概要
反連邦組織エゥーゴとそれを支援するアナハイム・エレクトロニクスが、グリプス戦役時にアーガマ級強襲巡洋艦をベースに建造した宇宙戦艦。
元々、アーガマ級は高いMS運用能力を持ちつつ汎用性や居住性にも優れた高性能艦だったが、その分高コストで量産には不向きだった上、艦単独の火力不足という大きな弱点を抱えていた。そのため、ティターンズの主力であるアレキサンドリア級重巡洋艦への対抗のためにも、こうした欠点を解消しつつより量産性に優れた艦艇が求められたことから、アーガマ級をベースにマゼラン級戦艦のコンセプトである優れた砲戦能力とダメージコントロール能力を取り入れた上で、コストパフォーマンスと量産性の向上を図ったのがアイリッシュ級である。
基本的な設計はアーガマ級と同じだが、アーガマ級の弱点であった艦単独の火力不足を補うためにメガ粒子砲を多数装備、推進機関も増加しており、より戦闘向けの艦に仕上がっている。武装は主砲として上下に各1基の大型連装メガ粒子砲の他、アーガマ級の主砲である単装メガ粒子砲を副砲として両舷前方射界に4基、ブリッジ後方に1基の合計5門を備える。
またMSカタパルトを1基増設して3基とし、更に後方下面に着艦用デッキが追加されており、MS運用能力が更に向上している。また、カタパルトもデッキの延長に合わせて長くなっているとされている。搭載数は不明だが、少なくともアーガマ級以上であるらしい。
その一方でコストパフォーマンス向上の為、大気圏突入能力と離脱能力や収納式のメガ粒子砲、回転式居住ブロックなどはオミットされて純粋な宇宙用艦艇となっている。こうして居住性と汎用性を犠牲にした結果、砲撃・MS運用・コストに優れた高性能艦に仕上がっており、3隻しか建造されなかったアーガマ級よりも複数隻が建造された。
エゥーゴ解散後もその高性能ぶりから地球連邦軍で運用されており、ラー・カイラム級機動戦艦やクラップ級巡洋艦といった後身艦艇が登場して以降もそれらに混じりつつ第一線で運用され、宇宙世紀0120年代でも改装を施されながら使用されていた。
↑「アイリッシュ級=マゼランの直系の艦」として解釈した場合のデザイン考察(非公式)。ちなみに右は同作者によるラプラス戦争時のネェル・アーガマに準じた近代化改修案の考察(非公式)。
同型艦
- アイリッシュ
ネームシップである1番艦。マニティ・マンデナ少佐が艦長であること以外不明。
アイリッシュ級2番艦(もしくは3番艦)。艦長はアーガマの艦長職をブライト・ノアに譲ったヘンケン・ベッケナー。
詳細はラーディッシュを参照。
- アレイオーン
『ADVANCE OF Ζ 刻に抗いし者』に登場。
白いカラーリング。無防備な艦底に対空レーザーを複数増設しており、これを追加する作業で就航が遅れ、コンペイトウ攻略戦後に完成した。強襲揚陸艇を艦内に収容している。
艦長はクリスティアン・カーク少佐。
- クークスタウン
『シークレットフォーミュラ フルアーマー百式改』に登場。
月面工業都市イプシロンにでティターンズ特務隊に襲撃されたが、所属するクリフ・フレミング中尉が駆るフルアーマー百式改の活躍で難を逃れる。
- ツバイカウ
『エコール・デュ・シエル』に登場。
艦長はベルナルド・フェレ。ジャック・ベアード率いるハロウィン、イースター各MS小隊が所属しており、衛星軌道上の通信衛星防衛戦やルオイーコロニー防衛戦で活躍、最期はダーグウェに対して特攻自沈する。
- ザンクト・ガレン
『エコール・デュ・シエル』に登場。
エゥーゴ所属でジロー・マミヤを艦長とする。ルオイーコロニーに秘匿されたMAをめぐり、コロニー港湾部でティターンズと交戦。ルオイーコロニーが崩壊していく中、大破したル・シーニュを回収する。
- スタウト
『GUNDAM EVOLVE』に登場。
チャクラ研究所を軌道上から攻撃しようとするゲヌミスを迎撃するがハイフォンと言った僚艦共々撃破される。
- マスタッシュ
『ジオンの幻陽』に登場。
メッチャー・ムチャが艦長をした。ハマーン不在を見計らったアクシズ攻略作戦の旗艦としてソーラ・システムを使っての攻撃を目論むが、作戦は失敗に終わりマシュマーの駆るリゲルグに撃沈される。
- エシャロット
『機動戦士ガンダムUC One of Seventy Two』に登場。白系統の塗装が施されている。U.C.0095年にフェネクスの母艦として連邦軍高官2人が乗り込みバンシィとの合同評価試験に参加するが、暴走したフェネクスの攻撃で撃沈されてしまう。
- オアシス
『機動戦士ガンダムUC』と『機動戦士ガンダムUC 星月の欠片』に登場。
ロンド・ベル所属の艦で要人輸送や補給艦の護衛を担当する護衛艦。コロンブス改級輸送艦アラスカによるネェル・アーガマへの補給を護衛した。搭載機はジムⅢ。余談だがここに所属するパイロット2名がプロトスタークジェガンと共にジオン残党に襲撃された民間シャトルを助けた事がある。
- アーレイバーグ
- セント・アイヴス
- ミッテラン
この3隻は『機動戦士ガンダムF90』に登場。
第十三独立機動艦隊所属艦。アドミラル・ティアンムと共にオールズモビル討伐の為、火星へ向かったがボッシュ大尉の裏切りでダメージを受ける羽目に。結局、この3隻で生き残ったのは中破したアーレイバーグのみで、セント・アイヴスは消息不明、ミッテランは大破のち自沈という結末を迎えた。
- カベンディッシュ
『機動戦士ガンダムF90FF』に登場。
ジオン残党軍レガシィに加担する元エゥーゴメンバーのテロ組織エグムの旗艦。艦長はトロワ・トロワルドヨ中佐。
0116年に建造中の隕石迎撃衛星トリムールティを襲撃し、激闘の果てに撃沈した。