概要
周囲を囲む敵などに対し、城や砦などに籠もって防戦することである。
転じて、仕事などのために家に籠もって外出しないこと(いわゆるカンヅメ)をいう事もある。
戦争での籠城
籠城は古代から近世に至るまではオーソドックスな戦争の仕方で、概ね野戦か籠城戦(攻城戦)で戦争は行われていた。
長期戦となることが多く、奇策などで短期間で落とされる例もあるが稀。
現代では、強固な建造物に引きこもって戦う場合は籠城と言えるケースはあるがミサイルや空爆と言った強力な攻撃手段が使用出来るため、長期戦となることは殆ど無い。
主に城の中に入った軍が拠点を守る事を『籠城戦』と呼び、対して、城を攻める軍からは『攻城戦』と呼ぶ。
籠城側のメリットは以下である。
- 強固な建造物に引きこもって戦うので、兵の死亡数が抑えられる。
- 地の利がある事と、頑強な建造物により長期戦が可能となる。
- 数的不利を補う事が出来、少数でもかなりの間戦える。
反面、デメリットとしては。
- 直接的勝利は難易度が非常に高く、援軍頼みとなることが殆ど。
(気象条件による包囲側の撤退や、奇策などで勝利条件を満たせる事もある。)
- 包囲された際は城内の物資(食料や武器など)を綿密に管理する必要がある。
- 時間稼ぎは出来るが、言ってしまえば時間稼ぎ位しか出来ない。
攻める側のメリット・目的としては
- 軍事的な重要地点の確保。
- 城内にある物資や財宝の接収。
- 支配階級の捕獲、または殺害。
- 長期戦を見込む場合は兵の損耗が少なく抑えられる。
反面デメリットは
- 地の利が抑えられているも同然なので、無理やり攻めると手痛い目に合う。
- 戦いの展開によっては、相手が最後まで決死の抵抗をする死兵となってしまい、思った以上の長期戦となる。主にその国の存亡がかかった興亡の一戦など。
- 短期で攻め落とす場合、攻城兵器の他、入念な作戦や周辺の地形に対する工作、兵力の投入も行う必要がありコストが高くつく。
中国の兵法書孫子には、攻城戦は最後の手段であり、基本的には下策とされる。
最上は戦わずして謀略で勝つ事、次に外交で勝利する事。その次に野戦で勝利する事で、攻城戦は更にその下である。
攻城戦は道具を揃え、土塁を築くのに三か月かかり、指揮官が焦って城攻めを強行すれば兵の三分の一を失うと言っている。
可能であれば、敵を城内から引きずり出し野戦で決着を行うのが攻城側としては望ましい。
ヒッティーンの戦いでは、サラディンが十字軍を城内から引きずりだし野戦に持ち込み、勝利している。
野戦に持ち込むことが出来なければ、じっくりと包囲して兵糧攻めにするのが良いだろう。
また、強固な城を落とす為には兵力は敵の三倍は最低必要とされる。
城攻めは壁を登るのに梯子を使い、破城槌を使い、地下道を掘り…とかなりの労力が必要なのである。地形や作り次第ではあるが、千人未満の女子供が一万五千の兵を相手に三年間籠城を続けた例もある。(第一次ユダヤ戦争、マサダの戦い)
中には籠城戦に特化した城もあり、城内で農作物の収穫を行える場合は数年間の籠城に耐えうる事も可能で、補給路が断たれていなければ10年近く戦闘を行った例もある。
反面、籠城側は物資の調達が見込めない場合は悲惨の一言で、兵の戦意は下がって行くほか、食料が尽きれば仲間を殺害して食す例もある。樋を使用して水を城内に引き込んでいる場合は、樋を破壊されて水すら使えない事もある。
このため、籠城側は如何にして兵を奮起させ、物資の管理を行った上で耐え忍ぶと言う外にいる敵兵以上に、城内にも気を配る必要があると言える。士気が低下すれば、敵側の調略により裏切りの誘発を起こす可能性もある。また、長期の籠城で敗れた際はまともな抵抗も出来ずに中の住民を含めて虐殺される事も多く、勝てる見込みが無い場合はさっさと開城してしまうこともある。
無論、敵方が寛大であり略奪などを引き起こさない様な信頼出来る敵であれば、だが。
代表的な籠城・攻城戦
日本
鳥取の飢え殺し(第二次鳥取城攻略戦)
高松城の水攻め(備中高松城攻略戦)
島原の乱(原城の戦い)