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運命】とは―

  1. 人間意志を超えて、幸福不幸喜び悲しみをもたらす超越的な力。また、その善悪吉凶の現象巡り合わせのこと。
  2. 将来の成り行きとも。
  3. 命運(めいうん)とかいても「運命」と同意語になる。

概要編集

ジョジョの奇妙な冒険』第4部「ダイヤモンドは砕けない」に登場する一般人の小学生・川尻早人の台詞。


これは奇天烈で邪悪な「運命の渦中、危険で奇妙な冒険に挑んだ結果から勝ち取った逆転勝利宣言

そして定められた「運命」に対し、それを乗り越える「希望」へ繋ぐ事ができた歓喜の言葉・意思でもある。


関連項目編集

ジョジョの奇妙な冒険 ダイヤモンドは砕けない

川尻早人


運命 勝利 人間讃歌 黄金の精神


【警告】編集


これより先は (ネタバレのため)読んではいけない。





































































殺人鬼だ 正体を見てしまった


能力]人間じゃない能力


パパの名は キラ・ヨシカゲだ]


■■■■ も 殺された


成長したキラに殺された。


カチリッ








キラークイーン 第三の爆弾

「バイツァ・ダスト(負けて死ね)」





































































一般人の小学生・川尻早人が遭遇してしまった「運命(バイツァ・ダスト)」とは「避けれない爆弾」であり「分からない爆弾」である。


その性質は悪意極まるもので、この第三の爆弾「バイツァ・ダスト」に繋がる信管(キラ・ヨシカゲを知る人間)に少しでも、どんな方法でも知る相手は爆死されて葬られる。しかも、それが起きた「時間」ごと爆発して「無かった」ことにされ、だいたい1時間前からやり直される能力


さらに爆死された事などは、避けれない「運命」として残ったままに……。


「運命(負けて死ぬ)」が定めれた者は突然の事で、訳が分からないまま、精密に起動する機械仕掛けのように、確実に、決まった時間が来ると自動的に爆死して葬られるのだ………。


これは爆弾が「解除」されない限り更新され、永遠と続くのだ。



そんな厄災(ばくはつ)が、いつ起きるかも知らずに負ける…………

まさしく「無敵」だが、実は絶対の「安心」がある能力ではない。


地雷原(バイツァ・ダスト)が爆発しないよう、

その信管(キラ・ヨシカゲ)に触れることができなければ、信管(キラ・ヨシカゲ)から触れさせさせればいいという


その仕組みを知る唯一のが、そんな逆転の発想で立ち向かえるかが、命が運ばれる時限爆弾を解体(こうりゃく)する鍵となる。


これは「運命(負けて死ぬ)」を乗り越える奇妙な冒険



スタンド(超能力が形を成したもの)「キラークイーン第3の爆弾バイツァ・ダスト(負けて死ね)は、本体の男(キラ・ヨシカゲ)が不本意な失敗をしてしまい、普段の冷静沈着な様子から一転して絶望のどん底を味わった事で覚醒した能力(正確には彼の父親が持っていた「矢」がひとりでに動いて、まるでの絶望感に反応して、彼の首元に刺さった事で第3の爆弾を獲得した)。

これにより本体の男(キラ・ヨシカゲ)に向かってくる「絶望」の基になる厄災(彼の正体を探ろうとする者)を、その時間ごと爆破して「時は戻る」ことを(制約付きで)実現できるようになった。



それも一般の人間を道連れにする、邪悪な黒い意思で…………


1回目の爆破


きっと悪夢だ

それは変な夢かと思っていた…



2回目の爆破


いつもの小学校がある平日の朝だが、この時は妙に何かが違った。2階にある自分の部屋で目覚めた川尻早人は、心ここにあらずの覇気がない顔つきだった。突然目の前でが非情な死に方をする絶望的な現場に遭遇して茫然自失となったみたいに、生気の失せた様子。いったい何があったのか、彼自身もあやふやなまま1階のリビングまで行くと、そこに〝パパ(川尻浩作)に化けているアイツ〟がいた。しかも不気味なほど上機嫌で、生き生きと髪型を変えて朝の身支度をしていた。


それ以外は、今朝に間違い電話がかかってきたり、カップが突然割れたりと、他愛のない普通の日常風景に思えた…。



そんな奇妙な事を後にして、いつもの通学路を歩く早人。そこに高そうな車に乗って、ギザギザのヘアバンドを付けたに話かけらた。その男は岸辺 ロハンという名で、なぜか早人は気を失った。


スタンド能力で川尻早人を気絶させた岸辺露伴(キシベ・ロハン)は、そのまま能力で早人の顔面に作った「記憶の本」から、川尻浩作の息子が「記憶している事」について読み進める。


奇妙である。

その小学生に書かれた「記憶」には、肝心な始まりが【警告】の表記。なぜ普通の小学生に書かれた「記憶」で【警告】と出てくるのか。さらに露伴が「今から」見聞きしている「先の」現象も書かれていた。

露伴は訝しげに読み進める。


そして露伴と彼の仲間たちが望む「隠れた真実(キラ・ヨシカゲ)」について書かれていたページに辿り着く。さらに真実を追求しようと「記憶の本」を読み進めると―


岸辺 ロハン も 殺された


成長したキラに殺された。


カチリッ


キラークイーン 第三の爆弾

バイツァ・ダスト(負けて死ね)」



川尻早人へ作った「記憶の本」からは、露伴と彼の仲間たちが追跡していた片割れ・キラークイーンがページの間から現れた。なぜか小さいキラークイーンを目撃した露伴は反撃に出るが…




意識が戻った川尻早人が最初に見た光景は、血だらけの男・岸辺ロハンだった。先ほどと全く異なる悲惨な姿に混乱する早人。そして目の前で、岸辺ロハンは何かを叫んで爆死して跡形もなく消し飛んでしまった。


この奇妙で非情な現実と同時に、何処かで【カチリッ】と音がしたような気がして―



3回目の爆破


いつもの小学校がある平日の朝だが、この時は妙に何かが違った。2階にある自分の部屋で目覚めた川尻早人は、大粒の汗をかき、まるで突然目の前でが非情な死に方をする現場を目撃した恐怖の出来事に遭遇した絶望感のある顔つきをしていた。


あれは悪夢なのか…。それにしては、とても現実味を帯びていた。

まだ混乱が続く中、1階のリビングまで行くと、そこに〝パパ(川尻浩作)に化けているアイツ〟がいた。しかも不気味なほど上機嫌で、生き生きと髪型を変えて朝の身支度をしていた。


それ以外は、今朝に間違い電話がかかってきたり、カップが突然割れたりと、他愛のない普通の日常風景に思えた…。


だが分かる。

川尻早人は心で理解した。


いつもと同じような朝が繰り返しているっ!


しかも〝パパ(川尻浩作)に化けているアイツ〟を追っていた人物が亡くなった場面で、奇妙にも「時は戻っている」信じ難い現象が起きているっ!!


現在この事を知っているのは、川尻早人と、彼に「時は戻る」の『呪い』をかけた〝パパ(川尻浩作)に化けているアイツ〟の二人だけ。


そんな奇妙な現実を背負って、いつもの通学路を慎重に進む川尻早人。きっと自分が岸辺ロハンに会わなければ、彼は爆死せずに済むと考えての行動だった。


そして高そうな車に乗って、ギザギザのヘアバンドを付けたがいる小道まで来た。その男は岸辺ロハンという名で、1人で誰かを待っているかのようだった。


違った。突然、早人の顔の半分が「本」のように捲れる現象が起きた。


そして背後から〝パパ(川尻浩作)に化けているアイツ〟が声を掛けてきたっ!



今朝、小学校の帽子を忘れていた早人を追いかけて、その帽子を届けに来たパパ(川尻浩作)に化けているキラ・ヨシカゲ。そこで彼は、この「時は戻る」の『呪い(次元爆弾)』について話し始めた。この『呪い(次元爆弾)』が発動している時に起きた事は「避けれない運命」として、多少の違いはあれど、同じように発生するのだと。


この『呪い(次元爆弾)』が発動しているからこそ「キラ・ヨシカゲは無敵になった」と、生き生きと言った。だからもう早人を殺そうとは考えていないと言うキラ・ヨシカゲ。その証拠を見せつけるように、自分達が角を曲がった所にいる岸辺ロハンを見ると―


突然、ロハンの体から血が噴き出し、跡形もなく爆死してしまった。


先ほどキラ・ヨシカゲが語った「運命」とは、彼を追う者が死んだ「運命」さえも繰り返す、次元にさえ作用する時限爆弾だった。だからこそ、キラ・ヨシカゲ本人が何もせずとも、彼を追う者は始末される。


そう。「時は戻る」の『呪い(次元爆弾)』を背負うー人に関わった事で…………


岸辺ロハンの最期を愉快に見届けたキラ・ヨシカゲは、そのまま上機嫌にパパ(川尻浩作)が通勤していた会社へ出社していった。独り残った川尻早人は、この『呪い(次元爆弾)』が起こす「運命」に絶望していた。もし、キラ・ヨシカゲについて早人へ質問したり、とにかく「何かしらの方法」で他人がキラ・ヨシカゲを追う意志を持つと、それが起爆(スイッチ)となって自動的に『呪い』として早人に取り憑く『何か(次元爆弾)』が、その相手を爆死させる。



つまり川尻早人は、不本意にキラ・ヨシカゲへ味方する「運命」を作動させる地雷原(次元爆弾)にされたのだ。


さらに運が悪いことに、川尻早人はキラ・ヨシカゲを追う岸辺ロハンの仲間たちと遭遇してしまった。4人の内、3人は学生だった。不良っぽい風貌の学生が、今朝は遅刻したとか、内心焦燥感で荒れている早人をよそに、他愛のない会話をしている。


そして、最も恐れている事が起きた。彼らは〝パパ(川尻浩作)に化けているアイツ〟を隠し撮りしている早人の写真をみせて、その事について質問してきたのだ。これでは、キラ・ヨシカゲを追う意志が湧いてしまい、彼らが『呪い(次元爆弾)』で爆死してしまう。何とかこの場を切り抜けようと、思い付きの言葉・行動は全て裏目に出て、益々キラ・ヨシカゲを追う意志に繋がってしまう。もう終わりにしたい。早人は彼らに背を向けて蹲り、ランドセルに入れていたカッターを取り出して、決意の行動に出る。


目の前で蹲まる小学生・川尻早人を心配する東方仗助たち。先ほどは、穏便に事を済ませようと、丁寧に自分達の自己紹介したりして、怖がらせる意思はない事を示したが、あたふたと動揺の反応をみせていた早人。何かは分からないが、間違いなくこの少年は隠し事をしている。

蹲ったまま動かない川尻早人の様子を確認しようと、彼に手を差し伸べると―


カッターの刃を首元に向けて固まったまま、訳が分からないと涙目になっている川尻早人。

その様子を目撃した4人の男たちには、川尻早人が握ったカッターを受け止めている小さなキラークイーンの姿も目に入っていた。



彼らが追跡している片割れ・キラークイーンが川尻早人と一緒にいる場面から、間違いなくキラ・ヨシカゲに繋がる何かがあると確信してしまった4人。咄嗟に攻撃の構えを取って、より〝キラ・ヨシカゲを追う意志〟を強く持った事で、川尻早人が恐れていた『呪い』【バイツァ・ダスト(負けて死ね)】の起爆(スイッチ)が押されてしまった。


川尻早人は理解した。キラ・ヨシカゲに関する事を伝える発言・行動は出来ず、その事を知る早人本人が死ぬ事さえ、見えない手で遮られて阻止され、どうすることもできない邪悪な「何か」が取り憑ているのだと。



早人の目の前で、次々と爆死していくジョウスケたち4人の姿を見ながら、何処かで【カチリッ】と音がしたような気がして…




4回目の爆破


いつもの小学校がある平日の朝が来た。2階にある自分の部屋で目覚めた川尻早人は、大粒の涙目で、突然目の前で非情な死に方をする現場を目撃した身の毛がよだつ恐怖の出来事に遭遇した絶望感のある表情をしていた。


きっと1階のリビングまで行くと、そこに〝パパ(川尻浩作)に化けているアイツ〟がいる。しかも不気味なほど上機嫌で、生き生きと髪型を変えて朝の身支度をしている。


それ以外は、今朝に間違い電話がかかってきたり、カップが突然割れたりと、他愛のない普通の日常風景がある。


川尻早人だけでは、どうあっても〝パパ(川尻浩作)に化けているアイツ〟に負ける。


早人は賭ける。

たとえ暗闇の荒野を進む漆黒の「運命だろうが、そこに一縷の希望があるのなら、昇りゆく朝日(あす)に向かおうとする意志を持って、早人は新たな覚悟を決めた。


川尻早人は生涯で初めて、マジで神様に願った。


" 「どうか、このぼくに人殺しをさせてください」……と "


川尻早人の目前には、いつぞやの時に遭遇した奇妙な植物(鉢に植えられて、どことなく猫に似ている生きた植物)があった。これは早人の暮らす家の屋根裏部屋で、密かに〝パパ(川尻浩作)に化けているアイツ〟が飼っていた奇妙な植物だった。詳しい生態は不明だが、分かっている事があった。この猫みたいな植物(猫草)は、光に当たると活動を開始して、その反射で見えない空気の塊を発射する。それはかなりの威力があり、当たり所によっては致命傷は避けれない程だった。



そう。早人は猫草を利用して、確固な意思をもって〝パパ(川尻浩作)に化けているアイツ〟へ一撃必殺の反撃を決意したのだった。


そのために準備する事はたくさんある。早人は猫草を光へ当てないよう布に繰るんでランドセルに仕舞った。そして早人は1階のリビングに降りて、今の迷いない決意を更に鼓舞するように、更なる行動へ邁進する。例えば、今朝かかってくる間違い電話をママ(しのぶ)ではなく自分が代わりに取って無駄な時間をなくしたり、今までの仕返しを込めて突然割れる「運命」のカップを〝パパ(川尻浩作)に化けているアイツ〟に持たせてホットコーヒーを浴びせたり、これらはアイツ(キラ・ヨシカゲ)が「前回の時」で勝手に話した「(多少の変化はあれど)避けられない運命」を利用した行動だった。



次々と「知っている運命」に立ち向かっていき、まるで絶望を吹き飛ばす勢いで、覇気のある表情へなっていく早人。家を出る際には、今までと違って、確固な意思の宿った目つきで〝パパ(川尻浩作)に化けているアイツ〟を一瞥して、あの場所に向かっていった。



8:30前の駆け引き


前の時で確認していた時間「8:30」より前で、確実に岸辺ロハンは、早人が今いる道路を曲がった角で、高そうな車で待ち合わせをしている場面で爆死してしまう。


だが知っている。

川尻早人は他にも確実に起こる「運命」を知っていた。それは前の時で、早人が今いる曲り角の辺りから岸辺ロハンの様子を窺っていた時に、早人の背後から〝パパ(川尻浩作)に化けているアイツ〟が忘れ物である小学校の帽子を届けにやって来るはず。その瞬間が勝負の時だっ。

ランドセルの中身を〝パパ(川尻浩作)に化けているアイツ〟へ向けて、その中に忍ばせている猫草を目覚めさせて反射的に放つ【見えない空気の塊=空気弾】を着弾させて殺害する計画。


そうすれば川尻早人に取り憑く『呪い(次元爆弾)』の本体が亡くなる事になり、この繰り返す朝を終わらせる事が出来る。だがそれは【8:30より前の時間】でなければならない。8:30からは、この『呪い(次元爆弾)』によって〝パパ(川尻浩作)に化けているアイツ〟を探している東方ジョウスケ達が爆死する「運命」が来てしまう。


絶対に彼らが死ぬ「運命」は回避しなければならないっ!

この『呪い(次元爆弾)』を解くために、8:30辺りより前の、今この時が命運を分ける勝負の時なのだっ……


焦る。

前の時で起こった「運命」の一つ、川尻早人の顔が本になる現象が起きても〝パパ(川尻浩作)に化けているアイツ〟がやって来ない。この数分後には、角を曲がった所にいる岸辺ロハンが爆死する「運命」がやって来てしまう。

なぜ「運命(キラ・ヨシカゲ)」が来ないのかあたりを見まわす早人。そして見つけた。早人から少し離れた街路樹の陰に隠れて、こっちを窺っている〝パパ(川尻浩作)に化けているアイツ〟を。彼の手には早人の忘れ物である小学校の帽子がある。


まさかと思った。

早人は、自分に取り憑く『呪い(次元爆弾)』で起こった「運命」の繰り返しは、その「運命」は〝多少の違い〟もあって、繰り返し起こる事を思い出す。まさか今朝の鬱憤晴らしも兼ねて早人が行動した事が、その後の「運命」を〝多少〟変えてしまったのかと。だから〝パパ(川尻浩作)に化けているアイツ〟は、前の時と違って早人から少し離れた街路樹に身を潜めているのかと。これでは8:30を過ぎて、彼らが爆死する「運命」がやって来てしまう。


その非情な「運命」に、川尻早人は再び絶望にたたき落され、今朝の覇気が失せて涙目にマジで怯えた。


街路樹に隠れている川尻浩作吉良吉影)は、1人思案中だった。今朝の川尻早人についてだ。

自身の超能力で『呪い(次元爆弾)』である分身体「キラークイーン」を取り憑かせ、依然として自分(吉良吉影)が有利な立場にいる。『呪い(次元爆弾)』が取り憑いている早人本人が、その事に感づいている節はある。そんな状況下で、早人は何か決意めいた眼差しをしていた気がした。

それがちょっぴり気に障り、今こうして街路樹に身を隠して川尻早人の様子を窺う川尻浩作(吉良吉影)だった。


改めて確認すると、自分から少し離れた小道にいる〝今〟の川尻早人は、何かに怯え涙目の表情で、こちらを見ている。きっと川尻浩作(吉良吉影)の姿を見つけて、その事に恐怖しているに違いない。〝今〟の早人が弱々しく身を縮めている様子を見て、きっと今朝の気掛かりは気のせいだと思い、街路樹の陰から出て、彼の忘れ物である小学校の帽子を、まるで仲が良い父親みたいに届けに向かう川尻浩作(吉良吉影)だった。


「運命」の8:30が迫る中、自分に取り憑く『呪い(次元爆弾)』の本体が、隠れていた街路樹から出てきて不用意に川尻早人へ近づいてくる。

ランドセルを腹に抱えて〝パパ(川尻浩作)に化けているアイツ〟に背を向けていた早人は、この「偶然」とも思える「運命」を好機と捉え、再び闘志を滾らせる。そして猫草空気弾が当たりやすい距離になった所で、早人は「くらえ」と〝パパ(川尻浩作)に化けているアイツ〟にランドセルの中身を向けた。

案の定、ランドセルに入れられた猫草は、光を浴びで活動を開始。反射的に目の前へ空気弾を発射し、その射線上にいた〝パパ(川尻浩作)に化けているアイツ〟の左胸へ命中した。見えない弾が着弾した事で、〝パパ(川尻浩作)に化けているアイツ〟は仰向けに倒れた。策が講じた早人は、確実にトドメを刺すために、仰向けに倒れている男へ近づく。そして、無防備に倒れている男の顔面へランドセルの中を向けようと構える。


失敗した。

なんと〝パパ(川尻浩作)に化けているアイツ〟が、突然右こぶしを早人の顔面めがけて一直線に振りかぶってきたのだ。しかし、早人に取り憑いている『呪い(次元爆弾)』の分身体「キラークイーン」によって、この攻撃は防がれた(もちろん攻撃したのは『呪い(次元爆弾)』の本体であるため、その分身体「キラークイーン」を目撃しても「時は戻る」爆発は起こらない)。

ゆらりと立ち上がる〝パパ(川尻浩作)に化けているアイツ〟は、なぜ猫草空気弾に被弾しても無事なのか、上機嫌に説明を始める。それは今朝の出来事に遡る。突然割れたカップに入っていたホットコーヒーが腕時計をしている腕にかかり、濡れた時計を左の胸ポケットに仕舞っていた。そこに猫草の空気弾が「運よく着弾」したおかげで、重傷を免れていたのだという…。


この「幸運」を〝キラ・ヨシカゲ〟は、きっと「〝キラ・ヨシカゲ〟に運命が味方してくれている」と声高らかに歓んだ。


川尻早人は「その言葉」を聞き逃さなかった。



川尻早人の自信に満ちた不可解な様子、その奇妙な眼差し、それらの言動から思わず背後を振り返る吉良吉影



目線の先には、吉良吉影を追跡する一人・東方仗助が、不審げな表情でこちらを見ていた。その背後には仲間の一人・虹村億泰がいつもの能天気な様子で後に続いていた。


これこそが、川尻早人が「この時」で「賭けた」勇気ではなく策が功を奏したのだった。前の時で早人は絶好の好機(希望)を知っていた。


8:30より少し前、忘れ物である小学校の帽子を届けにきたキラ・ヨシカゲは、早人に近づいて「キラ・ヨシカゲ」と迂闊に本名を名乗っていた。


その後で、キラ・ヨシカゲを追跡する仲間の一人・東方ジョウスケが、雑談程度に『寝坊して仲間達との待ち合わせに遅れる』と話していた。



この事を唯一知っていた川尻早人は、今朝の間違い電話がある「運命」を利用して、自分が率先して受話器をとり、そのまま自然な風を装って「電話をかけた」のだった。事前に調べていた「東方家」にだ。そして早人は〝賭けた〟


「前の時」より早く、東方ジョウスケが今、早人たちがいる場所まで来ること


もし8:30より少し前に来くれば、きっと「前の時」みたいにキラ・ヨシカゲが迂闊に本名を名乗る「運命」と出遭い正体を「偶然」のように知らせることができること。


キラ・ヨシカゲは「無敵」になれる第3の爆弾「バイツァ・ダスト」を過信するあまり、厳重に秘匿していた「自分の正体(キラ・ヨシカゲ)」についてボロを出していた。

その失態は大きかった。


東方仗助はすぐさま、自身の能力クレイジー・ダイヤモンド」で、目の前で「吉良吉影(キラ・ヨシカゲ)」と名乗った川尻浩作を殴り付ける。「今」は無防備だった吉良吉影は、防御は出来ず素早い拳(パンチ)を受けて倒れこむ。東方仗助の能力「クレイジー・ダイヤモンド」は「触れた物体を治す」事ができる。もし人違いだったら、後でいくらでも治せると躊躇なく確固な意思で追い打ちをかける。



吉良吉影は咄嗟に川尻早人へ取り憑かせているバイツァ・ダスト』を解除して、分身体「キラークイーン」で防御に出るのだった。これはやむを得ずの判断だったのだろう。この時の吉良吉影は、何時に『バイツァ・ダスト』で追跡者・東方仗助たちが爆死するかを知らない。もし『バイツァ・ダスト』で爆死する「運命」が来る前に、その本体である吉良吉影(川尻浩作)が意識を失うほどの致命傷を負えば、せっかくの「時は戻る」爆弾が消失するかもしれない。



とにかく、この「偶然」のような「運命」・・・川尻早人が〝賭けた〟行動。に対し、吉良吉影(川尻浩作)は「無敵」になれる『呪い(次元爆弾)』を解く行動に出てしまった。



一般人の小学生である川尻早人からは、突然キラ・ヨシカゲ東方ジョウスケの目前で勢いよく倒れこむ光景に映っただろう。だが事態を察した早人は腕時計のデジタル表示を確認し、それが8:30を過ぎた事を確認する。



そして、曲がり角を覗き込んで、まだ岸辺ロハンが爆死せず吞気に雨が降ってきたことを気にする光景を目の当たりする。


「運命」の『呪い』を解く事ができた。

たまらず高らかに声に出して悦びを露にする川尻早人。


" やった! 間に合った! 「運命」に勝った! "



まだ『呪い』の本体(キラ・ヨシカゲ)をどうするかの問題は残っている。



だが、その邪悪で険しい壁だった「絶対的な近くが仕掛けた運命」をバラバラに砕くような晴れやかで清々しい気持ちを実感し、黄金のように輝く信じられるようなへ繋ぐことができた。

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