神碑
るーん
現代遊戯王としては珍しく、低速のテーマである。
属するモンスターは1体を除いて攻撃力0の融合モンスターで、テーマ内の速攻魔法の全てにバトルフェイズのスキップという重い制約がある。
加えてバーン効果もないので能動的にダメージを与える手段が存在しないのだが、永続魔法及び速攻魔法には相手のデッキトップのカードを除外する効果が備わっており、これらを繰り返してデッキ破壊を狙うという遊戯王OCG史上初のテーマである。
魔法カードの効果でデッキ切れを狙うというコンセプトのため、属するカードの大半が魔法カードになっている。
永続魔法及び速攻魔法のイラストは全て一人称視点であり、公式が公開した設定画にも「「神碑」カードは基本“一人称視点”という構図をとる」と指定がされている。
世界観はジェネレイドと共有しており、一部イラストに同じものが存在している。
さながら一人称視点ファンタジーゲーム(このシリーズとか)の画面といったところであり、ジェネレイドがファンタジーロールプレイングゲームのボスをモチーフにしているのに対し、こちらはファンタジーゲームの主人公をモチーフにしているのだろう。
動き
このデッキにおいて核となるのは、神碑速攻魔法を発動すると墓地の神碑速攻魔法を三枚までデッキに戻してその枚数分ドローする効果を持つフィールド魔法の神碑の泉である。
泉によって速攻魔法を使いまわし、リソースを切らさないようにして妨害のついでにデッキ破壊しながら継戦するという明確なメカニズムがあるため、神碑の駆け引きは泉を如何に守るか/排除するかを巡るものになる。
デュエルが始まったらまず最優先で泉を呼び込んで張る。
テラフォ、パスファインダー等汎用フィールドサーチの他、全ての神碑速攻魔法はEXデッキから神碑融合モンスターを呼び出すことができるのでこれでフギンを呼んでサーチが可能であり、全く手札に来ないということはほぼ無い。
そして、相手の行動に応じて適宜EXデッキから状況にあったモンスターを呼び出しつつ相手の攻略法を潰していく。
毎ターン2-3枚ドローする→毎ターン1-2程度の妨害を撃ち込むという流れが作れればうまくペースを握れている。
必ずしもライブラリアウトを狙わずとも、マスターデュエルなどでは相手の勝ち筋がなくなった時点で戦意が折れて降参してくることも多い。
MD環境においては、実際にデッキ破壊だけでなく、妨害によって相手の継戦意志を挫くことでサレンダーするように仕向けるのも重要な駆け引きとなっている。
戦闘を一切しないコントロールデッキ、という点ではフルバーンなどに近いが、デッキ切れのみが勝ち筋という変態的な特化スタイルなのを特徴とする。
このデッキの強さは、地雷デッキとしての立ち位置に由来する。
妨害に関してはソリティアでえげつない制圧布陣を敷くデッキなどごまんとあるので、取り立てて神碑が凶悪というわけでもない。
むしろ一時的な制圧性に関してはテーマ内のカードのみに限れば「おとなしい」レベルである。
主流のメタが腐りやすく、妨害によって相手の勝ち筋を壊しながらデッキが切れるまでマイペースに戦うことになるため、デッキタイプによっては何もできずに一方的に真綿で首を締めるようにジワジワ追い詰められていくことになる。
除外によるデッキ切れという戦法に対して明確に対応できるテーマはほぼ無いため、独自のポジションを築くことに成功している。
現代遊戯王ではモンスターがデュエルの主流なので、置物を何回も割ることができるようなデッキでないと対応するのは困難である。
その他の妨害カードと併用することで展開力の高いテッキをほぼ機能停止に追い込めることから、2023年4月に主要パーツ1枚が準制限に、
シングルデュエルのみのマスターデュエルではより地雷として機能しやすいので多くの種類が相性の良いカード共々規制された。
MDでは泉・穂先・まどろみ・破壊・凍てつく呪いと主要カードが片っ端から準制限にされ、回転率が大きく減少している。特に、泉と穂先の準制限化は相手による除外への脆弱性を高めてしまい、結果としてエクソシスターなどに対しての耐性が大きく低下した。
また、岩戸やスキルドレインもそれぞれ制限化されてロックが弱体化しているなどかなり徹底した対策が取られている。
デッキとしての強さはテーマ単体の性能だけでなく、相性のいいメタカードに依存するところも大きい。
要するに、真価は罠パカとの異様な相性の良さにあるといえ、実際の強さ以上にじっくり絞め殺してくる精神的ないやらしさが武器なのである。
- 妨害が多いとはいえ、手札に呼び込んでいる魔法で対応できる範囲にしか対応できない
- 1ターンに飛ばせる妨害は1-2発程度で、継戦性はそこそこあるものの手数が多いわけではない
- デッキを除外したところでデュエルが終わるまでデッキから引けなかったカードはただの紙に過ぎず、それだけで戦況を左右するには至らないことが多い
- 泉という最重要標的があるため止めどころが非常に分かりやすく、急所が明確
- 灰流うららや幽鬼うさぎで動きを止めやすい
- 盤面は一通り触れるのだが、墓地に対処する手段がない。特に、イシズギミックによる泉の妨害に対してなすすべがない。
地雷としての強さが最大の売りであり、特化デッキなためこのデッキ自体が対策されるとどうしようもないという脆さがある。
代表例としては、除外メタと魔法カードメタがウィークポイントとなる。
特に、王宮の鉄壁と暗黒の侵略者と魔法族の里とナチュル・エクストリオは出てこられると完全にデッキが停止する。
速攻魔法は除外とセットなので除外自体ができなくなると相手のメタ札に触ることもできなくなる。
対処法としては神碑の牙ゲーリを出して破壊後効果で割りに行くなどの間接的手段しか使えない。
キーパーツの除外も非常に痛い。とりわけ泉の規制後はサイドなどからコズミック・サイクロンなどを撃ち込まれるとそれだけでも戦線が崩壊するリスクがある。
相手ターンでの手札からの速攻魔法発動が命綱なので、魔封じの芳香もクリティカルに機能する。エルドリッチやラビュリンスで採用されることがあるので要注意。この両者はそれぞれ置物に触るのもそこそこ得意なので少々苦手とする。
他、エクソシスターもかなり苦手とする場合がある。
ディメンション・アトラクターを飛ばされたりすると泉が機能しなくなり一時的に動きを封じられてしまうし、全般的にエクソシスターは置物に触りに行くのが得意で、しかも除外を介して除去してくる上に対象を取らない除外も使えるので神碑融合モンスターによる守りが機能しにくい。
泉による回収をトリガーとして発狂してくるため泉が割られやすい。
ただし、こちらが先攻を取ればセンサー万別やEM五虹の魔術師やスキルドレインなど妨害で一方的に封殺も可能であり、苦手なのは相手からしても同じ。
対エクソシスターでは、どちらが先に先攻を取るかで極端に試合の流れが変わってしまう。超絶先攻偏向ゲームである。
怒れる嵐の神碑のみ1つ目の選択肢の部分が異なる。