「くふふっ、びびってます?謝っちゃってもいいんですよー?」
「魔女になるなんてイヤだァア~ッ!」
※『魔法少女おりこ☆マギカ』は本編と本編を補完する[新約]「sadness prayer」、これらとは別の時間軸を描いた[別編]「noisy citrine」、「symmetry diamond」、「the last agate」が存在する。以下、特に注意書きがない場合は本編についての記載とする。
概要
他者の犠牲を顧みない利己的な性格をしており、数々の非道な行いからトラブルを起こしている。
ただし、そんな存在を縄張りに追加することを杏子が許すとも思えないので、どのくらい風見野で活動しているかは不明。
後述の魔法の特性もあり、グリーフシードをかなり多く溜め込んでいる。
キャラクター
表面上可愛らしく丁寧な振る舞いをしているが、本心はひたすら腹黒く、追い詰められるか演技をやめるかして本心が見えると口が悪くなる。
自らの実力には自信があるようだが、自分より優れた人間に対しては強烈なコンプレックスを抱いている。
「うわ語り始めた、めんどくせぇ」だの「こいつ…ブッ壊れてやがる…!」だの「ゲロ吐いて死ね、クソ女」だの、マギカシリーズのキャラにしてはかなり口が汚い。
事情があって自暴自棄になったり狂気に染まっているわけでもなく、素でこうなのだから救えない性格である。
その行いを知ったキリカには「ドクズ」と激怒され罵られている。
しかし、[新約]「sadness prayer」で本物の狂気に染まった状態のキリカを見た時には、ドン引きした上軽く震えていた。
織莉子には「わたしはキリカにも貴女にも傷ついて欲しくないの。折角仲間になれたのだもの」と言われてジ~ンとしているが、その直後、心中で(織莉子は洗脳して仲間にしてやってもいいかな)と言っていたあたり、やっぱり沙々ちゃんは沙々ちゃんであった。
(ちなみに「キリカはいらねえ」そうである。元々魔法少女狩りのキリカを駒にする気だったはずなのだが、キリカのことは話が通じないことに引きつつ切れ者でもないので鬱陶しがっていた)
とはいえ当然織莉子の発言も本心ではなく、最初からキリカのことも沙々のことも捨て駒としてか思ってはいないのだが……考えていることは似たり寄ったりの同類だが、このあたりが悪役としての格の違いである。
当シリーズの魔法少女では比較的珍しい『根っからの下衆』である事に加え、レア属性である『小物』まで持っているため、ファンの一部でカルト的な人気があるらしい。
容姿
首辺りで毛先の跳ねた髪型が特徴的で、一部ではたこさんウィンナーとも呼ばれている。
髪色は明るい茶髪~くすんだ黄色。本誌で登場して以来、長らくカラーイラストが公開されていなかったので、ファンの想像で塗られることが多かった。
魔法少女として
戦闘スタイル
黄色を基調とした道化師の様な衣装を纏う。
武器はなんとも形容しがたい形をした杖(?)で、近代的なデザインをしている。
魔力の球体を出して攻撃が可能。
ソウルジェムの色は白(真珠色?)。シンボルマークは球体で、変身後は帽子のポンポンになる。
固有魔法は洗脳。
お嬢様学校の生徒や魔女など、自分より優れている存在・強い存在を操ることができる。
[別編]「symmetry diamond」ではこの魔法によって織莉子を洗脳し、昔からの親友を装って、暗殺を目論もうとしていた。
一方、キリカに対してはこの魔法を使用していない。描写がないので真相は不明だが、平凡な家庭の生まれであるキリカには、そもそも通用しない可能性がある。
繊細な魔法で、自身が攻撃を受けるなどすると効果が切れてしまうなど、他の精神・行動操作系の魔法を持つ魔法少女と比べると弱点が多く強制力は低い。
彼女の"願い事"
「頭のいい奴、容姿のいい奴、人望のある奴、金のある奴、優れたやつが嫌いですねェ。とてもイヤです」
他者を陥れることを好む捻くれた彼女は、キュゥべえに対して「自分より優れた者を従わせたい」と願って魔法少女の契約を結んだ。
その願いから前述の魔法が発現したのだが、操っている魔女達の強さに反比例するかのように、本人の戦闘能力は低い。新人のキリカにすら1対1ではあっさりと追い詰められるほど。
魔女を複数体使えば数で押し切ることも出来、強力な魔女や魔法少女を駒にすれば心強いものの、やはりどこまで行っても借り物の力しか使えないため、彼女の強さは操る対象に依存する。
その上、魔法少女相手に魔女を操って戦った場合、魔女が倒されると、落としたグリーフシードによって相手の魔法少女がソウルジェムを浄化できるため、かえって戦況を不利にしてしまうというリスクも持っている。
その現状を本人がどう思っているかは不明だが、作中の様子を見る限り意外と満足していたようである。
[別編]「symmetry diamond」での活躍
おりマギ全編を通しての初出は[別編]「symmetry diamond」である。
本編や[新約]「sadness prayer」とは別の、鹿目まどかが魔女化しない時間軸における織莉子・キリカの物語が、全3部構成で描かれた「番外編」。
同じ時系列でありながらまどか☆マギカに登場する魔法少女たちは登場しない、本筋からは少し外れたおまけのような舞台であり、そのためキリカの願いの結果や織莉子への好感度など、本編と違う形で描かれる設定がいくつか存在する。
ここでは、自らの縄張りの拡大を狙い、見滝原の魔法少女達(といっても登場するのはキリカと織莉子だけ)を蹴散らそうと画策していた。
まだ契約してから日が浅い織莉子・キリカの殺害を企て、それぞれを各個撃破するべく暗躍し、キリカを撃破するまでには至っていたのだが、「魔法少女の真実」をすでに知って(信じて)いたキリカが生き延びていたことによって計画が破綻。
それでもキリカと織莉子を分断し、キリカを話術で騙し織莉子に大量の魔女をけしかけたが、織莉子の戦闘能力をあまりに過小評価しすぎていたため2対1の戦況に立たされ逆に沙々自身が追いつめられてしまう。
形勢不利と見た沙々は、その場に居合わせた千歳ゆまを盾に逃走しようとしたのだが、
「魔法少女の真実」を織莉子から告げられたことにより、魔女化への恐怖から自らソウルジェムを砕いて果てた。
「魔女になるなんてイヤだァア~ッ!」
後に作者であるムラ黒江氏にツイートによれば、ソウルジェムを砕けば死ぬと分からないまま結果的に自殺を遂げてしまったとの事。
死ぬと分かっていれば、腹いせに大暴れした後に織莉子に始末されていたかもしれない、とも。
[新約]「sadness prayer」での活躍
本編時間軸での初登場は[新約]「sadness prayer」。
派手に悪さをし続けたことで、風見野の魔法少女達から目をつけられており、彼女らを倒すための手駒とすべく「魔法少女殺し」を探しにやって来た。
当の本人であるキリカと、その主人の織莉子と相対することに成功した沙々は、彼女らの協力を取り付け、風見野からの追手を一掃することを画策する。
そしてこの作戦と同時に、織莉子から友人であると説明されたまどかを、自らの魔女結界のある場所へと呼び出すよう指示され、実行していた。
しかし交戦中に、自分達の目の前で、追手のリーダー格・人見リナが魔女化。一時休戦しこれを撃破する。
状況から織莉子がこれを仕組んだと悟った沙々は、彼女をも攻撃し殺害。更にたまたま鉢合わせたまどかをも殺そうとしたのだが……何者かの設置した爆弾によって、魔女結界諸共吹き飛ばされてしまった。
ちなみに織莉子を殺したと思われた攻撃も、ソウルジェムではなく頭部を狙っていたため、命を奪うには至らず不発。
結局何の成果も上げられず、他人を駒にして貶めるはずが、もっと悪い人に利用されて生涯を終えてしまったことになる。
織莉子からしても風見野の魔法少女と沙々の全滅は計画通りであり、ほむらの魔法も観察できたため万々歳。その後秘密の場所に大量に溜め込んでいたグリーフシードを根こそぎ取っていかれることになる。
結局どちらの舞台でも、何も為さずに死んでいるということが共通する。
他人を巻き込んで自爆することもなく、魔女化するような自暴自棄にもなりきれなかった彼女は、既存のマギカシリーズでは珍しく、大きな希望も絶望もないまま、不完全燃焼の炎のように消えていった。
ある意味では、「恵まれない者の孤独な自滅」という最も辛辣な最期と言えるかもしれない。
関連イラスト
関連タグ
ササヒラー…魔法少女さやか☆マギカ~ハートフルストーリー~シリーズにおける愛称
~同じく精神操作のできる魔法少女たち~
魔法少女まどか☆マギカ
佐倉杏子:幻惑・幻覚の固有魔法を持つが、とある理由により封印状態
各種外伝コミック
若葉みらい:同じく魔女を操れる
宇佐木里美:同じく人間・魔法少女を操れる
聖カンナ:同じく魔女・人間・魔法少女(の魔法)を操れる
マギアレコード
深月フェリシア:記憶喪失にさせる
更紗帆奈:こちらは魔女・人間・魔法少女を対象に気づかれることなく操れる(ただし厳密には自身の能力ではない)
非公式キャラクター
神名あすみ:シリーズ公式キャラではないが、ゲスっぷりと精神を操る魔法など似通った部分は多い(性格といい魔法といい沙々が完全下位互換な気もするが)
精神に関わる魔法の持ち主がこれ程多いのは、それだけ人間関係が理由で魔法少女になった者が多いということだろう。