「壊れればいい。こんな世界など・・・」
CV:八代拓
概要
赤黒いローブをまとった謎の男。素顔は赤髪と三白眼が特徴の疲れ切ったような顔をした男性。初心者でありながら、チャンピオン・クジョウ・キョウヤやタイガー・ウルフに認められているミカミ・リクに目をつけており、配下の少女アヤメに彼らの監視を命じている。
ブレイクデカールを自身の目をつけたダイバー達に配っており、問題視されている「マスダイバーの増加」の原因となっている。その目的はGBNの破壊のようだが、後述の通り真っ当なダイバーにとっては非常に迷惑なものである。
尚、リクを監視しているが、あくまでも最優先事項は「デカールの拡散」であり、アヤメがそんな自分の意に反した行動をとった際には、「アフターケア」を彼女に押し付けるという悪質なパワハラを働いている。そもそもアヤメは人質を使って無理矢理悪事に手を染めさせている(詳細はアヤメの過去参照)。
この様な態度からも分かるが、彼女やマスダイバーたちのことは完全に道具扱いしており、ep09ではドージの意思を無視して彼の駆る煌・ギラーガを暴走させる、それを止めようとしたアヤメに上下関係を利用して圧力をかけるなど傍若無人に振る舞った(この所業に対してマギーからは「喜びをやっかんでいるようね」と言われている)。
ep10では対マスダイバーのために組まれた有志連合を相手に再生機能を付けたブレイクデカールの実験を行う。
再生機能によって危機に陥る有志連合の姿を見て彼らを嘲笑していたが、リクがサラの助言でまっすぐ自分のいる方向に向かっていることに気が付き、リクと同行していたアヤメに指示を出し、リクと戦わせたが、リクに心を打たれて離反したことで、リクとサラに本拠地に辿り着かれることとなる。そこ今までの所業(ブレイクデカールの蔓延やアヤメへの仕打ち)に対するリクの怒りの叫びに対して、「俺だって許さねぇさ。この欺瞞と嘘に満ちた世界をぶっ壊す!」とGBNに対する怒りを露わにして真っ向から対立した。
過去
実は彼はナナセ・ナナミの兄ナナセ・コウイチと組んでいたチームメイトの一人であったが、四年前の出来事を境に袂を別っていた。その後はGBNの崩壊のために傭兵として様々なフォースに参加しながらフォースを内部から崩壊させたりするなど、悪行を重ねていた。
「ガンプラの痛みや、リアルな戦いの緊張があるからこそ」いう理由でGPデュエルを愛していたのだが、時代がガンプラへの安全が確保されたGBNへと移っていったことについていけず、いつしかGPデュエルへの愛着とGBNへの嫌悪が暴走してしまっていたのだった。
尚後述する行動理念を叫んだ際、サラに「泣いている」と指摘されている。
有志連合との決戦
ツカサはリクと真逆の考えをGBNに持っており、「ぬるい」「ままごと」「本気の戦いを知らない」「わかったようなことを」とリクを罵倒したところで、マスダイバーを退けてたどり着いたキョウヤ達に「わからないから教えてもらいたいな」と言われ、タイガーウルフに捕獲される。
だが、その姿は仮の肉体に過ぎず、仮登録アバターであるHARO(本来のアカウントではなくゲストアカウント)でGBN内を行動していた。ビグ・ザム(GBNのメインプログラムに侵入して消去するレベルのバグを発生させるブレイクデカールを搭載している)を動かしデカール込のマスダイバーガンプラを遠隔操作して「裁きの時は訪れた。さようなら、ウソッパチの世界、偽りのエデン」とのセリフを吐きながらGBN世界の崩壊を加速させたが、ダブルオーダイバーが放ったトランザムによる粒子の翼によってデカールを無効化された上にキョウヤらの総攻撃を受け大破。事件も終息に向かう筈であったが……。
電脳世界を破壊しようとした男の戦いと結末
アヤメの裏切りもありブレイクデカールの流通を絶たれてしまったツカサは、敗北の原因となったリクへの意趣返しを果たそうとし、ep13にてメッセンジャーを通してリクと接触。アヤメのかつての仲間との絆の証であるSDガンダム「絆ガンダム」を人質に彼を町はずれのとある廃工場に呼び出した。
其処でリクに「ガンプラを返してほしければGPデュエルで戦え」と要求。勿論リクはこれに応じた為、彼のダブルオーダイバーエースに対し、愛機ガンダムアストレイノーネイムで対抗。300戦以上という並外れた経験の中で鍛え上げた腕前により、ダイバーエースを終始圧倒、凄まじいパワーでダブルオーダイバーエースを狂ったように破壊していく。
しかし、戦いの最中GBNやリク達ダイバーの熱意を侮辱する発言を連発した為に彼を奮起させてしまい、「ガンプラを好きだという気持ちで誰かを傷つけるのは、これで最後にしてください。俺も最後にしますから!」と言われ、結局はほとんど刺し違える形ながらも敗北。約束通りガンプラを返却し、雨が降りしきる中その場を後にしたのだが、そこでリクを探しに来たコウイチと再会。
自身の所業を責められるが、彼を押し倒して首に掴みかかり、「俺は、(自信を失った)お前と違ってだんまりを決め込むようなことはしない!」「(GPDの栄光を取り戻すまで)戦うさ・・・・戦うに決まっているだろ!」と反論したが、コウイチもサラ同様にツカサが泣いていることを看破する。
その後のGBNで取り戻したものについてのコウイチの呼びかけには一切答えずにその場を去ったが、その心はリクとの戦いを通じて少しずつだが確実に変わっていた。
これ以降GBNへの仕打ちは完全にやめている(運営がブレイクデカール対策に乗り出したこともあるが)他、リクにもリアルで戦う事への強い拘りは理解されたようだったが、ツカサ自身はどうなったかは明かされていない。
このままフェードアウトするかと思われたが‥‥。
ちなみに彼が預かっていた絆ガンダムは、質屋に飛ばされたわけでも見せしめに破壊された訳でもなく、かなり綺麗な状態で保管されていたらしく、しかもよく見ると2年前に預かった当時の姿から各部が少しずつ変わっているのが分かる。
つまりツカサは元の形や製作者の意図を汲んだうえで「こうしたら性能が上がる」「こうしたらもっと引き締まる」といった素材を生かした改良をちょこちょこ仕組んでいた訳で、彼の『好き』に対する真摯さと、そこから芽生えてしまった歪みが見て取れる。
破壊者が生み出すもの
サラを救う方法を(サラの個別記事を参照)思いついたコウイチに呼び出され、学校の体育倉庫のような場所で再会。コウイチ曰く「ツカサのブレイクデカールと俺達のGPDの技術があればサラの命を救える」とのこと。
が、コウイチの提案は「リアルでブレイクデカールを応用する」というかなり無茶な事らしく、また、ツカサにとっては自分の野望を潰したサラを助ける道理はなく、むしろ彼女の存在がGBNを滅ぼすことは好都合のはずだが、
「(GBNが俺が潰す前に)勝手に滅びられちまうのは面白くねえ」
「あいつらに借りがあるわけじゃねえが」
と、以外にもあっさりと協力を承諾。ブレイクデカールを改良したビルドデカールを組み込んだモビルドール・サラをコウイチと共に作り上げる。
ep23でリク達が変則フラッグ戦を繰り広げている最中に「THE GUNDAM BASE」に来店(この時、コウイチの妹のナナミと初めて会う)。サーバールームでサラのサルベージの準備をしながら、GBN内で同じく準備をしていたミス・トーリと言葉を交わす。
トーリ「まさかGPDのこのシステムを利用していたなんてね。盲点だったわ」
ツカサ「お前たちが捨てた技術さ」
トーリ「そんなこと‥‥!いえ、そうね」
ツカサ「謝罪はいらねえ」
トーリ「でも感謝はさせてほしい。あなたが、あなたの守り続けたこのGPDの技術が、彼女を救い出すための切り札となるのだから。ありがとう、ミスター・シバ」
ツカサにとってトーリはGPDを衰退させた原因を作った張本人でもあったが、憎まれ口こそ叩いたが以前に比べるとその口調はわずかだが穏やかなものとなっており、決してトーリを責めようとはしなかった。
最終回ではレイドボスと激闘を繰り広げるビルドダイバーズをノーネイムで援護(アバタ-は以前も使っていたHARO)。GPD時代を髣髴とさせるコウイチとの息の合った連携を見せた。
その後の動向は不明だったが、続編のガンダムビルドダイバーズRe:RISEではメイの回想という形でep10でサラやコウイチたちと登場。
描写から彼らと共にサラやメイのような電子生命体「ELダイバー」の体となるモビルドールの作成やサルベージなどの保護活動を行っているらしく、少なくともコウイチたちとは今は対立していない模様(外伝『ガンダムビルドダイバーズブレイク』ではガンダムベースに赴く際に自身が初めてブレイクデカールを渡したアークとその親友ゼンが"自分たちのように"再びなれるのか、と考えていたため、この時点ですでにコウイチとのわだかまりはなくしていた様子。本人は性に合わないことを考えていたと恥ずかしがっていたが)。
設定ではコウイチと共にGBNが運営するELダイバーの保護機関「ELバースセンター」で働いているとのことで、外伝作品のガンダムビルドダイバーリゼでは実際にセンターで働いている姿が見られている。
姿は相変わらずHAROのままだが、これは正式なダイバールックとして採用した物の様子。
本人曰く自身のGBNでのスタイルに関わる話であるらしい。ダイバーネームは「アンシュ」。
恐らくは専用アバターを作る事はGBNを受け入れた事と捉えている為、あえて汎用アバターを使用し続けているのだと思われる(目つきの悪い紫色のハロはガンダム00に登場している)。
機体
使用ガンプラはガンダムアストレイノーネイム。GPD時代で使ってた、ガンダムアストレイレッドフレームを改造したもの。
ガンダムビルドダイバーズRe:RISEでは、ガンダムアストレイノーネイムを更に改造したと思われるロードアストレイダブルリベイクを使用する。
考察
制作したガンプラ同士を実際に戦わせるが故に、純粋な制作技術と操縦能力が反映される一方で大切な作品が無残に破壊されるリスクも負っていたGPデュエル。実際、手塩をかけて加工・造形・塗装した自作の愛機が破壊される覚悟を背負ってためらいなく「戦場」に出せるガンプラ愛好者は現実的には極少数だろう(一応『ガンダムビルドファイターズトライ』ではカジュアルプレイ用に「非破壊設定」にも出来る。公式全国大会では破壊設定に固定されるが)。そういった背景から見れば、ガンプラがデータ化されたGBNは、作品破損に伴う覚悟は求められない安全な世界である。これによりガンプラバトルの敷居が下がり競技人口も増加したであろう反面、ユーザーが「本気」で闘い、ビルダーとして、ファイターとして己を磨く姿勢は良くも悪くも過去のものとなった。
ただ、そもそもGPデュエルの敷居の高い過酷な環境を設定していたのは運営側で、運営側の課したルールの中で切磋琢磨し観る者を魅了する真剣勝負を演じガンプラバトルの人気を作り上げてきたのはあくまでユーザー側の努力によるものである。GBNの環境はツカサのようなGPデュエルユーザー達から見れば自身がリスクを背負って築いてきた人気を運営側が都合よく利用しただけでなく、今まで自分達が負っていたリスクが無意味だったと宣告されたようなものでもあったと思われる。GPDプレイヤーとしてリスクを背負いながらトップランカーとしての立場を築いてきた彼にとって何よりも許せなかったのは、リスクのあるGPDの戦場には参戦もして来なかった者たちがGBNの環境で自分達と同等のトップランカー扱いされている事だったと思われる。
時代の変化に取り残されたツカサは、GBN側から見れば老害であろう。反面、かつてのガンプラバトルが備えていた、「己が誇りを賭けた神聖なる決闘」とでもいうべき「理想」の保持者であり、ガンプラバトルの「堕落」に反逆したとも見ることができる。意固地な性格と、戦闘狂的な資質からブレイクデカールによりGBN世界に大きな混乱をもたらした彼は、リクとは対極の意味で「純粋」な人物であったのかもしれない。
上記の通り、物語後半ではGBNを混乱、崩壊させる格好の機会にもかかわらずサラを助けるために協力したが、「GBNを潰すのは俺だ(要約)」とは言っているもののその真意は明確にはなっていない。
さすがに人一人の命がかかっている非常事態だからという可能性も考えられるが、もう一つ考えられるのはGBN側の鼻を明かすためともとれる。上記のトーリとの会話にもある通り、サラの一件は、トーリをはじめとするGBNスタッフでも完全にお手上げ状態であり、ビルドデカールがなければサラとGBN双方を救うことは不可能だった。
いわば、ツカサのしたことは
「GBN側でも不可能だった案件を、捨てられたGPDの技術が解決する=GPDがGBNに一矢報いる」
ことになっており、事実トーリはツカサに感謝している。
これもまたツカサなりの復讐だったのかもしれない。
Re:RISEでは上記の通りGBNの下部組織でコウイチと共にELダイバーの保護や彼らの体となるモビルドールやビルドデカールの開発をしているが、これも裏を返せば「ELダイバーの保護にはGBNにとっては罪人であるはずのツカサの力を借りなければいけない」と見ることができる。
GBN側がツカサがブレイクデカール事件の犯人と知っているかは不明だし、詳細はわからないが、もしかしたら何らかの司法取引的なことがあった可能性も十分考えられる(ただ単に気付かずに彼を登用したかもしれないが)。
或いはあらゆる方面から追究しても痕跡が残らないブレイクデカールの性質上、ツカサが手持ちの資料を既に処分していた場合、仮に彼自身が罪を認めてもGBN側がツカサを公的に処断出来る理由を用意できないため、親しい人間の監視の元で奉仕活動をしてもらう以上の処分が出来なかったという面もあるのかも知れない。
最終話でのアルスとの戦闘ではどの立場として参戦したのかは不明だが、ノーネイムをさらに改修したと思しき機体・ロードアストレイダブルリベイクにコウイチと共に乗り込んで参戦しており、複座式でコントロール者に合わせて姿を変える仕様を駆使して敵艦一隻を破壊している。
関連タグ
ガンダムビルドダイバーズ ブレイクデカール アヤメ(GBD)
哀しき悪役:「ガンプラバトルへの執着故に狂ってしまった」のならば、ある意味ではこう言えなくも無い。
マシタ会長:同じくガンプラをテーマにした作品において明確な悪役とされている人物繋がり。主人公に執着している点も共通する。
宇宙忍デモスト:人質を取ってくノ一の少女を無理矢理従えていた者繋がり。
小角:今木商事作「プラモウォーズ」に登場するプラリーガー。プログラミング技術を持っていて、主人公側に立ちはだかる。 物語終盤に発生した巨大なバグを倒すために自身も参戦する
ビルドデカール:製作したプログラムの一つ。
モビルドール・サラ:製作した模型。
プラモ狂四郎:ガンダムビルドシリーズの元ネタと言える作品。この作品の「プラモシミュレーション」も電脳世界で行われているのだが、その機械には態々ガンプラを破壊する機能が搭載されている。その理由と言うのもプレイヤーに「覚悟」を与えるためだとか。