日田彦山線
ひたひこさんせん
1915年に当時の「小倉鉄道」によって最初の区間が開業。1943年に国有化。
元々平尾台・香春などで産出される石灰石や石炭の輸送を行うために建設された路線で、貨物列車も頻繁に運行されていた。
起点は日豊本線城野駅だが、大半の列車は日豊本線に乗り入れ小倉駅まで直通。現在は小倉への通勤・通学輸送がメインで城野駅〜今山駅は福岡近郊区間に入っているが、逆に言えばなぜか夜明駅のみがこのエリアに含まれていない。
途中の田川後藤寺駅で運転系統が区切られている。快速列車は朝の通勤時間帯に添田発小倉行きが一本のみ運行されており、石原町駅から先は各駅停車となっている。
2017年7月5日から発生した九州北部豪雨の影響で、添田駅~夜明駅間が被災し運休。この豪雨により大行司駅の駅舎が土砂崩れにより倒壊した。この添田~夜明間については、復旧や運営にかかる費用が膨大となり、鉄道路線として維持する事が非常に難しくなる事から、2023年8月28日よりこの区間をBRT(バス高速輸送システム)化して運行を再開した。
BRTの名称は「ひこぼしライン」。運行は子会社のJR九州バスが担当し、一部の運行については日田バスに再委託する。全ての便に「ひこぼし」の愛称が与えられており、全線運行便に0番台、筑前岩屋駅発着便に100番台、彦山駅発着便に110番台の号数がついている。
鉄道線時代のこの区間は、彦山駅〜筑前岩屋駅間に爆発踏切という変わった名前の踏切があったほか、終点の夜明駅から久大本線日田駅へ乗り入れていた。
当初は東小倉駅が起点で、田川市内は田川伊田と田川後藤寺を経由しないルートをとっていたが、1956年に小倉駅に直接乗り入れを行うために城野駅を起点にして、従来の東小倉駅~石田駅間は貨物線化して1962年に廃止した。また、1960年に香春~添田間を添田線として分離し、田川伊田と田川後藤寺経由のルート(当初は日田線の支線と田川線)に変更した。
今はBRT区間になってしまった彦山駅〜筑前岩屋駅間にある釈迦岳トンネル(4379m)は蒸気機関車が通過する日本最長のトンネルだった。九州のC11・C12の背面ヘッドライト両脇に四角いラッパ状の通風口があるのはこのような長大トンネル通過対策だったのであろう。(運用したのは門司機関区所属のC11)
なお、釈迦岳トンネル開通前の蒸気機関車通過最長トンネルは電化前の中央本線の笹子トンネル(4656m)。こちらは戦前に電化されたが、釈迦岳トンネルは1956年開通である。