼女の記憶から『愛生まばゆ』を取り除かなかったのは、自分が弱虫だったから。

彼女から『愛生まばゆ』と言う存在を消し去りたくなかったから。

だから、見ないふりし続けていた。

けれどそれこそが、敬愛した彼女を苦しめ続けてしまったと知った今なら……。


まばゆの覚悟の察してしまったマミは、涙ながらに懇願する。


「いや…だめ…! まばゆさん…! それは…それだけは…!」


けれど今のまばゆは、かつての絆を断ってまでもマミを守りたかった。

泣き縋るマミへと、消え入りそうに優しい声で語り掛ける。

何よりも彼女が求めてやまなかった、渇望していた、呼び名と共に。


「大丈夫ですよ、マミさん。例え記憶は消えても、私たちが一緒にいた事実は消えないからっ……!」


そして魔法少女となった事は、決して絶望では終わらない。

いつかの未来に、まどかのもたらす魔法少女の希望が待っている。


「だから、マミさん……。私を信じて……っ」


固い絆で結ばれた一番大切な友達としては、今生となる説得を終えたまばゆとマミは、互いに涙声で名前を呼び合って、確認し合う。

互いに親愛を名残惜しがりながら、別れを寂しがりながら、縋る様に呼び合って、最後に確かめ合う。


「私たち、友だちだったよね……?」

「うんっ……。ずっとずっと、友だちだよ……!」


そしてまばゆはマミを救うために、かつての思い出を断ち切った──。


その後ワルプルギスの夜の戦場にて、「愛生さん」と呼びかけるマミが語り掛ける。

みんなと魔法少女として活動できて、毎日が充実している筈なのに、胸の中に穴が開いてしまっている気がする。

大切な物を失くしてしまっている気がしていた。


まばゆも、前にそう言う同じ気持ちになった事があったと返す。

けれど今は無駄話をしている暇などない。

一緒にワルプルギスの夜を倒そう、と「巴さん」に鼓舞する。


だが現実はやはり残酷で、ほむらがありったけの兵器を撃ち込んでも、ついぞワルプルギスの夜を倒す事は不可能だった。


そして繰り返された最後の時の先で、朝の通学路にて思うまばゆ。


「今の私は、かつてのマミさんだ。」


自分にとっては掛け替えのない友達なのに、相手には知ってもらえてない。覚えてもらっていない。

相手が抱えた罪が何であるのか分からぬまま、ずっと不安に怯えたまま過ごすしかない。

今となって分かるマミの苦しみを身をもって知ったまばゆは、そんな苦痛に堪え切る自信など無かった。


だからまばゆは、もう一人の大切な友達との記憶も断ち切って、自身も全て忘れる事を選んでしまった。


そうして全てを忘れ、指輪をしつつも一般人として過ごすまばゆ。

毎度のことながら、レコンパンスのお手伝いとして働くある日、一人の客に出逢う事となった。


クラスメイトの巴マミと。


偶々出会ってしまった、顔と名前しか知らないだけの唯のクラスメイト同士として、他愛ない会話を交わし合ったのち、いつかのようにレモンケーキとザッハトルテを注文するマミ。

そして会計を終えた二人が、無意識に呼び合う。


「また来るわね、まばゆさん」

「お待ちしています、マミさんっ!」

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