貝(ONEPIECE)
だいある
本来は空島に生息する貝類の総称で、共通して貝殻の中に特定のエネルギーや物質などを取り込み、それを自在に出し入れする事ができるという不思議な特性を持つ。
空島ではこの貝類が死した後に残された貝殻に各種エネルギーなどを蓄え、生活中の随所で利用している。扱い自体は簡単なので一般家庭レベルまで普及しており、もはや空島において貝を利用しない生活は考えられないものとなっている。
一方で青海の人間にとってはほとんど馴染みの無いものであり、貝やそれを利用した物品を見ただけでは構造も概要もまるで理解できない場合が多い。
種類は豊富で、火を取り込んで自在に放出できる「炎貝(フレイムダイアル)」、水を取り込み貯水タンクや消火栓などに利用できる「水貝(ウォーターダイアル)」など、取り込めるものによって細かく分類される。
取り込める量は貝殻の大きさや形状などによって異なり、一般的には大型の貝の方がより多くのエネルギーを取り込む事ができ、最大出力なども上がる。
ほとんどのものが場所を問わず使用できるが、「雲貝」のみ空島特有の環境が必要となるため青海では全く使い物にならず、ただの珍しい貝殻と化す。
基本的には貝殻を用いるため、破損していなければ半永久的に機能する。空島では貝そのものを直接加工した家具や用品、そのような物品を専門的に扱う職業なども存在しているという。
しかし、劇中でガン・フォールが「人が便利だと思う物には必ずそれに反する悪用方法がある」と評したように、空島において貝は生活だけでなく、「武器」としても多用されている。
特定の武器に貝を仕込む事で外見からは判断がつかない特殊な性能を付加させたり、場合によっては貝そのものを持ち歩き、いざという時には貝から直接エネルギーを放出して敵を攻撃したりする事もできてしまうし、中にはそもそもが戦闘向けとしか思えないような貝も存在し、しかもそれらは総じて「攻撃」に利用した場合の威力が高い。
そしてそうした性質は人工的なものではない以上、元々は生きた貝が捕食者から身を守るために身に付けた特性と思われるが、その特性を逆に利用されるという皮肉な形ともとれる。
(ただ、中には安定した足場が乏しい空島ならびに白々海で生育するには、威力・出力過剰で自滅しかねない貝も存在する為、人間に利用されずとも絶滅が避けられなかったと思われる種も見受けられる。)
空島での大規模な戦闘では、貝をギミックとして利用した武器やそれによる攻撃が頻繁に飛び交う。青海人にとってそれは悪魔の実の能力者同士の戦いのような現実離れした光景だが、これが「一般的」な「空の戦い」なのである。空気の薄さからくる運動能力の低下もあり、余程戦闘慣れしている人物でも青海人は「空の戦い」において優位に立つことは難しい。
貝は基本的に白々海の浅瀬の漁礁などに生息しており、青海での入手は極めて困難。
仮に入手できたとしても種類や用法が理解できなければ意味を成さないうえ、なかには白々海では使えても青海等の環境が異なる場所では日常生活ですら使えるかどうか怪しいほどに威力や動力が小さくなるものもある。
また、現在では白々海においても極めて入手困難な「絶滅種」も一部存在する。
以下のものは劇中にて名前が判明した貝である。言及されていないだけで、これら以外の貝が存在している可能性もある。
- 音貝(トーンダイアル)
「音」を取り込む習性を持つ。
音楽鑑賞用として用いられるのが一般的だが、ボイスレコーダーのような使い方も可能。
新世界編では青海にて養殖に成功しており、TD(「ト(To)ーンダ(Da)イアル」の略であり、現実世界のCDとコンパクトプレーヤーが初めから組み合わさっているようなもの)が娯楽用品として世界規模で販売されている。
- 風貝(ブレスダイアル)
「風」(大気の流れ)を取り込む習性を持つ。
空気やガスなどの気体も一緒に取り込む事ができ、一般的には送風機や動力として利用される。
これの上位種とも言える「噴風貝」(ジェットダイアル)も存在するが、絶滅種であるため入手は困難。また、非常に噴射力が強いために扱いは風貝より遥かに難しい。
- 灯貝(ランプダイアル)
「光」を取り込む習性を持つ。
デスクスタンドのような照明器具として用いられるのが一般的。
上位種として蓄積した光を一気に開放して強烈な閃光を発する「閃光貝」(フラッシュダイアル)も存在する。
- 炎貝(フレイムダイアル)
「炎」を取り込む習性を持つ。
加工すれば暖炉やコンロなどに利用できるのだろうが、劇中では「炎」という攻撃的な性質から文字通りの「火器」としての用途が多く見られた。動物の口内に仕込めば、さながら独立自走式の火炎放射器と化す。
- 熱貝(ヒートダイアル)
「熱」を取り込む習性を持つ。
一般的にはオーブンなどの調理器具として用いられるが、武器に仕込む事で切り付けた敵に火傷を負わせたり、突き立てたものを発火させたりする危険な性質を持たせる事もできてしまう。炎貝とは違い、炎そのものを取り込む事はできず、あくまで取り込めるのは「熱」のみ。
- 匂貝(フレイバーダイアル)
「匂い」を取り込む習性を持つ。
風貝と同じく気体も一緒に取り込む性質があり、ガスなどを溜め込むとその匂いだけでなく、引火爆発の危険性も備える。本来は芳香剤のように使われるものと思われる。
- 映像貝(ビジョンダイアル)
「映像」を取り込む習性を持つ。
カメラなどに加工され、取り込んだ映像を写真のように出力する事ができる。
- 水貝(ウォーターダイアル)
「水」(液体)を取り込む習性を持つ。
貯水用、消火用など、未加工でも多彩な用途が存在する反面、その特性からか戦闘に用いられる事は少ない。
- 雲貝(ミルキーダイアル)
「雲」を取り込む習性を持つ。
「雲」であれば、空島特有の「加工雲」や雲の川(ミルキーロード)などでも取り込む事ができる。空の戦士はこれを用いて即席の足場や移動ルートを作り、空中戦を展開するという戦法を取る場合もある。
- 衝撃貝(インパクトダイアル)
「衝撃」を取り込む習性を持つ。数ある「貝」の中でも特に攻撃的な性質を有する種の一つ。
平たい形状をしており、手袋やバンテージなどで掌に固定し、接近戦用の武器として利用される事が多い。取り込み口付近で受けた衝撃の一切を吸収し、裏面の殻頂を(掌で)押す事で開放する。
その威力は取り込んだ衝撃によって変わるが、軽く数回叩いた程度でも樽が木端微塵に吹き飛ぶほどの威力を持つ。
急所に当たれば一般人なら一撃で死に至らしめる事ができる。「衝撃を吸収する」という性質から上手く使えば相手の攻撃を無効化し、その攻撃力を自分の武器として利用する事さえも可能。ただし、衝撃を解放する際に強烈な反動が発生する(常人なら腕や肩の関節が外れかねないほどで、不用意に使うと使用者自身が後方へ吹っ飛ぶ)ため、武器として使いこなすなら使用者にも一定以上の肉体的な強度が求められる。
一応、状況によっては一時的に船舶を加速させるための動力として使うこともできるが、風貝でも十分であることが多いため、基本的には青海での緊急策としての運用になると思われる。
- 排撃貝(リジェクトダイアル)
現在存在が判明している貝の中で、おそらく最も危険性の高い種。
衝撃貝の上位種とも言える存在で、同じく「衝撃」を取り込み、自在に放出する特性を持つが、その出力はなんと衝撃貝の10倍。
歴戦の戦士をも一撃で屠る激烈無比な破壊力を誇るが、その反動もまた激烈であり、たった一回使用するだけで敵はおろか使用者の命まで危険に晒すまさに諸刃の剣。
その特性から戦闘においても滅多に使われず、仮に使用するなら相討ち上等の覚悟が必要となる。
幸いと言えるかは怪しい所だが、絶滅種であるため入手も遭遇も困難な代物ではある。劇中ではワイパーが右腕に仕込んでおり、シュラ戦、エネル戦における切り札として使用した。
- 斬撃貝(アックスダイアル)
「斬撃」を取り込む習性を持つ。本来スカイピアには存在しないという特殊な種。
衝撃貝と同様に掌に固定され、敵を切り裂く武器として利用される。神兵の標準装備の一つとなっており、その威力は盾ごと相手を両断する事ができるほど。
※以下はゲーム作品オリジナルの種で原作には登場しない。
- 雷貝(サンダーダイアル)
「電撃」を蓄える事ができる。「アンリミテッドクルーズ」に登場。
ただし、相手を痺れさせる程度で、衝撃貝等のように致命的な威力は出せないらしい。
他にも「アンリミテッドクルーズ」では空島の貝そのものではないが、同じような性質があるという「謎の貝」を特定の生物と組み合わせ「炎貝」、「雷貝」、「噴風貝」を作れる(再現できる、というべきか)。
- 狂乱貝/操作貝(マッドダイアル/コントロールダイアル)
これまでに記述されたどの貝とも全く異なる非常に特殊な貝。「海賊無双2」に登場し、本作のオリジナルストーリーのカギを握る。
狂乱貝はその中から怪しげな霧を噴出する。この霧に包みこまれた人物は正気を失い、非常に好戦的な性格となり、敵味方を問わず襲い掛かるほどに凶暴化してしまう。そして操作貝は狂乱貝の効果で暴走した人物の挙動を意のままにコントロールする事ができる。この二つが揃う事でどんな強者であろうと洗脳し、操る事ができるという極めて危険で非人道的なアイテム。「海賊無双2」のストーリーはこの2つの貝の暴走により世界中の海賊や海軍が入り乱れる大混乱が発生、その事態を解決すべくルフィやスモーカーを筆頭とした連合軍の奮闘を主軸とする。
- ダイアル船
貝の放出するエネルギーを利用して動く船舶の総称。
主に「風貝」を動力とし、アクセルを踏むと自分で風を吹き出して進む。デザインは様々だが、全体的なスペックは動力源である風貝の大きさや搭載量などにとって決まってくる。
風向きや水流(空島的には「雲流」とでも言った方が正しいかもしれない)に関係なく移動でき、買い出しや漁などで重用される。
- ウェイバー
ダイアル船の中でも一人乗りレベルにまで小型化されたもの。大型のダイアル船と比べて非常に軽く、陸上でも自転車を押す要領で移動させることも、その気になればそのまま乗って運転する事もできる。
比較的小型の風貝でも一定以上のスピードと小回りが両立できるが、動力をフル活用するための軽量化の弊害でちょっとした波や風にも簡単に舵を奪われてしまうため、波や風を直感的に予測しながら船体を操るセンスが必要となる。完全に乗りこなすには、一般的に専門的な訓練をおよそ10年ほど積む必要があるとされる。厳しいな
一般的には水上バイクに似た小型船のような形状だが、ボード型のものやスケート靴のような型のものなども存在する。特にスケート型は「持ち歩く」必要が無く、通常は突き抜けてしまう海雲や雲の川などの上でもそのまま移動でき、さらに外装の強度をそのまま武器として利用できる事から空の戦士が多用している。
麦わらの一味も一隻所有している。元々は海底散策の際にボロボロの状態で発見されたものを取っておいただけだったが、空島を訪れた際にパガヤの手で修理され、一味の所有物となった。青海でも問題なく使えるが、センスの問題で自力で運転できるのはナミだけである。
ナミのウェイバーは動力に「噴風貝」を搭載した特殊仕様モデルであり、一般的なウェイバーとは段違いの速力を発揮できるが、最高速度はナミでさえも制御不能という非常に扱いが難しい代物。
なお、フランキーが加入した際にシロモクバ1号に(勝手に)改造され、サウザンドサニー号のソルジャードックシステムの一機として搭載された。
- 熱の槍(ヒートジャベリン)
シュラが使用する武器。内部に「熱貝」が仕込まれた槍で、突き刺したものに高熱を送り込み、内側から焼き払う事ができる。
ガン・フォールが使用する武器。見た目は鉄製の手袋だが、掌部分には「衝撃貝」が仕込まれており、掌底と同時に強烈な衝撃を放って敵を吹き飛ばす事ができる。ただし未熟な者が使用すると反動で体ごと吹っ飛ばされる。
- 閃光銃(フラッシュガン)
ブラハムが使用する武器。一見ただのピストルだが、引き金部分に「閃光貝」が仕込まれており、引き金を引く度に強力な閃光を発して敵の目を眩ませる。ブラハムはこの閃光を利用して敵の視界を奪い、その隙にスケート型ウェイバーを駆使して完全に姿を眩ませ、死角から再び襲い掛かる中距離ヒット&アウェイ戦法を得意とする。
- 燃焼砲(バーンバズーカ)
ワイパーが使用する武器。一見すると普通のバズーカ砲だが、砲身に貝を搭載できるハッチがあり、ここに戦闘用の貝をセットする事で多彩な攻撃が可能となる。ワイパーは主に風と共に可燃性ガスを溜めた「風貝」を使用し、砲口から噴出したガスに点火して射線上のもの全てを青白い炎で焼き尽くす戦法を得意とする。
似たような武器として、劇中ではカマキリが使用した「燃焼剣」(バーンブレード)がある。「剣」と銘打っておきながら刀身が存在しないが、柄部分に風貝が取り付けられており、燃焼砲と同様の機構で大木をも焼き薙ぐ灼熱の剣となる。
- 鉄雲の剣(名称不明)
オームが使用する剣。刀身が鉄雲でできているため、鉄の硬さと雲の軽さを併せ持つ。また、雲貝が柄部分に取り付けられており、ここから出る鉄雲によって刀身の形を自在に変えることができる。
- 完成版天候棒(パーフェクト・クリマ・タクト)
ウソップお手製のナミ専用の武器。アラバスタ編にてほぼ即席で作成された天候棒をベースに、貝を利用した改造を施す事で基本性能を大幅に強化した状態で新規作成された文字通りの「完成版」。
以前のものより断然戦闘向きになったが、ウソップがナミの戦術や使い方をよく確認せずに改造を施したために二人の想定を大きく超えるほどの力を得てしまった。
エニエス・ロビー編からシャボンディ諸島編まで使用され、新世界編からは「魔法の天候棒」(ソーサリー・クリマ・タクト)に後を継いだ。
- カブト
ウソップの武器の一つ。一から自作した巨大パチンコで、発射機構の一部に貝を用いた改造が施してある。燃焼砲のように貝を付け替える事で様々な変化球や特殊攻撃が可能となっており、従来のパチンコとは比較にならないほどの攻撃性能を獲得している。
エニエス・ロビー編から新世界編に突入する直前まで使用され、「黒カブト」に役目を引き継いだ。