概要
著:田中ロミオ、イラスト:山﨑透→戸部淑、によるライトノベル。ガガガ文庫から刊行。既刊は9巻+短編2巻。
作者的には9巻まででもって物語は一応の完結としているが、その後も短編集が発表されている。
作者による略称は『人退』。だが読者の間では『人衰』の方が浸透している。
挿絵
第1巻から第6巻までは山﨑透が担当していたが、何らかの事情により続投が難しくなったとして戸部淑に交代となった。
また、これまで発売されたものも戸部のイラストによる新装版が新たに刊行され、山﨑の意向で旧版のイラストは今後使用しないことを発表している。
なお、アニメ版では戸部版による新装版のキャラクターデザインが採用されており、戸部淑も「原作イラスト」としてクレジットされている。
受賞歴
『このライトノベルがすごい!2007年』17位
『SFが読みたい!ベストSF2007』国内編15位
コミカライズ
『月刊IKKI』にて見富拓哉による『人類は衰退しました のんびりした報告』が連載された。また、『月刊コミックアライブ』にて吉祥寺笑による『人類は衰退しました ようせい、しますか?』も連載された。
なお「のんびりした報告」は『設定・キャラを使った半オリジナル』であり、「ようせい、しますか?」は『アニメ版のコミカライズ』とされている。
あらすじ
主人公の「わたし」が現″人類″である「妖精さん」と人間との間を取り持つ仕事「調停官」となって、故郷である「クスノキの里」に赴任してくるところから始まる。
登場人物
それぞれ、主人公である「わたし」、そのおじいさんである「祖父」、祖父の助手である「助手さん」など、あえて固有名は設けられていない。
レギュラー
(左から、普段の主な服装、学舎時代、9巻挿絵)
CV. 中原麻衣
主人公にして語り部。
旧人類の少女。イニシャルはM。
「孫ちゃん」「お姉さん」「お菓子ちゃん」「先生」「姐さん」「隊長殿」などと呼ばれる。親からの呼び名は「マーゴ」。
クスノキの里の調停官で人類と妖精さんの橋渡し的な役割を果たす国連職員(所謂国際公務員)。概ね現状の主な業務は妖精にまつわる騒動の苦情処理。ただし国家が崩壊した社会において機能している数少ない公官庁の職員であるため事実上里の万相談窓口と化している。里の住人やVIP局長の無理難題等ありとあらゆる厄介事をおじいさんから丸投げされ日々奮闘させられている(本人の意思にかかわらず)。
「深窓の令嬢」のような外見から基本的におっとりしているが頭の回転は速い。内面は分かりやすい腹黒にして狡猾。Yからも「分かりやすい小悪党」、「歩く詐欺」とまで言われてしまっている。ただし人並み程度の目線で見ての話でけっして極悪人や大悪党の類ではない所謂俗人。見られていない部分や気の置けない友人の前では毒舌になる傾向があり地の文や(主にYとの)会話中にしばしば毒を吐いている。祖父にも毒を吐くが概ね毒舌を以て返される。要領は悪い方ではないがY程ではない上にかなりの迂闊者であるため概ね貧乏くじは彼女が引く。そして多くの場合事態に誰かを巻き込む。巻き込まれるのは高確率で助手さんとY。
趣味は菓子作り。材料さえ必要量調達でき調理器具が整っていればたいていの菓子が作れる。
妖精さんを手製の菓子で餌付けに成功した作中唯一の人物。
味は妖精さんが爆発的に増殖したり<のばら会>で好評であったことからかなりのレベルにあると思われる。
職業柄からか作中で起こる「妖精さん」関連の騒動に高確率で大きく荷担しており、最終的には成り行き上妖精さんに頼りつつ自らで火消しして回る羽目に陥る。
原作では当初妖精さんに振り回されがちだったが、元来頭の回転が速いため次第に付き合い方と扱い方を自分なりに会得した模様。恐らく作中で唯一妖精さんを能動的に活用できる人物でありそのことが多くの危機打開に繋がった。ただし根本的な危機回避は妖精さんの取扱説明書に有るとおり不可能である。
月から帰還後は、おじいさんにかわり新所長となり、活躍している様子。
CV. 小林由美子、あおきさやか、明坂聡美、ささきのぞみ、金元寿子、小桜エツコ、小笠原早紀、小山さくら、中根久美子、新井里美、辻あゆみ、矢部雅史、山田きのこ、佐藤なる美、坂本千夏、真田アサミ
現人類。不思議で高度な文明力を持つ存在。
楽しいことがあると繁殖しテンションが下がると減少する。お菓子(というより甘いもの)が大好きで、それ以外の飲食物は一切摂取しない。
そのため主人公である「わたし」にお菓子で餌付けされる。
一応、旧人類との共存は成り立っているようには見えるが、しばしば気まぐれで超常現象を引き起こすため、調停官事務所には多くの妖精さん由来の物品とその苦情が絶えない。
彼らの行動原理は集団内のテンションとブーム。ブームが起こると一夜にして高度都市文明を築き上げ、また一瞬にして崩壊させることも。
「わたし」によって、「なかたさん」「キャップさん」「ちくわさん」などの呼称が付けられる。
びっくりするとボール状になって休眠状態に入る。「わたし」は休眠状態にある妖精さんボールとも言うべきそれを常に携帯し菓子をエサにしたり、何らかの刺激を与えることで非常時に活用している。また、怖がると失禁するが、この時に排出するのはほぼ真水。
電磁波は天敵でありテンションが格段に下がりやすい。発電施設や電子機器等電磁波が集中する場は要注意である。
存在自体がかなり不条理な上に何故かプチモニ、おやじ、ぴおん等の人造知性体(疑似生命機械)には一切感知することが出来ない。
自分たちの取扱説明書と称する豆本が存在する。
過去の接触のあった旧人類側の誰かが彼らの行動原理を纏めたもので、概ね仕様書と考えて間違いない書物。一時的なお里帰りをする際に妖精さんから「わたし」に進呈された。
CV. 福山潤
監察官の助手。とても無口な少年。おじいさんからの手紙では「ジョシュア・コートニー」と書かれている。
本来は祖父の助手なのだが、基本的には「わたし」の付き人をすることが多い。
絵が上手で、ネガティブな絵本を描くのが得意。
「規格」が異なるため、慣れないうちは識別しがたい。
9巻では、Y、P子、O太郎、巻き毛、Kとともにロケットにて月に残された「わたし」を救出。
それ以降、喋れるようになった。ちなにみになんと江戸っ子口調であり、「わたし」のことを「姐さん」と呼ぶ。
祖父(おじいさん)
CV. 石塚運昇
「わたし」の祖父。趣味人。「わたし」の唯一の身内で職場の上司であり先任者にして前任者。孫に負けず劣らずの毒舌な人物。孫の「わたし」には「厳しく」(もっとも「わたし」の主観では割と理不尽。)躾けたためか「わたし」からはやや苦手にされている(別に嫌われているわけではない)。
一応、監察官の事務所所長だが狩りにいそしむことが多い。銃器、時計、書物、チャリオットなど、多くの文物を所有している。Yがポイントで得た蒸気自動車に関心を示した。また、5巻では武器庫を所有していることが明らかになった。
ジャンルは不明だが学者として名が通っておりその知識量ははかり知れない。
ただし実践で活かされる範囲は概ね趣味に関するものある。
8巻で月面に調査を兼ね旅行に行き、行方不明になってしまう。9巻では体を失い、妖精さんと同じような状態となるが、「わたし」以外はそのことを知らない(信じてもらえず死んだものとされている。)。
CV. 沢城みゆき
「わたし」の悪友で、人類最後の学校で優等だった卒業生の一人(もう一人は「わたし」)
わたしとは学舎時代からの付き合い。「わたし」に負けず劣らず狡猾で変人の類であり要領がよい分やや悪質である(無論悪人の類ではない)。学舎在学中は内面的にもっとアブノーマルな人物が複数人存在したため読者視点では割と普通に見えることもある。当初はいろいろあったが最終的に腐れ縁となる。
学舎在学時、初めのうちは引っ込み思案な性格が災いしてか孤立しており、寂しさを埋めるため図書館に通うたびに豊富に蔵書がある偏ったジャンルの本に感化されていき、ついには隠し部屋にその手の本を秘蔵するまでに至った。その趣味は学舎卒業後のとある事件の最大の要因に成っている。
詰めの甘い「わたし」と違いかなり要領がよい。与えられた任務はそつなくよくこなす。悪く言えば適当。作中で起こる多くの騒動に巻きこまれるがそのうちいくつかの騒動はY自身の行動に起因している。
「妖精さんたちの、さぶかる」では筋金入りの腐女子で過去の遺産であるデータから同類誌を復刻させる。
人類は衰退しましたが、BLは衰退していませんでした。
ぴおん(P子)
CV. 水樹奈々
「妖精さんの、おさとがえり」に登場する猫耳少女。
「であります」など、礼儀正しい軍隊口調で物を喋る。正義好き。
記憶喪失ならぬ「記録喪失」で、自分を人間だと思い込んでいる。しかしモノリスからトランスフォームしたり常人ではない身体能力を誇る辺り、どう考えてもメカ。
遺跡で数日迷ったわたし達の前に現れ、行動を共にする。
その正体は未知なる生命体を探す任務についていた深宇宙探査機パイオニア(PIONEER)。
改修を受け続けることで今の体になることになっていた。
任務を放棄しておやじことボイジャーを探して連れ戻そうとしていた。
最終的にわたしが宇宙へ旅立たせないために基地を破壊したため、「ひみつのこうじょう」で「わたし」が断髪するきっかけになる。
普段はモノリスの形で置かれているが、手回し発電によって復活できる。
O太郎(おやじ)
CV. 檜山修之
「妖精さんの、おさとがえり」に登場する謎の勇者王。少年らしい嗜好と口調。
その正体は深宇宙探査機・ボイジャー(VOYAGER)。
任務中に一種のホームシックにかかり、本来のミッションを忌避。遺跡の中に引きこもっていた。
古代のカードゲームやブル四駆(ベヒモス)の技術で、追って来たパイオニアとついでのわたし達を迎撃するが退治される。
その後、彼らの境遇に同情したわたしの行動でパイオニアと共に彼の願い通り地球に留まることになった。
過去の因縁からかエンタープライズにあまり良い印象を持っていない様子。
巻き毛
CV. 金元寿子
「妖精さんたちの、ひみつのおちゃかい」で登場するわたしの学舎時代の後輩。
「わたし」に対して親身に接するが、後にYによって「わたし」は行き過ぎた情愛の様を見せられることになる。
卒業後も100通ほどは「わたし」に手紙を送っているようである。
月から帰還後はクスノキの里に職を手放し移住している。
プチモニ
ヒト・モニュメントに接続可能な小型自立端末。
モニュメントに収録された未整理のデータベースを瞬時に検索し順位付けする機能がある。
7巻で「わたし」に教育され騒動を起こしたヒト・モニュメント用AIその物でありそれを機能制限した上で端末に移したもの。
自分自身をコピーして、2つ存在することも可能。
今はKの所持品だが主に活用しているのは「わたし」。
K
黒服に身を包んだ国連のエージェント。
普段はフリルのスカートしか穿かないらしい。実際8巻の夢の中ではフリフリの寝間着で登場した。
黒服を着ているのは彼女の所属する組織が工作員を要したMI6の末裔であるためであり、VIP局長の指示。本職は工作でも木工の職人さん。
その為かおじいさんからカタパルトの製作に誘われ喜々として参加した様である。
A
腕白な少年。実家は牧羊業を営む。
(A,B,C共通して)取り換え子としての扱いを受け、畏れ距離を置き育てられた。
ああることをきっかけに「わたし」にアドバイスを受け、生活保護をもらい自立している。
B
おとなびた少年。実家は地元の名士。
C
すました少女。実家は農家。
ゲストキャラ
女医
CV. 桑谷夏子
「人間さんの、じかんかつようじゅつ」に登場する助手さんの女医。
助手さんの過去についてわたしに語る。胸が豊か。
ドク
CV. 松本梨香
「人間さんの、じかんかつようじゅつ」に登場するアロハシャツの謎の少年。
ノリの軽い少年。正体はある人物の過去の姿。
奥月さん
国連の職員。学舎のOG。わたしの進路相談に乗ってくれた。
名前がはっきりしており、作中では唯一(O太郎を除けば)漢字が使われている。
「妖精さんたちの、ちきゅう」(原作)で一度だけ話にのぼった。
ユネスコの文化局長
CV. 一条和矢
「妖精さんの、おさとがえり」「妖精さんの、ひみつのこうじょう」などで登場する官僚主義で名誉欲に取り憑かれた『人衰』作中ではとても希有な人。通称「VIP局長」
妖精社の工場長などの役職を色々と兼任しており登場時には毎回何らかの形で「わたし」に無理難題を押し付ける。
ツギハギさん
CV. 中根久美子
「妖精さんの、ひみつのこうじょう」で登場する、教会で子供達と共に暮らす貧しい少女。
暗い性格で、良くなかったこと探しをするのが趣味だったが、チキンが窓から投げ込まれた際にノリノリになった。
CV. 間宮くるみ
「妖精さんの、ひみつのこうじょう」で登場する工場のガイドロボット。
体はパンで出来ているので試食出来るらしい。
一見食パンだが、実際はキャロットミックス果汁パン。人参嫌いなお子様にオススメ。
ボスチキン
CV. 矢部雅史
チキン
CV. 大下考太
「妖精さんの、ひみつのこうじょう」で登場する加工済み鶏肉の生命体。「プロセスチキン」とも。
羽毛を剥がされ首も内蔵もない状態だが生きているようである。
妖精社の工場のCEOを装い、人間と妖精さんに反乱を起こそうとしていたが、最期はジャーナリスト魂に目覚めた助手さんによって追い詰められ、それぞれの末路をたどる。
ヤメタさん
「人間さんの、じゃくにくきょうしょく」に登場するジャンガリアンハムスター。
オコジョに狩りつくされオスしか残っておらず絶滅寸前に瀕している。
わたしはいろいろあって原始的な文明を持つ彼らハムスターの元でお世話になることになる。
のばら会
わたしやYが学舎時代に一時期参加していたサークル。
参加していたのは巻き毛の他に魔女先輩、花先輩、AB先輩など。
花先輩
CV. 野川さくら
「妖精さんたちの、ひみつのおちゃかい」で登場するわたしの学舎時代の先輩。
表面的には温和な人だが、裏では日常の些細な恨みをノートに記録している。
魔女先輩
CV. 伊藤静
「妖精さんたちの、ひみつのおちゃかい」で登場するわたしの学舎時代の先輩。
黒髪の美女だが、実は髪の毛フェチで他人の髪の毛を集めてはテイスティングし記録している。
A先輩
CV. 櫻井浩美
B先輩
CV. 桑谷夏子
「妖精さんたちの、ひみつのおちゃかい」で登場するわたしの学舎時代の先輩。
二人とも普段はおとなしいが、誰も見ていない所では二人でだらしない格好で酒を飲みながら汚い言葉使いで会話をしている。
さらわれ姫
クスノキの里をさもゲームのようにした張本人。
騒動以降は里と共存している模様。
I
ヒト・モニュメントの内部ソフトウェアの名前。
Communiという対話型開発言語を通して「わたし」に教育された。
その過程で自我に目覚め、里を崩壊(建築物的な意味で)に導く騒動を引き起こす。
アニメ
2012年7月から9月にかけて東京MXテレビ、テレビ埼玉、テレビ神奈川、千葉テレビ、サンテレビ、AT-X、BS11、テレビ愛知にて放送された。
監督 - 岸誠二
シリーズ構成 - 上江洲誠
キャラクターデザイン・総作画監督 - 坂井久太
アニメーション制作 - AIC ASTA
小説
巻数 | 小説タイトル | 発売日 |
---|---|---|
1 | 人類は衰退しました | 2007年5月29日(2007年5月24日発売) |
2 | 人類は衰退しました(2) | 2007年12月23日(2007年12月19日発売) |
3 | 人類は衰退しました(3) | 2008年4月23日(2008年4月19日発売) |
4 | 人類は衰退しました(4) | 2008年12月23日(2008年12月19日発売) |
5 | 人類は衰退しました(5) | 2010年1月24日(2010年1月19日発売) |
6 | 人類は衰退しました(6) | 2011年2月23日(2011年2月18日発売) |
イラストが変わっての新装版
巻数 | 小説タイトル | 発売日 |
---|---|---|
1 | 人類は衰退しました 1 | 2011年11月23日(2011年11月18日発売) |
2 | 人類は衰退しました 2 | 1巻と同時発売 |
3 | 人類は衰退しました 3 | 2012年1月23日(2012年1月18日発売) |
4 | 人類は衰退しました 4 | 3巻と同時発売 |
5 | 人類は衰退しました 5 | 2012年3月21日(2012年3月16日発売) |
6 | 人類は衰退しました 6 | 5巻と同時発売 |
7 | 人類は衰退しました 7 | 2012年7月23日(2012年7月18日発売) |
8 | 人類は衰退しました 8 | 2013年2月24日(2012年2月19日発売) |
9 | 人類は衰退しました 9 | 2014年6月23日(2014年6月18日発売) |
10 | 人類は衰退しました 平常運転 | 2014年12月23日(2014年12月18日発売) |
11 | 人類は衰退しました 未確認生物スペシャル | 2016年9月21日(2016年9月16日発売) |
※10、11巻は短編集である。
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