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概要編集

長崎県長崎市において路面電車を運行する鉄道事業者。通称は電鉄、長崎電鉄。


長崎市は狭隘な谷間に形成された都市で平地がほとんどないことということもあり、繁華街や観光地などの有名所をほぼ沿線に網羅しており、観光客の利用も多く、輸送密度は路面電車としては非常に高く1万人を超えている。


運賃は長く大人100円・子供50円均一を維持していたが、2008年以降は値上げが続き2023年現在大人140円、子供70円となっている(それでも並行する路線バスの初乗り運賃より安い)。2008年には「長崎スマートカード」というFeliCa式プリペイドカードの使用がスタートしたほか、2013年には「モバイル一日乗車券」も導入されている。一日乗車券は大人600円・子供300円。2020年3月より、nimocaを導入し合わせて交通系ICカード全国相互利用サービスもスタートした。これに伴い長崎スマートカードの利用は2020年6月末で終了。


車両数は多く、廃線となった他社局からの中古車両も積極的に導入している。最新鋭車両は2022年生まれの6000形であるが、最古参となる西日本鉄道からの譲渡車の160形(年間3日、イベント時にしか運行しない)は国内最古の1911年製であり、その年齢差は実に100歳を超える。自社発注で最古は1950年製の200形である。


1945年8月9日の長崎への原爆投下で全線で大きく被害を受ける。復旧は時間がかかり、最初に復旧したのは3か月後の11月で、あった。

原爆の被害に遭った都市として、また市内の輸送の中心を担う鉄道として、広島電鉄とは何かと共通点はあるが、広島と違い、被爆当時の車両は1両も残っていない。これは復旧を優先して早々に置き換えた為で、当時は被爆車両を後世に残そうという空気は、ほとんどなかったという事情もある。


2015年に「ながにゃん」というゆるキャラが誕生した。長崎の尾曲がり猫をモチーフとした妖精で、頭には電車のマスクを被り、肩にはカステラなどが入った電車型のバッグを下げており、腹には出島型のポケットがついている。


1971年にバス部門を長崎バスに譲渡してからは、地方の鉄軌道事業者では珍しく関連会社をふくめてバス部門を保有していない。



路線編集

  • 本線
    • 住吉~長崎駅前~大波止~新地中華街~西浜町~崇福寺
  • 赤迫支線
    • 赤迫~住吉
  • 桜町支線(1978年までは古町支線とされていた)
    • 長崎駅前~桜町~市役所
  • 大浦支線
    • 新地中華街~石橋
  • 蛍茶屋支線
    • 西浜町~市役所~蛍茶屋
  • 大浦支線の大浦海岸通り~石橋間のみ単線

運行系統(全停留所を紹介 数字は駅ナンバリング)編集

  • 1号系統(日中5分間隔)
    • 11赤迫~12住吉~13A昭和町通(赤迫行のみ停車)~13千歳町~14若葉町~15長崎大学~16岩屋橋~17浦上車庫~18大橋~19平和公園~20原爆資料館~21大学病院~22浦上駅前~23茂里町~24銭座町~25宝町~26八千代町~27長崎駅前~28五島町~29大波止~30出島~31新地中華街~32西浜町~33観光通~34思案橋~35崇福寺
  • 2号系統(臨時系統扱いで、通常ダイヤでは深夜のみの運転)
    • 11赤迫~(1号系統と同じ)~31新地中華街~32西浜町~36浜町アーケード~37めがね橋~38市役所~39諏訪神社前~40新大工町~41新中川町~43蛍茶屋
  • 3号系統(日中6分間隔)
    • 11赤迫~(1号系統と同じ)~27長崎駅前~44桜町~45市役所~39諏訪神社前~40新大工町~41新中川町~43蛍茶屋
  • 4号系統(朝夕ラッシュ時のみの運転)
    • 45蛍茶屋~(2号系統と同じ)~36浜町アーケード~33観光通~34思案橋~35崇福寺
  • 5号系統(日中9分間隔)
    • 45蛍茶屋~(2号系統と同じ)~31新地中華街~47メディカルセンター~48大浦海岸通~50大浦天主堂~51石橋
  • この他に出入庫などで番号なしの運行がある。
  • 駅ナンバリングのうち、42と49は忌み番号として当初から欠番、46は廃止(入江町 新地中華街~メディカルセンター間)
  • 路面電車同士の乗り換えはICカード限定で、新地中華街で1⇔5、市役所で3⇔4・5、長崎駅前で1⇔3、西浜町で1⇔5で可能になっている。
  • 電車の現在位置はYou Tube公式チャンネルで動画ライブ配信の形で提供されている。


沿線情報・その他公共交通機関との接続編集


前述のとおり沿線には長崎を代表する名所が多い。


主要観光地でアクセスできないのは、稲佐山(ロープウェイ乗り場を含む)と長崎ペンギン水族館くらいである。


JR長崎本線とは浦上駅長崎駅で接続しているほか、住吉電停と西浦上駅も至近距離に位置している。また長崎交通産業会館は長崎駅前、長崎新地ターミナルは新地中華街、ココウォークバスセンターは茂里町、長崎港フェリーターミナルは大波止が最寄り。


車両編集

自社発注車と移籍車がある。かつてはかなりの数の移籍車があったが、現在は全て動態保存的な位置づけとなっており、通常の運用はほぼ全て自社発注車である。また移籍車は現在は160形を除き、移籍前の事業者の塗色となっている。通常の運用では全て冷房車が使用されている。

また車両形式には語呂合わせなどを使う場合が多い。


87形(二代目)編集

202形204号車を花電車仕様に改造したもの。形式番号は「花」のもじり。


160形編集

西鉄福岡市内線から移籍。元をたどると九州電気軌道(西鉄北九州線)の車両。168号車のみ現存。車籍を持ち営業運転可能な鉄軌道車両では、日本最古(1911年製造)かつ唯一の木造車である。営業運転に付くのは原則年3日(路面電車の日の6月10日、鉄道の日の10月14日、開業記念日の11月16日近くの日曜日)。ICカード非対応、


201形202形211形300形編集

製造時期や製造所によって4形式に分かれているが、基本的な仕様はほぼ同じの半鋼製車。


360形370形編集

初の全金属車、昭和36年製造が360形、37年製造が370形で基本的な仕様は同じ。


500形編集

大阪市電の廃車発生品の台車・電装品を使用して車体のみを新製。ただし台車は後に別の発生品に振り替えられている。


600形編集

熊本市電からの移籍車。非冷房車。


1200形1300形1500形1700形編集

廃車発生品(自社だけでなく他社からのも含む)の台車・電装品を使用して、車体を新造したもの。1200形、1500形の一部は制御装置を換装(直接制御から間接制御)し、1200A形、1500A形になっている。


1800形編集

これも車体新造車であるが、車体デザインが大幅に変更されている。また制御方式も当初から間接制御。


3000形編集

初の低床車でリトルダンサーUタイプ。ローレル賞受賞車。


5000形編集

リトルダンサーUaタイプの低床車。


6000形編集

リトルダンサーNタイプの低床車。



過去の車両たち(主なもの)編集

(初代)87形編集

花電車用の電動貨車。


800形編集

東京都電からの移籍車で、元は3000形の後期製造車。5両譲り受けたが、実際に営業運転に供されたのは2両だけ。1982年の水害で被災したのがきっかけで全廃されてしまった。


2000形編集

1980年に軽快電車として、当時の最新技術を取り入れて制作された車両。ローレル賞受賞車。ただ、在来車とはあまりにも隔絶した仕様だったことから、運転・整備両面で扱いづらい車両となってしまい、2014年に引退。


150形編集

箱根登山鉄道小田原市内線から移籍、元をたどると王子電気軌道(現在の東京都電荒川線)の車両。大正生まれ。当然非冷房車、ICカード非対応。2019年引退。


700形編集

東京都電からの移籍車。もともと都電唯一の1067mm路線だった杉並線用として制作され、杉並線廃止後に1372mm対応に改造され都電他線区に移籍、長崎移籍時に1435mm対応に改造されているが、全て台車そのものの改造で対応されており、3種類の軌間を走行したことのある車両。非冷房車。2019年引退。



1050形編集

仙台市電からの移籍車(ただし台車はよそから調達)。形式番号は「仙台(千台)から昭和50年に移籍」の語呂合わせ。非冷房車。2019年引退。


余談編集

大浦支線メディカルセンター~大浦海岸通間は1865年にトーマス・グラバーがアイアン・デューク号を試運転させた区間でもあり、それにちなんで我が国鉄道発祥の地の記念碑がメディカルセンター停留所付近に存在する。


関連タグ編集

路面電車 長崎


外部リンク編集

長崎電気軌道株式会社

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