氷室涼
ひむろりょう
普段は義伊國屋グループ出資のバーでバーテンダーをしている褐色の美青年。4勝無敗の少ないキャリアながら、すでに強豪闘技者と並び称されるに至り、義伊國屋歴代闘技者最強と見込まれる程の実力を持つ。十鬼蛇王馬や桐生刹那と同じく無法地帯の『中』の「狼弎地区」出身者で、15歳頃「外」に出て今の名前を得た。
狼弎区の有力者である「将軍」の張とも太いパイプを持っており、彼から兄弟と呼ばれる程の仲。
女にモテモテであり、口説いたりチョコをもらったりするたびに理人や大久保に妬まれている。また氷室は氷室で積極的で、茂吉・ロビンソンが鬼の形相で守っているはずの妹・エレナの連絡先を難なく手に入れている。そして女の子を呼ぶ時は息を吐くように「ちゃん」付けである。
なお同じく女性にモテる桐生刹那や二階堂蓮には同族嫌悪的な反応をしている。特に二階堂とはお互い「男のクセにチャラチャラしやがって(しおって)」と思っている(ちなみに2人ともキザ男の自覚は無い)。大久保曰く「声までナルシスト」(15巻四コマ参照)。
また男に対しても壁を作らないため、交友関係は広い。闘技者同士は友達じゃないが敵でもないよな、という話題になった時「え?俺はダチのつもりだったけど?」と言ってのけて、「恥ずかしいことさらっと言うなお前は」と大久保にツッコまれている。
ただし格下(と思っている)相手に舐められた態度を取られると一瞬で頭に血が上る悪い癖があり、金田と戦う前「ケガはさせません」と言った直後に血が口から滲むほどの一撃を見舞ったり、成島光我が一言舐めた発言をした次の瞬間に顔面へ思い切りパンチを食らわせていたりする。
拳願絶命トーナメントの闘技者としてエントリーするが、開幕直前の船で金田末吉に出場権をかけた勝負を挑まれる。実績・体躯・形勢などあらゆる面で氷室が明らかに勝ちそうに見えたが、金田の捨て身の受けで動きを読まれた末に腕を折られ、自慢の顔を踏んづけられて敗北、闘技者の座を奪われてしまった。
この敗北が理由で公式・非公式ともにネタキャラと化してしまっている部分が大きい(骨折ネタや、トーナメント非出場による「お前だれだっけ?」ネタ)が、『ケンガンオメガ』では元トーナメント出場者の二階堂蓮が敗北するほどの実力を持つ臥王龍鬼の臥王流の技を臥王流について知っていたこともあって、片手で楽々に止め動きを制するなど、本来の実力は本物。なお金田戦の敗北は公式な仕合ではなかったため、オメガ登場時の公式戦績では21戦全勝まで連勝記録を伸ばしている。
また単行本収録の外伝では、奇襲のような形で闘技者の座を奪ったことに後ろめたさを感じていた金田に、自身の過去を告げて、「中」で生きて来た過去から、金田に「勝負は結果が全て」と言い「奇襲や騙し討ちでも勝ったやつが強い」と言う自論を語り「俺に勝ったことを誇れ」と本来恨んで当然の相手に励ましの言葉をかけてやるなど、キザな雰囲気に見合うだけの男らしい精神を持っているのも事実である。
その後も金田と共に交遊しており、単行本のおまけ漫画では風呂で背中を流してもらったり、後継作ケンガンオメガでの初登場でも金田と一緒に登場するほどの良好な関係を築いている。
また理人や大久保ともよくつるんでいるところが描写されており、串田凛からは4バカと呼ばれている。
これは余談だが、氷室は『中』出身でありながらゼットンのことを知っているが、王馬もVシネマを見ていたことを考えると、一見ゴーストタウンのような『中』にもTV文化がある可能性がある。
『ケンガンオメガ』では、上記の様に交友関係の広さと闘技者の中でも人当たりが良く話が通じる理性派であるためか、序盤から要所において登場。拳願仕合の成績は21勝0敗にまで伸ばしている。
「中」の出であることから山下に頼まれて龍鬼の面倒を見ていたが、誰にも心を開かない龍鬼に苦労していた。
煉獄との対抗戦には、金田と同じく実力に関しては申し分無いが、金田と同じく既に決まっている拳願仕合とのスケジュールの関係で、対抗戦の前に大きな仕合が決まっているので万全の状態での参加は難しいと事前に言っている。その後『中』へ行き『中』の同郷と接触して彼にとある頼みをしており、山下からの依頼で対抗戦の出場メンバー候補で役目不明扱いとなっているユリウス・ラインホルト、初見泉、黒木玄斎、加納アギトらの行方を捜索しに行き、行方がわからなかったユリウス以外の3人は所在と現状が掴め、その中でもアギトと接触し、アギトが御前である片原滅堂の為にしか戦わないことを理由にアギトから対抗戦のメンバーになる事を断られるも、滅堂が8代目の牙を対抗戦に出すのを決めたことやアギトが知らなかった2年間の間の情報を教えその中でも、弓ヶ浜が起こした滅堂の牙の名を利用した片原滅堂に対する裏切りの事実を教え、その事実を知ったアギトが対抗戦に出場する事を成功させた。本番の1ヶ月前に行った試合で勝ちはしたものの怪我をしてしまったため、参加を見送ることになり交流戦では戦うことなく金田と同じく観戦のみ。
その2年後、夏忌の襲撃の際に山下一夫の護衛についていたことで彼と対戦。夏忌からは拳願会の中でも2軍レベルと舐められながらも、不意打ちや暗器にも軽々と対応して圧倒。因幡良の助力を得るも超人体質によって一度は逃げられながらもこの事態を想定していたメンバーと共に追い詰め、光我と夏忌のタイマンを見届ける。
後に戦鬼杯に、自身の2軍扱いの評価を覆すべく強い決意を持って参戦。予選リーグは絶命トーナメント参加者で屈指の強豪河野春男とアダム・ダッドリーがいる激戦ブロックで、予選1戦目で河野春男と対戦。激闘の末に一度は優位に立つも、プロレス仕込みのラリアットの反撃を受けてしまい、盛り返せずに敗北。それでも残る2戦で取り返すべく続投するが、逆に春男は勝利したもののその戦いで古傷の膝を痛めてリタイアとなった。
その2戦目にアダムで、しかも傷が癒えぬ身の氷室と1戦目を余裕の勝利で飾ったアダムと言う絶対不利な中も奮闘。しかし、コンディションの差は覆すに至らず敗北するが、強豪との戦いを2連戦を互角に戦い抜いたことで、大会前の評価を覆すことに成功する。
截拳道(ジークンドー)の達人であり、直突きを基点とした高速のコンビネーションが最大の強みである。最速と言われるミドル級プロボクサーの平均パンチスピードが秒速10mに対し、氷室涼の直突きによる拳速は驚異の秒速15mに達する。
またその出自ゆえに武器の扱いにも長じており、骨折している状態でも片腕でヌンチャクを使って闘っている。また敵の武器や暗器に対しても楽々と対応出来る実力と経験を持っている。
余談
氷室の経営しているバー「大宇宙」の常連客の中にダンベル何キロ持てる?の街雄鳴造がいる。街雄が仕事帰りに訪れてはプロテインを飲んでいる。