概要
大日本帝国海軍の戦闘機パイロット。1921年9月23日に朝鮮半島の竜口で生まれ、宮城県伊具郡枝野村(現角田市)で育つ。
海軍兵学校70期、第38期飛行学生。最終階級は大尉(戦死後、二階級特進で中佐)。零式艦上戦闘機・紫電改を操り、個人・協同含め撃墜スコアは72機。
数字からもわかる通り、大東亜戦争下でも屈指のエースパイロットである。
1945年8月1日、九州に向けて北上中のB-24爆撃機編隊を迎撃した際、『ワレ、機銃筒内爆発ス。諸君ノ協力ニ感謝ス、ワレ、菅野一番』との通信を遺して消息を絶ち、そのまま死亡扱いとなった。通信の内容や米軍側の記録から、機銃が暴発したことで操縦不可能に陥って墜落したものと考えられているが記録は状況証拠的なものしかなく、消息は不明。
「菅野デストロイヤー」というニックネームを付けられたほどの強烈なキャラクター・生き様と、そのミステリアスな最期などから、注目を浴び続けている。
日本を代表するエースである杉田庄一やその他の部下からも兄のように慕われていた。司令の源田実大佐からも大きな信頼を得てかわいがられていた。
なお菅野デストロイヤーというニックネームは戦果によるものではなく、零戦は打撃武器とでも言わんばかりに機体の扱いが乱暴で飛行機を破壊しまくっていた事に由来して周囲から呼ばれる様になった。
また、実戦に於いては大量の機銃を装備し、鉄壁の防御力を誇る米軍の大型爆撃機相手に、死角となる真上から急降下して銃撃。そして衝突の危険があるが、弾幕を張れない主翼前方をすり抜けるという戦法で多くの爆撃機を撃墜。更には機銃の弾切れを起こした際、B-24爆撃機の垂直尾翼に、搭乗していた零戦の主翼をぶつけて破壊し撃墜するというメチャクチャな戦法も披露している。
坂井三郎が彼のことをジャク(未熟者で使い物にならない搭乗員)と呼んだのも、機体を自分の責任で壊したことのない坂井にとって菅野はどうしても評価できない存在と考えていたからかもしれない(一方、坂井も被弾して機体に損傷を残した事自体はある他、ジャクと呼ばれ、見下されながらも菅野の方が戦績は大きい)。
登場する主な作品
須本壮一『紫電改343』※2020年より講談社『イブニング』にて連載。
関連動画
関連タグ
管野直枝(「菅野直」がイメージモデルのストライクウィッチーズのキャラクター)
ここからは「ドリフターズ」関連ばっかりだコノヤロウ
現在「菅野直」でタグが登録されているイラストは全て平野耕太作の漫画「ドリフターズ」に関連したものである。
ちなみに作中菅野だったり管野だったりするが、恐らく誤植(+誤記)。
10話冒頭の紫の書類と11話ラストページではちゃんと菅野である。ハーネスと台詞は管野だけど。
ドリフターズでの登場回のサブタイトルは「私の彼はパイロット」
じーぶーんーのーひこーきぃーに、おねつーなのー
整備兵「てめぇいい加減にしろバカヤロウ」
管野直の二つ名「デストロイヤー」は練習生のときに飛行機をぶっ壊しまくっていたことに由来する。練習生のときから勝手に宙返りを覚えるなど操縦技術も射撃の腕も抜群だった。しかし操縦は変わらず激しかった。先述の通り敵機に自分の機体をぶつけて撃破するなどの戦法を実行に移す等並外れた胆力とその上で生還出来る技量を兼ね備えた豪傑といえる。
ドリフターズでは転送された直後に搭乗していた紫電改のエンジンが停止した。元々帰還は絶望的だったので仕方ないが。
ちなみに、米軍からはあまりの戦い方の豪快さやその戦果により恐れられ、乗機胴体に描かれた指揮官認識マークの黄色の帯から「イエローファイター」と呼ばれていた。
何だ、バカヤロウ
荒井注だコノヤロウ。"ドリフターズ"だ、文句あるかバカヤロウ
元文学青年だ、バカヤロウ
軍隊に入る前はドイツ文学に傾倒していたことがある文学青年であったりもする。
ただし今のようなナヨッとしてそうなイメージではなく、いわゆる「軟派な」人物だったようで、やんちゃな性格は幼少からパイロットになるまで変わっていなかったようだ。
軍隊に入った後の逸話にもそれを髣髴とさせるものが残っており、不時着した先の島で原住民の王様のようなことをやっている(※)など愉快な逸話には事欠かない。
(※ただし、本当の所は「俺って実は皇太子なんだぜ」とか大法螺こいたら信じられたというのが実際の話っぽい。それはそれでどうなんだって話だが)
何が彼を文学の世界に引き込んだのだろうか・・・
菅野が個人的にノートに書き残していた日記や詩をまとめた書籍が出版されている。中学生(書いた当時)らしからぬすばらしい作品ばかりである。
優等生にして問題児だったんだバカヤロウ
幼少時から運動勉学ともに常に一番の成績の超優等生だった。
反面、正義感が強い上で手が出るのが早く、喧嘩をして問題になることが多く、教師は持てあましていたようである。
納得がいかないことがあると黙ってはいられない性格だったらしい。
軍隊でも着陸する滑走路を間違えた事をその現場の上官に注意された際、離陸時のプロペラの風圧を利用してわざと上官のいる小屋を吹き飛ばしている。
特攻隊に志願した際にこれまでの戦果を報告したところ、その撃墜数の多さをにわかに信じられなかった上官から「何かの勘違いでは?」と問われた時は腰のピストルをホルスターに収めたまま発砲して威嚇するという暴挙に出ている(「暴発」として処理されお咎めなしだった模様)。
また、自分の部隊の隊員と談笑しているところをうるさいと注されたときには「明日の命もしれぬ者に何という言いぐさか!」と食ってかかったのだという。
台風で通学路にある川が氾濫し、橋が決壊して多くの学生が登校できなくなっていたので、荒れ狂う川を泳いで渡り学校に知らせ、そのことをもう一度泳いでもどって生徒達に心配しないよう伝えたという豪快すぎるエピソードもある。
このように友情に厚く、部下思いであったために多くの人間に慕われた。
だいたい事実だバカヤロウ
ばかやろう先生にマジで感謝だバカヤロウ。
ドリフターズでの俺についてだバカヤロウ
日本が生んだ破壊の神
出会った敵、味方、原住民、憲兵、上官、整備兵は全員問答無用でボコボコにされるという
空飛ぶジャイアニズム
文学好き
(ドリフターズ3巻より)
「空の神様また怒ってるよ」「あの人コワイ。ムチャクチャなんだもん」by犬猫
漫画『ドリフターズ』では第10話「私の彼はパイロット」から登場。アニメでの声優は鈴木達央。紫の資料では「菅野デストロイヤー直」。
史実に負けず劣らずとんでもなく血気盛んで、おまけに短気。「バカヤロウ!コノヤロウ!」が口癖。エンジンに活を入れるのに、コンソールをぶん殴るという蛮行に及んでいる。(何故かそれで直った。)
黒王率いるエンズのカルネアデス侵攻の際、上空にゲートが開き、ボロボロの紫電改とともに召喚された。状況に混乱しながらも、眼下でドラゴンが街を人ごと焼き払う様子が、B-29の本土空襲で街が火の海となり人々が逃げ惑う日本の光景と重なり激昂。ドラゴン相手に攻撃し4体を撃墜。図らずもドリフターズ側になって戦い、脱出する安倍晴明たちを助け、エンズに損害を与えた。
その後はオルテ北部の山岳地帯に不時着し、そこに住む犬人たちを腕っ節でねじ伏せ、「空の神様」として頭目に収まり、スキピオを発見した際は彼らが担ぐ神輿に乗って登場した。
時代背景からアメリカ人を敵視しており、言葉が通じず金髪のスキピオを最初はアメリカ人と勘違いするが、彼が発した「ROMA!!」という言葉で味方(枢軸)側のイタリア人(もちろんスキピオはイタリアが存在する遥か昔の人物だが)と判断しガッチリ握手を結ぶ。が、その直後にイタリアが枢軸国の中で真っ先に降伏したのを思い出し「敵じゃねーか!!」と顔面に蹴りを入れボコボコにした。
その後、スキピオの行方を捜索していたブッチとキッドが合流し翻訳の呪符で言葉が通じるようになっても理解の及ばぬ破天荒すぎる菅野の言動にドン引きしたキッドから「日本人ってあんなんばっかか」と恐れられる。
西部劇そのままのブッチとキッドの出で立ちを見た菅野がアメリカ人か? イギリス人か? と疑ってかかる(彼らは時代は違うが正真正銘のアメリカ人である)が、危険を察知したブッチが咄嗟に吐いた「ボリビア人だ」という嘘を信じている(ボリビアは彼らが最期を迎えたとされる南米の国家。古代ローマ時代には存在しないためスキピオには「そんな国ねーよ」と言われていた)。
スキピオが菅野の元に参謀として加わり(正確には晴明の指示で菅野の元へスキピオを残しブッチとキッドは引き上げた)、二人は亜人たちを軍勢として束ね、オルテ相手に蜂起し、スキピオが授ける戦術により快進撃を続けた(用いた戦法としてはハンニバルがカンナエの戦いでローマ軍相手に用いた包囲殲滅作戦に伏兵を加えたものでその効果はてきめんであった)。自身が率いる獣人の部隊にのらくろ兵団と名付けている。
進軍の途上、猫人族の戦士たちを仲間に引き入れたところで所属艦隊は違うが同じ大日本帝国海軍軍人で階級上の上官である山口多聞からの書簡を受け取り、飛龍が擱座しているグ・ビンネンの海域にはせ参じ、たった二人の「二航戦」となる。こうしてようやく菅野を制御できる人物が現れることとなる。
講談の影響もあってか、所属していた航空部隊の名前の由来である新撰組を非常にリスペクトしており、マモン間原・サルサデカダンでの戦いの中でまたもや乗機を壊して不時着した際に、そうとは知らず本物の土方と対面して新撰組語りをした結果、半死半生となっていた豊久とドワーフ戦士の生還に寄与する。
また、菅野の口上は豊久との戦いを通じてくすぶり始めていた土方の心に再び火を灯し、黒王軍を離反するきっかけを作っている。
直ちゃんかわいいじゃねえかコノヤロウバカヤロウ
例のパンツじゃないアニメの世界にも彼が元ネタである管野直枝(かんのなおえ)が存在している。
やっぱり敵と自分の機体をぶっ壊しまくっている。