カブトカンス
かぶとかんす
新帝国ギアが開発したメカジャイガンの一体。記事冒頭に示した台詞にもあるように、作中にて最初に作戦行動に投入された機体であると同時に、スーパー戦隊シリーズとしては初となる「登場時にテロップ表記がなされるゲスト怪人」でもある。
上半身の大部分を覆う、ドーム状の装甲が大きな特徴であり、その装甲の上部に備わった左右一対の大砲や、右腕の射出式の鉄球を主武装としている。また、前述の装甲は左右に広げることで、カブトガニを思わせる形状の飛行形態へと変形できる他、球状に丸まって地上を転がりながら移動することも可能である。
世界一の超科学都市「テクノトピア21」を破壊し、人類に自らが世界一の科学者であることを知らしめんとするドクターマンの命を受け、南極より飛来したカブトカンスは、球体への変形や砲撃、鉄球による攻撃で瞬く間にテクノトピア21を灰燼と帰さしめ、メイスンやメッサージュウ達による攻撃と併せて、ドクターマンからの命令を忠実に実行してみせた。
その後、メイスン達が突如出現したバイオロボの破壊を命じられながらも、新たに誕生したバイオマン相手に敗北を喫すると、カブトカンスはメイスンからの指示を受けバイオマンの前に出現。
対するバイオマンがバイオロボでこれを迎え撃つ中、カブトカンスは相手の操縦に不慣れな点を突き、パンチや砲撃を見舞って一時は優位に立ったものの、態勢を立て直したバイオロボにジャンプで攻撃をかわされると徐々に形勢を覆され、動きを拘束しようと射出したチェーン付きの鉄球も逆に手繰り寄せられて切られた末に、必殺のスーパーメーザー・ストレートフラッシュで胴を貫かれ敗北。バイオマンとギアの最初の対決はギアの敗北という結果に終わった。
デザインは原田吉朗が担当。前年の『科学戦隊ダイナマン』と同様に、企画立ち上げ当初の出渕裕がレギュラーキャラクターのデザイン作業などにかかりっきりであったことから、カブトカンスも含めた初期の4体はヘルプとして参加した原田がデザインを手掛ける格好となった。
カブトガニというモチーフの選定は、原田が恐竜以前の時代の生物が好きであることに起因したものであり、この他にも武具の「兜」とも引っ掛ける形としている。上半身の装甲に当初配されていた丸い目は、メカっぽさを強調するため角ばった形へと変更された他、デザインを提出した後に必要になった飛行形態についても別途ラフスケッチが起こされている。
『ダイナマン』の超進化獣のように、本作でも初期に登場したメカジャイガンの脚部を後に登場する個体に流用するという手法が踏襲されており、カブトカンスの脚部もサイカンス、ハンマーカンス、カエルカンス、カメカンス(再生前・二足歩行時)、カメラカンス、ドクガカンス、ソニックメガス、サタンメガス、レンズメガスに流用されている(※)。
(※ 実際には用いられていないものの、デザインの段階ではゴリラカンスやムシャカンス、それにタコカンスやバロックメガスも、同様にカブトカンスの脚部の流用を想定していた痕跡が見られる)