概要
鉄道用語の1つ。鉄道駅において列車の一部のドアの締切を行うことを指す。締め切ったドアからの乗降は出来ないので、別の車両・ドアからの乗降を余儀なくされることになる。ドアカットを行う理由として以下の点が挙げられる。
- 列車が長いのに対し駅のホームが短いために全てのドアがホームにかからない
- 特に有名なケース。名古屋鉄道の場合はホームを延伸するほどの効果が得られないため、ドアカットの駅が他の鉄道事業者に比べて極端に多い。ただし2023年3月のダイヤ改正で該当する列車の編成が短縮されたことに伴いドアカットを行う駅は激減している。
- ちなみに名古屋鉄道ではドアカットを締め切りと呼称する。
- 車両とホームの隙間が広すぎて乗降が困難である
- ワンマン運転を行っているため先頭車のドアしか開けない
- 古くは北海道に多くあった仮乗降場ではホーム有効長が極端に短いため先頭以外のドアを開けないことも多かった。現在は該当路線がワンマン化したことによりこちらの事例に該当。
- 特急列車など有料列車の乗車時の検札を駅ホームで行う
- 車内の温度を保つため1車両につき一部のドアしか開けない
- イベントがあるために乗降分離を行う
現在もドアカットが行われている事例(一部)
- JR宗谷本線豊富駅
- ホームの長さは4両編成分しかない為、繁忙期などに特急列車が増結された場合はドアカットを行う。
- 東急大井町線九品仏駅
- ホームが20m車4両分しかなく、ホームの両端が踏切で挟まれており、さらに立地上の都合からホームの延伸工事が出来ない。そのため5両編成の各停の二子玉川寄り1両のドアカットを行っている。
- かつては戸越公園駅も同様にドアカットを行っていたが、2013年に踏切を移設して解消している。
- JR横須賀線田浦駅
- 江ノ島電鉄腰越駅
- ホームが40mしかなく、藤沢方は併用軌道と踏切、鎌倉方は踏切で挟まれており、4両編成の列車については鎌倉寄りの先頭車(鎌倉行きは1両目、藤沢行きは4両目)のドアカットを行っている。
- ドアカットの操作は、前駅(江ノ島駅または鎌倉高校前駅)出発時に車掌によるスイッチ操作のほか、車両が腰越駅停車を車上子と地上子により判別し、自動的にドアカットの投入および解除を行えるように、二重の安全対策が施されている。
- 東武伊勢崎線浅草駅
- 急カーブ上に駅のホームを設けたため、乗降に危険な箇所が出てしまった。1・2番のりばの下り方40m(20m車2両分)がそれ。
- 1番のりばの列車は8両編成まで発着可能。6両編成が発着する場合はすべてのドアが開くが、8両編成が発着する場合は下り方2両はドアカット。
- 2番のりばの列車は6両編成まで発着可能。6両編成が発着する場合は下り方2両はドアカット。
- 急カーブ上に駅のホームを設けたため、乗降に危険な箇所が出てしまった。1・2番のりばの下り方40m(20m車2両分)がそれ。
- 名鉄常滑線尾張横須賀駅、朝倉駅、新舞子駅
- いずれもホームの長さは6両分しかないため8両の場合は最後尾の2両を締め切る。
- 新舞子駅は2021年に上りホームのみ有効長が8両分に延長されたため解消されている。
- 愛知環状鉄道中水野駅、瀬戸市駅、瀬戸口駅
- これらの駅は岡崎方面のホームが8両に対応していないため、平日の夕方と夜間に運行される中央線から直通してくる瀬戸口行の岡崎側4両をドアカットする。ドアカットするだけでなく、終点まで締め切られた車両は客扱いをしない。そのため、高蔵寺駅で貫通扉も事前に締め切ってしまう。
- なお、平日の朝に運行される逆方向の名古屋行きは高蔵寺方面のホームが10両対応しているため、ドアカットせずに運行される。片方向しかドアカットをせず、なおかつドアカットされた車両は客扱いなしになる珍しい例。
- JR東海道本線三ノ宮駅