概要
クヴァンダ(Kumbhanda)はインド神話に登場する魔神で、暴風神ルドラの従者であるといわれている。
クバンダ、クハンダ、クンバーンダ、クムバンダなどの表記もあり、こちらのほうが原語には忠実であるといわれている。
仏教においては鳩槃荼(クバンダ)衆という護法神の一族であり、増長天の眷属、または八部衆の一人とされる。
奈良時代に制作された鳩槃荼像は国宝であり、八部衆の夜叉に相当する。
形象は仏教の経典では記述が無く不明だが、曼荼羅では人身馬頭の姿で描かれている。
「クヴァ」とは瓶を意味する「カバ(クンバ)」のことで、瓶のような性器を持つという意味で、瓶に化身することができる女怪であり、男をたぶらかして精気を吸う説もある。
甕の形の陰嚢を持つとの伝承もあり、そのまま「陰嚢」または「甕形鬼」と漢訳されている。(睾丸のサイズから「冬瓜鬼」とも)
人の睡眠を妨げ、災難の原因をつくることから「厭魅鬼」「厭眉鬼」との呼び名もある。
密教においては男女がおり、馬頭で黒い肌、1丈ほど(3メートル)の大きさで、赤い布をまとった姿であるとされる。
インドの文献では動物のように描写されていたことから、日本で翻案される際に大きな陰嚢を持つインドの狸と捉えられた。そのため、狸の金玉は八畳敷とされたとの説を南方熊楠が唱えている。
余談
- 「ラーマーヤナ」には、カバンダという頭が無く胴体に目や口があるという、異形のラークシャサが登場しており同一視されることもあるが、「クヴァンダ」が種族名なのに対しこちらは個体名である。
- オカルト界隈で聖徳太子の予言書とされる「未来記」には、黒船来航、東京遷都と解釈される予言から200年ほど後(2016~2017年ごろ)に、「クハンダ(クヴァンダ)が来て、東の都は親と七人の子のように分れる」とあり、クハンダが何なのか様々な解釈がされている。
- 女神転生での姿は「組織の尖兵は世界の吸血鬼である」というコンセプトで金子一馬氏によってデザインされた。
創作での扱い
女神転生シリーズ
※pixivで投稿されているのは、ほとんどが女神転生のキャラクターである。
詳細は →幽鬼クバンダ
桃太郎伝説
ラストダンジョン地獄に登場する大きな鬼「くばんだごくそつ」として、『桃太郎伝説Ⅱ』とプレイステーションでのリメイク作に登場した。
GREY
※左奥
たがみよしひさ作のSF漫画。
地下組織「ナゴシ」の主力兵器が「鳩槃茶(クバンダ)」と名付けられている。