冥黒に染まれ!(第36話より)
概要
120年前に暁の錬金術師によってウロボロス界へと放逐・封印された冥黒の力を統べる3体の悪魔達の称号。
当初はグリオンの暗躍により、完全に閉じられなかった冥黒の扉の向こう側より復活したギギストのみを指す異名と思われたが、第39話より3体の総称である実態が判明した。各冥黒王は、それぞれ異なる体系の錬金術師分野を極めているのに加えて、人間の根源的要素の〈愛〉〈理〉〈運〉を司っている。
元々1つだった存在が3体へと分裂してしまった存在らしく、彼等は錬金術の至高たる賢者の石を分割し、それをそれぞれ33%ずつ分け合っている状態である。それ故に立場や能力は同質の意味も含めて〈三位一体〉であり、それぞれが対等にして「真の玉座」に至るための競争相手でもある故、他の冥黒王に優位を得ようと元々一部にして、残り1%の賢者の石の欠片を持つニジゴンを狙っている。
そして、致命的なダメージを負って命を落とすと、他の冥黒王達に力を還元される模様。
結果、後述の通り全員が消滅し、その力はジェルマンを乗っ取り復活したグリオンの元へと収束した。
その後、姿形のみをグリオンにより錬成され、3人とも意思を持たないただの傀儡人形として使役される羽目になった。
外見の特徴としては、共通してマルガムと同じ銀色(金色のグラデーションが入っている)のバンドで構成されたボディと複数の腕を伸ばした異形で、一部は黒い鎧のような物に覆われており、身体の何処かに黄金の球体と仮面が付いている。
グリオン曰く「力を追い求め人外に成り下がった」者達らしい。
メンバー
神働術を極めた、「理解(=知性)」を司る冥黒王。
第31話から登場。「人間の理解者」を自称する。
本編で1番最初に現れた冥黒王で、特に表立って行動していた個体。得意分野である神働術に由来した、空間を意のままに操る錬金術を得意とする。
グリオン亡き後のアトロポスとクロトーを指揮しつつ、ジェルマンとガエリアを出し抜いてニジゴンを奪取せんと策謀を巡らせた。
原初のケミーである、ガイアードとドラゴナロスの創造主で、101体のケミーの生みの親と断言しても過言ではない。
第49話で、自身と同じく「冥黒の炎」の力を持つ黒鋼スパナと決戦を繰り広げた末、白銀の炎へと覚醒させたスパナが変身した仮面ライダーヴァルバラド黒鋼に敗北するも、覚醒した彼の姿を「自身の力を扱う後継者ができた」と見なし、喜びながら退場・敗死。
錬金術を極めた、「愛情」を司る冥黒王。
第40話から登場。ガエリヤと共に遅れて現れた冥黒王であり、ウロボロス界でグリオンを捕食した張本人。
ガッチャードらの扱う体系の錬金術の始祖そのものであり、無機物から有機物を瞬時に作り出し、ゴーレムなどの人工生命体を創生にも長けた卓越した錬金術師。
「人間を愛している」と謳いながら、その実態は「人間をマルガム化させるのが世界の意志」との暴論を押し付けるエゴイスト。その為に全てのケミーを強奪しようと企んだ。
第41話でグリオンに身体を乗っとられる形で退場した。
占星術を極めた、「運命」を司る冥黒王。
第40話から登場。こちらもジェルマンと共に現れた冥黒王で紅一点。
占星術を用いた運命を読む独自の術式を心得ており、あらゆる事象を星の巡りで見定めている。
人間の奥底にある悪意を刺激したり、揺さぶりをかけて追い詰めたりと人間の精神を掻き回す計略を好む。
かつてマルガムになった人間の中に残されたケミーの因子に錬金術を施して、ケミーなしで人間のマルガム化ができ、それを使って聖の特殊能力から生成した黒い粒子を拡散、錬金術師に消された記憶を取り戻した人間の巻き起こす混沌で、世界の秩序を壊そうと目論む。更にアトロポスとりんねを素材にして究極の生命体・キマイラの錬成も画策した。
第48話で、身を挺して消滅したアトロポスを愚弄した姿からりんねの怒りに触れてしまい、仮面ライダートワイライトマジェードへと変身した彼女(とアトロポスの精神体)に引導を渡され退場・敗死。
映画『ザ・フューチャー・デイブレイク』に登場した冥黒王。
未来の宝太郎の世界で冥黒の扉を開門に成功したグリオンに取り込まれるが……。
その正体
最終回終了後に公開された仮面ライダーWEBで明かされた情報によると、“おとぎ話やグリオンを捕えた巨大な冥黒王と本編の三位一体の冥黒王は同一人物” と明言された。
元々は錬金術黎明期に実在した3人の錬金術師であり、「神働術」・「占星術」・「錬金術」と其々の開祖だったが賢者の石を用いて人間の姿を捨てて統合したことで1体の悪魔となり、グリオンを作るなどして暗躍するも暁の錬金術師によってウロボロス界に封印された。
プラチナガッチャードに敗北したグリオンを取り込んだことで計画の失敗と残りの賢者の石を把握し、僅かに開いた扉から野心に駈られたギギストの人格が独断で動いた……というのが本編の流れである。
冥黒王は時間軸の流れによって姿が変わるらしく、デイブレイク世界では当初の予定通りグリオンが仮面ライダーに勝利したことで問題なく暗黒の扉が開いたため、統合した状態で暗躍していたらしい。
余談
- 本編に描かれた「暁の錬金術師」のおとぎ話にて「三つ目の悪魔」に囚われた3人の子供達(2人が少年、1人は少女)と男女構成が一致している事情から、一部の視聴者から何かしらの関与が疑われていたが、最終回の公式サイトにて直接的な関係はないと明らかとなった。
- おとぎ話が持つ口承文芸の性質上、時代の変化とともに内容が変化していった可能性も考えられるため、「この3人の子供が上記の3人の錬金術師の暗喩とも取れるのではないか?」との声もある。
- また、意図的なものかは不明だが本作の主役・準主役級の仮面ライダー達も「男性2人と女性1人」の構成となっている。
- ちなみに、「錬金術」をテーマにした作品で仮面ライダー側/冥黒側の両方に錬金術師を使う重要な女性キャラが居る点に関しては、現実のローマ帝国時代の初期の錬金術では「錬金術の基礎を築いたレジェンド級の錬金術師達の中には、複数名の女性錬金術師が居た」と信じられていたが、これも意図的にこのような伝説を取り入れ反映したものかは不明である。
- 尚、現実世界における錬金術でも〈3倍偉大なるヘルメス〉と呼ばれる存在が錬金術の始祖と見做されており、その名前は「後世に錬金術と呼ばれる事になる知識・技術体系の基礎を作ったのは3人の人物達である」と解釈される事も有る。
- また、各冥黒王の身体の中心にある球を目とし、ジェルマンを中心の目として顔に見えるよう左右対称に配置すると彼らの無数の腕が顔の中心に向くようなデザインになっており、また、それぞれの仮面に見える部位も均等に配置できるような位置に存在する。
- ガエリヤが〈運命〉を司る理由として、 “彼女自身が運命に従って怒りや悲しみから逃避した人物であるため” と示されている事情から、一部の視聴者から「ギギストの〈理解〉、ジェルマンの〈愛情〉にも何らかの心理的要因があるのでは?」との推察がある。
- また、冥黒王と本作の主役・準主役級の仮面ライダー達には、各冥黒王が司る属性の相違が見受けられる。
- 「先に〈運命〉を知って困難などを回避する」ガエリヤと「困難な〈運命〉であっても自らの手で切り開く」りんね
- 「どんな相手であっても〈理解〉を努めようとする」ギギストと「自らの眼鏡に合う・合わないで相手への〈理解〉の差異を付ける」スパナ
- 「他者に〈愛情〉と嘯き支配・隷属を強制する」ジェルマンと「真摯に相手と付き合った上で〈愛情〉を向ける」宝太郎
- また、冥黒王と本作の主役・準主役級の仮面ライダー達には、各冥黒王が司る属性の相違が見受けられる。