概要
和名 | フチグロトゲエダシャク |
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漢字表記 | 縁黒棘枝尺 |
学名 | Nyssiodes lefuarius |
分類 | 鱗翅目 シャクガ上科 シャクガ科 エダシャク亜科 Nyssiodes属 |
♀体長 | 10~14mm |
♂前翅長 | 16~20mm |
分布域 | 日本(北海道、礼文島、利尻島、本州、山口県見島、四国、九州、対馬、種子島、屋久島)、中国、朝鮮半島、シベリア、サハリン |
幼虫の食樹 | ウマノスズクサ科(ウマノスズクサ)、イラクサ科(ヤブマオ)、バラ科(桜、ヘビイチゴ、ワレモコウ、キイチゴ、モミジイチゴ、シドミ、ノイバラ)、タデ科(ギシギシ)、マメ科(シロツメクサ、アカツメクサ、ミヤコグサ、カラスノエンドウ、ハマエンドウ、クズ、ナンテンハギ)、キク科(ノコンギク、ヒメジョオン、ヨモギ)など広食性 |
越冬態 | 蛹 |
成虫の発生期 | 2~5月/年1化 |
早春に出現するシャクガの一種で、春を告げるスプリング・エフェメラル(春の儚い命)のひとつ。
雌の翅が退化しているので、春に出るがフユシャクに分類される。
草原に生息し、日中に活動する昼行性の蛾。
昆虫愛好家(虫屋)からは「フッチー」の愛称で親しまれている。
本州では平地から山地まで広く生息するが、移動能力が低い為に生息域は極限され、滅多に見られない。
各地の県レッドリストで絶滅危惧種に指定されている。
形態
雄の触角は櫛状。黒茶色の帯に縁取られた黄色~白っぽい淡褐色の前翅が特徴で、これが名前の由来となっている。
雌の触角は糸状で、翅は完全に退化し、飛ぶことはできない。
体は毛で覆われ、モコモコして愛らしい。
生態
草原性の種で、山地の高原から平地の河川敷、海沿いの草原まで広く生息する。
開けた豊かな草地に生息する為なのか、元々分布が局地的で少ない種だが、現在は開発による草原の減少によって更に数を減らしており、産地は大河川の河川敷やスキー場等に極限される。
成虫は年に一度、2月~3月頃の早春に現れるが、寒冷地では4~5月にずれる。
雄はよく晴れて風の無い正午前後にのみ活動し、雌を求めて草原上をセセリチョウのように素早く飛び回る。
雌は草木の上や木の杭、建物の壁面等でフェロモンを放出し、雄を呼び寄せ(コーリング)、交尾をすると枯れ草の茎に腹部先端を差し込み内部に産卵する。
成虫は何も食べず、交尾・産卵を終えるとすぐに死亡する。
幼虫はシャクトリムシで、様々な植物の葉を食べて成長する。
蛹化は石や枯れ草の下の土中で行う。