アルス(GBD)
あるす
私は、いつまで…?
CV:石田彰
クガ・ヒロト達BUILD DiVERSとフレディが月(のような衛星)で遭遇した謎多き存在。常に感情の無い無機質な声色で敬語を使う。
見た目は紫がかった半透明の人間の男性だが、頭髪が無く、一糸まとわぬ姿をしている(因みに局部は存在しない)。
但し、この姿は一種のイメージに過ぎないらしく、劇中ではBUILD DiVERSの姿をコピーする一幕も。
ヒトツメ達の親玉であり、どうやら古くから存在し、エルドラを守り続けていたらしい。
しかし、彼のやっていることはそのエルドラの住民であるフレディ達山の民への武力行使という一見その目的とは矛盾するものの為、フレディからも初対面時に指摘されている。
彼がゲーム上の存在と勘違いしたカザミが口を滑らせたことで山の民のレジスタンス基地が要塞都市セグリにあることを知ると、月に備わっていた衛星砲を起動。
大量のエルドラアーミーやガンダムゼルトザームを差し向けてBUILD DiVERSを足止めし、その隙にセグリへ向けて衛星砲を発射。フレディの兄、ジェドをはじめとして多くの山の民を殺害した。
また、2ndシーズンではヒロトの駆るコアガンダムとプラネッツシステムを模造してアルスコアガンダムを生み出し、更なる戦力として運用する。
その正体は山の民達よりも遥か昔にエルドラで栄えた「古き民」が生み出した人工知能。
嘗てエルドラは外部勢力からの侵略の危機に立たされており、そんな勢力からエルドラを守り抜くために衛星砲やヒトツメの制御役として生み出された。
因みにこの頃は今のような姿ではなく、頭髪を生やし、民族衣装のような装いをしていた。
激しい戦いの末、傷つきながらもエルドラを守り抜いたアルスは、戦いで荒廃した星が再生されるようそのまま宇宙へと旅立っていった古き民達の帰りを待ちながら長い休眠に入った。
それから果てしない歳月が経ちアルスは再起動するのだが、その目に映ったのは自らが眠りにつく前には存在していなかった古き民達とは全く異なる存在―――山の民達だった。
創造主である古き民達の星で生きる山の民達を見たアルスは彼らを「自らが眠っていた間にこの星を支配した侵略者」と認識。
(アルスから見て)侵略者である山の民からこの星を守るべくヒトツメにて攻撃を開始。
更には彼を止めようとする聖獣クアドルンがGBNからシドー・マサキを呼び寄せたことを察知してGBNのデータベースに介入してガンプラのデータを基にヒトツメを強化。
クアドルンを破りマサキを洗脳して自身の支配下に置き、ガンダムテルティウムをゼルトザームに改造して、今に至るのだった。
感情は一応持っているのだが、自身に与えられた使命に盲目的で、BUILD DiVERSはもちろん、かつての仲間だったクアドルンの説得にも耳を貸さず、そのための手段も選ばない。
逆を言えば、ただ使命を果たそうとしているだけであり、メイはアルスも救済すべきではと考えている。
第25話で衛星砲に攻撃を仕掛けてきたBUILD DiVERSを再度迎え撃つが、マサキとクアドルンの援護もあり、もはや成長した彼らを止められずに押し切られてしまう。
その最中、コアガンダムに同乗していたフレディから通信が入る。
「古き民、創造主様達が残してくれたものを…」
「あなたが守ってきたものを、僕達はこれからも大切に守っていきます!」
「だから…もう大丈夫です!」
「ありがとうございました!!」
先述の通り、フレディは同胞や兄のジェドをアルスに殺されている。
その上で彼が殺戮者である前にエルドラの命全ての大恩人である事を認め、今の惑星エルドラに生きる者として、エルドラの守護者たる彼を想って感謝の意を示したのだった。
今のエルドラに生きるフレディに感謝の言葉を贈られた事で、エルドラを守るという使命を半ば完遂していた事を知らされ、フレディをはじめとする山の民が侵略者だという認識が揺らぎ動揺するアルス。
最後は新たな力であるリライジングガンダムに合体したBUILD DiVERSに衛星砲を破壊されて敗北が決定的となる。
この時、かつて古き民と交わした「また、会える日まで。いつか、きっと……」という約束を思い出しながら、
「(また会える日…?) それは、いつなのです………?」
と、目に涙を浮かべながらつぶやいており、本心では使命に疲れ果てながらも今更やめることができないでいることが窺える。
この時、第2期OPテーマ「HATENA」が流れていたが、ヒロトの心境を歌っているかのような歌詞をよく聞きなおすと、実は歌詞の内容がアルスにも当てはまる。
実際、上述した涙の場面も「何のために泣いたんだ」という歌詞を当てられたりしている。
この事から彼が頑なだったのは古き民から託された使命を自身のレーゾンデートル・アイデンティティと捉えていた為、あるいは古き民との絆として大切にした為であったのではないかとも思える。
戦いの後、クアドルンからも「使命はとっくに果たし終えている」と眠りにつくよう諭されるもそれを受け入れられず、マサキの「ガンプラの民が何度でもお前を止める」という言葉に反応。ならば使命の障害となる「ガンプラの民」を先に滅ぼしてやると宣言し、データ化したヒトツメの大群と共にGBNに転移する(しかし「エルドラ外への遠征」は同時に(目的を果たし戻ってくるまでの一時的なものだとしても)守るべきエルドラを放置することを意味する。それまで頑なに「エルドラの防衛」にこだわってきたアルスからすれば使命の放棄に等しく、プログラムとはいえ感情を有するアルスが如何に追い詰められ、余裕を失くし、ムキになっていたかがうかがい知れる)。
しかし……
マギー「いらっしゃ~い!GBNへ、ようこそ~♪」
GBNではそれまでの経緯を知るマギーの手配でアルスの侵攻を予知していたキョウヤたち無数のダイバーが待ち構えていた。
全てはアルスをただ破壊するのではなく救済・再生させるためのBUILD DiVERSと協力者たちの作戦だった。
だが多くの視聴者の事前の予想を裏切って(※1)、(決戦後のエルドラの様子から察するに)エルドラ防衛のためのほぼ全戦力を投入してきたアルスはGBN上位陣連合相手に善戦し始める。
GBNが電脳上の世界と認識するや、電子戦でGBNその物に負荷をかけ破壊すると言う戦法も同時に展開。
GBN上においても開幕の斉射で多くのガンプラを消し飛ばし、戦艦一隻の主砲でGBN側の合体砲撃を正面から押し切るなど、正攻法の戦闘でもむしろ圧倒して見せていた。
だがカザミの中継に火を点けられ、この決戦を自由参加型イベントと勘違いした大勢の一般ダイバーと堪忍袋の緒が切れた運営が加勢。GBNの精鋭部隊を圧倒したアルスもさすがにGBNの全戦力には対応しきれず、一気に戦況が逆転。
多くのダイバー達にもう一度やり直す様に諭されながら次々とアルスコアガンダムと戦艦を破壊されるが、創造主から託された使命と約束、過ぎた時間は彼を根深く縛り付けており、意思を変化させるには至らなかった。
「いつかとは…! いつなのですッ!?」
甚大な被害を被り、エルドラへの撤退も視野に入れるも、彼が宿っていた衛星のメインフレームはGBN転移直後にクアドルンとマサキによって破壊された後だった。
帰る場所を失い、使命と約束を奪われて尚、残ったアルスコアガンダムと旗艦を融合させ、慟哭しながら戦闘を続けようとするが、ELダイバーたちの呼びかけに茫然自失となった所をコアガンダムⅡとガンダムダブルオースカイメビウスの同時射撃で撃破される。
光に飲まれてデータの海に還る直前、GBNに宿っていた古き民達のデータの断片を感じ取ったのか、アルスは彼女達の姿と声を感じ取る。
「ああ…そうか… ここが…約束の……」
差し出された手を取り、涙を零すアルス。そして彼と彼の機体は音もなく散り、GBNのデータの海へと還っていった。無数の光の粒子となってGBNの空に消えていくその姿は、まるで山の民が死者の霊を送るための儀式「空渡し」のようだった……。
戦いの後、メイは一人の赤ん坊を見つける。その手にはヒトツメと同じ文様が描かれた首飾りが握られていた。
この赤ん坊はアルスそのものではない。
だが、GBN中に散ったアルスのデータとそこに込められた想いは、GBNに宿るダイバーたちの想いと一つになりELダイバーとして新たな生を得たのだった(※2)。
※1 GBNの世界では全ての機体がパイロット付きでそれまで相対してきたBUILD DiVERSと同等かそれ以上の猛者がわんさかいると言うすさまじいことになっていた。
今まで数の暴力で散々ヒロト達を苦しめてきたアルスがデータの世界に侵攻した結果、自分と同等の力の洗礼を受けるとはなんとも皮肉な展開である。
この展開に上述した理由で、第25話時点では「アルスが戦争以外の「戦う楽しさ」を知る特別な回になるのでは」などと感動する声もあれば、全く逆に「次回はいじめ回じゃないか!!」「アルス逃げて」と言ったコメントが出るなど、遂にはGBNに来たアルスに対して心配する声まで挙がる始末であった。
しかし蓋を開けてみれば圧倒的戦力とGBNサーバーへの直接攻撃で当初は優勢に立っており、ラスボスとしての力を見せつけることとなった。
※2 第25話時点では「アルスと和解して終わるのでは?」と思わすような流れだったが、最終的には一度消滅して全く違う存在として生まれる輪廻転生に近い形で救済された。
視聴者からは「流石に手厳しいのでは?」という声もある一方で、「エルドラで殺しすぎたし、山の民たちの感情を考えると仕方ない」「使命から解放されるには生まれ変わってすべて忘れる方がいい」という意見も多く、概ねこの展開は受け入れられている。ちなみにメイが言及した際にも「リセットか再生」という表現を使用している。
また、衛星砲が破壊された時点では彼が宿っていたメインフレームは健在だったためアルス自身が存続し続ける道自体は残っており、上記のようにクアドルンが眠りにつくよう諭そうとするなどその道の示唆もしていたが、アルスは最後まで使命に固執し続けたため上述した選択となった。
結局、アルスを生きたまま救えなかったが、あのまま眠りについたり、山の民との遺恨を残したまま共存というのも難しかったことを考えると、やはりこの方法がアルスにとっての救いだったのだろう。
アルスは他の登場人物と同様にシリアスな役回りである一方、視聴者の間では「全裸にハゲ」「無神経で融通の利かないキャラクター」「妙に汎用性の高い台詞」などの要素がネタ的に愛されている面もあり、いくらかの同情を誘う境遇もあってか「やった事は許容しかねるが憎みきれない」という視聴者も多い。
彼のよすがを感じさせるELダイバーが赤ん坊の姿で生まれ落ちた点についても視聴者の間では様々な解釈がなされ、GBNでどのように育つのかについても思いを巡らせる声が聞かれる。
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