クエスター・ガイ
くえすたーがい
「おーいおい、これじゃどっちが強盗だかわかんねぇな。こいつは俺達が先に見つけたのー」(Task.36)
物語中盤より登場するネガティブシンジケート「クエスター」の一人。
ボウケンジャーと高丘映士によって魂滅においやられた怒りの鬼神ガイが、その類まれなる生命力を見込んだ大神官ガジャにより、彼の開発した「ゴードムエンジン」を回収された亡骸に埋め込まれる形で再生された強化戦士である。
生物的であったアシュとしての姿とは対照的にクエスターとして蘇ったことでその出で立ちも無機的な黒い装甲に覆われ、よりスマートなものへと転じているが、一方でパーソナルカラーである緑やライオン(唐獅子)に似た要素などにアシュだった頃の名残を留めている。
アシュとしての特性である「闘魂」は、クエスターとなってからもそのまま引き継がれており、ゴードムエンジンによって強化された身体能力と相俟って、従前を凌ぐほどの戦闘センスを発揮。短剣への変形機構を持つ二挺拳銃「グレイブラスター」を駆使して幾度となくボウケンジャーを苦しめた。
加えて、身体能力だけでなく知能も大幅に向上したことで、人間の発明品を研究し尽くしそのテクノロジーを盗み、人間を排除するためのより強力な兵器へと作り替えることさえもできるようになり、あらゆる武器やクエスターロボを意のままに操ってみせる。
最も作中においてはもっぱらプレシャス探索の最前線に立ち、敵と戦闘に及ぶ役割に回ることが多く、クエスターロボの開発自体は相方のクエスター・レイにほぼ一任する格好となっている。
人間を「下等生物」と見下し、軽薄な態度を持って侮る気質もまたアシュの頃から全く変わっておらず、様々な意味で仇敵であるボウケンシルバーこと高丘映士との因縁もやはり健在で、蘇ってから物語終盤に至るまでその関係性は維持されていくこととなる。
ゴードムエンジンによって復活を遂げ、ガジャに伴われる形で姿を現したガイとレイは、ボウケンジャーの眼前でクエスターへと変貌を遂げるや、ゴードムエンジンの効果でアクセルスーツの機能を不全に追い込むだけに留まらず、金属が苦手というアシュの弱点さえも克服したのを示すように、映士の錫杖を破壊。以前にもまして凶悪な実力を見せつけた。
・・・のだが、自分達を蘇生させた「恩人」であるはずのガジャに、ガイ達はまるで従う意志を持ち合わせておらず、錫杖を失ったことでアシュとしての血が目覚めだした映士を自分達の元へ引きずり込もうとするが、その映士は自らの意志でアシュの血に打ち勝ち、ボウケンシルバーとなったことでその目論見も潰えることとなる。
もっとも、これでガイ達が引き下がるはずもなく、ガジャが建造していた巨神ガガドムを強奪し彼の元から離脱すると、第4のネガティブシンジケート「クエスター」として活動を開始。その後も自分達の開発したクエスターロボを駆って様々な作戦を展開。その中でガイは前述の通り自らボウケンジャーと刃を交え、時には映士を死の淵にまで追いやったこともあるなど、6人体制となった彼等を幾度となく苦戦させてきた。
しかしその作戦の数々は、いずれも最終的に頓挫の連続に終わっており、業を煮やしたガイとレイは他のネガティブ、そしてかつての同胞であるオウガまでも巻き込む形で人工生命体「ホムンクルス」を生み出しその力によって地球を我が手にせんとする最終作戦を発動する。
ホムンクルスという強力無比な手駒を得たことでガイ達は一度はボウケンジャーを敗北させ、さらに作戦の過程で映士までも石化させるという大戦果を挙げるに至るもボウケンジャーの不屈の反攻、そして奇跡的に蘇った映士の復帰により、その最終作戦も土壇場で失敗に終わることとなる。雪辱を期し、作戦の要であったプレシャス「メルクリウスの器」を手に逃亡を図るガイ達であったが、そんな彼等の行く手を阻んだのは他ならぬシルバーであった。
シルバー「俺は飽き飽きしちまったぜ。お前らのしつこさにな! だからもう、お前らとのことは終わらせる」
「は! 終わらせる? お前にそんなことできんのかよ?」
シルバー「ああ、できるとも。そして俺様は、仲間達と新たな冒険を始めるんだ!」
こうしてシルバーとの一騎打ちに臨んだガイであったが、それまでの仲間達との関わり合いや、オウガの一件を通して過去を乗り越える覚悟を固めたシルバーの前には、最早ガイは敵ではなかった。
シルバー「オウガが地獄で待ってるぜ。さらばだ、ガイ!」
空中での銃撃戦でダメージを負い、サガスナイパーによる一閃を喰らったガイは、ゴードムエンジンを破壊され、因縁の相手の名を叫びながら今度こそ完全に最期を迎えるに至ったのである。
「高丘の―――ぐぁぁぁぁぁぁーーーー!!!」
両者の死闘に決着が付いた後、その後を追うように敗れ去ったレイとともに、映士によって最期の地となった山中に墓が立てられ、形見となったグレイブラスターもその墓前に供えられた。
海外版ではミグとして登場。
普段は呑気な振る舞いが多いのが、その本性は凶暴で戦闘力はカマドーを凌ぐほどである。
巨大化して戦って倒されるが、その肉体はノーグによって回収され、フルーリアスの作った装置により強力な肉体を得て蘇った。
デザインは篠原保が担当。クエスター、およびその前身たる2体のアシュ(とヒョウガ)については戦隊モチーフを全て『五星戦隊ダイレンジャー』で統一することが念頭に置かれており、ガイについても(配色を変えてるのでわかりにくいと前置きしつつも)大連王をモチーフとすることで、龍星王をモチーフとしたアシュ時と合わせて強化前後の位置付けが、引用元より踏襲されている。
CV担当の三宅は、スーパー戦隊シリーズへは『特捜戦隊デカレンジャー』(アンリ星人ベイルドン役)以来の出演であると同時に、シリーズとしては初となるレギュラーキャラとしての参加となった。
スーツアクターの清家は強化前後を通しての担当であり、本作ではこれ以外にも大剣人ズバーンを兼任している。