概要
油用灯火具の一種。ポルトガル語で燭台を表すカンデラ(candela)が転じ訛った語で、オランダ語ではカンデラール(kandelaar)と言った。
キャンドル(candle)と同じく、ラテン語のカンデラ(candela)を語源とする。
手提げ式で油を燃料とする照明全般を指し、古くは古代ギリシャ、ローマ文明から存在する。
日本でいう提灯に近い物で、一般的には傘の様な金属製の上蓋にガラス製の面と金属製の骨、同じく金属製の底面部分を持つ、縦長の台形の様な形状をしている。
周囲をガラスや金属で覆っている為、風雨に強く、かなり強い風が吹かない限りは消える事は無い。
持ち手として、提げ紐や鉤、金輪の取っ手が付いており、ここを手に持って吊り提げて用いる。
一般の照明器具としてのみならず、炭鉱での照明としても広く活用された。
日本で江戸時代に使用されたものは鉄や銅などの金属製あるいは陶器製で、土瓶のような大きな口をもち、これから太い布心を出して植物性油をともした。明治時代には石油ランプの普及にさきだって、石油用灯火具としてひろく全国的に用いられた。
現在では、実物を見る機会こそほぼ皆無となったものの、古くから列車などに合図を送る為の灯火にこの手の照明器具が使われていた鉄道業界では、石油ランプからカーバイト灯(=アセチレンランプ)を経て、電灯となった現在でも「合図を送るための手提灯」を慣例的に「カンテラ」と呼ぶ習慣が残っている。
「夜道を行く為の道具」というイメージから、幽霊や怪物たちの小道具としてもよく描かれる。