概要
初出は「小学三年生」1982年10月号。てんとう虫コミックス第38巻に収録。
あらすじ
宿題に追われるのび太は、学校のなかった昔の世界に憧れるようになる。ちょうどそのとき、ジャイアンとスネ夫も空き地で野球を禁止されたことに腹を立てており、そこに現れたしずかもピアノのレッスンがいやで逃げてきたと言った。
そのようなのび太たちの様子を見たドラえもんは、石器時代に設置されている、タイムマシンで旅行する人たちのためのホテルを予約する。
みんなでタイムマシンに乗って2万年ほど昔に行くと、そこには一見洞窟のように見えるホテルがあった。そこでのび太たちは原始人に扮して、飼いならされたマンモスに乗ったりしてさまざまな遊びを満喫する。
しかしそのとき、ホテルの近くの火山が噴火し、タイムマシンの出入り口が溶岩に埋もれてしまう。さらに悪いことに、ドラえもんは道具を置いてきてしまっていた。
そこで一同は石器時代そのままのサバイバルを余儀なくされるが、食料を手に入れることも火をおこすこともできないまま寒さに凍えることになる。さらにそこにサーベルタイガーが現れ、絶体絶命の状況に陥ったときにタイムパトロールが現れようやく救出される。
なんとかして現代に帰りついたのび太とドラえもんは、「今の時代が気にいらないとこぼしているだけじゃなんにもならない。ぼくらのすんでるこの時代を少しでもよくするためがんばらなきゃ」と語り合うが、ママはそのようなのび太に宿題をやるように怒るのだった。
アニメ版
火山の噴火によってホテルに帰れなくなった後の話が変更されている。
ひみつ道具なしで原始時代を彷徨う羽目になった5人は別のホテルを目指すが、かなり距離があった上に途中で本物の原始人にとらえられてしまう。
そこでスネ夫が持ち込んでいたカメラのフラッシュを焚いた途端、原始人たちは驚いてスネ夫を神様と崇めて盛大にもてなした。
その待遇に気をよくしたスネ夫は他の四人のことに目もくれず、この時代を満喫しようとし、呆れた他の四人はスネ夫を置いていくことにした。
しかし、スネ夫は突然原始人たちにとある場所に連れていかれてしまう。
そこは火山の火口であり、どうやら原始人たちは火山の噴火を止めてもらおうとスネ夫を連れてきたようだった。
仕方なくスネ夫はカメラのフラッシュを焚くも、当然そんなことでは火山活動など治まるわけもなく、騙されたと知って怒った原始人たちに火口に突き落とされそうになる絶体絶命のピンチに陥る。
すると、スネ夫のピンチにジャイアンがターザンのように助けに現れたことで危機を脱し、スネ夫は皆に感謝して謝罪をした。
その後、溶岩が差し迫るギリギリのタイミングで別のホテルに避難できた五人は、ホテルから予期せぬ火山噴火で迷惑をかけたお詫びに五万年前のホテルに招待するといわれるも、散々な目にあった五人は辟易していた。
備考
本作の、「生活の中でストレスを感じたのび太たちが、タイムマシンで石器時代に行って自由に生きようとする」というコンセプトは、後に発表された長編『のび太の日本誕生』と共通している。
しかし「日本誕生」が、ギガゾンビとの対決に主眼を置き、ギャグの要素も込めたエンターテイメント色の強い作品になっている一方で、同作は風刺・教訓色の強い作品になっている。