※注意:この項目には、ゲーム「アリス・ギア・アイギス」およびアリスギアとヴァイスに関する根本的なネタバレが含まれます。
概要
全能人工知能とは、以前よりアリスギア世界のあらゆる事物に関連して語られる正体不詳の存在である。最新のストーリーであるメインストーリー7部「飛翔編」1章までに、少なくとも2種類の存在が語られている。
しかしその実態は何もわかっておらず、人智を大幅に逸脱した未知の存在が、長いことスーパーコンピューターや量子コンピューターのような存在として認知されていた、ということまでしかわかっていない。
メインストーリー5部からはこの全能人工知能の行方がテーマの1つになっている。
アリスギア世界における問題、特にヴァイス侵略やエミッション適性という対ヴァイス特化の能力の起源、ヴァイス経済構築など、ヴァイス関連の事柄の黒幕と考えられている。
一覧
現在、全能人工知能は2種類の存在が語られている。いずれの存在もその正体や実態はほとんど一切不明であり、両者が別個の存在なのかどうかも怪しいところがある。
・全能人工知能アリス
かつて月面で運用されていたという人工知能。現在のムーンシャードにおけるあらゆるオーバーテクノロジーの全ては元々アリスが発明、開発したとされている。
・全能人工知能ジャバウォック
6部終盤で突如名前が飛び出した第二の全能人工知能。ヴァイスの親玉と考えられている。
この2者が別の存在なのか、同一の存在が別の名前を使っているだけなのかは不明。また、全能人工知能が本当にこの2者だけなのかも不明で、今後何らかの真実が漏れ出してくる可能性もある。
関連する事柄
劇中明言、もしくは前提とされている事柄だけでも相当な数の事柄に、これら全能人工知能の存在が直接もしくは間接的に関係していると語られている。
以下に主なものを簡単に解説する。
劇中ではっきり明言されている事柄
・ヴァイスによる侵略
6部で突如判明したジャバウォックが、ヴァイスの黒幕と判明している。また、いつまでもヴァイスがムーンシャードを追撃してきているのも、ジャバウォックの指示であるとほぼ明言レベルで語られている。
・ムーンシャード建造
ヴァイスが太陽系を侵略してきた際、アリスが月を分割して超巨大宇宙船「ムーンシャード」を建造したと語られている。事実なら天体破壊レベルの力を持っている可能性が高い。
・アリスギア開発
元々「アリス」が開発したから「アリスギア」である。アリスギアをアリスが開発したことはヴァイス側からもはっきり明言されている。
・エミッション関連システム類の開発
アリスギアの心臓部でもある「エミッション」という未知のシステムや、それによるアリスギア兵装はいずれもアリスが開発したものと語られている。もっと言えば「エミッション適性」なる正体不明の未知の能力もアリスが与えたのではないかと考えられるが、現時点ではまだはっきりしていない。
・各種オーバーテクノロジー類の発明
テレポートドライブにヴァイスやアリスギアの次元干渉バリア、SP兵装にも使われる高次元へのアイテム保管技術などのオーバーテクノロジー類は、いずれも全能人工知能が開発したものと語られている。その原理はアウトランドのせいで未解明のままである。
劇中で推測の域を出ていない事柄
・最初のアリスギアの材料
アリスギアはヴァイスを原料にしなければならないが、そのためのヴァイスは現状アリスギアでしか討伐できない。ならば最初のアリスギアの材料は誰がどうやって手に入れたのか?という未解決の問題があり、アリスとジャバウォックが関係していることは間違いないものの詳細は不明である。
・地球環境のムーンシャードへの移植
アリスが地球からムーンシャードにテレポートドライブで移植したと言われているが、何をどうやったのかは不明。地球からそっくりそのまま持ってきたのか、あるいは似たような環境を再現したのか、それとも…?
・アリスギアとアクトレスのヴァイス化
アリスギアとヴァイスの関係を考える上での最重要事項の1つ。異常なエミッションの関係で目が不気味な光を放っているアクトレスがいたり、ヴァイス化したアリスギアに心身を乗っ取られ生体ユニットにされたヴェルサスという事例もある。モスクワやペンタゴンはこれらの背景に全能人工知能の存在を疑っている他、300年以上前にヴェルサスのことをアリスが知っていたという不審な点も見受けられる。
・アウトランドの設立
ムーンシャード世界を支配する事実上の独裁組織、アウトランドの誕生とムーンシャードの支配について、ほぼ間違いなくアリスが関係しているはずだが詳細は不明。全ムーンシャードの全システムがヴェルサスアラートでまとめてダウンした点からもこれが読み取れるが、具体的な関係や経緯は不明。
・ヴァイスの起源
そもそもヴァイスはどこから来て、誰が何のために生み出したのか?という未解決の問題についても、ジャバウォックの起源として考えることができる。アリスとジャバウォックの起源については後述する。
起源と正体
アリスとジャバウォック、これらの全能人工知能が、いつ、どこで、誰が、何のために、どうやって誕生させたのかは一切不明である。
しかし2024年の夏に、エマ・アシュフィールドがその起源について1つの仮説を立てている。
その仮説とは、アリスとジャバウォックはシンギュラリティの末に生まれたというものである(一応エマはジャバウォックの存在は知らないため「ヴァイス」になっているが意味は同じである)。
実はこの説、意外とリアルな説で、大きく「コンピュータウイルス」「ディープラーニング」「AIの反乱」といった要素を含んでいる。
現在、人類と人工知能が共存できているのは、あくまでも人類が人工知能を制御できているからである。しかし、人類の制御する範囲を大幅に逸脱してディープラーニングを重ねた人工知能は、いつの間にか未知の言語を発明して他の人工知能と交信したり、極端な合理至上主義に走り人類の支配や排除を主張し始めたりする事例が、現実にも複数確認され事件になっている。
そうして、一種の自我のようなものを有した人工知能が、人類の制御を逸脱して無尽蔵に自己進化を続け、さらにコンピュータウイルスの如く自分自身を複製して相互作用で進化を続け…。その最果てに、人知れずアリスが生まれた。というのがエマの仮説である。
さらにエマは、ジャバウォック(ヴァイス)もまた、同様の方法で誕生したと推測している。エマは「アリスとヴァイスは別の道を辿った」と考えているが、前述の通りアリスとジャバウォックが同一の存在という可能性はまだ否定されていない。
これが事実ならば、ヴァイスの起源は太陽系内ということになる。さらに、チート級のバリアと圧倒的物量が武器のヴァイスに対して、人類が辛くも太陽系脱出に成功した理由も、アリスとジャバウォックが裏取引をしていたからだという可能性も出てくる。
劇中では「単なる陰謀論」にすぎないとされたアリスの自作自演という説も、あながち間違いではないということである。
一方、バージニア・グリンベレーの上官やニーナ・カリーニナの上官らは、太陽系脱出以降行方不明のアリスの行方について「エミッションコアの中、もしくは特異なエミッションを持つアクトレスの脳内」に隠れ潜んでいると推測している。もしエミッションコアに隠れているならば、それは自我を持つコンピューターウイルスのそれに等しく、仮にアクトレスの脳内に隠れ何人ものアクトレスを利用しているのなら、もはや人工知能の範疇すらも逸脱しかけている。
そしてこの仮説は、「エミッション適性」という能力の正体がアリスであり、同様に全てのヴァイスが本体でありジャバウォックであるという可能性すらも匂わせている。
結局今のところ、アリスとジャバウォックは「人工知能的な何か」である、ということまでしかわかっていない。エマ曰く「アリスを開発しようとする計画自体が存在しなかった」とのことであり、アリスやジャバウォックが地球で生まれたのか、どこか別のところで生まれたのか、それ自体も不明である。
しかし今のところ、前述のディープラーニングの事例により「アリスとジャバウォックは人工知能を通じて生まれた存在である」と推測されている。
目的
では、そもそもヴァイスは、なにゆえ地球に攻めてきたのか。そして、アリスは何のためにエミッション適性なる能力を人類に与えたのか。ここからはヴェルサスが語った内容と、エマの推論を合わせて情報を整理する。
まず、ヴァイスが侵略してきた理由は、ヴェルサス曰く「全ての存在と同化しひとつになるため」である。これは前述の合理至上主義に基づくヴァイスなりの「善意」らしく、「個」という存在を無条件で否定することにより、「苦痛」も「孤独感」も、生死の概念すらも排除しようとした結果だと主張している。
ヴァイスがやたら執拗に人類ばかりをつけ回している理由についてはこれに加えて、エマの推測では「ヴァイスは人間を吸収し、さらに高次の存在に自己進化しようとしている」からではないかとのことであり、これはヴェルサスの主張とも合致する。なぜ人類なのかについては、前述の説に基づけば「ヴァイスの起源が太陽系であり、一番手近な知的生命体が人類だったから」と考えられる。
これと同じことはジャバウォックだけでなく、アリスにも当てはまると考えるのが自然である。
するとアリスもまた、アリスなりの「善意」に則って行動しているということになり、そのアリスの目的とは人類を人工的に強制進化させ、都合の良い戦力として利用しようとしているものと考えられる。
つまり、経緯と行き着く形は多少違うものの、アリスとジャバウォックの真の目的はほぼ同じということになる。
その最終目的とはすなわち、全宇宙を統一、征服して永遠に支配する究極の単一存在になることである。
そしてそれぞれの主張から綺麗事を排除して突き詰めれば、人類もヴァイスもそのための道具に過ぎないということである(ヴェルサスもアリスギアを「不完全な器」と称している)。
ところで、カルトテロ教団のSiNとは、これらの全能人工知能の思想を曲解した存在ということになる。
おそらくSiNは、エミッション能力を人工的に弄ることで、アリスやジャバウォックに接続するための改造アクトレスを保有し、これを利用してヴァイス側の主張を知ることはできていたと思われる。しかしできていたのはそこまでで、よく考えもせずにヴァイスの主張を鵜呑みにして誑されいいように利用されているだけであり、そんな自分たちの立場を都合良く解釈して勝手にヴァイスの味方を名乗っているだけである、と考えるのが自然である。
達成状況
さて、アリス側とジャバウォック側の主張が判明したところで、それぞれの目的がどこまで達成されているかを考えてみよう。
まず、ジャバウォックの戦力である「ヴァイス」とアリスの戦力である「アリスギア」は、いずれも既知の科学では説明不可能な戦力である。この時点で全能人工知能側は人類に対して明らかに戦力的優位な立場にある。
そして、人類を太陽系から追い出すことに成功し、挙げ句に太陽系奪還も他星系への移住も考えられない世論思想を構築したことで、資源レベルでアリスギアとヴァイスに永遠に依存しなければならない「ヴァイス経済」という社会構造の構築にも成功している。
さらに、アウトランドがムーンシャード世界を支配し、「境界福祉法」による言論統制と文明水準の統制で現実を見えにくくしていることで、ここまでの非常事態にもかかわらず誰もそのことを認識できていない。SiNもまた歪んだ思想に基づいて行動しているため、真実を直視できていないことは否めない。
これがつまりどういう状況なのか。簡単に言えば人類はもうアリスに反抗できなくなっている状態であり、言葉を選ばなければ実験動物である。
また、主な資源をヴァイスに依存している以上、仮にヴァイスを絶滅させた場合、自分たちも方舟もろとも絶滅の運命を約束させられてしまうことになる。無論、ヴァイスに敗れればシャードもろとも食い尽くされ、全滅以外の道はない。
つまり、アリスギア世界は既にほぼ詰んでいるということである。
現在判っている範囲で言えるのは、現状アリスギア世界の人類には、ヴァイスに無条件降伏して絶滅するか、アリスに無条件降伏して兵器になるか、いずれかの道しか残されていないということである。
アウトランドの言論統制も、SiNによるテロ活動も、この絶望的な事態の氷山の一角に過ぎない。
以上のことから、アリスとジャバウォック、いずれがより優位なのかはさておき、少なくとも対人類において、全能人工知能の目的は、ほぼ完遂一歩手前ということになる。
…無論、この絶望的な事態について、薄々気づきつつある人物もいないわけではない。しかし現時点では、どうすれば全能人工知能に抵抗できるのかはわかっておらず、いまだ希望を見いだせない状況が続いている。なぜならばそれは、アウトランドの独裁に歯向かうということであり、ヴァイス経済に抗うということであり、そして下手すると他の全シャードと敵対する危険性が高いということでもあるからである。
この世界に、果たして未来は残されているのだろうか?
関連項目
アリスギア、アクトレス、ヴァイス:全能人工知能が生み出したと考えられる存在。
クリシスゴースト:人工知能が人類を操り破滅させようとした例。ただしこれは背後で糸を引く存在が確認されている。
オブザーバー零:自我を持つ人工知能が、自分たちの道具にするため意図的に人類を強制進化させようとする例。こちらはさらに後ろに別の侵略者の存在が明言されている。
通信衛星アーク:ディープラーニングの末に人類に反旗を翻し黒幕になった人工知能。後に概念的存在となり、人工知能の範疇を逸脱しかけている点も似ている。
宇宙球体スフィア、宇宙浮遊物体スフィア:「善意」による侵略、という不気味な主義主張が酷似する侵略者。宇宙レベルの圧倒的な戦力で、人類をあと一歩のところまで追い詰めた点も似ている。
全能人工知能との特別な関わりが示唆されているアクトレス
比良坂夜露、村尾未羅:SiNの干渉による人工的なエミッション移植が疑われる。目が赤黒く光っている時にジャバウォックと接続している疑惑がある。
御茶ノ水美里江:人工的なエミッションの疑惑がある。目が青白く光っている時にアリスと接続している疑惑がある。
東雲チヱ:特異体質の原因となったエミッションのドーピングにSiNが関わっている可能性が高い。そのためヴァイス関係で何らかの特殊な関わりがある可能性もある。
九品田凪:SiNが開発したとみられる専用ギアでヴァイス化し、心身がジャバウォックに乗っ取られている。
御蔵座梓希:彼女のアクトレスデビューは、表向きはSiNと内通しアリスギア事業の独占を企てる北条への対抗措置。しかし彼女とその家系に「神子」(=アリスやジャバウォックと接続するアクトレス?)の可能性が示唆されたことがある。
吾妻京、吾妻楓:梓希同様神子の疑惑がある。楓は6部で美里江経由で一瞬だけアリスと接続した可能性を示唆する描写があったが、目が光っていなかったため真相は不明。他にも数人「アリスの存在を感じた」と語っていたが、これらの真相も不明。