ここでは『ドラえもん』のエピソードについて記述する。大長編及び映画『南海大冒険』についてはのび太の南海大冒険を参照。
概要
藤子・F・不二雄の漫画『ドラえもん』(およびそれを原作としたアニメ)のエピソードの一つ。TC45巻収録。
大長編及び映画『ドラえもん のび太の南海大冒険』の原案になったエピソードで、宝島に眠る財宝を探すドラえもん達の活躍が描かれる。
ストーリー
ある日、ドラえもんが部屋で過ごしていると、のび太が1冊の本を持って駆け込んで来る。のび太が手にしていた本は小説『宝島』で、それを見たドラえもんはすぐにのび太が何を考えているかを察する。
のび太が「学校図書館でこれを読んだんだけど…」と言った直後、ドラえもんは彼の言葉を遮り「宝島を探しに行こうと言うんだろ?本当はそんなもの無いの!」と言い放つ。
落ち込むのび太に対し、ドラえもんは「そんな夢みたいな話は忘れて、勉強して体を鍛えて自分の力でお金を稼ぎなさい」と言う。ドラえもん達が1階に降りると、ママがテレビを見ていた。すると「宝島が発見された。かつて海賊キッドが埋めた物と思われ、その金貨や宝石等は現代価値にして100億円になる」というニュースが流れ、ドラえもんはのび太から「やっぱりあったじゃないか!すぐ宝探しに行けば間に合ったのに!」と怒られてしまう。
ドラえもんは仕方なくポケットから「宝さがし地図」と、専用の針(こちらは正式名称不明)を取り出す。ドラえもんは「この地図に針を刺すと、宝のありかを正確に刺していた場合はブザーがなる。ただし1mmでもズレていた場合は何も起こらない」と説明するが、のび太は何と一発で宝のありかを突き止めてしまった。
ドラえもんは「君は運が良いのか悪いのか、さっぱり分からない」と言いながら「どこでもドア」を取り出して宝島へ向かおうとする。しかしのび太から「どうせなら冒険がしたいから、宝探し用の帆船を出してよ」と言われた為、ドラえもんはのび太を連れて一先ずどこでもドアで海へ向かい、形だけは帆船だが実際はモーターボートの船(正式名称不明)を取り出して出航する。
そのまましばらく海を移動していたが、のび太がお腹を空かせた為、ドラえもんは彼を連れて一度野比家へ戻る。ドラえもん達が昼食を食べ終えると、ジャイアンとスネ夫が野球に誘いに来る。
のび太は「悪いけど、今はそんなことに構っていられない」と言って断り、ドラえもん達はそのまま先程の船へ戻る。
再び海を航海し始めたドラえもん達だが、のび太から「退屈だから、せめて嵐でも出せない?」と頼まれたドラえもんは「ほどほどあらし」を取り出して使用する。すると船の上だけに暗雲が広がり、そのまま暴風雨が吹き始める。
ドラえもんは「安心しろ。船が沈まない程度のほどほどの嵐だから」と説明するが、のび太が暴風雨の影響で船酔いしてしまった為、ドラえもんは一先ずのび太を部屋へ避難させる。
船酔いを治す為、のび太は家の周辺を散歩することにした。しかしジャイアンとスネ夫が「メンバーが足りなくて野球出来なかったんだ!何をしてたんだ!」と言いながらやって来る。
のび太が「実は宝探しを…」と説明すると、2人は大笑いしながら立ち去って行く。のび太は最初こそ笑われたことの悔しさを感じたが、彼らを海賊役にすることを思いつく。
ジャイアンとスネ夫が空き地にやって来ると、「宝島へどうぞ」という張り紙と海賊風の帽子、そしてどこでもドアが置かれていた。2人はドラえもんの仕業だと気付き、帽子を被ってドアを開くと海賊船の上に繋がっていた。
ドラえもんとのび太は「その船は宝島に進むようになっているから、どっちが先に宝を見つけるか競争しよう」と説明するが、ジャイアンとスネ夫は「バカバカしい。宝なんてある訳が無いのに、付き合っていられない」と言い出してしまう。
そこでのび太が「宝は絶対にある!首をかけても良いよ!それに、こっちが先に宝を見つけても半分分けてあげるから」と説得し、何とかジャイアンとスネ夫をその気にさせることに成功する。
ジャイアンとスネ夫が「ただ船に乗っているだけじゃつまらない」と感じていると、船に取り付けられているボタンに気が付く。スネ夫がボタンを押すと、彼らが乗っている海賊船のスピードが急上昇した。
ドラえもん曰く、ジャイアンとスネ夫が乗っている船は「ほどほど海ぞく船」であり、こちらが乗っている船には追い越せない仕様になっているとのことだが、しばらくすると追い付かれてしまう。
ジャイアンとスネ夫が別のボタンを押すと、今度は海賊船から大砲が撃ち出された。ドラえもん曰く「ほどほど大砲」なので絶対に当たらないとのことだが、こちらの船に命中してしまう。
海賊船に搭載されたほどほど装置が故障していると考えたドラえもんは端末型のひみつ道具(正式名称不明)を取り出し、ジャイアンとスネ夫が被っている帽子「ハンディキャップ」に彼らの頭を締め付けさせる。
ジャイアンとスネ夫が気絶している間に、ドラえもんは海賊船のほどほど装置を修理する。だが、ドラえもんとのび太が乗っていた船は先程の騒動でボロボロになってしまっていた。
その後、ドラえもん達は毎日船に乗って宝探しを続けていたが、ジャイアンとスネ夫が途中で飽きてしまい「船が宝島に着いたら呼んでくれ」と言いながら野球をし始めてしまう。
そしてのび太も宝探しに飽きてしまい、ドラえもんに「いつ頃宝島に着くの?」と質問する。ドラえもんは「この調子だと、後43日はかかる。だからどこでもドアで直接行けば…」と説明するが、のび太は「いや、船で行く!タイムふろしきを貸して!」と言う。ドラえもんは言われるがままに「タイムふろしき」を取り出すと、のび太は風呂敷をどこでもドアに被せる。
そのままドアの時間を43日分進めると、ドアの向こう側の時間も43日経過し、船が宝島に着いていた。のび太がジャイアンとスネ夫を呼び戻すと、ドラえもん達は宝島に上陸し、宝を探し始めた。
しかしのび太が途中で息切れを起こしてしまった為、ドラえもんは仕方なくハンディキャップを先程の端末でハンディキャップを締め付ける指令を出し、ジャイアンとスネ夫を気絶させて先に宝を見つけないよう足止めする。
そしてドラえもんとのび太は宝が埋まっている場所に辿り着くのだが、既に掘り出されていた。そう、この島はニュースで報道された海賊キッドの宝の島だったのだ。のび太は「地図が教えてくれたじゃないか」と言うが、ドラえもんは「あの地図は宝が既に見つけられていたことを知らなかった」と説明する。
このままではジャイアンとスネ夫が怒り出すと考えたドラえもんとのび太は、どこでもドアで部屋に戻り、ドラ焼きや僅かな貯金、玩具や漫画等、大急ぎで宝の代わりに埋めておく物を考え始めるのだった。
登場人物
ドラえもん
のび太から宝探しを提案された為、様々なひみつ道具を使用して宝島へ向かう。
のび太
小説『宝島』に感化され、ドラえもんと共に宝探しの冒険に出る。
ジャイアン
ドラえもん達に誘われる形で宝探しの冒険に加担する。
スネ夫
ドラえもん達に誘われる形で宝探しの冒険に加担する。
ママ
のび太の母親。
3コマしか登場していない上に台詞も一切無い為、影が薄い。
ひみつ道具
- 宝さがし地図
世界を360枚に分けて描いた地図であり、専用の針(正式名称不明)を刺すと、そこに宝が存在していた場合はブザーが鳴り響く。
しかし、針を刺した箇所が宝のありかから1mmでもズレていた場合はブザーが鳴らない為、ドラえもん曰く「地図を調べ終わるのに何年かかるか分からない」とのこと。
映画『宝島』に登場した際は、タブレット端末のように地図一枚であらゆる場所を表示・拡大・縮小出来る仕様になっていた。
お馴染みどんな場所にも自由に行くことが出来る道具。
今回は野比家と「宝探し用帆船」を往復する為に使われた。
- 宝探し用帆船
外観は帆船だが実際はモーターボートの船。中にはベッドや台所があり、料理を作ることも可能。
原作漫画における名称は不明で、上記の名称は『ドラえもん最新ひみつ道具大事典』で設定されたもの。
また、水田わさび版アニメ及び映画『宝島』でも同様の機能を持つ船が登場している。アニメ版では「海賊シップ」もしくは「海賊船」、映画では「組み立て帆船」と呼ばれている。
- ほどほどあらし
瓶の蓋を開けると暗雲が出現し、船の上にだけ広がった後に暴風雨を巻き起こす。ドラえもん曰く「船が沈まない程度のほどほどの嵐」とのこと。
水田版アニメでは、外観は全く同じだが効果が異なるひみつ道具「嵐嵐おおあらし」が登場する。こちらは暗雲が船の上だけでなく空全体に広がり、本当に船が沈みかねないほどの大嵐を巻き起こす。
- ほどほど海ぞく船
上記の「宝探し用帆船」の海賊船バージョンと言える道具。
レースボタンや「ほどほど大砲」が搭載されているが、前者は宝探し用帆船を追い越すことが出来ず、後者は宝探し用帆船には命中しない仕様になっている。
しかし作中ではこれらの機能が故障してしまっていた為、ほどほど大砲の砲弾が全て命中し、宝探し用帆船がボロボロになってしまった。
- ハンディキャップ
外観は海賊が身に着けている帽子だが、専用の端末型ひみつ道具(正式名称不明)を使用して指令を出すと、帽子着用者の頭を締め付けて気絶させることが出来る。
また、TC39巻収録「ハンディキャップ」にも同名のひみつ道具が登場するが、こちらはヘルメットのような外観で、周囲の人間を着用者と同じ知能・身体能力にする効果になっている。
1991年版「南海の大冒険」(大山のぶ代版アニメ)では「ボーっと帽子」に変更されており、起動させると一定時間何も考えられなくなる効果になっていた。
お馴染み包んだものの時間を操作することが出来る道具。
今回は「どこでもドア」の時間を43日分経過させる為に使われた。