概要
1988年1月7日にHAL研究所から発売されたファミリーコンピュータ用コマンド選択式推理アドベンチャーゲーム。正式タイトルは『殺意の階層 ソフトハウス連続殺人事件』なのだが、タイトル画面には『さついのかいそう パワーソフトれんぞくさつじんじけん』と表記される。
当時は「探偵神宮寺三郎シリーズ」等の推理アドベンチャーゲームが人気を博しており、本作もその流れに乗って開発されたゲームソフトである。
内容はある会社員の不審死をきっかけに、その人物が勤めていたゲームメーカーの社内で連鎖的に起きる殺人の犯人を探偵である主人公が突き止めるというオーソドックスなもの。ただし、本作は同時期の他推理アドベンチャーゲームと比較しても難易度が尋常ではないほど高い。
推理パートでは、登場人物の証言だけではなく背景や音でさえも念入りに調査する必要があり、そういった細かい証拠を組み立てて真犯人を突き止める必要がある。また、コマンドを選ぶ度に時間が経過する「行動回数制限」という特有のシステムがある。調査日数と一日に行動できる時間、つまりコマンドを選択できる回数が制限されており、超過するとゲームオーバーとなってしまう。
これらのことから、初回のプレイでゲームオーバーにならずに済むことはまずない。それどころか、数回プレイした程度では一応の解決にすら簡単には辿り着けない。
更に連続殺人事件だけではなくその背景ともいえる物語もあり、限られた時間内でそちらの証拠集めも行わなければ真エンディングには辿り着けないという極悪仕様。攻略を見ずに自力で辿り着けた人はまさに名探偵と言えよう。
しかし自力解決が不可能なわけではなく、何度もプレイしていく内に積み重ねた証拠から真エンディングにも到達可能である。
その難易度の高さゆえ人を選ぶ作品ではあるが、火サスのように緊迫感のある展開や緻密に練られたシナリオは評価が高い。
あらすじ
とあるゲームソフトの開発会社「パワーソフト」の社員、西河正人が崖から転落死するという事件が発生。西河の大学時代の友人である探偵の樫畠明人は、状況証拠からこの事件が殺人であると断定する。樫畠はパワーソフトの社長、富野裕から事件の調査を依頼され、調査を開始。しかし、これは数々の思惑が交叉する連続殺人事件の序章に過ぎなかった…。
登場人物
主人公と警視庁捜査一課
- 樫畠 明人(かしはた あきひと)
同級生である西河の死を殺人事件と見抜き、パワーソフト社で調査を開始する。
- 中村 貴継(なかむら たかつぐ)
警視庁捜査一課の警部。42歳。
以前樫畠の推理に助けられており、共に事件を追う。
- 林(はやし)
鑑識の人物。年齢不明。
主に死体の死亡推定時刻や死亡原因等の判定で呼ばれる。
パワーソフト社
- 西河 正人(にしかわ まさと)
最初の被害者。享年28歳。
ゲームソフト会社「パワーソフト」に勤めていた人物で、樫畠の友人。プログラマーとして非常に優秀であり、彼が手掛けたゲームソフト「スーパーマルクスブラザーズ」は大ヒットを記録した。
- 富野 裕(とみの ゆたか)
パワーソフトの社長。55歳。
西河の死の調査を依頼する。調査に協力的で温厚な人物に見えるが、最近怒りっぽくなったという話が聞ける。
- 石橋 和彦(いしばし かずひこ)
パワーソフトの社員の営業マン。28歳。
重度のカーマニアで借金癖があり、また女癖も悪くナンパが趣味。現在は慶子と付き合っている。
- 諸尾 託也(もろお たくや)
社員のひとり。グラフィックデザイン担当。25歳。
もろオタクやの名の通りビデオオタクであり、寮の自室にはビデオデッキが積まれている。
- 森田 陽祐(もりた ようすけ)
社員のひとりで営業マン。24歳。
- 松丘 順次(まつおか じゅんじ)
社長の甥で、企画開発部長。27歳。
社長との仲は険悪である。現在は長嶋と付き合っている。
- 富野 美沙子(とみの みさこ)
事務の女性社員。23歳。
社長の娘だが、本人はファッション関係の仕事に就きたいと思っている。西河とは婚約者の関係にあった。数年前に命を落とした姉がいるという噂だが…。
- 吉川 慶子(よしかわ けいこ)
販売・事務担当の女性社員。23歳。
以前付き合っていた森田を振って現在は石橋と付き合っている。
- 長嶋 里歌(ながしま りか)
販売担当の女性社員。22歳。
天然でミーハーなコギャル。松丘と付き合っている。
- 片桐 花枝(かたぎり はなえ)
事務担当のベテラン社員。33歳。
噂話と人間観察が好きなのか、彼女から社員についての多くの情報を聞き出せる。血液型で他人の性格を判断するなど少々偏見が入り気味。
関連タグ
亡き王女のためのパヴァーヌ:作中にBGMとして使用されている