生き残っている人間を全員呪いたい――
概要
漫画・夏見こま。監修・鈴木光司。キャラクター提供・KADOKAWA。
副題「Sadako_at_the_world's_end」
2019年1月よりTwitterに投稿され話題となり、月刊コミックジーンにて連載。MFコミックスジーンシリーズとして単行本が書籍化されている。
貞子が幼女と旅する、終末ヒューマンストーリー。彼女達が楽しく過ごした"いっしゅうかん"の"きろく"を描く。
ストーリー
文明が滅んでしまった世界――
廃墟街の少女アイが妹と遺物の「びでお」を再生していると、そこから貞子ことサダちゃんが現れた!
1週間で消えてしまうというサダちゃん。"他の人はいないの?"と聞く彼女に、 アイは他の人を探してみようと提案する。 しかしアイは知らなかった…。
サダちゃんが 『まだ人が生き残っているのなら、全員呪いたい』と思っているということに…。
登場人物
サダちゃん
終末世界にある遺物の「びでお」から現れた人間(と思われている)。スピーカーが壊れているため声が出せない(わけではない?)。意思の伝達はタブレットに文字を念写して行う。
骨ばっている長い手足(素足でどの指先も黒く変色している)に薄汚れたワンピースを着ている。猫背で長い黒髪で顔が隠れている。ぎょっと近寄りがたい外見だが、以外と感情豊かで積極的に人と関わろうとする柔軟性からか出会う人達から怖がられる様子はない(終末のご時世からボサボサな身なりも仕方ないと思われているのだろうか?)。
力を込めて電化製品を動かしたり、瞬間移動、自分の髪を自在に動かせるなどができ、周囲の人から魔法や魔法使いと言われている(まほう?)。
アイちゃん
廃墟街のそばかす少女。ボリュームのある髪を後ろでまとめてリボンで結び、頭にゴーグルを付けている。グローブとスカーフを身につけ、探索しやすそうな服を着ている。
機械の修理など手先が器用である模様。親の代わりに妹の面倒をみるしっかり者のお姉ちゃん。
ひーちゃん
アイちゃんの幼い妹。ワンピースを着てセミロングの髪をポニーテイルにしている。
好奇心旺盛で遊び盛りな女の子。
ヤマネさん
ヘアメイクの腕はたしか。髪へのこだわりが強く、痛んだ髪はほっとけない様子。
おばあさん
一軒家に一人で暮らすおばあちゃん。
近くの街に娘が暮らしている。
井戸のお姉さん
古井戸で出会ったおねえさん。幸薄顔でサダちゃんほどの長髪。着物を着て上半身になぜか縄が巻かれており…。
サダちゃんを見て「呪い(仲間)」というが……。
Twitterの貞子さん
※〖〗はサダちゃんがタブレットに文字を表示する画面とする。
▼終末の貞子さん公式Twitterのツイートには〝『貞(※)』.。oO(投稿内容)〟の形式でユーモアの効いた念写(とうこう)をしている。
※〖私が 貞子です〗と念写したタブレットを持ったサダちゃんのイラスト
▼#週末のサダちゃんタグでアイちゃん一行の3人がいっしょに過ごす一夜や暑い日といった様子(イラスト)が投稿されている。
▼2019年1月からの投稿時期(リアルタイム)にあった令和ネタを披露する、2019年5月公開に公開された映画『貞子』の観賞、サダちゃんが単行本のカウントダウンの様子(イラスト)が投稿されている。
▼〖大先輩〗とも言える公式の貞子さんから単行本発売の告知がされている。
▼初投稿の設定画では、作中で見れなかったサダちゃんの素顔(整った顔立ち)を確認できる。
余談
- サダちゃんたちが観ていた映画『貞子』は2019年5月24日(金)に公開された作品。
- “世界が尊敬する日本人 100人”の人達(人名/職業)に「貞子/怨霊」として認定されている。もし終末世界になってもサダちゃんを観れば「あの人は…」と知ってる人がいるかもしれない。
関連サイト(外部リンク)
Twitterの貞子さん〖大先輩〗
関連タグ
「呪い(仲間)」の例
フレディ・クルーガー ジェイソン・ボーヒーズ チャイルドプレイ
いっしゅうかんのこと
※〖〗はサダちゃんがタブレットに文字を表示する画面とする。
1日目
古い井戸が映る画面。その中から髪の長い人間が這い出てくるとー
オォオオ"オ"オ"オ"とブラウン管テレビの画面から出てくる貞子。そして目の前にいた幼い姉妹を“あの眼”で見つめるが…
すごーい!
貞子 " ? "
そこは剝き出しの根がはる木々が生い茂る都市の廃墟街。その終末の景色にある吹き抜けの一室で、幼い姉妹と貞子が向かい合わせに座る3人の姿があった。
「びでお」はじめて見た!
それどころか動いてる人間久しぶりに見た
わっ触れる 3Dってこういうこと?
昔の技術力ってやっぱ凄まじいなあー!
直ってよかった!
貞子へ矢継ぎ早にはやし立て、キラキラした表情で彼女を見る幼い姉妹。
少女「あなた名前は?」
まさか話しかけられるとは思っていなかったのか、しどろもどろになる貞子だが…
少女「あ!スピーカーまだ直してないんだった だから声が出ないのかー!」
そういうわけでは……ないのかもしれないが、貞子は足元にあったタブレットを拾って力を込める。すると画面に文字を念写させ会話を試みた。
貞子〖貞子〗
少女「文字だ! すごい!」
と腕をあげて興奮する少女たち。しかし姉の少女は漢字が読めず貞子さんはショックを受けて、ひらがなに変換してみせた。
貞子〖さだこ〗
少女「さ だ こ…? さだこ!」
貞子〖 \ピンポーン/ 〗(実際は花丸のイラスト)
姉の少女が文字を読めたお陰で話しが通じ、お互いの自己紹介を済ませた。姉・アイちゃんと妹・ひーちゃんに〖他の人はいないの?〗と聞く貞子ことサダちゃん。
アイちゃん「え?他のひと? いないよ~ 二人だけだよ」
その後はサダちゃんの「びでお」が〖いしゅうかん〗しか見れないことや近くの様子を話したり、なんやかんやで姉妹と一日中遊んだりして過ごすことになったサダちゃん。
夜になると姉妹がお気に入りのふかふかな大きいベッドで川の字に寝る三人。ひーちゃんを寝かしつけたアイちゃんは「ねぇサダちゃん 明日から人間探してみよっか」とまだ起きていた彼女に提案をする。
それに頭を振って\やった~/とバンザイして賛成するサダちゃん。
アイちゃん「サダちゃんは何か目的とかあるの?」
その事に答える前にアイちゃんは寝ってしまった。姉妹の寝静まった後にとったサダちゃんの応えは……。
2日目
「びでお」を見た姉妹と他の人間を探すことになったサダちゃん。
荒れ果てた道路を進む道中、風で飛んできたタオルがアイちゃんの顔面に張り付いた。
やだ~~飛んでちゃった!
オネエ口調の男が出てきて右手にハサミを持っている。それに気づいたサダちゃんは姉妹の前に出て、髪の毛を伸ばし男の首を絞めあげるが…
き…キューティクルが…死んでる!!
自分が髪の毛に苦しめられ痛い目にあってる中で、サダちゃんの髪の毛が傷いめになってる事に驚いていた。そうして男は" ブチブチブチ "っと自分を締め上げていた髪を引きちぎって(!?)、髪の毛から抜け出し" どすん "と尻餅をついた。
アナタお店にいらっしゃい アタシがその髪蘇らせてあげる
彼は美容師のヤマネさん。人の美しさを引き出す魔法使いよ♡とヤマネさんのお店へ招かれた一行。まずは姉妹の髪をかわいく仕立てあげた。そのきらびやかな空気から"そー"と抜け出そうとするサダちゃんだったがヤマネさんに捕まってしまった…。
ヤマネさん「さて 前髪切っていい?」
サダちゃん〖だめ〗
毛先を整えるまでという事でヘアカットが始まったが、途中停電になりドライヤーを使えなくなってしまった。仕事が中断し落ち込むヤマネさん。そこに"ふんっ"と力を込めてドライヤーから温風を出すサダちゃん。これにやる気を取り戻したヤマネさんは瞬く間にツヤツヤな黒髪ロングのサダちゃんへ変身させた。
その後はティータイム。姉妹はサダちゃんが「びでお」から出てきた事やサダちゃんを見れば「びでお」を観たなんて話、これからの旅について語らう乙女たちのやすらぎな時間が過ぎた。
そして別れの時。近くの街の地図をヤマネさんからもらう一行。お互いの出会いにお礼をかけあって……。
3日目
だぁれも出会うことのなかった一行。
因みにこの旅はアイちゃんが荷物とひーちゃんを載せたリヤカーを引いて歩く旅路。サダちゃんはその後ろをついて歩くような構図になっている。
4日目
" 誰もいないね "
ヤマネさんに教えてもらった街は廃屋になっていて、瓦礫が散乱する部屋を探索するアイちゃんたち一行。
ひーちゃん「かおのかみ!」
アイちゃん「お母さんと子どもの写真かな? ここに住んでいた人かもね」
ひーちゃんが若い女性と少女が並んで映る写真が納められた写真立てを見つけた。
ひーちゃん「サダちゃんおくつは?」
アイちゃん「確かに素足は危ない…!」
サダちゃん〖いらないよー〗
ここでサダちゃんが素足なのに気づく。その部屋にあった靴を借りていく事にして外に出ると、どこからかいい匂いが風に運ばれてきた。匂いを辿ると一軒家が見えてきた。窓から中を覗くとおばあさんが鍋を手に料理を作っている。家の中のおばあさんが外にいた彼女たちに気づき、アイちゃん一行はご馳走を頂ける事になった。
おばあさんの畑で採れたもので作った✨✨たくさんのご馳走✨✨。たくさんの味に大満足のアイちゃんたち。食事しながら今まで食べてきた物やおばあさんの家族について話していると……
ひーちゃん「かおのかみ!」
と突然声をあげるひーちゃん。視線の先には昼間の廃屋と同じ写真。それはおばあさんの娘が写ったものだった。更にサダちゃんが借りてきた靴は、おばあさんの娘がお気に入りの物だという……。
夜になりアイちゃんとひーちゃんが寝静まって、サダちゃんはおばあさんがまだ起きていることに気づく。サダちゃんはおばあさんの話を聞くと、彼女が若い頃は女優だった事や今まで娘のことを思って暮らしていたことを語ってくれた。そうして「 引き継ぐ人のいない物語は無いと同じさ 」とサダちゃんへ寂しそうに話していると―
何話してるのぉ
アイちゃんが起き出してサダちゃんは先ほどの事を伝える。
サダちゃん〖おばあさんおしばいするひと〗
アイちゃん「おしばい?何それ?」
サダちゃん〖ものがたりのひとになりきる〗
そんな夢のような人がいる事に感激するアイちゃん。その様子に何か懐かしむような顔をみせるおばあさん。そこでおばあさんは「ヘンゼルとグレーテル」をやろうとアイちゃんを誘った。
サダちゃん〖そとでやろう〗
外に出るとサダちゃんがプロジェクターに力を込めておかしな家を映し出した!
アイちゃん「うわぁ!綺麗……!」
おばあさん「お菓子の家だねぇ」
サダちゃん〖プロジェクションマッピング〗
更にサダちゃんは " ポン " と〝まほう〟のようにみんなを変身させた。おばあさんには杖を持たせて黒い帽子とローブを着た魔女に、アイちゃんは髪型を二つの三つ編みにして可愛らしいエプロンドレスを着たグレーテルに、サダちゃんはバンダナを巻いてヘンゼルの姿になった。
サダちゃん〖まちから かりた〗
おしばいするひとだったかのように舞台や衣装を用意したサダちゃん。更にひーちゃんも起き出して4人で「ヘンゼルとグレーテル」のおしばいをして、楽しい一夜を過ごした…。
5日目
" こんなにいいの(嬉) "
翌日。旅支度をするアイちゃんたちに袋いっぱいの食べ物を持たせるおばあさん。それはヘンゼルとグレーテルが魔女の家から持って帰る宝石のように、アイちゃんたちにとってのお宝だった。
おばあさん「昔 物々交換した蜂蜜もね今じゃ綺麗な石よりお宝だよ」
アイちゃん「ありがとう はちみつ?」
おばあさん「はちが集めた花の蜜だよ」
アイちゃん「すごーい!」
おばあさん「ああそうだ あなたに渡さないと」
サダちゃん "?"
そう言ながら家の中へ手招きするおばあさん。そしてサダちゃんは一人でおばあさんについていった。
サダちゃん〖いらない〗(汗)
おばあさん「見てる方が痛々しいよー」
おしばいでも履けそうで丈夫そうな靴をもらったサダちゃん。それはおばあさんが昨夜の舞台に付き合ってくれて「ありがとう」の言葉と一緒に気持ちが込められた贈り物だった。
そしてアイちゃんたちは出発する。それを家の窓辺のイスに座って窓越しに見送るおばあさん。楽しい思い出ももらった一軒家を背に次の場所へ向けて一行は歩きだした…。
6日目
" 誰もいないねぇ "
リヤカーの修理をしているアイちゃんたち。修理をしながら、サダちゃんといれるのがあと1日であることや彼女のお家である井戸が近くにある事を話していると…
ひーちゃん「アイちゃん サダちゃんあった!」
アイちゃん「本当だ サダちゃんが出てきたものに似てるねぇ!」
いつの間にか忽然といなくなっていたひーちゃん。声をあげる彼女を探すと、蓋をされた古い井戸のそばにいる所を見つけた。
サダちゃん〖わたしの じゃない〗
アイちゃん「じゃあ別の人が住んでるのかも?」
蓋を開け、アイちゃんたちが中を覗いてみると中は真っ暗。その時バランスを崩したひーちゃんが中に落ちてしまった!……がぽーんとくるっと一回転して戻ってきた!?
びっくりしたー!
急に蓋が開くものだから びっくりして投げ返しちゃいました…
ひょこっと井戸の中から顔を出してきたのは若い女性。この井戸は彼女のおうち……ではなくただの水を汲む穴……。
井戸姉さん「こんなところにいる人間は身を投げたか 投げられたかですよ」
と言って井戸の中から出てきたお姉さんの姿は着物を着て上半身に縄が巻かれていた。体は濡れていて、彼女の周りに火の玉が浮き、足元は着物といっしょに透けていた…。
井戸姉さん「どちらにせよ死んでる」
え…?
アイちゃん「透けてる…」
ひーちゃん「きれい…」
井戸姉さん「えっ」(驚)
Q 死ぬと透けるの?(アイちゃん)
A ど…どうでしょうか…(井戸姉さん)
井戸のお姉さんは、ちらっとサダちゃんを見ると「あなたは透けてない」と奇妙なことを言った。アイちゃんは真顔でサダちゃんは死んだ人間ではなく「びでお」から出てきた人間だと説明しようとした。
びでお…そういう「呪い(仲間)」を聞いたことがあります…
…「呪い(私たち)」は思いの強さと生きてる人の想像からできているので あらゆる形で存在しているんですよ
だがアイちゃんたちには難しい話でよく分からなかったので、井戸のお姉さんは話題を替えて「皿屋敷の怪談」を知ってるかきいてみると…
アイちゃん "?"
ひーちゃん "?"
サダちゃん〖大先輩〗
井戸のお姉さんは大事なお皿を割ってしまい、どうしようもなくって井戸に身を投げたという。それからは一枚足りないお皿を手に恨めしい方々を呪って……およよっと涙を流しながら語り……
アイちゃん「お皿あるよ」
井戸姉さん「え?」
アイちゃんとひーちゃんは荷物を積んだリヤカーまで戻り、ウサギと人参の絵が描かれたお皿を一枚持ってきた。
アイちゃん「はい! 私たちの貸してあげる 代わりになるかなぁ?」
その可愛らしいお皿を両手(右手の中指が半分切れている)で受け取る井戸のお姉さん。彼女は両眼を細め長年ため込んだものが零れ落ちるように涙を流ながしながら……
" あら嬉しや "
突然"ひょうぅぅ"っと風が吹き、目をつむってしまうアイちゃんたち。風といっしょに井戸のお姉さんが話しかけてきて…
世界に最後の優しいおふたりに ひとつお節介を
その女性と一緒にいるとね
死にますよ
それはアイちゃんに言い聞かせるように顔を近づけて告げられた。
" え "
突然のことで目を見開くアイちゃん。だが目の前には井戸のお姉さんは消え、井戸とウサギの絵が描かれたお皿が1枚残されていた…
夜。ほら穴の中で川の字に眠るアイちゃんたち。だが考え事で寝付けない様子のアイちゃん。
アイちゃん「サダちゃん 本当に明日お別れなのかな」
ひーちゃんの寝顔を見つめながら話しかけるアイちゃん。自分との別れを惜しむ思いが語られる背中を見つめるサダちゃん。そして明日はサダちゃんのおうちに行こうと、楽しみにしている言葉を最後に一夜が過ぎた…。
7日目
サダちゃんの 井戸に着いた!
山の麓にある森の中で開けた場所に井戸はあった。
アイちゃんは期待に満ちたような目で、ポツンと蓋がされたサダちゃんのお家を見つめる。近づくと何か書いてある板が立てかけてあった。
「…この井戸までたどり着いたがー
…戸を埋めよう…
…封じようと…
…呪いは終わら…
…人間が一人残らず…
…終える時、…が…
…呪いも消えるだろう…
………………」
文字がかすれて読みづらい文章。さらに漢字が読めないアイちゃんが眉を寄せて、何が書いてあるのか分からずにいるとサダちゃんが〖いど うめちゃったって〗とかんたんに説明した。それに納得したアイちゃんは気を取り直して元気にー
アイちゃん「よし!ここを旅のゴールとするっ」
そう言って空が暗くなるまで遊んだ3人。
そして最後の夜。木々に囲まれた平地で野宿をするアイちゃんたち。近くでは闇夜を照らす焚き火がパチパチと揺らめいていた。
ひーちゃん「アイちゃん サダちゃん おやすみ…」
アイちゃん「おやすみ ひーちゃん」
すぐねちゃったひーちゃんにサダちゃんは、毛布を"ふよふよ"と浮かして、ふわ…っと優しく掛けてあげた。妹の寝顔を愛おしそうに見つめるアイちゃん。そしてサダちゃんの方に向かって「すこし歩かない?」と一緒に出かける2人。
サダちゃんは右手を振ると焚き火が消える。その間もひーちゃんは消えいりそうな寝息をたてていた…。
夜風が吹く中、草地を歩くアイちゃんとサダちゃん。少女は妹とふたりだけになった日の事やこれまでの事を話しながらサダちゃんの前を歩く。そして後ろを振り返ってこの1週間を一緒に楽しく過ごした彼女と向かい合う。
私 サダちゃんがこわい子でも大丈夫だよ
アイちゃんはなんとなく知っていた。今朝の井戸にあった文章からサダちゃんのつらかったことが伝わっていた。「びでお」もハッピーエンドじゃないかもってわかっていながらも、この1週間とっても楽しかった事を伝えた。
私のしたいことサダちゃんが叶えてくれたから
サダちゃんのやりたいこと 私が叶えるよ
それはアイちゃんの大切なものへ向ける愛に満ちたような想いが対面する人間に向けられていた。
〖この いっしゅうかんのこと〗〖きろくする〗
〖そのなかでずっといっしょ〗
アイちゃん「そんなことできるの?」
サダちゃん〖がんばる〗
自分の気持ちに応えてくれた事に涙を流して、やっぱりサダちゃんはすごいと、この世界にいるひとりの少女は答えた。
サダちゃん だいす き
そうして夜の闇が物語に幕を降ろすように広がっていった…。
水が滴る井戸の中
彼女がこの暗闇から見上げる丸い景色は、全部終わった時にみる景色なのだろう……
サダちゃん!
ぴょこっと井戸の淵から顔を出してのぞき込む小さな姿。それは一週間を楽しく過ごしたふたりの少女だった。
ハッと目が覚めるサダちゃん。そこはを最後に姉妹達と過ごした場所だった。まだこの場にいる事が不思議でならないサダちゃん。これまでの一週間とは何が違ったのか。そう〖この いっしゅうかんのこと〗は今までと比べてとても変わっていた事だろう。
自分に愛情を向ける姉妹、自分と会えば「びでお」を観た事になると新しい解釈を与え仕事させてくれた美容師、楽しいおしばいをして引き継ぐ人のいない物語は無いのと同じとも言っていたおばあさん、「呪い(私たち)」の生まれかたについて語っていた大先輩のお姉さん
それは彼女の心に記憶に残る出会いと想いが強かった7日間で確かに変わった事があったのかもしれない……
今までは堅(かた)くなな重い遺志をもって終末を願っただろうが、
この時は頑(かたく)なな想い意思をもった週末だったのではないか……
いずれにせよ「呪い(自分)」がいる時とは"それ"がいつだっているはずだった……
そうして気配を感じたのか〝こっち〟を振り返るサダちゃん。
" あ "
そうしてサダちゃんは〝こちらの枠〟に手をかけて近づいてきて……
" い た "
彼岸美容室(単行本のおまけ漫画)
とある場所でこのいっしゅうかんに出会った人達が集まった。みんな頭に輪っか(サダちゃんを除き)が付いていて、ちょうど井戸のお姉さんの髪をヤマネさんが髪結い(ヘアメイク)している所だった。
その場の流れで終(つい)にサダちゃんは髪を切られた末に、彼女の変わりようを観ていた周りの乙女たちは " あら! " と華やかな雰囲気になり、注目の的になった本人は " ア"ァ"ア"…/// " とお顔が真っ赤になるのだった……