概要
「パイクカー」とは、一般的には内外装のデザインにおいて実用性や合理性よりも先鋭性や個性を重視した乗用車を指す。
日産以外の国内外の自動車メーカーも手掛けており、その多くが既存のスタンダードな性能の車種を改造したモデルである。
1980年代の日本車は電子技術化やハイパワーを重視した開発競争が進み、デザインも全体的に角ばった外装や、デジタル計器化が進んで航空機のコックピットを思わせるようなどこか冷涼感のある内装が主流であった。
ハイパワー化の波は普通小型車の過給機(ターボなど)化やスポーツ走行化まで波及するほどであった。
そのような時代の中、日産はライバル社の普通小型車の対抗策として自社の初代K10型マーチをベースにした改造車の特別企画を計画。
服飾デザイナーらによるコンセプト案によって試作されたBe-1が、1985年の東京モーターショーに出展された。
最新技術によって丸みを帯びた同車の外装デザインは角ばったクルマに見慣れた来場者に大きな衝撃を与え、同時にイメージ設計のモデルとなったローバー・ミニのような往年の英国車を思わせるレトロ風な佇まいに懐かしさや温かみを感じさせるという評価を集めたとされる。
この時の好評を受けてBe-1の市販化が決定し、以降日産の経営危機問題が表面化する2000年まで同様の斬新なコンセプトにこだわった車種が生産販売された。
また光岡自動車によるマーチの改造販売車ビュートなどの派生車も誕生している。
車種
1987年から1988年まで限定生産販売。
ベース元はK10型マーチ。
東京都港区の青山にアンテナグッズショップができるなど社会現象化した。
1989年から1990年まで限定生産販売。
ベース元はK10型マーチ。
2CVやルノー4などの往年のフランス車を思わせるようなデザイン。
1991年から1992年まで限定生産販売。
ベース元はK10型マーチ。
1950年代の欧米車をイメージしたオープンカーで、刑事ドラマの主人公杉下右京の愛車にもなった。
1989年から1990年まで限定生産販売。
日産パイクカー唯一の商用車で、その名の通りカタツムリをモチーフにしたデザイン。
1994年から2000年まで通常生産販売。
誤解している人が多いようであるが、このクルマは決してSUVでもクロスオーバーSUVそのものでもないので要注意。