未来ノート(ドラえもん)
みらいのーと
未来、それはこのノートのように白紙だ。
未来をどう描くかは、僕達にかかっている。
藤子・F・不二雄原作のアニメ作品『ドラえもん』に登場するひみつ道具の一つ。1994年に新エネルギー・産業技術総合開発機構で製作された教材用ビデオ(OVA)作品『ドラえもん のび太と未来ノート』(広報用・教材用ビデオとして制作された為、長らく市販されていなかったが、アニメ版『ドラえもん』25周年記念として刊行された雑誌『ぼく、ドラえもん』第13号の付録DVDに収録された)に登場したアニメオリジナルひみつ道具。
このノートに自分が思い描いた未来予想図を書くと、その内容が未来で現実になる。しかしどのような形で実現するかは分からず、書き込んだ内容によっては未来の世界が大変な事態に陥ってしまうことがある。
その場合は「タイムふろしき」等のひみつ道具を使用して、ノートに書き込んだ内容を消失させれば、改変された未来も元の状態に戻る。
のび太達は学校の宿題であるグループ研究「自分達の未来」の内容を纏める為、野比家に集合した。しかしのび太の部屋はドラえもんのひみつ道具で散らかっていた。当のドラえもん本人が留守だったこと為、のび太達は渋々ひみつ道具を片付け、押し入れにしまい込んだ。
その後、ミーちゃんとのデートを終えたドラえもんが帰宅すると、のび太達から「どうして道具を散らかしていたんだ!」と叱られてしまう。ドラえもんは謝りながら「実は四次元ポケットのメンテナンス中だったんだけど、ミーちゃんを見かけてついデートに…」と事情を話す。
その直後、ドラえもんは机の上に置かれていたひみつ道具を見つけて大慌てする。困惑するのび太達に対し、ドラえもんは「これは未来ノートと言って、書いたことが将来、全て本当のことになってしまう大変な道具なんだ!」と説明する。
のび太達によると宿題の研究テーマを纏める際、このノートを使用してしまったとのことで、のび太は「石油等の天然資源が全て無料になっている未来」、しずかは「人間同士の争いが無い未来」、ジャイアンは「24時間自分がしたいことを好きなだけ出来る未来」、スネ夫は「人間の代わりにロボットがあらゆる仕事をしてくれる未来」を書き込んだ。
のび太達は「人々が幸せになれる未来を書き込んだから大丈夫」と言うが、不安に思ったドラえもんはのび太達を連れて「タイムマシン」に乗り込み、数十年後の未来(作中では21世紀)へ向かうことにした。
ドラえもん達が未来に到着すると、一見するとのび太達の理想の世界が広がっていた。しかしドラえもん達は太陽が作り物のような違和感を抱き、「タケコプター」で空を飛んで確かめてみると、明かりを照らしていたのは人工太陽であることが発覚する。更に、スネ夫が人工太陽の傍に扉があることに気付き、扉を開けるとドラえもん達はドアの外に放り出されてしまった。
ドラえもん達が周囲を見渡すと、自然環境は破壊され、大気汚染が酷くなり、ロボットを利用した代理戦争や資源の奪い合いが起こっていた。そしてドラえもん達が先程までいた場所は巨大なドームであり、人類はドーム内でなければ生活出来なくなってしまっていたのだ。
ドラえもんはのび太達に「大量のエネルギーを必要とするハイテク都市を作るには、自然環境を犠牲にするしかなかったんだ。このドームの中だけが君達の理想の未来ってことさ。これが、君たちが描いた21世紀なんだよ」と説明する。
ドラえもんはのび太達を連れてタイムマシンに乗り込み、急いで現代へ戻って未来ノートを何とかしようとする。しかしその直後、21世紀が改変されたせいで22世紀まで改変の影響が表れてしまい、ドラえもんは21世紀におけるエネルギー不足が原因でエネルギー切れを起こしてしまい、そのまま機能停止してしまった(尤も、公式設定ではドラえもんは人間と同様に食べ物からエネルギーを得るとされており、この描写は矛盾が生じてしまっているが)。同時にタイムマシンも故障してしまい、ドラえもん達は恐竜時代に飛ばされてしまう。
タイムマシンは行方不明になってしまい、現代に帰ることも出来くなってしまったのび太達。ドラえもんのポケットを調べてみても、残されていたひみつ道具はタケコプターと「ビッグライト」のみ。
しずかはドラえもんを復活させるべく、温泉を利用した地熱発電を思いつく。ドラえもんを温泉に浸すと、頭部に燃料計のようなメーターが現れ、ドラえもんにエネルギーが充電されていく。しかし充電完了前に火山が噴火してしまった為、のび太達は作業を中断し、タケコプターで飛行しながらドラえもんを安全な場所へ運ぼうとする。
するとタケコプターが電池切れになってしまい、のび太達は墜落してしまう。しかしのび太がビッグライトでタケコプターを巨大化させ、それをドラえもんに取り付けて風力発電を行う方法を思いつく。
今度こそ上手くいくと思ったのび太達だったが、今度は恐竜が襲い掛かってきて、風力発電として利用していたタケコプターを踏みつぶされてしまう。
ジャイアンはのび太達が逃げる時間を稼ぐ為、偶然スネ夫が持ってきていた虫眼鏡を持ちながらビッグライトで巨大化し、恐竜を食い止める。のび太達は急いでドラえもんを運びながら逃げようとしたが、別の恐竜が現れてのび太達を襲う。
ジャイアンも恐竜の攻撃で虫眼鏡を吹き飛ばされてしまい、万事休すかと思われた。しかしその直後に太陽が昇り、巨大虫眼鏡に太陽の光が差し込まれ、その光がドラえもんのメーターに注ぎ込まれる。すると太陽光発電の要領でドラえもんのエネルギーが瞬時に充電され、ドラえもんは完全復活を遂げる。
のび太達から事情を聴いたドラえもんは、鈴の中にしまい込んでおいた「携帯用時空間とりかえ機」を使用し、現代ののび太の部屋の押し入れにしまわれていたひみつ道具を取り寄せる。ドラえもんは「コエカタマリン」や「スモールライト」、「クローンリキッドごくう」を使用して恐竜を追い払い、先程の携帯用時空間とりかえ機を使用して現代へ帰る方法を思いつく。
のび太達を連れて無事に現代に戻ったドラえもんは急いで「タイムふろしき」を取り出し、未来ノートに被せることでノートを白紙の状態に戻した。その後、ドラえもんは笑顔で「限りある資源を大切に!」と言いながらビッグライトを取り出し、ママが持って来ていたドラ焼きを巨大化させ、美味しそうに頬張るのだった。